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記憶編
42.休日2日目
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「はぁ~~!! 狩った狩った!」
休日2日目……はい、久々に魔物を狩っております!
昨日は折角の休日1日目だったのに、俺の腰が使い物にならなくて一日篭ってしまった。実質無かったようなものだ……。まあ、たくさん話したいっていうのは叶えられたわけだけど。
今回は城の北西、割と近くにある山のふもとにある森。気づけば新緑の季節で、森の中は清々しい緑が広がっている。ここに住んでる魔物たちは森を住処にしてるから、人のいる方には滅多に来ないらしい。恨みはないけど、必要な狩りだから……すまんな。
ちょっと大型のもの五体だったんだけど、レオとさくさく倒せて楽しかった! いつも通り、聖魔法で鎖を作って拘束、レオが斬る! 時々俺が魔法の槍で串刺し! ってな感じで、ちょっとなまってる感あったけど割といい連携だったと思うんだよな。夢で見たような、レオのきらきらした笑顔が見れて本当に眼福。いつもあんな風に笑ってて欲しい。
と、そこへ中型の魔物が茂みから出てきた。俺特製、罠型にアレンジした聖魔法の鎖に引っかかって、ガサガサと木につるし上げられた。しゅっと光り輝く槍で貫いたら、もう魔物は動かなかった。
「本当に無茶苦茶な魔法だな。」
「聞き及んではおりましたが、ここまで破格とは。詠唱も魔法陣もいらないなんて……。是非研究させていただきたい。」
「我々、護衛要らないのでは?」
さすがに今回は二人で、とはいかなかったけど。護衛のパオロとヴェネリオ、あと俺の魔法を見たいとかで魔法師団長のラニエロさん。
「いる! いります! 俺、夢中になると時々周りが見えなくなっちゃうので…。見てて貰えたら嬉しいです。」
にっこり笑うと、護衛の二人がビシッとした。
「もちろん、お側にて見守らせて頂きます!」
うんうん、そんな感じで頼むぞ~~。……と和気あいあいとやっていたら、索敵用に薄く広範囲に広げておいた魔力の壁が何を感知した。そんなに大きくない?
「うーん、なんか来るぞ。」
木々の間から、ふわりと尾の長い美しい鳥が飛んできた。ん? どこかで見たことがあるな……?
「! 妖精……!!」
ラニエロさんが驚いた声をあげた。妖精だったんだ、この鳥。
鳥、もとい、妖精は俺の周りをくるくる回った後にふわりとまたどこかへ飛んでいってしまった。
「……なんだったんだろう。」
首を傾げていると、何やら考えていたレオが言った。
「あれ、カイが王都で助けた鳥じゃないか……?」
「王都で? ……ああ、そういえばあんなかんじの綺麗な鳥だった! どうりで見覚えがあると思った!」
レオもの覚えいいなぁ、と思っていると、ラニエロさんが口を開いた。
「王都で助けられたんですか? 詳しく聞かせていただいても?」
こくりと頷いて、あの時のことを細かく伝えた。黙って聞いていたラニエロさんは、ふむ、と何やら思案顔。
「もしかしたら、妖精がカイト殿を気に入ったのかもしれませんね。妖精は気まぐれですから、今頃現れてもおかしいことはありません。」
「創造神にも愛されて、妖精にも気に入られて……カイは愛され体質だな。」
「そ、そう?」
そこまでではなくないか? ゼルはたぶん、罪悪感から愛し子の称号くれたんだろうし。まぁ、嫌われるよりいいか。
「でも、本当にただ助けただけなんだよね。気に入られる要素ないと思うんだけど。……はっ、…………『愛されし者』っていうスキル、関係ある…?」
そういえば謁見の時に謎のスキルが増えてたんだった。聞こう聞こうと思っててすっかり忘れてた。
「聞いた事ないな…スキルの詳細見てみた?」
「……見てみる…。」
自分のことなのに無頓着すぎたなとちょっと反省した。気になったなら見ればよかったんだよね…。
ステータス画面を出して見てみる。
『愛されし者』
『愛し子』の称号を二つ以上獲得すると得られるスキル。常時展開型で、あらゆる物から愛される(レベル依存型)
「えっ、俺、色んなものから愛されちゃうの??」
「これは気苦労が多そうな………。」
