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あの場で、それじゃあと別れる訳にもいかず。
再び翔悟の部屋に訪れた華子は、今こうして彼と膝を突き合わせ、向かい合っていた。
「華子さん、改めて俺と、結婚して下さい」
そう真っ直ぐに告げる翔悟は先程の勢いは消え失せ、自信が無さそうに見える。
どう答えたらいいものかと躊躇っていると、翔悟の手が華子の手を包んだ。縋られているような気持ちになる。
当然、この温もりは嫌じゃない。華子はふうっと息を吐いた。
「はい。──でも結婚を前提としたお付き合い、ね」
そう笑えば翔悟はホッと息を吐き出した。
「年齢とか過ごした時間とか、言いたい事は沢山あるけど……」
翔悟が何か言いたそうな顔をしたけれど。
「廉堂君が私を好きだって言ってくれて嬉しかったから。それに私も……同じ気持ちなので……」
やっと自分の思いを口に出来て、華子は何だか涙ぐんでしまう。
結芽とも組んで、翔悟がここまでお膳立てしてくれなければ、華子はきっと口に出来なかった。
「ありがとう」
泣き笑いでそう告げれば翔悟はごくっと息を呑んだ。それからそそくさと視線を逸らせる。
「う、うん……それで早速なんだけど、明後日うちの両親に会ってくれないかな?」
思わぬ台詞に華子は目を丸くした。
「えっ、……もう? いいの?」
「っ勿論! 彼女を紹介するの初めてだから二人共喜んでたし、ちょっと煩いかもしれないから申し訳ないんだけど……」
「ううん、嬉しいな。構わないよ」
「……それから、華子さんのご両親にも、会いに行っていい?」
今度は華子が身体を強ばらせる。
「それは……それこそ大丈夫? だってその……」
「ちゃんと結婚を前提にお付き合いしてるって話しておきたいんだ。……華子さん、お見合いを勧められているんでしょう?」
「うえ?」
変な声が出た。
それもきっと結芽情報なんだろう。
でもそんなに切実に、真剣に自分を求めている翔悟に、もう愛しさしか湧かない。
「うん、いいよ」
思わず両腕を伸ばせば、迷いなく翔悟に抱き竦められた。
「それにしても私のどこが良かったの? こんなに急に結婚まで決めて、大丈夫?」
そう苦笑を漏らせば翔悟の身体がピキっと強張った。
「……分かってはいたけど、本当に覚え無かったんだかね。ふうん、そう。欠片も記憶に無かったんだ……?」
それから段々と抱きしめる力が込められていき、華子は息苦しさに翔悟の肩をタップする。
「ちょっと、廉堂君っ」
「名前で呼んで?」
「う、うん?」
「それから──」
間近で覗き込む眼差しに華子は息を呑んだ。
「俺と華子さんの出会いを、今日はじっくりとレクチャーしようかな?」
反転した視界一杯、翔悟が締めて、華子は思わず笑い出した。
「うん、聞きたい。……ていうか以前どこかで会ったっけ?」
「また言うか……もうそれ聞きたくない」
「……んっ」
そのまま翔悟に唇で物理的に言葉を止められて、二人でぎゅっと抱き合った。
再び翔悟の部屋に訪れた華子は、今こうして彼と膝を突き合わせ、向かい合っていた。
「華子さん、改めて俺と、結婚して下さい」
そう真っ直ぐに告げる翔悟は先程の勢いは消え失せ、自信が無さそうに見える。
どう答えたらいいものかと躊躇っていると、翔悟の手が華子の手を包んだ。縋られているような気持ちになる。
当然、この温もりは嫌じゃない。華子はふうっと息を吐いた。
「はい。──でも結婚を前提としたお付き合い、ね」
そう笑えば翔悟はホッと息を吐き出した。
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翔悟が何か言いたそうな顔をしたけれど。
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やっと自分の思いを口に出来て、華子は何だか涙ぐんでしまう。
結芽とも組んで、翔悟がここまでお膳立てしてくれなければ、華子はきっと口に出来なかった。
「ありがとう」
泣き笑いでそう告げれば翔悟はごくっと息を呑んだ。それからそそくさと視線を逸らせる。
「う、うん……それで早速なんだけど、明後日うちの両親に会ってくれないかな?」
思わぬ台詞に華子は目を丸くした。
「えっ、……もう? いいの?」
「っ勿論! 彼女を紹介するの初めてだから二人共喜んでたし、ちょっと煩いかもしれないから申し訳ないんだけど……」
「ううん、嬉しいな。構わないよ」
「……それから、華子さんのご両親にも、会いに行っていい?」
今度は華子が身体を強ばらせる。
「それは……それこそ大丈夫? だってその……」
「ちゃんと結婚を前提にお付き合いしてるって話しておきたいんだ。……華子さん、お見合いを勧められているんでしょう?」
「うえ?」
変な声が出た。
それもきっと結芽情報なんだろう。
でもそんなに切実に、真剣に自分を求めている翔悟に、もう愛しさしか湧かない。
「うん、いいよ」
思わず両腕を伸ばせば、迷いなく翔悟に抱き竦められた。
「それにしても私のどこが良かったの? こんなに急に結婚まで決めて、大丈夫?」
そう苦笑を漏らせば翔悟の身体がピキっと強張った。
「……分かってはいたけど、本当に覚え無かったんだかね。ふうん、そう。欠片も記憶に無かったんだ……?」
それから段々と抱きしめる力が込められていき、華子は息苦しさに翔悟の肩をタップする。
「ちょっと、廉堂君っ」
「名前で呼んで?」
「う、うん?」
「それから──」
間近で覗き込む眼差しに華子は息を呑んだ。
「俺と華子さんの出会いを、今日はじっくりとレクチャーしようかな?」
反転した視界一杯、翔悟が締めて、華子は思わず笑い出した。
「うん、聞きたい。……ていうか以前どこかで会ったっけ?」
「また言うか……もうそれ聞きたくない」
「……んっ」
そのまま翔悟に唇で物理的に言葉を止められて、二人でぎゅっと抱き合った。
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