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先行投資・俺だけの人。
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今日も少し気ダルい。
というか、何故か気分が浮上しない。
ぐったり倒れこみそうな自分に叱咤して、デスクにある愛用のパソコンを立ち上げる。
薬は飲んだ。
樹を送りだした後。
一応、樹に心配させないために、薬は戸棚に隠してあるものの。
ここ最近は樹との時間が少なくなっているから、樹は薬の存在に気付かないかもしれない。
家に滅多にいないし。
別に、ただの胃痛だから心配はしないと思うが…。
いや、今日もあんなに心配していたから、薬なんか見せたらまた年寄扱いどころか今度は重病人扱いされるかもしれない。
案外樹は心配性だから。
ふと、仕事机の上に飾ってある写真立てに目がつく。
少し古い写真。
まだ、樹が17歳の時のもの。
私が26歳の時のものだ。
不似合いなスーツをきた樹が、私と腕を組んでvサインしている。
…これは、合格祝いにとったものだ。
桜の木が、写真の真ん中に入っている。
私たちはちょうど桜の前で写真を撮っていた。
場所は、近所の桜が沢山さいていた公園。
懐かしい。
ついつい手に取って写真を見てしまう。
樹がこれは、私に…、とわざわざ写真を写真たてに入れて、ここに置いてくれたのだ。
そういえば、あの時樹は私に…。
『公久さん、ずっとこの桜みようね、おじさんになっても、おじいちゃんになっても、ずっと』
まるで、プロポーズみたいな言葉を言っていたな…。
たぶん、樹のことだから、プロポーズとかそんな意図はなくて、ただ私と一緒にいたいと思いそういってくれたんだと思うけれど。
写真の中の私は、相変わらず青白い顔をして、満面の笑みの樹に対し気恥ずかしそうに俯いている。
私はあまり写真が好きではないから…。
というか、自分の容姿にあまり興味がないから、写真や鏡などはあまり見ないようにしている…。
樹みたいに綺麗な人間が隣にいればなおの事。
自分のこの貧相な細いだけの身体が嫌になってくるのだ。
綺麗で、人を魅力する樹。
かたや、人を嫌い家に引っ込む陰気臭い私。
不似合いな、私たち…
樹がくる前は、自分の容姿にも無頓着だった。
でも樹がきてからは…自分の容姿が嫌いになったように思う。
もっと綺麗な容姿をしていたら…
樹に釣り合う容姿だったら良かったのに…なんて。
鏡の前でため息をつくのも多くなった。
ため息をついたところで、何も代わりはしないのに。
ーピンポーン。
家のインターホンの音。
誰かきたらしい
誰だろう。
来客予定はない筈だ。
ここ最近通販はとってない。
昼間、家に尋ねてくる人なんて、滅多にいない。
今まで樹の友達も、たまに樹が連れてくるぐらいだったし。
ましてや、半家に引きこもっている私に来客なんかいない。一か月くらい来客がないのがざらなのに。
私は首を傾げつつ、玄関へ近寄る。
「…、…どちら、様?」
「あ…っ…」
玄関先の人間は、一瞬私の声に息を飲む。
そして、
「あ、あの…ぼ、僕、進藤瞑(しんどうめい)っていうんですけど…、
あの、樹君は、いらっしゃいますか?」
と尋ねてきた。
僕…男の子…?だろうか。
そっと顔を近づけ玄関ののぞき穴から覗くと、そこには目がぱちっとした、中性的な可愛らしい子がいた。
少し灰色のパーカーを着込み、下はいかにもSサイズとわかるようなジーパンを着用。
ユニセックスのような服装だ。
顔も可愛いが、服もだいぶ可愛い。
肩までかかるかかからないか程度の、ふわふわとした色素の薄いねこっ毛。
趣味がいいというか、若者らしい格好をしていた。
誰だ…、この子。
樹の知り合いか?
「樹なら、今、いないけど…」
「そう…ですか…」
私の言葉に、しょんぼりと肩を落とす。
樹の友達のわりには…随分、可愛い子だ。
滅多に樹は家に人を連れてこないけど、この子の容姿はその中でもとびきりいい方だと思う。
というか、なかなかこれだけ可愛らしい愛らしい顔をした子もいないだろう。
こんな格好だが、たぶん少年だろう。
よくよくみるとうっすらと喉には喉仏があった。
「あ、なら、公久さんって方は…」
公久?突然出てきた名前に驚く。
公久は私の名前だ。
でも、こんな子あったことないが…。
「公久は私だが」
「あ…、あの、お話があるんです、樹君のことで…。
凄く…大事なお話が…」
「樹の…?」
樹の話って、なんだろう。
しかも樹本人じゃなく、私に…?しかも大事な話?