レオが額に手を当ててやれやれと息を吐いている。うう…
「でもレベル依存型なら、低レベルでいれば効果は上がらないよね?魔物に愛されても、俺困るよ……。」
「愛し子の称号、二つ以上あるんですか!?」
あっ、そっかラニエロさんは知らないんだっけ。
「そうだった、妖精の愛し子って書いてあるね……はは……。」
「気に入られるどころか愛されてますよね!?」
ほんと、おっしゃるとおりですわ……。
「まあ、カイが愛されやすいことはよくわかった。とりあえずギルドへ行きつつ話すとしよう。」
ひとまず馬に乗り、王都のギルドへと向かった。ギルドに着いたのは夕方だったから、そのまま皆で外食することに。レオ以外の人と食べるの新鮮でよかったな。お忍びみたいな雰囲気も楽しい。外だから、堅苦しさも少し和らいでいつもより自然体でいられた気がする。お城、みんないい人たちばかりだけど、やっぱりちょっと気を張ってたんだなぁって実感した。また、たまに出てこれたら嬉しいなぁ。レオに甘えたら連れてってくれるかな~? ……なんてね。
◆
「じゃあ、ゆっくり休んで…」
「なあレオ、一緒に寝たらダメ?」
帰城して、自分にあてがわれた部屋で。俺を送って去ろうとするレオに問いかけた。
「え。」
「ベッド広くて落ち着かなくてさ。あ、いや、ダメならいいんだけど、全然。」
本当は部屋が広すぎるのも、まだちょっと落ち着かなさあるけど。まあそれはたぶん慣れるだろうし。
「今日だけじゃなくて、ずっと?」
「え、うん。…………や、やっぱいいや、ごめん。おやすみ!」
なんだかだんだん恥ずかしくなって、レオをぐいぐい押しやって扉を閉めた。
(いや、よく考えたら、なんか俺が誘ったみたいになった! そういう意味じゃ全然ないけど! したくない訳でもないけど!)
もうこうなったら、風呂入ってさっさと寝るに限る! 今日は1人で入らせてもらおう。
いい香りの風呂を堪能して一息。ベッドに腰かけると息を吐いた。
「はぁーー……。」
ひとりだらけている所へ、カチャッと鍵を開ける音がする。廊下に続く扉じゃなくて、ずっと鍵がかかっていた奥の開かずの扉から。
「え、えっ、えっ?? なに、誰!?」
誰だ!? 怖い! 咄嗟に魔法の槍を大量に出した。矛先は扉だ。すると扉の向こうから声がかけられた。
「カイ、俺だよ。入ってもいい?」
「………レオ? うん、…いいよ」
ん? ん? どういうことだ?
「…………それ、しまってほしいかな…。」
あっしまった、槍出しっぱなしだった! 慌てて魔法を解除した。
「ご、ごめん!」
「大丈夫。さあ、おいで。カイ。」
「?」
差し出されたレオの手を取ってついて行くと、開かずの間(と呼んでいた)へと連れていかれた。部屋の中にはでかいベッドがどーん! と置いてあるだけだ。どういうこと?
「レオ、これはどういう?」
「…………ここは夫婦の寝室だよ。」
「ふうふ」
ふうふって夫婦だよな!? えっ!?
「あっちの扉は、俺の部屋に繋がっている。ここは、夫婦が閨を共にするための部屋。カイの部屋は、実は王子妃の部屋なんだよ。」
「んん!? 初耳ですが!?」
「初めて言ったからねぇ。」
え、なに、俺ってば、レオのこと好きになる前から王子妃の部屋に突っ込まれてたってこと!? いやまぁいいけど! 結果的には!
「カイが、一緒に寝たいって言ってくれたから。いやもちろん、そういう意味じゃないことは分かってる。…どう? ここで寝る?」
ようするにここ、ヤ、ヤリ部屋ってことだろ……。恥ずかしいけど嫌じゃないし……うう。
「ん、……寝る。」
「わかった。さ、こっち。」
レオはベッドに寝そべると、ぺしぺしとベッドを叩いて誘導している。そっと潜り込むとふわりと抱きしめられた。
「はぁ、幸せ……。」
レオが本当に幸せそうにしてるから、思わずきゅんとしてしまった。レオも寂しかったのかな? とか思っていたら、耳元でとんでもない事を言ってきた。
「これでいつでも抱き合えるね。」
「~~~ッ!! ば、ばかっ…今日はしないからっ」
「照れてるの可愛い。わかってるよ、また、ね。おやすみ。」
「…………お、おやすみ!」
か、からかわれた!!!! はぁもうヤダ……手のひらで踊らされてない? もうとっとと寝る!
