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2章
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高校を卒業し、大学へ。
そして、有名企業に就職をした。
大学は、母さんの遺産と奨学金を使って通った。
本当は、バイト代が大学資金のたしになるはずだったのだが、まりんに貢いでいたため、生活は本当にギリギリな状態だった。
まりんには、ステタースが高い男たちが群がる。
まりんに幻滅されないよう、とにかく必死になって彼女に釣り合うよう努力した。
周りはサークルだ、合コンだと騒ぐ中、俺は誘いを全て断りバイトに勤しんでいた。
まりんが気まぐれに、俺の告白に頷いたのが、彼女が14歳の時。
そして、まりんが高校にあがり、俺が二十歳の時、俺はまりんと初めて彼女を抱いた。
キスをして、抱き合っている。
家族にも恋人と紹介されている。
戯れに、歌う様に好きだとも言われた。
それでも、まりんといれば、時折空しさに襲われた。
恋人…といっても、俺は数いる恋人の1人だったから。
自分が一番じゃない人とこんな風に付き合って本当に俺はいいのだろうか。
本当に彼女と一緒にいることが、俺の幸せなのか。
自問自答したことは1度や2度じゃない。
「仁、私ね、先生を好きになったの…。
でもね…」
ある日、まりんは泣きながら、俺に打ち明けた。
俺じゃない人間を好きになったこと。
しかし、その人には奥さんがいて浮気をしていること。
不倫なんて最悪だ。互いに本気であったとしても、周りに迷惑もかかる。悲しむ人間もいるし、責任も伴うだろう。
俺の父も、会社の女と浮気をし、最後には蒸発した。
俺と母さんを残し会社も辞めすべて投げ出して、自分勝手に消えた。
俺は、そんな父さんが大嫌いだった。
まりんに父さんのことも踏まえたうえで辞めた方がいいといっても、まりんは俺の言葉に頷いてくれなかった。
俺も頑固だが、まりんも頑固だった。
『じゃあもういいよ。仁には相談しない…』
『ごめん…悪かった…』
まりんが拗ねると、いつも俺が折れた。
かぐや姫のように無理難題をいうまりん。
難題をクリアできれば、まりんは俺のものになると…馬鹿みたいにそう思い込んでいた。
信じた結果は・・・、まさに本当に馬鹿としか言いようがなかったけれど。
「仁、ずっと一緒にいるわ…」
欲しいものは、たった一つ。
あの時のぬくもりなのに。
**
何度も別れを告げようとした。
しかし、口にしようとするたびに、まりんの笑顔やあの約束を思い出し、言うのを辞めてしまった。
まりんといても、約束をしたあの優しい雰囲気を感じることはなく、あの日が夢だったのではないか…と思ったことも多々あったのに。
しかし、俺がそれを否定してしまえば、その思い出はなかったものになる。
あの優しい記憶は俺が作った幻となってしまう。
そう思いたくなくて、あの時のまりんの違いに目を瞑った。
1番じゃなくてもいい。いつかきっと1番になる日が来る。いつかきっと俺を必要としてくれる。そう自分に言い聞かせた。
まりんが大学に入り…彼女はますます綺麗になった。
大学に入るとまりんはサークルに入り、俺は会社でなかなか会えない日が続いた。
それでもたまの休日はまりんに費やしたし、相変わらず給料はまりんが欲しがるものに消えた。
このまま、ずっとこんな生活が続いていくのかな。
まりんが大学を卒業しても。
そう思っていた矢先、クリスマスが近づいたころ。まりんは俺に、爆弾を落とした。
「仁…、ごめんね…でも許してね…」
周りはクリスマスだと浮かれる中、ずっと好きだった彼女は笑顔で俺に別れをつげた。
まりんにプレゼントした指輪と共に、俺の気持ちは捨てられた。
高校を卒業し、大学へ。
そして、有名企業に就職をした。
大学は、母さんの遺産と奨学金を使って通った。
本当は、バイト代が大学資金のたしになるはずだったのだが、まりんに貢いでいたため、生活は本当にギリギリな状態だった。
まりんには、ステタースが高い男たちが群がる。
まりんに幻滅されないよう、とにかく必死になって彼女に釣り合うよう努力した。
周りはサークルだ、合コンだと騒ぐ中、俺は誘いを全て断りバイトに勤しんでいた。
まりんが気まぐれに、俺の告白に頷いたのが、彼女が14歳の時。
そして、まりんが高校にあがり、俺が二十歳の時、俺はまりんと初めて彼女を抱いた。
キスをして、抱き合っている。
家族にも恋人と紹介されている。
戯れに、歌う様に好きだとも言われた。
それでも、まりんといれば、時折空しさに襲われた。
恋人…といっても、俺は数いる恋人の1人だったから。
自分が一番じゃない人とこんな風に付き合って本当に俺はいいのだろうか。
本当に彼女と一緒にいることが、俺の幸せなのか。
自問自答したことは1度や2度じゃない。
「仁、私ね、先生を好きになったの…。
でもね…」
ある日、まりんは泣きながら、俺に打ち明けた。
俺じゃない人間を好きになったこと。
しかし、その人には奥さんがいて浮気をしていること。
不倫なんて最悪だ。互いに本気であったとしても、周りに迷惑もかかる。悲しむ人間もいるし、責任も伴うだろう。
俺の父も、会社の女と浮気をし、最後には蒸発した。
俺と母さんを残し会社も辞めすべて投げ出して、自分勝手に消えた。
俺は、そんな父さんが大嫌いだった。
まりんに父さんのことも踏まえたうえで辞めた方がいいといっても、まりんは俺の言葉に頷いてくれなかった。
俺も頑固だが、まりんも頑固だった。
『じゃあもういいよ。仁には相談しない…』
『ごめん…悪かった…』
まりんが拗ねると、いつも俺が折れた。
かぐや姫のように無理難題をいうまりん。
難題をクリアできれば、まりんは俺のものになると…馬鹿みたいにそう思い込んでいた。
信じた結果は・・・、まさに本当に馬鹿としか言いようがなかったけれど。
「仁、ずっと一緒にいるわ…」
欲しいものは、たった一つ。
あの時のぬくもりなのに。
**
何度も別れを告げようとした。
しかし、口にしようとするたびに、まりんの笑顔やあの約束を思い出し、言うのを辞めてしまった。
まりんといても、約束をしたあの優しい雰囲気を感じることはなく、あの日が夢だったのではないか…と思ったことも多々あったのに。
しかし、俺がそれを否定してしまえば、その思い出はなかったものになる。
あの優しい記憶は俺が作った幻となってしまう。
そう思いたくなくて、あの時のまりんの違いに目を瞑った。
1番じゃなくてもいい。いつかきっと1番になる日が来る。いつかきっと俺を必要としてくれる。そう自分に言い聞かせた。
まりんが大学に入り…彼女はますます綺麗になった。
大学に入るとまりんはサークルに入り、俺は会社でなかなか会えない日が続いた。
それでもたまの休日はまりんに費やしたし、相変わらず給料はまりんが欲しがるものに消えた。
このまま、ずっとこんな生活が続いていくのかな。
まりんが大学を卒業しても。
そう思っていた矢先、クリスマスが近づいたころ。まりんは俺に、爆弾を落とした。
「仁…、ごめんね…でも許してね…」
周りはクリスマスだと浮かれる中、ずっと好きだった彼女は笑顔で俺に別れをつげた。
まりんにプレゼントした指輪と共に、俺の気持ちは捨てられた。
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