「何故、私に…?」
「それは…、その…」
もじもじと、言いづらそうに身体を揺らす少年。
なんだ…早く言え。
時間の無駄だ。自分から話があると言っておいて。
なんだか、この少年を前にするとイライラ感が増す。
何故だろう。
樹の友達にこんな思い抱いたこと、なかったのに…。
樹が取られたように思い落ち込んだ事は多々あるが、イライラした事なんてなかったのに。
「話がないなら、」
「あります、あの、家に入れて下さいませんか?
外ではちょっと…話せない、話なので…」
「話せない話…?そんなもの、」
「細かくいえば、樹君の…その、お付き合いのことで…」
「…は…」
お付き合い…?
なんだ、それは…。一瞬、頭がフリーズしかかる。
「あの、入れてくれますよね?戸塚公久さん、貴方にとってもとても、大切なお話だと、思うんですよ…」
挑発するように、少年はいままでもじもじしていたのを一変し、笑った。
とても、自分に自信があるような笑み誇らしげな笑みで。
こういう人間は…苦手だ。
あまり関わりたくない。
この手のタイプと昔付き合ってえらい目にあった。
こういう人間に限って、仲良く友好関係を結んで、裏では悪口ばかり言う。
信用ならない人間なのだ。
だが、私と樹との大事な話ならば聞いた方がいいのかもしれない。
あまり聞きたくはないが…
でも
『樹君の…お付き合いの事で』
先ほどの、この言葉も気にかかる。
樹の…今後の為にも聞いておいた方がいいのかもしれない。
今の樹は…、私から少し離れていってよくわからないから。
樹の事なら…。
今日はとくに重く感じる玄関のドアを開ける。
玄関を開けると、先ほど覗き穴から覗いた、可愛らしい青年がそこにいた。
家へと手招くと、私に向かいありがとうございます、といって頭を下げる。
近くで見ると、その子は本当に可愛らしかった。
小さくて、華奢で、まるで…どこかのアイドルみたいに、愛らしいのだ。
人にあまり興味のない私でさえ、可愛くて…思わず見惚れるくらい…。
その少年は愛らしい顔をしていた。
仕方なく私は、樹の知り合いである進藤溟くんを家にあげた。
家に人をあげるのは嫌いだ。
部屋はいつも掃除機をかけているし、いつ人がきても大丈夫にはしているが、他人に個人スペースに入られると無性に落ち着かない。
できるならいますぐにでていけと言いたいくらいだ。
でも…
『樹君との、お付き合いのことで』
そういわれたら、聞かないわけにもいかない。
私は樹の…親で…一応恋人でもあるんだから。
恋人…なんだよな…。
私と、樹は…。
ちゃんと…。
『公久さんは、俺の恋人だよ』
そう、初めて抱かれた時期に言われたから。
信じて、いいんだよな…。
樹…。お前を信じても、大丈夫なんだよな…。
自分に必死に言い聞かせて、進藤君に目線をやる。
進藤君はきょろきょろと、我が家を見ていた。
当然だ、樹の友達でもいままでうちにきたことないだろうから。
私は、買い物以外は大抵家にいるし。
それにしても、この子と樹はどんな関係なんだろう。
もやもやとした、疑念が心にゆっくり溜まっていく。
それに気づかないふりをして、私は客間に進藤君を通した。
「…どうぞ、」
「ありがとうございます」
にっこりと、進藤君がお茶を差し出した私に笑う。私の目をじっと正面から見据えて。
進藤君を通したのは、我が家にある唯一の畳の部屋だ。
ちなみにうちは4LDK。
ひとつひとつの部屋は広く、夜景も見渡せるし、一応ここは高級マンション、ということになっている。
私の投資で稼いだ金で買ったもので、親からの援助は受けていない。
進藤君は、きちんと正座し、出されたお茶に手をつける。
早く…なにか言ってくれないだろうか。
私の家なのに、進藤君の方が落ち着いて見えた。
ここは、私のテリトリーな筈なのに…居心地が、悪い。
今すぐ逃げ出したいくらいだ。
緊迫感に押し潰される。
「どういった、要件…だ?」
ついに沈黙がこらえきれなかった私は、自分からそう切り出す。
少し、声が震えていた気がする。
こんな自分よりも年下で、小さい彼に、何をこんなに…。
勤めて普通を装うが、内心、私は逃げ出したくてたまらなかった。
正直にいえば…この目の前の少年がとても怖いのだ。
「どういった…、」
「僕がここにきた要件ですか?お心あたり、ないですか?
