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先行投資・俺だけの人。
病む心。すれ違う二人
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―ザアアアア。
『解放してください、樹君を、貴方から』
『貴方は樹君を縛るつもりですか?』
大量のシャワーのお湯が、風呂場のタイルにあたる。
まるで、土砂降りの、雨のように。
ふっては絶え間なく落ち続け、また後から後から毀れ落ちる。
溢れんばかりの、飛沫。
叩くほどの、水圧。ざあざあと、飛沫が耳を叩く。
一人になった私は、なにをするでもなく、ただ、そのシャワーに浴びていた。
何時間も何時間も。
ただ、馬鹿みたいに。
シャワーに打たれていた。
身体が、鉛のように重くて、私の意思とは裏腹に全く動かないのだ。
―ザアアアア。
何故か遠くの方から聞こえるシャワー音。
シャワーが、落ちる。
毀れ、落ちる。
―ザアアアア。
『…人魚姫って嫌いなんです』
『結ばれなかったら、悲劇のヒロインを演じて。僕は、ああいう悲劇のヒロインは愚かだとおもうんです』
私は…、愚かな人魚姫なんだろうか。
樹を恩で縛り付け、愛を得ようとしている…
ただの…馬鹿な…。
依存してしまった、愚かな人魚姫…。
ふと、風呂場に備え付けられた鏡が目についた。
そっと、手で曇っているガラスを拭き、自分の姿をそこへうつす。
拭いてクリアになった鏡から、貧相な身体が、鏡にうつった。
女のように柔らかくもない、進藤君のように華奢で抱きやすくもない。
がりがりで、もやしみたいな、白い肌。
どこが、いいんだろう。こんな身体、抱いたって楽しくない筈だ。
それこそ、恩や義理がなければわざわざ抱いたりしない…。
恩があるから、樹は抱いてくれた…?
私を、成人するまで逃がさないようにするために。
最後まで、私に抱かれたがらなかったのはそこまで私に愛はなかったから…?
身体を差し出すほど、私には魅力がなかった?
だから、抱かせるのではなく、抱いた…?
私を女のように。女の代用品として…?
「馬鹿だな…、私は…」
樹に会うまでは、一人は平気だった。一人が好きだった。でも…本当は。
こうやって、去られるのが嫌だから、わざと人を避けていたのかもしれない。
いなくなられるのが、嫌だから。
さよならが、嫌だから。
一人ぼっちはこんなにも、辛い。いや、樹がいなくなることが、こんなにも…。
こんなにも、切なくなって、辛い
「樹…」
別れたくない。
別れなんて嫌だ。
ずっと、一緒にいたい。
一緒にいてほしい。
私は…私は、樹が好きだから。
樹を愛しているから。
思いが通じず消える人魚姫にはなりたくはない。
でも…。
樹は、私から…離れたがっている。
私の元、から…。
私は…
「樹が、好きなのに…愛して、いる…のにっ」
毀れた言葉は、シャワーの湯と共に消える。嗚咽が混じり、視界が緩む。
つぅ、っと、一緒に涙も毀れ落ちた。
泣いても、誰も、やってこない。
樹には、この想いは、通じない。
この涙も、樹と過ごした日々も。
みんなみんな…。
浴室は私の鳴き声がこだまし、悲しみでいっぱいになった。
進藤君の言葉は嘘なのか?
それとも本当なのか。
進藤君は、本当に、樹の友達なのか。
樹は、私を愛しているのか。
本当に離れようとしているのか。
今、何をしているんだ?
何をして、誰といる?
私を、どう思っている?
私と樹はどうなるんだ?
