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……一瞬、思わず表情が抜け落ちた。
燻んだ金の巻き髪に淡い緑の瞳。白磁の肌に整った顔立ち。
細身のせいか背は高く見え、役者のように舞台映えしそうな容姿が際立って見える。
そんなお見合い相手の彼──アッシュ・セドリー伯爵令息は、今まさに舞台の上にいるような大振りの動作で滔々と語る。
リエラが待ち合わせ場所に着くと、そこには恋人同士で、糊付けしたように張り付いた二人がいた。思わず呆然と立ち竦むリエラを睨みつけ、男の方が吐いた台詞がこれである。
(何これ……お兄様、酷くない?)
とは言っても問題はリエラにもあった。
リエラはサボっていたのだ。つまり婚活を。
妙齢の令嬢たちは皆、理想の相手に自分を良く見せる為に頑張ってアピールしていた。
好きな相手、気になる相手、高嶺だろうが孤高だろうが、唯一の花を掴みに這い上がっていく猛者たち。それがバイタリティ溢れる妙齢の令嬢たちの二つ名とも言えよう。
何故なら貴族女性は結婚で人生が左右される程に立場が弱い。
夫に従う事を全とされ、離婚や、不仲ですらも醜聞となるくらいだ。
だから愛人を囲うような冷え切った仲であろうと、表向きは仲良くする夫婦が多くいる。
つまり、結婚とは女性にとって人生を賭けた一世一代の勝負なのだ。
……しかしリエラはとは言うと、望まぬ相手に声を掛けられた時の異性の反応を知ってしまっているせいか、臆病だった。
痺れを切らした兄に、何度も「婚活をサボっている」と叱責された。
リエラとしても、そんな事は分かっているのだが、結局一歩踏み出せないままでいた。
(十六歳のデビュタントでは何とかパートナーを引き受けてくれたけれど……)
これ以上はもう無理だろう。
当面、パートナーが必要な夜会に参加する予定は無いが、もう引き受けて貰えるとは思えない。
そしていい加減、痺れを切らした兄に片っ端から見合いを申し込まれそうになっていた。
「お兄様、私の事は政治利用していただいて構いませんから」
「それが甘えているっていうんだ! 自分の将来の相手なんだぞ! 一生の話を何故もっと真剣に考えられない?!」
「……」
正論すぎて返す言葉もない。
けれど、真っ直ぐに歩けば目的地に辿り着ける人たちに、自分の気持ちなんて分からないでしょうとも思ってしまうのだ。
「知ってるか、従妹のリサは侯爵家の嫡男と婚約を結んだんだぞ!」
「存じております」
「モニカは近衞騎士との結婚が決まった」
「花形ですわね」
「メイミは隣国の公爵家に見染められたんだ!」
「ドラマチックですわ」
(親族が皆ハイスペック過ぎて、余計に肩身が狭いわ……)
「なのにお前ときたら……」
リエラはげんなりした。
「お兄様に任せますわ。適当に選んで下さいませ」
また説教が始まると、リエラはこの話を早々に打ち切った。
そのせいかしら。
そのせいなのかしら?
目の前のこの惨状は??
現実に引き戻されれば茶番はまだ続いており、二人は未だリエラに向かって真実の愛のなんたるかを叫んでいる。
(ああ、我が兄の目は節穴だった……)
由緒ある伯爵家は、兄の代で潰れるかもしれない。
そんな思考が頭を掠めるも、死んだ目をしたまま笑顔を貼り付け、この場をどうやり過ごそうかと思案した。
「申し訳ありませんが……!」
大きく息を吸いこんで、リエラは目の前でがなりたてる男──セドリー伯爵令息に向かい声を張った。
「この縁談はセドリー伯爵家とアロット伯爵家が纏めたものですので、意に沿わぬというなら、まずお互いの家に申し開きをするべきではありませんか?」
訝しげな目を向けるセドリー伯爵令息の隣には、目をうるうるさせている女性。
さき程からつらつら話していた内容からすると、彼女は平民で、二人は運命的な出会いをして結ばれた恋人同士らしい。
眩い金髪に海のように真っ青な瞳が美しい、愛らしい女性だ。
更にその容姿はアッシュに飾り立てられ、きらきらと輝いている。
(確かに可愛いけれど……)
しかしセドリー伯爵が二人の仲を認めず、貴族の妻を望み息子に縁談を持ちかけた。そしてこの場をすっぽかせず断れないようにと、王族に頼み込み、見合いの場の予約店に御名を使わせて貰ったのだそうだ。
セドリー伯爵家には王妃殿下の妹御様が嫁されているので、それくらいの融通はつくのだろう。
『君はなんて浅ましいんだ』
それで仕方がないから来たけれど、そこまでして自分と結婚しようとするリエラに対して向けた言葉がこれであった。
(……言葉が過ぎるわ)
リエラは思わず半眼になった。