うすうす、貴方もわかっていると思ったんですが…」
わからなかったんですか?
そういっているような表情に、私の顔は自然に強張る。
「なにを、だ…」
「どうやら、本当に知らないみたいですね」
はぁ、っとわざとらしく彼はため息をついて、
「さっきも言いましたけど、僕、樹君と付き合っているんです。その、恋愛的な、意味で」
ふふ、と口端をあげた。
とても、愛らしい笑みで。
先ほどみたいに、まるで私を挑発するような、笑みで。
ドクリ、と心臓が嫌な音をたてる。まるで血が逆流しているかのような、気持ち悪さが私を襲う。
「恋愛感情…、で…」
「ええ、付き合ってます、そのもちろん、抱いてもらってますし…。貴方のことも知ってます。樹君から教えてもらいました」
「樹…が…、」
淡々とした、でも自慢するような得意になっている口調。
樹は、私が人嫌いなことを知っている。対人嫌いだと。
なので、私がいい顔をしなかったら、あまり友達も家には連れてこないようにしてくれていたが…。
樹は、他人にぺらぺら私の事をしゃべる様な人間だったか…?
それとも、この少年はそれだけ、樹と近しい人間…なのか。
私、よりも…。
私なんかよりも…?
それに私の事を教えて貰ったって…、
私と樹の関係を教えたのか…?
「公久さん、単刀直入にいいます」
進藤君は、顔をあげて、私に視線を合わせる。
有無を言わせないような、視線。
逃げる事も、逸らすこともできないような…。
強い視線。
「樹君を、解放してください。貴方から」
進藤君は、強い口調でそういった。
まるで、私の弱さを見透かしているように。
樹との付き合いの後ろめたさを見抜いているように
強い口調で一つそう言いきった。
―解放してください。貴方から。
私から、樹を…?
私から、樹を解放する?
私は、樹を閉じ込めている…?
樹を私は縛り付けている存在…?
マイナスの、存在…。
彼にとっては、マイナスだけの…。
私は、縛っているのか?樹を…。
「…なぜ、君にそんなことをいわれなくちゃいけない?」
震える声で、紡ぐ。
「なぜ、君なんかに…そんな、こと…」
なんで、樹本人じゃなく他人にそんなこと、言われなくちゃいけないんだ?
赤の、他人に。
何故、私たちの間柄を咎められなきゃいけないんだ。
私たちが一緒にいて、約8年。今までちゃんとやってきたのに。
なんで、急に入ってきた赤の他人に…。
「なぜ、そんな解放だとか、君なんかに言われなくちゃいけない」
樹本人から解放してくれと言われるならわかる。
もうそろそろ、言われるって、覚悟しているから。
でも、なぜ他人になんて…。
「なぜ?」
「私と、樹との問題に、何故、君が…。なんで、私にわざわざ、こうやって言いに来た?」
ピクリ、と進藤君の眉が動く。私の反論が予想外だったのか。
若干、余裕の表情が崩れる。
しかし彼はすぐにキッと私を睨み、
「縛っている自覚ないんですか?彼を。」
そう、避けずむように言った。
自覚…縛っている、自覚。
樹を縛っている、自覚…。
「彼、いつも公久さんがいるからって、みんなと遊んでいる時でも貴方を理由に早く帰ったりするんです。公久さん公久さん。どんな時でも公久さん、って。
貴方は、樹君の時間を奪っているんですよ。いつまで、独り立ちさせない気ですか?
言ってました、親代わりだから、恩返ししたいし迷惑かけられないって。恩があるからって。恩があるから、傍にいるって。でも、それって、ただの恩ですよね。
僕は、それは恋ではないと思います。それは、ただの恩で、愛ではない。
貴方に愛なんか、ないんです。だって、8つも上ですよ。子供と大人ほどの差があるじゃないですか。10代の8つ違いは大きいんですよ。
それこそ、親愛を愛情と間違えてる人だっていっぱいいる…」
親代わりだから…恩返し…。
樹は、私に親を求めている。
だから。
だから、優しくしてくれる…?
だから、いつまでも抱いてくれるのか?
その気持ちは、愛ではない?
