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縛り付けるのは血縁の鎖
■□■8■□■
しおりを挟む『お試し期間込みで、付き合おう』
利弥が菜月にキスをして、付き合おうと告げて、数日がたった。
年はもうすっかり明けており、いまは1月の半ばである。
あれから、利弥は宣言通り、菜月に対して恋人のように接するようになった。テレビを見ているときも戯れでキスをしてたり、ソファに座っているときもすぐ真横に座っていたり。
その距離感は、ただの同居人では知ることのなかったほどの近さである。
その距離感が嬉しい反面、問題もある。
(…俺、今日こそ、やれるのかな…。
利弥さんと…)
仮でも、恋人同様に付き合うことになったのだから、そういう行為も込みの話なのである。
その言葉どおり、恋人になる宣言をした日、利弥は自室に菜月を呼び入れ、ベッドに押し倒した。
『と、利弥さん…んっ…』
利弥は菜月の言葉をキスで塞ぐのが好きなようで。
何度も角度を変えながら、キスを繰り返す。
経験が皆無な菜月は数分のキスですぐ息があがってしまう。
赤らんだ顔で、荒く息を切らす菜月の頬を撫でながら、利弥はクスッと微笑む。
『キスだけで、ぼんやりか…?』
『俺、経験ないお子様だもん…。仕方ないよ…。利弥さんみたいに経験ない子供だもの』
経験豊富なキスに、翻弄されたことが悔しくて、むっとむくれてみせれば。
『ふぅん。
じゃぁ、私はそんなお子様に悪いことを教える大人かな?』
悪戯な手が、菜月の服に潜り込んだ。
冷たい掌の感覚に、びくりと身体が震える。
潜り込んだ掌は、ゆっくりと身体のラインをなぞるように、菜月の身体を愛撫していく。
くすぐったいような、ゾクゾクするような感覚に、菜月の肌は粟立った。
『くすぐったい…よ…』
『くすぐったい…ねぇ?じゃあ、これは…?』
利弥は、そっと胸の突起を指で掠める。
爪先で弾かれると、くすぐったいだけじゃない、甘い刺激が身体に走り、零れそうになる喘ぎに菜月は慌てて口を塞いだ。
『どうして、口を塞ぐんだ?』
『だ…って、なんか、俺へんで…』
『へん…?』
『なんか…そこ…、触らるれと、おかしくなる…。
ぞわぞわってして…くすぐったいだけじゃなくって…その…』
『ふぅん…?』
利弥は目を細め、きゅっと、菜月の乳首をつまみあげた。
クニクニ、と執拗に胸を愛撫する手に、下半身まで熱を帯び始めている。
『も…、そこ、駄目です…、いや…』
『どうして…?』
『どうしてって…、だって、変だよ…。おれ、男だよ…?』
『菜月は、私の恋人になりたいんだろう?
こうして触れられるのは嫌?』
『嫌じゃない…けど。でも…、そこは…』
男なのに乳首で反応してしまう自分の身体が怖くて、やめてくれと訴えてみれば、利弥は低い声で『じゃあ、やめようか…?』と、胸から手を離した。
『恋人になるのも、やめようか?』
『え…』
『だから、恋人になるお試しも、やめようか?』
菜月の反応を試しているかのように、利弥はいう。
『嫌なんだろう?こうやって触られるの。
だから、やめようか?』
押し倒していた菜月の身体から利弥は離れる。
高まっていた熱が一気にひいていく。
『え…、い…、嫌…』
離れていく利弥の腕を、菜月は慌てて掴んだ。
利弥のその一言で、本当に、この関係が終わってしまう。
今のお試しの関係は、本当に脆いものだった。
『びっくりした、だけだから、その…。
男なのに、こんな反応しちゃって、なんで…って、怖くなっただけで…。だから、その…』
やめないで。
羞恥で顔を染めながら言えば、利弥は満足そうに微笑んだ。
『男でも、そこが反応する人間は稀にいるらしいが…。菜月はきっとそんな体質なんだろうな。
なぁ、菜月…、もっと、いやらしいこと、してもいいか?
ここ、だけじゃなくて…』
利弥の手が、菜月の下半身に伸びる。
『君にもっといけないことを教えてもいい?』
耳朶を食まれ、囁かれた言葉に、菜月は浮かされるように頷いた。
■
それから、散々、乳首を愛撫され下肢をイジられ啼かされたものの、菜月が利弥と身体を重ねることはなかった。
菜月も己のものよりもはるかに獰猛な利弥のものに、おびえてしまって身体は強張り、とても身体を繋げるにはいたらなかったのだった。
身体が繋げられないことで、また『恋人関係をやめようか』といわれるんじゃないか…と身構えていた菜月に、利弥は『焦らずじっくりやっていけば、いつか抱き合えるようになるから』といって、おためしの恋人関係を中断することはなかった。
(俺が乳首触るのを嫌がっていたら、やめるかって聞いてきたのに。
抱き合えないとなれば、お試しもおわるかと思ったのにな…。
やめるかやめないかの境目ってどこなんだろう?)
ゆっくりとだったが、菜月は利弥の宣言通り、夜は利弥にレッスンと称して、セックス一歩手前の行為を毎夜、行われていた。
菜月が行為を嫌がれば、利弥は『じゃあ、やめるか?』と菜月を試すように聞いてくるので、お試しでも恋人の付き合いでいたい菜月に拒否権はなく。菜月の身体は利弥によって、開拓されていった。
どこで買ったかわからないピンクの玩具も使われたこともあったし、受け入れやすくするため…と、秘孔に怪しげなジェルも塗られたことがあった。
当初は男同士の行為の行為に慣れていなかった菜月の身体も、利弥から施されたレッスンのお陰で、愛撫されればすぐに反応するまでになった。
いまや、菜月よりも利弥の方が菜月がどこか感じるのか知っているかもしれない。
今では秘孔も利弥によって溶かされ、利弥の指くらいならば苦痛を伴うこともなく、受け入れることもできる。
利弥の行為は、執拗といっていいほどで、初心だった菜月の身体は利弥によって、少しずつ男に抱かれる身体へと変化していった。
「…今日はやれるのかな…。俺」
溜息交じりに呟いた声が、浴室に響いた。
恋人宣言してからの利弥は、それまで残業が嘘のように早めに帰宅してくれるようになった。
利弥曰く、クリスマスまでが仕事のピークで、年明けしばらくは暇で時間がとれるらしい。
今日も利弥は早めに帰宅おり、食事が終わったあと、ソファでのんびりとしていた菜月に対し、ふらふらと近づいてきて、隣に座るないなや、菜月の服に手を潜り込ませて、菜月の身体に不埒な悪戯をしかけた。
『利弥さん…っ』
『凄いな、もう、ここ尖ってる…』
利弥はエロ親父よろしくそんなことをいいながら、芯を持ち始めた乳首を、指の腹で潰す。
散々利弥に弄られた胸の果実は、衣服がこすれただけで身体が疼いてしまうほどの性感帯となってしまっている。胸だけでこんな風になってしまうなんて…と、菜月自身、自分の変化に困惑を隠せない。
『…利弥さん…その…まだ身体洗ってないし…』
『どうせ、やった後入るだろ?』
『でも…、汚いし…』
『気にしない』
『俺は気にするの!』
延々と悪戯する利弥の手を逃れ、逃げるように浴室へと駆け込んだ。
それが、数分前のことである。
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