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記憶編
13.黒瀬海斗
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この世界に来る前の俺は、至って平凡な男子高校生だった。成績は中の上、帰宅部、週4でレンタル販売店のバイト。本当に取り立てて書くことの無い平々凡々な人間。
家族は、サラリーマンの父とピアノ講師の母、それと2つ下の弟。両親は再婚だから弟とは血は繋がってないけど仲はすごくいい。ちなみに本当の母は幼い頃に病死した。
母の影響で、幼い頃からピアノを教えて貰っていた。確か高校受験で忙しくなる直前までやってたかな? それ以降はなんとなくぱったり弾かなくなったけれど。母としても、弟と俺を分け隔てなく接してくれたし、本当に優しかった。叱る時はきちんと叱ってくれて、後妻がこの人で本当によかったって思う。
弟は会ったその日からすぐ懐いてきて、べったりだった。同じ布団で寝るのが好きな奴だったなぁ。最初はおばけが怖いって言ってたけど、最近は「なんか寂しいから」だって! 朝になると抱き枕になってることもしばしばだった。可愛い奴。あぁそういえば、「俺が兄さんを守るからね!」ってことある事に言ってたっけ。守るのは兄ちゃんの役目なのにな。同じ高校に入るって頑張ってたけど頑張ってるかな。
父は、普通のサラリーマン。仕事ばっかってわけじゃなくて、ちゃんと家族も顧みることができる、所謂いい父親像そのままで。趣味の釣りによく付き合ってたなぁ。
平凡な俺だけど常々感じていたのは、家族はもちろん、周りの人に恵まれていたって事かな。小さい頃から、俺が困ったことに陥ると誰かしらが来て手を貸してくれるんだ。俺見張られてんのか? ってぐらいタイミングバッチリでさ。ほんと、周りが優しかったから生きてたのかもしんないな? でも水泳の授業のとき、なぜか俺の周りを特に仲良かった4人が囲むのは本当に意味わかんなくて迷惑だったけど。泳げないし。そういえば制服が夏服になった時も、シャツ1枚でいたらベスト着ろってすげーうるさかったのもわけわかんないよな。俺のためだとか言ってたけどな。
親友の桐矢はいつも俺とバカやってたけど、1回ヤバい奴に襲われた時にぶちのめしてくれたんだ。あんな強そうなやつ相手に一本背負いキメてくれて本当にかっこよかったんだよ。聞いたら、空手、柔道、剣道…いくつもの武術を覚えたんだって言ってたな。本当に努力家だと思う。桐矢も、「いつでも守ってやるからな」なんて言ってたけど本当に俺ってどういう扱いなの…? 女の子じゃねーんだけど? ってよく思ったわ。まぁ実際助けられてるしなんも言えないんだけど……。そういえばあの日、桐矢と一緒にいたから、俺は桐矢が轢かれないように突き飛ばしたんだけど……桐矢は助かったのかな。
はぁ……敦先輩や翔平、裕也…吏玖みんな元気かな……。
俺が地球での記憶を掻い摘んで話すとレオがため息をついた。いやまぁ、おもしろくないって言ったじゃん??