『俺は、恨んでいるよ。公久さんが、男色の道に引きずり込んだこと。でも、親だから…』
親だから、一緒にいてくれている?
もう、捨てられたくないから。
なら、私の意義は…。
ただの…捨てられないための、人…。
本当は、不要な、人…?
私の代わりは他にもいるのか…?
「貴方が依存すればするほど、樹君はあなたという鳥かごから飛べない。
貴方は、彼を自分という存在で縛って、満足なんですか?
親代わりだからといって、彼に抱かれたりして。
貴方の都合で、樹君を好き勝手しているんじゃないですか?」
ずきり、と、胸が痛む。もう何度も経験した、痛い思い。
そうだ、何度言い訳したって、私が樹を不埒な目的で引き取ったのは消えない。
樹が私を抱いても、根本的にそこは消えない。
私は未成年の樹に手を出した犯罪者。
私たちの関係は、はたして、本当に、愛なのだろうか。
樹が私のことを好きっていっているのも。
本当は親愛の好き、なのではないだろうか。
不安が、進藤君の言葉により確信に変わっていく。
樹はいい子だ。
だから、本当は…無理に私に合わせているのかもしれない。
本当は、私の事なんか…。
私なんか…。
好きでもなんでもないのかもしれない。
愛してなんか、いないのかもしれない。
現に、最近は、一緒にいる時間が少ない。
樹は、少しずつ、私から離れようとしているんじゃないだろうか…
少しずつ、少しずつ、無意識のうちに樹は私のもとから離れたがっているんじゃないだろうか…。
「今日は…宣戦布告です。僕、卑怯に奪ったりするの、嫌なんで。
だから…これからは本気でいかせてもらいます、〝公久〟さん」
「……」
進藤君は、さらりとそういうと、すくっと立ち上がる。
妙にすがすがしい顔で。
それに比例し、私の顔は暗いものになっているだろう。
うつむき、まともに進藤君の顔が見れなかった。
「今日はそれだけです。…ねぇ、公久さん。僕人魚姫のお話、嫌いなんです。何故かわかりますか?」
唐突に、進藤君がそう切り出した。
人魚姫?悲恋の、あの…?
なにを、急に
「…人魚姫が結ばれないからか?」
私の問いに、進藤君は静かに首を横にふる。
「違います、人魚姫が愚かだからです。
恩を売って、その見返りに必ず愛が返ってくると信じて。
結ばれなかったら、悲劇のヒロインを演じて。僕は、ああいう悲劇のヒロインは愚かだとおもうんです。本気で好きなら、喋れなくてももっと縛ったり、恩を売ったりできた。行動できたと思うんです。声がなくたって。
なのに、結ばれないと悲観して悲しんで、死んで。
せっかく、足を変えたのに何をしているんでしょう。
僕なら、人魚姫になんかならない。欲しいものは欲しいって、ちゃんといいます。
そうじゃないと、つかめないモノも、あるから…」
一瞬、進藤君の瞳が揺らぐ。
少し悲しみを含ませて。
それから、私へと視線を合わせる。
「だから、人魚姫みたいな、恩だけで愛を求めて縛ろうとする、貴方が嫌いなんです。
うだうだしてる人は嫌いなんです。正々堂々こない人って。何もしない人って。
だから、奪います。貴方から、彼を。
貴方は、人魚姫みたいに、遠くから見ていればいいんです」
人魚姫。恩だけを売って、愛を求めて縛る…。
樹を保護した私は…人魚姫と一緒…?
樹に恩をあげ、愛を求めている?
「…樹君が、今、夜何しているか…貴方は知っていますか?」
「え…」
夜…。最近遅くなった、こと…?
何を知っているかなんて、知らない。
樹も教えてくれないから。
でも、進藤君は知っている…?
