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第一章
しおりを挟むそれから約10分後、総理官邸に向かわせた竹田歩兵連隊及び北島歩兵連隊から、官邸を包囲している旧真田歩兵連隊と交戦状態に突入したと連絡があった。AK-47を標準装備のしたこちらの部隊に対して、相手は重火器があるとはいえ、旧装備で人数もこちらの約半数だ。それに練度も士気も明らかにこちらの方が高い。玉砕覚悟で突撃して来なければ、こちらの被害を最小限にして、そう時間をかけずに制圧できるだろう。問題は後始末か…。
「はぁ…」
思わず深い溜め息が漏れる。結構前に解雇しているとはいえ、今回の犯人は全員陸軍出身だから、世間の陸軍への風当たりは強くなるだろう…。
何か別のスキャンダル出して、世間の目を陸軍から逸らすかな。いや、これを揉み消せるほどのスキャンダルなんて流石にないか。
ドカーンという爆発音と共に建物が揺れた。
「敵から攻撃を受けております!窓から離れてください!」
護衛中隊の兵士が叫ぶ。
くそっ、こっちにも来たか。北島歩兵連隊と竹田歩兵連隊が官邸に到着してからの攻撃ということは、官邸の方が陽動でこっちが本命と見るべきか。今からこちらに戻らさせるとと逆に制圧部隊の背後を突かれるからそれはできない。
「木村陸将に無線をつないでくれ」
司令室の通信士がすぐに木村陸将に無線を繋ぐ。
『木村陸将、無事ですか?』
『俺は大丈夫だけど、最悪だ!こいつらも関東軍だ!あの連隊旗は旧菊池歩兵連隊だな。どこに隠して持ってたのか、九七式(九七式中迫撃砲)を複数持ってるみたいだ。暗くてどこから撃っているのか特定ができない!』
『わかりました。練馬から援軍を呼ぶので60分耐えれますか?』
『60分!?無理だ。30分はなんと耐えてみせるが、それ以上は保障できん!なるべく急がせてくれ!』
『弐式陸攻なら3分で来られると思いますけど、航空支援は必要ですか?』
『それなら、迫撃砲を見つけて潰すように頼んでみてくれ』
『了解』
無線を終了した直後に個別チャットで翔と繋ぐ。
『翔やばい。俺今陸軍省にいるんだけど、陸軍省も囲まれた』
『えっ、大丈夫なん!?』
『いや、このままだと30分で落ちる。弐式陸攻で敵の九七式見つけて潰してくれない?ここからだと、暗くて全然位置が特定できないから、そっちで見つけてほしいんだけど』
『ええけど、味方の九七式は近くにあれへんのやんな?』
『うん。関東には一両も配備してないから、見つけたら全部敵』
『わかった。任せてや。飛行隊に連絡するさかいチャット切るで。死なんといてや』
『最悪、地下トンネルで脱出するから心配しないで』
『わかった』
旧菊池歩兵連隊も旧真田歩兵連隊と同様に、引揚げの際に民間から略奪をしたため全員懲戒解雇としていた。旧菊池歩兵連隊は中国戦線でも常に最前線で戦果を上げていた精強な部隊だったが、荒くれ者が多く、軍規違反の略奪や非戦闘員への暴行も平気で行い、敵味方両方から恐れられ、「菊池連隊」を揶揄して「鬼畜連隊」と影では呼ばれていたほどだ。厄介払いができたと思っていたら災害級の厄介になって戻ってきた。
「閣下、念の為地下トンネルから脱出する準備をしておきます、こちらに着替えてください。」
木村三佐から渡された迷彩服とヘルメット、防弾ベスト、半長靴に着替える。いざという時のために、拳銃(トカレフTT-33)と俺がB.O.E.Mで愛用していたのでアメリカのウィンチェスター社から30挺だけサンプルでとして購入したショートバレルのショットガン、M1912(ライオット)を装備した。