(どうして私がご自分と結婚したいと熱望する事が前提なのかしら。伯爵ももう彼らの仲を認め、ついでに息子を見限ったらよろしいのだわ)
先程からの勝手な言い分に、つい辛辣な言葉が頭を過ぎる。
(お兄様に任せた私も馬鹿だったのだけれど)
どうせセドリー伯爵に王族の名前を出されて安心したのだろう。
確かに王家の名前を持ち出されたら断れないけれど、事前にどんな相手なのか知っていればこっちだって心構えくらい出来たのだ。
釣書を見て何も期待しないで来たけれど、結果は散々。期待しなかっただけマシとも言えない。
(はあ)
だから婚活を頑張らなければならないのに。けれど逃げているのは自分だ。もしかしたらこの場はそんな兄からの激励の意味が込められたもので──
(そんな訳ないわね)
上がり掛けていた兄の評価をばっさりと否定する。
あの単純な兄が。
ないないない、とリエラは内心で首を横に振った。
自分もまあまあ酷い妹である。
「それでは失礼しますわ」
時間にして十五分程のやりとりだっただろうか。
その間立たされたままだったリエラは、するりと踵を返した。
その様子を顰め面、無言で見送るセドリー令息と、その隣に張り付いて、まだうるうるしている女性にちらりと視線を向ける。
(私もうるうるする生き物が好きだから、気持ちは分かるわ。犬とか猫とか、可愛いものね)
リエラはふっと口元を綻ばせた。
「私はそちらの方のようにはなれませんから」
そう口にすればセドリー令息は満足そうに口元を歪ませた。
「ふ、ふん。そうか……」
けれどそう勝ち誇った顔の令息に、リエラは内心で舌を出す。
(当然、私は犬猫のようには生られません)
けどまあ、犬猫にも劣ると言われたらぐうの音も出ないけれど。どうせそんな可愛らしさを持ち合わせていない事は、とっくの昔に存じ上げているのだ。
フンと内心で悪態をつき、リエラはさっさとその場を後にした。
そして翌日から醜聞に巻き込まれた。
燻んだ金の巻き髪に淡い緑の瞳。白磁の肌に整った顔立ち。
細身のせいか背は高く見え、役者のように舞台映えしそうな容姿が際立って見える。
そんなお見合い相手の彼──アッシュ・セドリー伯爵令息は、今まさに舞台の上にいるような大振りの動作で滔々と語る。
リエラが待ち合わせ場所に着くと、そこには恋人同士で、糊付けしたように張り付いた二人がいた。思わず呆然と立ち竦むリエラを睨みつけ、男の方が吐いた台詞がこれである。
(何これ……お兄様、酷くない?)
とは言っても問題はリエラにもあった。
リエラはサボっていたのだ。つまり婚活を。
妙齢の令嬢たちは皆、理想の相手に自分を良く見せる為に頑張ってアピールしていた。
好きな相手、気になる相手、高嶺だろうが孤高だろうが、唯一の花を掴みに這い上がっていく猛者たち。それがバイタリティ溢れる妙齢の令嬢たちの二つ名とも言えよう。
何故なら貴族女性は結婚で人生が左右される程に立場が弱い。
夫に従う事を全とされ、離婚や、不仲ですらも醜聞となるくらいだ。
だから愛人を囲うような冷え切った仲であろうと、表向きは仲良くする夫婦が多くいる。
つまり、結婚とは女性にとって人生を賭けた一世一代の勝負なのだ。
……しかしリエラはとは言うと、望まぬ相手に声を掛けられた時の異性の反応を知ってしまっているせいか、臆病だった。
痺れを切らした兄に、何度も「婚活をサボっている」と叱責された。
リエラとしても、そんな事は分かっているのだが、結局一歩踏み出せないままでいた。
(十六歳のデビュタントでは何とかパートナーを引き受けてくれたけれど……)
これ以上はもう無理だろう。
当面、パートナーが必要な夜会に参加する予定は無いが、もう引き受けて貰えるとは思えない。
そしていい加減、痺れを切らした兄に片っ端から見合いを申し込まれそうになっていた。
「お兄様、私の事は政治利用していただいて構いませんから」
「それが甘えているっていうんだ! 自分の将来の相手なんだぞ! 一生の話を何故もっと真剣に考えられない?!」
「……」
正論すぎて返す言葉もない。
けれど、真っ直ぐに歩けば目的地に辿り着ける人たちに、自分の気持ちなんて分からないでしょうとも思ってしまうのだ。
「知ってるか、従妹のリサは侯爵家の嫡男と婚約を結んだんだぞ!」
「存じております」
「モニカは近衞騎士との結婚が決まった」
「花形ですわね」
「メイミは隣国の公爵家に見染められたんだ!」
「ドラマチックですわ」
(親族が皆ハイスペック過ぎて、余計に肩身が狭いわ……)
「なのにお前ときたら……」
リエラはげんなりした。
「お兄様に任せますわ。適当に選んで下さいませ」
また説教が始まると、リエラはこの話を早々に打ち切った。
そのせいかしら。
そのせいなのかしら?