私がしらないことを、進藤君は…。
「そのぶんじゃ、知らないみたいですね。どうやら、僕にもまだ勝ち目はありそうです。貴方たちの年月なんて、壊してみせます。壊します」
進藤君はそう言い切ると、私に背をむけて、玄関へ向かった。
私はといえば…進藤君の言葉で動けなかった。
私は、知らない。
何も、知らない。
ずっと、一緒にいたのに。
好きなのに。
樹が、好きなのに。
樹が、わからない。
樹のことが、わからない。
樹が、遠い。
「公久さん、僕、負けませんから。僕は、本気で樹君が好きですから!」
進藤君は一つそういって、玄関から出て行った。
途端、私の身体は全神経が抜けたようになり、私は床に座り込んだ。
腰が抜けたように、しばらくそこから動けなくなった。
というか、何故か気分が浮上しない。
ぐったり倒れこみそうな自分に叱咤して、デスクにある愛用のパソコンを立ち上げる。
薬は飲んだ。
樹を送りだした後。
一応、樹に心配させないために、薬は戸棚に隠してあるものの。
ここ最近は樹との時間が少なくなっているから、樹は薬の存在に気付かないかもしれない。
家に滅多にいないし。
別に、ただの胃痛だから心配はしないと思うが…。
いや、今日もあんなに心配していたから、薬なんか見せたらまた年寄扱いどころか今度は重病人扱いされるかもしれない。
案外樹は心配性だから。
ふと、仕事机の上に飾ってある写真立てに目がつく。
少し古い写真。
まだ、樹が17歳の時のもの。
私が26歳の時のものだ。
不似合いなスーツをきた樹が、私と腕を組んでvサインしている。
…これは、合格祝いにとったものだ。
桜の木が、写真の真ん中に入っている。
私たちはちょうど桜の前で写真を撮っていた。
場所は、近所の桜が沢山さいていた公園。
懐かしい。
ついつい手に取って写真を見てしまう。
樹がこれは、私に…、とわざわざ写真を写真たてに入れて、ここに置いてくれたのだ。
そういえば、あの時樹は私に…。
『公久さん、ずっとこの桜みようね、おじさんになっても、おじいちゃんになっても、ずっと』
まるで、プロポーズみたいな言葉を言っていたな…。
たぶん、樹のことだから、プロポーズとかそんな意図はなくて、ただ私と一緒にいたいと思いそういってくれたんだと思うけれど。
写真の中の私は、相変わらず青白い顔をして、満面の笑みの樹に対し気恥ずかしそうに俯いている。
私はあまり写真が好きではないから…。
というか、自分の容姿にあまり興味がないから、写真や鏡などはあまり見ないようにしている…。
樹みたいに綺麗な人間が隣にいればなおの事。
自分のこの貧相な細いだけの身体が嫌になってくるのだ。
綺麗で、人を魅力する樹。
かたや、人を嫌い家に引っ込む陰気臭い私。
不似合いな、私たち…
樹がくる前は、自分の容姿にも無頓着だった。
でも樹がきてからは…自分の容姿が嫌いになったように思う。
もっと綺麗な容姿をしていたら…
樹に釣り合う容姿だったら良かったのに…なんて。
鏡の前でため息をつくのも多くなった。
ため息をついたところで、何も代わりはしないのに。
ーピンポーン。
家のインターホンの音。
誰かきたらしい
誰だろう。
来客予定はない筈だ。
ここ最近通販はとってない。
昼間、家に尋ねてくる人なんて、滅多にいない。
今まで樹の友達も、たまに樹が連れてくるぐらいだったし。
ましてや、半家に引きこもっている私に来客なんかいない。一か月くらい来客がないのがざらなのに。
私は首を傾げつつ、玄関へ近寄る。
「…、…どちら、様?」
「あ…っ…」
玄関先の人間は、一瞬私の声に息を飲む。
そして、
「あ、あの…ぼ、僕、進藤瞑(しんどうめい)っていうんですけど…、
あの、樹君は、いらっしゃいますか?」
と尋ねてきた。
僕…男の子…?だろうか。
そっと顔を近づけ玄関ののぞき穴から覗くと、そこには目がぱちっとした、中性的な可愛らしい子がいた。
少し灰色のパーカーを着込み、下はいかにもSサイズとわかるようなジーパンを着用。
ユニセックスのような服装だ。
顔も可愛いが、服もだいぶ可愛い。
肩までかかるかかからないか程度の、ふわふわとした色素の薄いねこっ毛。
趣味がいいというか、若者らしい格好をしていた。
誰だ…、この子。
樹の知り合いか?
「樹なら、今、いないけど…」
「そう…ですか…」
私の言葉に、しょんぼりと肩を落とす。
樹の友達のわりには…随分、可愛い子だ。
滅多に樹は家に人を連れてこないけど、この子の容姿はその中でもとびきりいい方だと思う。
というか、なかなかこれだけ可愛らしい愛らしい顔をした子もいないだろう。
こんな格好だが、たぶん少年だろう。
よくよくみるとうっすらと喉には喉仏があった。
「あ、なら、公久さんって方は…」
公久?突然出てきた名前に驚く。
公久は私の名前だ。
でも、こんな子あったことないが…。
「公久は私だが」
「あ…、あの、お話があるんです、樹君のことで…。
凄く…大事なお話が…」
「樹の…?」
樹の話って、なんだろう。
しかも樹本人じゃなく、私に…?しかも大事な話?