浮かんでは消え、消えては浮かんでくる、考え。
不安と、疑いと、恐怖と、怯え。
風呂からあがった私は、バスローブに着替え、ソファーに腰かけ、ぼんやりと宙へ視線をやっていた。
動きたくない。
全部が全部、どうでもいい、投げ遣り感。
むかむかするような、いらいらするような、物悲しくなるような…。
複雑な感情が、次から次へとあふれ出てきていたから。
そわそわとした、いてもたってもいられない、不安定な気持ち。
疑心暗鬼とでもいうのだろうか。
何年も一緒にいる樹なのに、信じられなくなってしまっている。
樹が、あんなに大切な樹の事が…今は、イライラしたり、怖かったり。
言いようのない気持ちでいっぱいだ。
なんで、進藤君がうちにやってきた?
何故、私にわざわざ言ってきた?何故、樹が言わない。
悲しみと怒りと、どうしようもない憤りが、ぐるぐると胸の中を息巻く。
答えが表せないような、複雑な思いとともに。
胃が、つきり、と痛んだ。
鈍い痛み。まるで、私の心を表すかのようだ。
さっき、薬を飲んだばかりなのに。
痛い。胃が痛い。辛い。
辛い辛いんだ。もう、私は、弱いから。
誰よりも、弱いから。
だから…。
「ただいま」
帰宅を告げる、樹の声。時刻は、既に深夜二時を回っている。
進藤君がきて、呆然としていた私は、今日一日のことを良く覚えていない。
どれほど、シャワーを浴びていたのか。
どれほど、ソファーでぼんやりとしていたのだろうか。
私は、ただ黙って、樹が現れるのを待った。
いつもは、起きていたら、樹を玄関まで迎え入れるけど。
今日はそんな気分にはならなかった。
樹の傍にいたくないのだ。
樹が怖くて。樹が…私が知っている樹じゃなくなったようで、嫌なのだ。
「…あれ、公久さん…?起きてたの?」
案の定、樹はソファーに座って起きている私を見て、驚く。
片腕には、また大きなスポーツバックを持って。
樹は、スーツを身に着けていた。
朝出かけた時は、そんな服装じゃなかったのに。
誰かと会ったのか?
スーツしか入れないような、高級レストランで、誰かとデートでもした?
それこそ、進藤君とでも。
私に黙って。
「ただいま、公久さん」
にこ、っといつものように無垢な笑顔で笑う樹。
裏表なんか、なさそうな、明るい楽しそうな笑み。
でも、この笑みは、私だけのモノじゃない。
私に対する樹の笑みは…。
親愛。いや、ただの、義理。
他人である私に、捨てられないため。
養育してもらうための…ただの、義理。
そうなんだろう、樹。
「公久さん?」
返事をしない私に、樹は不審に思ったのか眉を寄せる。
そして、私に近づき、私の頬に両手を充てる。
「なにか、あった…?」
なにか?あったよ。
色々。
それで心がぐちゃぐちゃになってしまっている。
お前を信じられなくなっているんだよ。
「なにも…」
でも言えない。言わない。
言いたい事はたくさんある。
でも言えるもんか。
言って、やるもんか。
言って、さよならされたくない。
もういいよ、なんて言われたくない。
私には、樹が必要なんだ。
樹が私を必要としなくても。
私には。
「…なにも、なかった」
淡々とした口調で返す。
「嘘、俺、公久さんが嘘ついていればどんなものでもわかるもん。なにか、あったんでしょ?」
頬を両手で包みこんだまま、樹は己の顔を近づけてきた。
こういう時の私の嘘は見抜くんだな。私の樹への不安はわからないのに。
鼻先に、樹の鼻が当たる。
そっと、瞳を閉じて顔を傾ける。
キス、出来る距離。
でも…
キスする直前に仄かに、香る香水のような匂いが鼻についた。
樹のいつもの匂いじゃない。樹の匂いは、石鹸の匂い
この匂いは明らかに他人の、ちょっときつめの柑橘系の匂い。
知らない誰かの、匂い。
誰かの…、誰かと、こんな、香りがつくまで…
ナニをしていた?