ぎゅっと目を閉じてものの数分、知らないうちに俺の意識は遠のいていた。
休日2日目……はい、久々に魔物を狩っております!
昨日は折角の休日1日目だったのに、俺の腰が使い物にならなくて一日篭ってしまった。実質無かったようなものだ……。まあ、たくさん話したいっていうのは叶えられたわけだけど。
今回は城の北西、割と近くにある山のふもとにある森。気づけば新緑の季節で、森の中は清々しい緑が広がっている。ここに住んでる魔物たちは森を住処にしてるから、人のいる方には滅多に来ないらしい。恨みはないけど、必要な狩りだから……すまんな。
ちょっと大型のもの五体だったんだけど、レオとさくさく倒せて楽しかった! いつも通り、聖魔法で鎖を作って拘束、レオが斬る! 時々俺が魔法の槍で串刺し! ってな感じで、ちょっとなまってる感あったけど割といい連携だったと思うんだよな。夢で見たような、レオのきらきらした笑顔が見れて本当に眼福。いつもあんな風に笑ってて欲しい。
と、そこへ中型の魔物が茂みから出てきた。俺特製、罠型にアレンジした聖魔法の鎖に引っかかって、ガサガサと木につるし上げられた。しゅっと光り輝く槍で貫いたら、もう魔物は動かなかった。
「本当に無茶苦茶な魔法だな。」
「聞き及んではおりましたが、ここまで破格とは。詠唱も魔法陣もいらないなんて……。是非研究させていただきたい。」
「我々、護衛要らないのでは?」
さすがに今回は二人で、とはいかなかったけど。護衛のパオロとヴェネリオ、あと俺の魔法を見たいとかで魔法師団長のラニエロさん。
「いる! いります! 俺、夢中になると時々周りが見えなくなっちゃうので…。見てて貰えたら嬉しいです。」
にっこり笑うと、護衛の二人がビシッとした。
「もちろん、お側にて見守らせて頂きます!」
うんうん、そんな感じで頼むぞ~~。……と和気あいあいとやっていたら、索敵用に薄く広範囲に広げておいた魔力の壁が何を感知した。そんなに大きくない?
「うーん、なんか来るぞ。」
木々の間から、ふわりと尾の長い美しい鳥が飛んできた。ん? どこかで見たことがあるな……?
「! 妖精……!!」
ラニエロさんが驚いた声をあげた。妖精だったんだ、この鳥。
鳥、もとい、妖精は俺の周りをくるくる回った後にふわりとまたどこかへ飛んでいってしまった。
「……なんだったんだろう。」
首を傾げていると、何やら考えていたレオが言った。
「あれ、カイが王都で助けた鳥じゃないか……?」
「王都で? ……ああ、そういえばあんなかんじの綺麗な鳥だった! どうりで見覚えがあると思った!」
レオもの覚えいいなぁ、と思っていると、ラニエロさんが口を開いた。
「王都で助けられたんですか? 詳しく聞かせていただいても?」
こくりと頷いて、あの時のことを細かく伝えた。黙って聞いていたラニエロさんは、ふむ、と何やら思案顔。
「もしかしたら、妖精がカイト殿を気に入ったのかもしれませんね。妖精は気まぐれですから、今頃現れてもおかしいことはありません。」
「創造神にも愛されて、妖精にも気に入られて……カイは愛され体質だな。」
「そ、そう?」
そこまでではなくないか? ゼルはたぶん、罪悪感から愛し子の称号くれたんだろうし。まぁ、嫌われるよりいいか。
「でも、本当にただ助けただけなんだよね。気に入られる要素ないと思うんだけど。……はっ、…………『愛されし者』っていうスキル、関係ある…?」
そういえば謁見の時に謎のスキルが増えてたんだった。聞こう聞こうと思っててすっかり忘れてた。
「聞いた事ないな…スキルの詳細見てみた?」
「……見てみる…。」
自分のことなのに無頓着すぎたなとちょっと反省した。気になったなら見ればよかったんだよね…。
ステータス画面を出して見てみる。
『愛されし者』
『愛し子』の称号を二つ以上獲得すると得られるスキル。常時展開型で、あらゆる物から愛される(レベル依存型)
「えっ、俺、色んなものから愛されちゃうの??」
「これは気苦労が多そうな………。」
レオが額に手を当ててやれやれと息を吐いている。うう…
「でもレベル依存型なら、低レベルでいれば効果は上がらないよね?魔物に愛されても、俺困るよ……。」
