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騒乱編
111.ご指名入りました
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翌日、使節団滞在二日目。今日はロラン王子が王都見物に行くらしい。接待はエドアルド様が行うと聞いていたけれど、なんかやけに揉めてるような声が聞こえる気がする。
ちなみに、ジェラルド様は使節団との会合の準備、ダヴィード様は献上品の照合の確認等々仕事がてんこ盛りだ。レオは、使節団の中で希望する者と騎士団とで行う手合わせを取り仕切る。俺も行くつもりだけど、手合わせはダメだって。まあ、魔法のあれこれ、バレたらアレだもんね……。
レオと騎士団の棟に行こうと歩いていると、王都見物組の傍を通りかかる。やっぱりなんか揉めてる……。レオにちらっと目配せされたから頷いて返すと、足早にその場を去ろうとする……が。
「私はクロセ殿と行きたい。」
は?
俺の名前が聞こえたんだが?
「ですが彼は、弟の婚約者でして……。」
「それはわかっている。同行するだけで結構だ。エドアルド王子も一緒であるし。」
は? 絶対行きたくねぇ……。気づきませんでしたよ~~っと。
素知らぬ振りをしてスタスタ歩く。けど。
「あっ、クロセ殿! ちょうど良かった!」
「へぁっ!?」
近くにいる事はバレてないと思っていたから、名前を呼ばれてビクッとしてしまう。全然ちょうど良くねぇ!
呼ばれてしまったからには無視はできない。王子だし……。チラッとレオを見ると、物凄い目をしている。
「おはようございます、ロラン王子。」
「おはよう。ねぇ、これから王都を見に行こうと思ってるんだ。君も来て欲しいんだけれど、どうだろうか。」
ド直球ッッ! いやあの、普通に嫌だし、立場的なものもございますのでね?
「はは、ご指名ありがたいですけれども、私よりもエドアルド様の奥方をお誘いしてみては? 私よりも品がありますし、知識も豊富でございますよ。」
奥方差し置いて俺なんか誘ってんじゃないよッッ! いろいろあんだからこっちも! しかも王太子妃めちゃめちゃいい人だからさ……うん。
ちらっと王太子妃を見やると、すっと目をそらされた。あれ、これもしかして……。
「あら、わたくしちょっと目眩が……。少し下がってよろしくて?」
「あ、ああ。大丈夫か。ハンナ、彼女を頼む。」
よろっとふらついた(フリをした)王太子妃は、ハンナという侍女の肩を借りながらふらふらとした足取りで行ってしまった。
やっぱりかよおお……そんな気はしたんだよなぁ。ロラン王子苦手そうだしな。と、なると……。
「だ、そうだ。君しかいないな?」
「と、いいますか、そもそもエドアルド殿下おひとりの予定でしたし、私は知らないことの方が多いですので邪魔にしかなりません。」
「知らないことの方が多いなら、私と一緒に回って見聞を広めようではないか! ほら、悪くないだろう!」
ものすごくポジティブに立ち回ってくるロラン王子強い。ったく、世話になってるとこの王子の婚約者誘うとか、この王子おかしいだろ。しかも断ってるのにこのしつこさ……。もうピシャリと言うしかなくないか?