どこで、何をしていた。
「やめろ!」
近づいてくる身体を思い切りはねつけた。
樹は私の反撃が予想外だったのか、2、3歩大きく体制が崩れ、よたよた…とふらつく。
その顔は…少し私の反撃に驚愕しているようだった。
樹とのキスを拒んだことは一度もない。小さい時でも、いつも受けていた。
身体を拒んだことは何度かあるが、キスだけは、いつも必ずしていた。
でも…今は駄目だった。
樹から他の匂いがした。だから、キスしたくなかった。
誰かの唇が重なったかもしれない樹の唇に、キスしたくなかった。
樹は、再び私の傍に近寄り、顔を顰める。
「もしかして、熱ある?公久さん」
殊勝な態度。心配しているのか。
私の額に、手を充てようとしてくる。
熱なんか、ない。
ただ、お前に対する気持ちでぐちゃぐちゃになっているだけだ
「熱なんかない」
きっぱりと言い、樹の手を跳ねのけて、ソファーから立ち上がる。
樹は首を傾げ、背広を脱いだ。
ワイシャツ一枚の樹の姿。
しんなりとした、筋肉がついた、樹の肉体。
この身体で、他の人間も抱いた?
私と同じように、抱いていた?今、匂いを纏った人間と。
先ほどよりも、強張った顔をしたまま、私は口を開く。
「お前今までどこに行っていたんだ。いつもいつも、夜まで…。一体何をしているんだ」
「なにって…」
樹は突然、私を心配する素振りから一変し口を閉じ、いいづらそうに瞠目する。
その姿で、余計樹が浮気していたんじゃないかという不安は、確信へと変わっていく。
「言えないのか?」
「公久さん、落ち着いて」
樹が宥めるように、私に落ち着けと口にする。
誰のせいでこうなっているんだと…。
進藤君を私の元にやったのはお前だろう?
お前は、私から離れようとしているんだろう?
なのに、なんで、落ち着いていられるんだ。
わたしばかり、こんな怒って、馬鹿みたいに…。
私だけお前を思っていて、お前の中で私の存在はないものと等しいのか?
私だけばかみたいにお前にのぼせていて、お前は迷惑がっているのか。
そう考えたら、途端悲しくなってくる。
『解放してください、樹君を、貴方から』
『貴方は樹君を縛るつもりですか?』
大量のシャワーのお湯が、風呂場のタイルにあたる。
まるで、土砂降りの、雨のように。
ふっては絶え間なく落ち続け、また後から後から毀れ落ちる。
溢れんばかりの、飛沫。
叩くほどの、水圧。ざあざあと、飛沫が耳を叩く。
一人になった私は、なにをするでもなく、ただ、そのシャワーに浴びていた。
何時間も何時間も。
ただ、馬鹿みたいに。
シャワーに打たれていた。
身体が、鉛のように重くて、私の意思とは裏腹に全く動かないのだ。
―ザアアアア。
何故か遠くの方から聞こえるシャワー音。
シャワーが、落ちる。
毀れ、落ちる。
―ザアアアア。
『…人魚姫って嫌いなんです』
『結ばれなかったら、悲劇のヒロインを演じて。僕は、ああいう悲劇のヒロインは愚かだとおもうんです』
私は…、愚かな人魚姫なんだろうか。
樹を恩で縛り付け、愛を得ようとしている…
ただの…馬鹿な…。
依存してしまった、愚かな人魚姫…。
ふと、風呂場に備え付けられた鏡が目についた。
そっと、手で曇っているガラスを拭き、自分の姿をそこへうつす。
拭いてクリアになった鏡から、貧相な身体が、鏡にうつった。
女のように柔らかくもない、進藤君のように華奢で抱きやすくもない。
がりがりで、もやしみたいな、白い肌。
どこが、いいんだろう。こんな身体、抱いたって楽しくない筈だ。
それこそ、恩や義理がなければわざわざ抱いたりしない…。
恩があるから、樹は抱いてくれた…?
私を、成人するまで逃がさないようにするために。
最後まで、私に抱かれたがらなかったのはそこまで私に愛はなかったから…?
身体を差し出すほど、私には魅力がなかった?