「何故、私に…?」
「それは…、その…」
もじもじと、言いづらそうに身体を揺らす少年。
なんだ…早く言え。
時間の無駄だ。自分から話があると言っておいて。
なんだか、この少年を前にするとイライラ感が増す。
何故だろう。
樹の友達にこんな思い抱いたこと、なかったのに…。
樹が取られたように思い落ち込んだ事は多々あるが、イライラした事なんてなかったのに。
「話がないなら、」
「あります、あの、家に入れて下さいませんか?
外ではちょっと…話せない、話なので…」
「話せない話…?そんなもの、」
「細かくいえば、樹君の…その、お付き合いのことで…」
「…は…」
お付き合い…?
なんだ、それは…。一瞬、頭がフリーズしかかる。
「あの、入れてくれますよね?戸塚公久さん、貴方にとってもとても、大切なお話だと、思うんですよ…」
挑発するように、少年はいままでもじもじしていたのを一変し、笑った。
とても、自分に自信があるような笑み誇らしげな笑みで。
こういう人間は…苦手だ。
あまり関わりたくない。
この手のタイプと昔付き合ってえらい目にあった。
こういう人間に限って、仲良く友好関係を結んで、裏では悪口ばかり言う。
信用ならない人間なのだ。
だが、私と樹との大事な話ならば聞いた方がいいのかもしれない。
あまり聞きたくはないが…
でも
『樹君の…お付き合いの事で』
先ほどの、この言葉も気にかかる。
樹の…今後の為にも聞いておいた方がいいのかもしれない。
今の樹は…、私から少し離れていってよくわからないから。
樹の事なら…。
今日はとくに重く感じる玄関のドアを開ける。
玄関を開けると、先ほど覗き穴から覗いた、可愛らしい青年がそこにいた。
家へと手招くと、私に向かいありがとうございます、といって頭を下げる。
近くで見ると、その子は本当に可愛らしかった。
小さくて、華奢で、まるで…どこかのアイドルみたいに、愛らしいのだ。
人にあまり興味のない私でさえ、可愛くて…思わず見惚れるくらい…。
その少年は愛らしい顔をしていた。
仕方なく私は、樹の知り合いである進藤溟くんを家にあげた。
家に人をあげるのは嫌いだ。
部屋はいつも掃除機をかけているし、いつ人がきても大丈夫にはしているが、他人に個人スペースに入られると無性に落ち着かない。
できるならいますぐにでていけと言いたいくらいだ。
でも…
『樹君との、お付き合いのことで』
そういわれたら、聞かないわけにもいかない。
私は樹の…親で…一応恋人でもあるんだから。
恋人…なんだよな…。
私と、樹は…。
ちゃんと…。
『公久さんは、俺の恋人だよ』
そう、初めて抱かれた時期に言われたから。
信じて、いいんだよな…。
樹…。お前を信じても、大丈夫なんだよな…。
自分に必死に言い聞かせて、進藤君に目線をやる。
進藤君はきょろきょろと、我が家を見ていた。
当然だ、樹の友達でもいままでうちにきたことないだろうから。
私は、買い物以外は大抵家にいるし。
それにしても、この子と樹はどんな関係なんだろう。
もやもやとした、疑念が心にゆっくり溜まっていく。
それに気づかないふりをして、私は客間に進藤君を通した。
「…どうぞ、」
「ありがとうございます」
にっこりと、進藤君がお茶を差し出した私に笑う。私の目をじっと正面から見据えて。
進藤君を通したのは、我が家にある唯一の畳の部屋だ。
ちなみにうちは4LDK。
ひとつひとつの部屋は広く、夜景も見渡せるし、一応ここは高級マンション、ということになっている。
私の投資で稼いだ金で買ったもので、親からの援助は受けていない。
進藤君は、きちんと正座し、出されたお茶に手をつける。
早く…なにか言ってくれないだろうか。
私の家なのに、進藤君の方が落ち着いて見えた。
ここは、私のテリトリーな筈なのに…居心地が、悪い。
今すぐ逃げ出したいくらいだ。
緊迫感に押し潰される。
「どういった、要件…だ?」
ついに沈黙がこらえきれなかった私は、自分からそう切り出す。
少し、声が震えていた気がする。
こんな自分よりも年下で、小さい彼に、何をこんなに…。
勤めて普通を装うが、内心、私は逃げ出したくてたまらなかった。
正直にいえば…この目の前の少年がとても怖いのだ。
「どういった…、」
「僕がここにきた要件ですか?お心あたり、ないですか?
