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2章
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しおりを挟む(あいつらがちゃんと仲直りできているか見ないとな…兄として)
隼人達は、意外にもすぐ見つかった。
広い田舎なので、入れ違いになるかと思ったのだが…
「きて、早く、欲しいっ」
「そんなに脚を開いて、えっちな子だ。今からあげるから、ほら、たんとお食べ」
二人は薫の家から5分ほど歩いた古びた工場の影にいた。
疾風が見つけた時、鈴と隼人はばっちりいたしていた。
あんあん、と甘えた鈴の声に、ぐちゅぐちゅと濡れた水音が鳴り響く。
「鈴の此処は、気持ちが良いよ?」
前立腺を、隼人は何度も擦りあげ、
「はあ、はあっ! ああ、そこ、イイ、やあん! また、来ちゃう、来るっ熱いのっああああっ!!」
それに答えるように鈴はうっとりと快楽にまみれた顔で、隼人に答える。
普段明るく子供っぽい鈴が…今は妖艶に見えるから不思議だ。
さながら、AVのような濃い営みが繰り広げられる。
「く…おいたは良くないよ、鈴。そんなに私を夢中にさせて、そんなに欲しいのですか?悪い子ですね。いいですよ、たっぷり中で出してあげますから」
(…お、お前は…なに言ってんだ…っ!)
二人の仲直りの様子をからかう気満々で探していたのに、逆にいたたまれない思いに陥っている。
それから、どれほど時間がたっただろう。
絶倫という言葉がよく似合うほど、二人は絡み合っていた。
(ウサギが性欲強いっていうのは、本当だったんだな…。里桜にも少し鈴の積極性を分ければちょうどいいんじゃないか?)
ふとそんなことを考えていたら、脳裏に積極的に誘ってくる里桜が過ぎってしまい。
うっかり身体が熱くなる。
(…仕方ない、男なら仕方ない…)
必死に弁明しながらも、律儀に弟たちの営みを他者がこないよう見守る疾風であった。
■
「僕、かあちゃんの子供じゃなかったんだ」
情事後、隼人の膝の上に腰を下していた鈴は、ぽつりと呟いた。
隼人は、まだ空気に浸っていたいからか、鈴の髪にキスをしながら、鈴の身体を愛撫し話を聞いていた。
「にいちゃんに悪い事したな。僕家族だって信じて、いっぱい甘えてた。
兄ちゃん…隼人さんの事好きだったのに、もし僕が」
「鈴、云うな。『いなかったら』なんて云ったら、私が許さない」
そういうと、鈴は顎を持ち上げられて、隼人にキスをされる。
「君は昔も今も、薫さんや里桜の家族だ。
これからも、天音鈴は里桜の双子の弟で、甘えん坊でやんちゃな可愛い男の子だ。
私の最愛の恋人だよ? 君は。
とうさんや薫さんには、流石に秘密だけどね」
「僕…良いのかな…居て良いのかな…沢山迷惑掛けた。
なのに、家族で良いのかな」
泣きそうな声で、鈴が呟く。
実の家族ではない。
家族と思っていた人たちは本当の親や兄弟ではない。自分はこのまま彼らの優しさに甘え続けていいのだろうか…と。
ぽつりぽつりとこぼす鈴に、慰めるように隼人は鈴の後頭部を己の胸によせた。
「良いんだよ鈴。私から離れないで。
私をひとりにしないで欲しい。鈴が私の全てなんだ。里桜にとっても大事な兄弟に変わりない筈だ。君は私たちにとって大事な子なんだよ」
「うん…。ありがと。隼人さん」
鈴は小さく頷き目を閉じる。
隼斗の腕の中、抱き締められながら鈴はそのまま眠りに落ちた。
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