「折角ですがロラン王子、彼には私の補佐を頼んでいるのでね。行かせる訳には参りません。」
「レオ……」
すっと俺の肩を抱きながらロラン王子に言い放つレオは不敵に笑っていて、思わず見惚れてしまった。かっこいいよぉ……。
「そうでしたか。……なら、私も少し手合わせを見てから行こうかな。」
「なっ……」
「それなら構わないでしょう?」
ロラン王子はちらっとエドアルド様を見ると、エドアルド様は首を縦に振った。
「こちらは構わないよ、レオ。」
「そうですか。こちらも構いません。私たちも今向かっていたのです。一緒に参りましょう。」
すっ、とレオが先導して進む。ロラン王子、何を考えてるんだろう。なんでもないような顔をしているけど、なんか油断したらいけない気がするんだよな、この王子は。
ちなみに、ジェラルド様は使節団との会合の準備、ダヴィード様は献上品の照合の確認等々仕事がてんこ盛りだ。レオは、使節団の中で希望する者と騎士団とで行う手合わせを取り仕切る。俺も行くつもりだけど、手合わせはダメだって。まあ、魔法のあれこれ、バレたらアレだもんね……。
レオと騎士団の棟に行こうと歩いていると、王都見物組の傍を通りかかる。やっぱりなんか揉めてる……。レオにちらっと目配せされたから頷いて返すと、足早にその場を去ろうとする……が。
「私はクロセ殿と行きたい。」
は?
俺の名前が聞こえたんだが?
「ですが彼は、弟の婚約者でして……。」
「それはわかっている。同行するだけで結構だ。エドアルド王子も一緒であるし。」
は? 絶対行きたくねぇ……。気づきませんでしたよ~~っと。
素知らぬ振りをしてスタスタ歩く。けど。
「あっ、クロセ殿! ちょうど良かった!」
「へぁっ!?」
近くにいる事はバレてないと思っていたから、名前を呼ばれてビクッとしてしまう。全然ちょうど良くねぇ!
呼ばれてしまったからには無視はできない。王子だし……。チラッとレオを見ると、物凄い目をしている。
「おはようございます、ロラン王子。」
「おはよう。ねぇ、これから王都を見に行こうと思ってるんだ。君も来て欲しいんだけれど、どうだろうか。」
ド直球ッッ! いやあの、普通に嫌だし、立場的なものもございますのでね?
「はは、ご指名ありがたいですけれども、私よりもエドアルド様の奥方をお誘いしてみては? 私よりも品がありますし、知識も豊富でございますよ。」
奥方差し置いて俺なんか誘ってんじゃないよッッ! いろいろあんだからこっちも! しかも王太子妃めちゃめちゃいい人だからさ……うん。
ちらっと王太子妃を見やると、すっと目をそらされた。あれ、これもしかして……。
「あら、わたくしちょっと目眩が……。少し下がってよろしくて?」
「あ、ああ。大丈夫か。ハンナ、彼女を頼む。」
よろっとふらついた(フリをした)王太子妃は、ハンナという侍女の肩を借りながらふらふらとした足取りで行ってしまった。
やっぱりかよおお……そんな気はしたんだよなぁ。ロラン王子苦手そうだしな。と、なると……。
「だ、そうだ。君しかいないな?」
「と、いいますか、そもそもエドアルド殿下おひとりの予定でしたし、私は知らないことの方が多いですので邪魔にしかなりません。」
「知らないことの方が多いなら、私と一緒に回って見聞を広めようではないか! ほら、悪くないだろう!」
ものすごくポジティブに立ち回ってくるロラン王子強い。ったく、世話になってるとこの王子の婚約者誘うとか、この王子おかしいだろ。しかも断ってるのにこのしつこさ……。もうピシャリと言うしかなくないか?
「折角ですがロラン王子、彼には私の補佐を頼んでいるのでね。行かせる訳には参りません。」
「レオ……」
すっと俺の肩を抱きながらロラン王子に言い放つレオは不敵に笑っていて、思わず見惚れてしまった。かっこいいよぉ……。
「そうでしたか。……なら、私も少し手合わせを見てから行こうかな。」
「なっ……」
「それなら構わないでしょう?」
ロラン王子はちらっとエドアルド様を見ると、エドアルド様は首を縦に振った。
「こちらは構わないよ、レオ。」
「そうですか。こちらも構いません。私たちも今向かっていたのです。一緒に参りましょう。」
すっ、とレオが先導して進む。ロラン王子、何を考えてるんだろう。なんでもないような顔をしているけど、なんか油断したらいけない気がするんだよな、この王子は。
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