目の前のこの惨状は??
現実に引き戻されれば茶番はまだ続いており、二人は未だリエラに向かって真実の愛のなんたるかを叫んでいる。
(ああ、我が兄の目は節穴だった……)
由緒ある伯爵家は、兄の代で潰れるかもしれない。
そんな思考が頭を掠めるも、死んだ目をしたまま笑顔を貼り付け、この場をどうやり過ごそうかと思案した。
「申し訳ありませんが……!」
大きく息を吸いこんで、リエラは目の前でがなりたてる男──セドリー伯爵令息に向かい声を張った。
「この縁談はセドリー伯爵家とアロット伯爵家が纏めたものですので、意に沿わぬというなら、まずお互いの家に申し開きをするべきではありませんか?」
訝しげな目を向けるセドリー伯爵令息の隣には、目をうるうるさせている女性。
さき程からつらつら話していた内容からすると、彼女は平民で、二人は運命的な出会いをして結ばれた恋人同士らしい。
眩い金髪に海のように真っ青な瞳が美しい、愛らしい女性だ。
更にその容姿はアッシュに飾り立てられ、きらきらと輝いている。
(確かに可愛いけれど……)
しかしセドリー伯爵が二人の仲を認めず、貴族の妻を望み息子に縁談を持ちかけた。そしてこの場をすっぽかせず断れないようにと、王族に頼み込み、見合いの場の予約店に御名を使わせて貰ったのだそうだ。
セドリー伯爵家には王妃殿下の妹御様が嫁されているので、それくらいの融通はつくのだろう。
『君はなんて浅ましいんだ』
それで仕方がないから来たけれど、そこまでして自分と結婚しようとするリエラに対して向けた言葉がこれであった。
(……言葉が過ぎるわ)
リエラは思わず半眼になった。
(どうして私がご自分と結婚したいと熱望する事が前提なのかしら。伯爵ももう彼らの仲を認め、ついでに息子を見限ったらよろしいのだわ)
先程からの勝手な言い分に、つい辛辣な言葉が頭を過ぎる。
(お兄様に任せた私も馬鹿だったのだけれど)
どうせセドリー伯爵に王族の名前を出されて安心したのだろう。
確かに王家の名前を持ち出されたら断れないけれど、事前にどんな相手なのか知っていればこっちだって心構えくらい出来たのだ。
釣書を見て何も期待しないで来たけれど、結果は散々。期待しなかっただけマシとも言えない。
(はあ)
だから婚活を頑張らなければならないのに。けれど逃げているのは自分だ。もしかしたらこの場はそんな兄からの激励の意味が込められたもので──
(そんな訳ないわね)
上がり掛けていた兄の評価をばっさりと否定する。
あの単純な兄が。
ないないない、とリエラは内心で首を横に振った。
自分もまあまあ酷い妹である。
「それでは失礼しますわ」
時間にして十五分程のやりとりだっただろうか。
その間立たされたままだったリエラは、するりと踵を返した。
その様子を顰め面、無言で見送るセドリー令息と、その隣に張り付いて、まだうるうるしている女性にちらりと視線を向ける。
(私もうるうるする生き物が好きだから、気持ちは分かるわ。犬とか猫とか、可愛いものね)
リエラはふっと口元を綻ばせた。
「私はそちらの方のようにはなれませんから」
そう口にすればセドリー令息は満足そうに口元を歪ませた。
「ふ、ふん。そうか……」
けれどそう勝ち誇った顔の令息に、リエラは内心で舌を出す。
(当然、私は犬猫のようには生られません)
けどまあ、犬猫にも劣ると言われたらぐうの音も出ないけれど。どうせそんな可愛らしさを持ち合わせていない事は、とっくの昔に存じ上げているのだ。
フンと内心で悪態をつき、リエラはさっさとその場を後にした。
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