「愛し子の称号、二つ以上あるんですか!?」
あっ、そっかラニエロさんは知らないんだっけ。
「そうだった、妖精の愛し子って書いてあるね……はは……。」
「気に入られるどころか愛されてますよね!?」
ほんと、おっしゃるとおりですわ……。
「まあ、カイが愛されやすいことはよくわかった。とりあえずギルドへ行きつつ話すとしよう。」
ひとまず馬に乗り、王都のギルドへと向かった。ギルドに着いたのは夕方だったから、そのまま皆で外食することに。レオ以外の人と食べるの新鮮でよかったな。お忍びみたいな雰囲気も楽しい。外だから、堅苦しさも少し和らいでいつもより自然体でいられた気がする。お城、みんないい人たちばかりだけど、やっぱりちょっと気を張ってたんだなぁって実感した。また、たまに出てこれたら嬉しいなぁ。レオに甘えたら連れてってくれるかな~? ……なんてね。
◆
「じゃあ、ゆっくり休んで…」
「なあレオ、一緒に寝たらダメ?」
帰城して、自分にあてがわれた部屋で。俺を送って去ろうとするレオに問いかけた。
「え。」
「ベッド広くて落ち着かなくてさ。あ、いや、ダメならいいんだけど、全然。」
本当は部屋が広すぎるのも、まだちょっと落ち着かなさあるけど。まあそれはたぶん慣れるだろうし。
「今日だけじゃなくて、ずっと?」
「え、うん。…………や、やっぱいいや、ごめん。おやすみ!」
なんだかだんだん恥ずかしくなって、レオをぐいぐい押しやって扉を閉めた。
(いや、よく考えたら、なんか俺が誘ったみたいになった! そういう意味じゃ全然ないけど! したくない訳でもないけど!)
もうこうなったら、風呂入ってさっさと寝るに限る! 今日は1人で入らせてもらおう。
いい香りの風呂を堪能して一息。ベッドに腰かけると息を吐いた。
「はぁーー……。」
ひとりだらけている所へ、カチャッと鍵を開ける音がする。廊下に続く扉じゃなくて、ずっと鍵がかかっていた奥の開かずの扉から。
「え、えっ、えっ?? なに、誰!?」
誰だ!? 怖い! 咄嗟に魔法の槍を大量に出した。矛先は扉だ。すると扉の向こうから声がかけられた。
「カイ、俺だよ。入ってもいい?」
「………レオ? うん、…いいよ」
ん? ん? どういうことだ?
「…………それ、しまってほしいかな…。」
あっしまった、槍出しっぱなしだった! 慌てて魔法を解除した。
「ご、ごめん!」
「大丈夫。さあ、おいで。カイ。」
「?」
差し出されたレオの手を取ってついて行くと、開かずの間(と呼んでいた)へと連れていかれた。部屋の中にはでかいベッドがどーん! と置いてあるだけだ。どういうこと?
「レオ、これはどういう?」
「…………ここは夫婦の寝室だよ。」
「ふうふ」
ふうふって夫婦だよな!? えっ!?
「あっちの扉は、俺の部屋に繋がっている。ここは、夫婦が閨を共にするための部屋。カイの部屋は、実は王子妃の部屋なんだよ。」
「んん!? 初耳ですが!?」
「初めて言ったからねぇ。」
え、なに、俺ってば、レオのこと好きになる前から王子妃の部屋に突っ込まれてたってこと!? いやまぁいいけど! 結果的には!
「カイが、一緒に寝たいって言ってくれたから。いやもちろん、そういう意味じゃないことは分かってる。…どう? ここで寝る?」
ようするにここ、ヤ、ヤリ部屋ってことだろ……。恥ずかしいけど嫌じゃないし……うう。
「ん、……寝る。」
「わかった。さ、こっち。」
レオはベッドに寝そべると、ぺしぺしとベッドを叩いて誘導している。そっと潜り込むとふわりと抱きしめられた。
「はぁ、幸せ……。」
レオが本当に幸せそうにしてるから、思わずきゅんとしてしまった。レオも寂しかったのかな? とか思っていたら、耳元でとんでもない事を言ってきた。
「これでいつでも抱き合えるね。」
「~~~ッ!! ば、ばかっ…今日はしないからっ」
「照れてるの可愛い。わかってるよ、また、ね。おやすみ。」
「…………お、おやすみ!」
か、からかわれた!!!! はぁもうヤダ……手のひらで踊らされてない? もうとっとと寝る!
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