だから、抱かせるのではなく、抱いた…?
私を女のように。女の代用品として…?
「馬鹿だな…、私は…」
樹に会うまでは、一人は平気だった。一人が好きだった。でも…本当は。
こうやって、去られるのが嫌だから、わざと人を避けていたのかもしれない。
いなくなられるのが、嫌だから。
さよならが、嫌だから。
一人ぼっちはこんなにも、辛い。いや、樹がいなくなることが、こんなにも…。
こんなにも、切なくなって、辛い
「樹…」
別れたくない。
別れなんて嫌だ。
ずっと、一緒にいたい。
一緒にいてほしい。
私は…私は、樹が好きだから。
樹を愛しているから。
思いが通じず消える人魚姫にはなりたくはない。
でも…。
樹は、私から…離れたがっている。
私の元、から…。
私は…
「樹が、好きなのに…愛して、いる…のにっ」
毀れた言葉は、シャワーの湯と共に消える。嗚咽が混じり、視界が緩む。
つぅ、っと、一緒に涙も毀れ落ちた。
泣いても、誰も、やってこない。
樹には、この想いは、通じない。
この涙も、樹と過ごした日々も。
みんなみんな…。
浴室は私の鳴き声がこだまし、悲しみでいっぱいになった。
進藤君の言葉は嘘なのか?
それとも本当なのか。
進藤君は、本当に、樹の友達なのか。
樹は、私を愛しているのか。
本当に離れようとしているのか。
今、何をしているんだ?
何をして、誰といる?
私を、どう思っている?
私と樹はどうなるんだ?
浮かんでは消え、消えては浮かんでくる、考え。
不安と、疑いと、恐怖と、怯え。
風呂からあがった私は、バスローブに着替え、ソファーに腰かけ、ぼんやりと宙へ視線をやっていた。
動きたくない。
全部が全部、どうでもいい、投げ遣り感。
むかむかするような、いらいらするような、物悲しくなるような…。
複雑な感情が、次から次へとあふれ出てきていたから。
そわそわとした、いてもたってもいられない、不安定な気持ち。
疑心暗鬼とでもいうのだろうか。
何年も一緒にいる樹なのに、信じられなくなってしまっている。
樹が、あんなに大切な樹の事が…今は、イライラしたり、怖かったり。
言いようのない気持ちでいっぱいだ。
なんで、進藤君がうちにやってきた?
何故、私にわざわざ言ってきた?何故、樹が言わない。
悲しみと怒りと、どうしようもない憤りが、ぐるぐると胸の中を息巻く。
答えが表せないような、複雑な思いとともに。
胃が、つきり、と痛んだ。
鈍い痛み。まるで、私の心を表すかのようだ。
さっき、薬を飲んだばかりなのに。
痛い。胃が痛い。辛い。
辛い辛いんだ。もう、私は、弱いから。
誰よりも、弱いから。
だから…。
「ただいま」
帰宅を告げる、樹の声。時刻は、既に深夜二時を回っている。
進藤君がきて、呆然としていた私は、今日一日のことを良く覚えていない。
どれほど、シャワーを浴びていたのか。
どれほど、ソファーでぼんやりとしていたのだろうか。
私は、ただ黙って、樹が現れるのを待った。
いつもは、起きていたら、樹を玄関まで迎え入れるけど。
今日はそんな気分にはならなかった。
樹の傍にいたくないのだ。
樹が怖くて。樹が…私が知っている樹じゃなくなったようで、嫌なのだ。
「…あれ、公久さん…?起きてたの?」
案の定、樹はソファーに座って起きている私を見て、驚く。
片腕には、また大きなスポーツバックを持って。
樹は、スーツを身に着けていた。
朝出かけた時は、そんな服装じゃなかったのに。
誰かと会ったのか?
スーツしか入れないような、高級レストランで、誰かとデートでもした?