うすうす、貴方もわかっていると思ったんですが…」
わからなかったんですか?
そういっているような表情に、私の顔は自然に強張る。
「なにを、だ…」
「どうやら、本当に知らないみたいですね」
はぁ、っとわざとらしく彼はため息をついて、
「さっきも言いましたけど、僕、樹君と付き合っているんです。その、恋愛的な、意味で」
ふふ、と口端をあげた。
とても、愛らしい笑みで。
先ほどみたいに、まるで私を挑発するような、笑みで。
ドクリ、と心臓が嫌な音をたてる。まるで血が逆流しているかのような、気持ち悪さが私を襲う。
「恋愛感情…、で…」
「ええ、付き合ってます、そのもちろん、抱いてもらってますし…。貴方のことも知ってます。樹君から教えてもらいました」
「樹…が…、」
淡々とした、でも自慢するような得意になっている口調。
樹は、私が人嫌いなことを知っている。対人嫌いだと。
なので、私がいい顔をしなかったら、あまり友達も家には連れてこないようにしてくれていたが…。
樹は、他人にぺらぺら私の事をしゃべる様な人間だったか…?
それとも、この少年はそれだけ、樹と近しい人間…なのか。
私、よりも…。
私なんかよりも…?
それに私の事を教えて貰ったって…、
私と樹の関係を教えたのか…?
「公久さん、単刀直入にいいます」
進藤君は、顔をあげて、私に視線を合わせる。
有無を言わせないような、視線。
逃げる事も、逸らすこともできないような…。
強い視線。
「樹君を、解放してください。貴方から」
進藤君は、強い口調でそういった。
まるで、私の弱さを見透かしているように。
樹との付き合いの後ろめたさを見抜いているように
強い口調で一つそう言いきった。
―解放してください。貴方から。
私から、樹を…?
私から、樹を解放する?
私は、樹を閉じ込めている…?
樹を私は縛り付けている存在…?
マイナスの、存在…。
彼にとっては、マイナスだけの…。
私は、縛っているのか?樹を…。
「…なぜ、君にそんなことをいわれなくちゃいけない?」
震える声で、紡ぐ。
「なぜ、君なんかに…そんな、こと…」
なんで、樹本人じゃなく他人にそんなこと、言われなくちゃいけないんだ?
赤の、他人に。
何故、私たちの間柄を咎められなきゃいけないんだ。
私たちが一緒にいて、約8年。今までちゃんとやってきたのに。
なんで、急に入ってきた赤の他人に…。
「なぜ、そんな解放だとか、君なんかに言われなくちゃいけない」
樹本人から解放してくれと言われるならわかる。
もうそろそろ、言われるって、覚悟しているから。
でも、なぜ他人になんて…。
「なぜ?」
「私と、樹との問題に、何故、君が…。なんで、私にわざわざ、こうやって言いに来た?」
ピクリ、と進藤君の眉が動く。私の反論が予想外だったのか。
若干、余裕の表情が崩れる。
しかし彼はすぐにキッと私を睨み、
「縛っている自覚ないんですか?彼を。」
そう、避けずむように言った。
自覚…縛っている、自覚。
樹を縛っている、自覚…。
「彼、いつも公久さんがいるからって、みんなと遊んでいる時でも貴方を理由に早く帰ったりするんです。公久さん公久さん。どんな時でも公久さん、って。
貴方は、樹君の時間を奪っているんですよ。いつまで、独り立ちさせない気ですか?
言ってました、親代わりだから、恩返ししたいし迷惑かけられないって。恩があるからって。恩があるから、傍にいるって。でも、それって、ただの恩ですよね。
僕は、それは恋ではないと思います。それは、ただの恩で、愛ではない。
貴方に愛なんか、ないんです。だって、8つも上ですよ。子供と大人ほどの差があるじゃないですか。10代の8つ違いは大きいんですよ。
それこそ、親愛を愛情と間違えてる人だっていっぱいいる…」
親代わりだから…恩返し…。
樹は、私に親を求めている。
だから。
だから、優しくしてくれる…?
だから、いつまでも抱いてくれるのか?
その気持ちは、愛ではない?
『俺は、恨んでいるよ。公久さんが、男色の道に引きずり込んだこと。でも、親だから…』
親だから、一緒にいてくれている?