陸軍省が落ちると軍の機密情報の漏洩があるから絶対に落とさせるわけにはいかない。それに、組織改革後の陸軍の威信をかけて、旧関東軍に負けられない!でも、いよいよ落ちるとなったら、陸軍省庁舎への空爆も視野にいれなければいけないな…。
「よし、万が一に備えて、今のうちに司令室を地下司令室に移す!全員準備しろ!」
木村陸将がすんなり突破されるはずもないので、今のところ庁舎内に敵は侵入してきていないが、楓さんが心配なので直接迎えに行くことにした。木村三佐は脱出トンネルの準備のために先に地下に移動しているので、常に俺の側に待機している護衛中隊所属の兵士2名と共に2階の廊下に出ると、機材や書類を持った職員、弾薬を運ぶ兵士が慌ただしく走り回っていた。応接室は1階にあるので、応接室で楓さんとお母さんをピックアップして、そのまま地下に降りるつもりだ。
応接室の前には女性兵士が2人がAK-47を構えて立っていたが、俺の姿を見つけると踵を鳴らして敬礼をしてきたので、こちらも答礼する。
女性兵士がドアを開けてくれたので、応接室の中に入ると、楓さんが座っていたソファから立ち上がってこちらに駆け寄ってきた。
女性兵士の1人が警戒の為に楓さんの背後の窓から外を覗こうとした瞬間ガラスが割られ、騒動の前から駐屯地内に潜んでいたと思われる別働隊の敵兵が女性兵士に向かって発砲した。俺は瞬間的にトカレフTT-33を抜いて侵入してきた兵士の頭を撃ち抜いた。この世界に来てからは趣味で毎日射撃訓練をしていたのとB.O.E.Rで鍛えたエイム力と反射神経が役に立った。
「佐藤二曹!平気か!?」
「はい!腕を掠っただけなので、問題ありません!」
俺は佐藤二曹の怪我の手当てを、もう一人の女兵士に任せて楓さんの元に駆け寄った。
「楓さん、お迎えに参りました」
演技がかったキザな言い方になったが、目の前で女性兵士が撃たれたことと(腕に当たったので命に別状はない)、初めて人を殺した直後という非常事態で咄嗟に出たセリフということで許して欲しい。
「はいっ、お待ちしておりました。」
そう言って目にいっぱい涙を溜めながら笑顔で俺の手を強く握る楓さん。俺の恥ずかしいセリフにノリノリで応えてくれた楓さんの手は震えていた。
「楓さん、ここはもう危険だから地下司令室に移動しますよ。お母さんも付いてきてください。」
応接室から地下司令室に向かう途中の廊下でも一度敵と遭遇したが、護衛の兵士が反応する前に俺がショットガンで射殺した。やはり屋内ではショートバレルのショットガンはかなり有効だ。
敵も総理大臣が、戦えるとは想像してなかっただろう。残念だったな、ショットガンなら恐らく国内トップ10に入ってた俺が建物内の1v1で負けるわけがない。
「はぁ…」
思わず深い溜め息が漏れる。結構前に解雇しているとはいえ、今回の犯人は全員陸軍出身だから、世間の陸軍への風当たりは強くなるだろう…。
何か別のスキャンダル出して、世間の目を陸軍から逸らすかな。いや、これを揉み消せるほどのスキャンダルなんて流石にないか。
ドカーンという爆発音と共に建物が揺れた。
「敵から攻撃を受けております!窓から離れてください!」
護衛中隊の兵士が叫ぶ。
くそっ、こっちにも来たか。北島歩兵連隊と竹田歩兵連隊が官邸に到着してからの攻撃ということは、官邸の方が陽動でこっちが本命と見るべきか。今からこちらに戻らさせるとと逆に制圧部隊の背後を突かれるからそれはできない。
「木村陸将に無線をつないでくれ」