それこそ、進藤君とでも。
私に黙って。
「ただいま、公久さん」
にこ、っといつものように無垢な笑顔で笑う樹。
裏表なんか、なさそうな、明るい楽しそうな笑み。
でも、この笑みは、私だけのモノじゃない。
私に対する樹の笑みは…。
親愛。いや、ただの、義理。
他人である私に、捨てられないため。
養育してもらうための…ただの、義理。
そうなんだろう、樹。
「公久さん?」
返事をしない私に、樹は不審に思ったのか眉を寄せる。
そして、私に近づき、私の頬に両手を充てる。
「なにか、あった…?」
なにか?あったよ。
色々。
それで心がぐちゃぐちゃになってしまっている。
お前を信じられなくなっているんだよ。
「なにも…」
でも言えない。言わない。
言いたい事はたくさんある。
でも言えるもんか。
言って、やるもんか。
言って、さよならされたくない。
もういいよ、なんて言われたくない。
私には、樹が必要なんだ。
樹が私を必要としなくても。
私には。
「…なにも、なかった」
淡々とした口調で返す。
「嘘、俺、公久さんが嘘ついていればどんなものでもわかるもん。なにか、あったんでしょ?」
頬を両手で包みこんだまま、樹は己の顔を近づけてきた。
こういう時の私の嘘は見抜くんだな。私の樹への不安はわからないのに。
鼻先に、樹の鼻が当たる。
そっと、瞳を閉じて顔を傾ける。
キス、出来る距離。
でも…
キスする直前に仄かに、香る香水のような匂いが鼻についた。
樹のいつもの匂いじゃない。樹の匂いは、石鹸の匂い
この匂いは明らかに他人の、ちょっときつめの柑橘系の匂い。
知らない誰かの、匂い。
誰かの…、誰かと、こんな、香りがつくまで…
ナニをしていた?
どこで、何をしていた。
「やめろ!」
近づいてくる身体を思い切りはねつけた。
樹は私の反撃が予想外だったのか、2、3歩大きく体制が崩れ、よたよた…とふらつく。
その顔は…少し私の反撃に驚愕しているようだった。
樹とのキスを拒んだことは一度もない。小さい時でも、いつも受けていた。
身体を拒んだことは何度かあるが、キスだけは、いつも必ずしていた。
でも…今は駄目だった。
樹から他の匂いがした。だから、キスしたくなかった。
誰かの唇が重なったかもしれない樹の唇に、キスしたくなかった。
樹は、再び私の傍に近寄り、顔を顰める。
「もしかして、熱ある?公久さん」
殊勝な態度。心配しているのか。
私の額に、手を充てようとしてくる。
熱なんか、ない。
ただ、お前に対する気持ちでぐちゃぐちゃになっているだけだ
「熱なんかない」
きっぱりと言い、樹の手を跳ねのけて、ソファーから立ち上がる。
樹は首を傾げ、背広を脱いだ。
ワイシャツ一枚の樹の姿。
しんなりとした、筋肉がついた、樹の肉体。
この身体で、他の人間も抱いた?
私と同じように、抱いていた?今、匂いを纏った人間と。
先ほどよりも、強張った顔をしたまま、私は口を開く。
「お前今までどこに行っていたんだ。いつもいつも、夜まで…。一体何をしているんだ」
「なにって…」
樹は突然、私を心配する素振りから一変し口を閉じ、いいづらそうに瞠目する。
その姿で、余計樹が浮気していたんじゃないかという不安は、確信へと変わっていく。
「言えないのか?」
「公久さん、落ち着いて」
樹が宥めるように、私に落ち着けと口にする。
誰のせいでこうなっているんだと…。
進藤君を私の元にやったのはお前だろう?
お前は、私から離れようとしているんだろう?
なのに、なんで、落ち着いていられるんだ。
わたしばかり、こんな怒って、馬鹿みたいに…。
私だけお前を思っていて、お前の中で私の存在はないものと等しいのか?
私だけばかみたいにお前にのぼせていて、お前は迷惑がっているのか。
そう考えたら、途端悲しくなってくる。
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