もう、捨てられたくないから。
なら、私の意義は…。
ただの…捨てられないための、人…。
本当は、不要な、人…?
私の代わりは他にもいるのか…?
「貴方が依存すればするほど、樹君はあなたという鳥かごから飛べない。
貴方は、彼を自分という存在で縛って、満足なんですか?
親代わりだからといって、彼に抱かれたりして。
貴方の都合で、樹君を好き勝手しているんじゃないですか?」
ずきり、と、胸が痛む。もう何度も経験した、痛い思い。
そうだ、何度言い訳したって、私が樹を不埒な目的で引き取ったのは消えない。
樹が私を抱いても、根本的にそこは消えない。
私は未成年の樹に手を出した犯罪者。
私たちの関係は、はたして、本当に、愛なのだろうか。
樹が私のことを好きっていっているのも。
本当は親愛の好き、なのではないだろうか。
不安が、進藤君の言葉により確信に変わっていく。
樹はいい子だ。
だから、本当は…無理に私に合わせているのかもしれない。
本当は、私の事なんか…。
私なんか…。
好きでもなんでもないのかもしれない。
愛してなんか、いないのかもしれない。
現に、最近は、一緒にいる時間が少ない。
樹は、少しずつ、私から離れようとしているんじゃないだろうか…
少しずつ、少しずつ、無意識のうちに樹は私のもとから離れたがっているんじゃないだろうか…。
「今日は…宣戦布告です。僕、卑怯に奪ったりするの、嫌なんで。
だから…これからは本気でいかせてもらいます、〝公久〟さん」
「……」
進藤君は、さらりとそういうと、すくっと立ち上がる。
妙にすがすがしい顔で。
それに比例し、私の顔は暗いものになっているだろう。
うつむき、まともに進藤君の顔が見れなかった。
「今日はそれだけです。…ねぇ、公久さん。僕人魚姫のお話、嫌いなんです。何故かわかりますか?」
唐突に、進藤君がそう切り出した。
人魚姫?悲恋の、あの…?
なにを、急に
「…人魚姫が結ばれないからか?」
私の問いに、進藤君は静かに首を横にふる。
「違います、人魚姫が愚かだからです。
恩を売って、その見返りに必ず愛が返ってくると信じて。
結ばれなかったら、悲劇のヒロインを演じて。僕は、ああいう悲劇のヒロインは愚かだとおもうんです。本気で好きなら、喋れなくてももっと縛ったり、恩を売ったりできた。行動できたと思うんです。声がなくたって。
なのに、結ばれないと悲観して悲しんで、死んで。
せっかく、足を変えたのに何をしているんでしょう。
僕なら、人魚姫になんかならない。欲しいものは欲しいって、ちゃんといいます。
そうじゃないと、つかめないモノも、あるから…」
一瞬、進藤君の瞳が揺らぐ。
少し悲しみを含ませて。
それから、私へと視線を合わせる。
「だから、人魚姫みたいな、恩だけで愛を求めて縛ろうとする、貴方が嫌いなんです。
うだうだしてる人は嫌いなんです。正々堂々こない人って。何もしない人って。
だから、奪います。貴方から、彼を。
貴方は、人魚姫みたいに、遠くから見ていればいいんです」
人魚姫。恩だけを売って、愛を求めて縛る…。
樹を保護した私は…人魚姫と一緒…?
樹に恩をあげ、愛を求めている?
「…樹君が、今、夜何しているか…貴方は知っていますか?」
「え…」
夜…。最近遅くなった、こと…?
何を知っているかなんて、知らない。
樹も教えてくれないから。
でも、進藤君は知っている…?
私がしらないことを、進藤君は…。
「そのぶんじゃ、知らないみたいですね。どうやら、僕にもまだ勝ち目はありそうです。貴方たちの年月なんて、壊してみせます。壊します」
進藤君はそう言い切ると、私に背をむけて、玄関へ向かった。
私はといえば…進藤君の言葉で動けなかった。
私は、知らない。
何も、知らない。
ずっと、一緒にいたのに。
好きなのに。
樹が、好きなのに。
樹が、わからない。
樹のことが、わからない。
樹が、遠い。
「公久さん、僕、負けませんから。僕は、本気で樹君が好きですから!」
進藤君は一つそういって、玄関から出て行った。
途端、私の身体は全神経が抜けたようになり、私は床に座り込んだ。
腰が抜けたように、しばらくそこから動けなくなった。
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