少し休憩するか、と腰を下ろして喉を潤す。
「元の世界でも、しかも昔からか……。」
「んん? なんか共通点あったか!?」
「いや、なんでもない。……ところで、恋人、とかいなかったのか?」
言いにくそうにレオが言った。そ、そうか、レオ的には気になるよな。
「あぁ、いないよ。あの子いいなって思っても、みんな俺のこと避けるから恋にすらならなかった。女子に嫌われてたんだよ俺……。毎日清潔にしてたし、なんもしてないのに。あ、外見かな?あ~どうしようもないやつだ。」
たはーっと笑って見せると、レオは俺の顔を包むように手を添えて覗き込んできた。
「なんでそんなに自己評価が低いんだ……女の子たちに見る目がなかったんじゃないか?(それだけじゃないと思うけど…)俺はカイの見た目も中身も全部に惚れてるよ」
蕩けた瞳で俺を見てくるレオ。もういたたまれなくて顔を背けたいけど、顔を押えられていてできない。
「うぁ……。は、恥ずかしいからやめてくれよぉ……。大体、待ってくれるって言ったぁ…」
「待つとは言ったけど、口説かないとは言ってない。」
「ひぃ……」
「ふふ、かわいいなぁ。ほら。そろそろ行くぞ。」
「なっ、……こ、こら離れて!」
「はいはい。」
再び街に向かって進み出す。俺はレオに振り回されっぱなしでぶーたれた顔でレオに聞いてみた。
「レオは?レオのことも教えてよ。……あー、王子様なら話せないこともあるかぁ。」
「うーん、まぁ話せる範囲でなら。」
次はレオのターンだ。
家族は、サラリーマンの父とピアノ講師の母、それと2つ下の弟。両親は再婚だから弟とは血は繋がってないけど仲はすごくいい。ちなみに本当の母は幼い頃に病死した。
母の影響で、幼い頃からピアノを教えて貰っていた。確か高校受験で忙しくなる直前までやってたかな? それ以降はなんとなくぱったり弾かなくなったけれど。母としても、弟と俺を分け隔てなく接してくれたし、本当に優しかった。叱る時はきちんと叱ってくれて、後妻がこの人で本当によかったって思う。
弟は会ったその日からすぐ懐いてきて、べったりだった。同じ布団で寝るのが好きな奴だったなぁ。最初はおばけが怖いって言ってたけど、最近は「なんか寂しいから」だって! 朝になると抱き枕になってることもしばしばだった。可愛い奴。あぁそういえば、「俺が兄さんを守るからね!」ってことある事に言ってたっけ。守るのは兄ちゃんの役目なのにな。同じ高校に入るって頑張ってたけど頑張ってるかな。
父は、普通のサラリーマン。仕事ばっかってわけじゃなくて、ちゃんと家族も顧みることができる、所謂いい父親像そのままで。趣味の釣りによく付き合ってたなぁ。
平凡な俺だけど常々感じていたのは、家族はもちろん、周りの人に恵まれていたって事かな。小さい頃から、俺が困ったことに陥ると誰かしらが来て手を貸してくれるんだ。俺見張られてんのか? ってぐらいタイミングバッチリでさ。ほんと、周りが優しかったから生きてたのかもしんないな? でも水泳の授業のとき、なぜか俺の周りを特に仲良かった4人が囲むのは本当に意味わかんなくて迷惑だったけど。泳げないし。そういえば制服が夏服になった時も、シャツ1枚でいたらベスト着ろってすげーうるさかったのもわけわかんないよな。俺のためだとか言ってたけどな。
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はぁ……敦先輩や翔平、裕也…吏玖みんな元気かな……。
俺が地球での記憶を掻い摘んで話すとレオがため息をついた。いやまぁ、おもしろくないって言ったじゃん??
少し休憩するか、と腰を下ろして喉を潤す。
「元の世界でも、しかも昔からか……。」
「んん? なんか共通点あったか!?」
「いや、なんでもない。……ところで、恋人、とかいなかったのか?」
言いにくそうにレオが言った。そ、そうか、レオ的には気になるよな。
「あぁ、いないよ。あの子いいなって思っても、みんな俺のこと避けるから恋にすらならなかった。女子に嫌われてたんだよ俺……。毎日清潔にしてたし、なんもしてないのに。あ、外見かな?あ~どうしようもないやつだ。」
たはーっと笑って見せると、レオは俺の顔を包むように手を添えて覗き込んできた。
「なんでそんなに自己評価が低いんだ……女の子たちに見る目がなかったんじゃないか?(それだけじゃないと思うけど…)俺はカイの見た目も中身も全部に惚れてるよ」
蕩けた瞳で俺を見てくるレオ。もういたたまれなくて顔を背けたいけど、顔を押えられていてできない。
「うぁ……。は、恥ずかしいからやめてくれよぉ……。大体、待ってくれるって言ったぁ…」
「待つとは言ったけど、口説かないとは言ってない。」
「ひぃ……」
「ふふ、かわいいなぁ。ほら。そろそろ行くぞ。」
「なっ、……こ、こら離れて!」
「はいはい。」
再び街に向かって進み出す。俺はレオに振り回されっぱなしでぶーたれた顔でレオに聞いてみた。
「レオは?レオのことも教えてよ。……あー、王子様なら話せないこともあるかぁ。」
「うーん、まぁ話せる範囲でなら。」
次はレオのターンだ。
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