司令室の通信士がすぐに木村陸将に無線を繋ぐ。
『木村陸将、無事ですか?』
『俺は大丈夫だけど、最悪だ!こいつらも関東軍だ!あの連隊旗は旧菊池歩兵連隊だな。どこに隠して持ってたのか、九七式(九七式中迫撃砲)を複数持ってるみたいだ。暗くてどこから撃っているのか特定ができない!』
『わかりました。練馬から援軍を呼ぶので60分耐えれますか?』
『60分!?無理だ。30分はなんと耐えてみせるが、それ以上は保障できん!なるべく急がせてくれ!』
『弐式陸攻なら3分で来られると思いますけど、航空支援は必要ですか?』
『それなら、迫撃砲を見つけて潰すように頼んでみてくれ』
『了解』
無線を終了した直後に個別チャットで翔と繋ぐ。
『翔やばい。俺今陸軍省にいるんだけど、陸軍省も囲まれた』
『えっ、大丈夫なん!?』
『いや、このままだと30分で落ちる。弐式陸攻で敵の九七式見つけて潰してくれない?ここからだと、暗くて全然位置が特定できないから、そっちで見つけてほしいんだけど』
『ええけど、味方の九七式は近くにあれへんのやんな?』
『うん。関東には一両も配備してないから、見つけたら全部敵』
『わかった。任せてや。飛行隊に連絡するさかいチャット切るで。死なんといてや』
『最悪、地下トンネルで脱出するから心配しないで』
『わかった』
旧菊池歩兵連隊も旧真田歩兵連隊と同様に、引揚げの際に民間から略奪をしたため全員懲戒解雇としていた。旧菊池歩兵連隊は中国戦線でも常に最前線で戦果を上げていた精強な部隊だったが、荒くれ者が多く、軍規違反の略奪や非戦闘員への暴行も平気で行い、敵味方両方から恐れられ、「菊池連隊」を揶揄して「鬼畜連隊」と影では呼ばれていたほどだ。厄介払いができたと思っていたら災害級の厄介になって戻ってきた。
「閣下、念の為地下トンネルから脱出する準備をしておきます、こちらに着替えてください。」
木村三佐から渡された迷彩服とヘルメット、防弾ベスト、半長靴に着替える。いざという時のために、拳銃(トカレフTT-33)と俺がB.O.E.Mで愛用していたのでアメリカのウィンチェスター社から30挺だけサンプルでとして購入したショートバレルのショットガン、M1912(ライオット)を装備した。
陸軍省が落ちると軍の機密情報の漏洩があるから絶対に落とさせるわけにはいかない。それに、組織改革後の陸軍の威信をかけて、旧関東軍に負けられない!でも、いよいよ落ちるとなったら、陸軍省庁舎への空爆も視野にいれなければいけないな…。
「よし、万が一に備えて、今のうちに司令室を地下司令室に移す!全員準備しろ!」
木村陸将がすんなり突破されるはずもないので、今のところ庁舎内に敵は侵入してきていないが、楓さんが心配なので直接迎えに行くことにした。木村三佐は脱出トンネルの準備のために先に地下に移動しているので、常に俺の側に待機している護衛中隊所属の兵士2名と共に2階の廊下に出ると、機材や書類を持った職員、弾薬を運ぶ兵士が慌ただしく走り回っていた。応接室は1階にあるので、応接室で楓さんとお母さんをピックアップして、そのまま地下に降りるつもりだ。
応接室の前には女性兵士が2人がAK-47を構えて立っていたが、俺の姿を見つけると踵を鳴らして敬礼をしてきたので、こちらも答礼する。
女性兵士がドアを開けてくれたので、応接室の中に入ると、楓さんが座っていたソファから立ち上がってこちらに駆け寄ってきた。
女性兵士の1人が警戒の為に楓さんの背後の窓から外を覗こうとした瞬間ガラスが割られ、騒動の前から駐屯地内に潜んでいたと思われる別働隊の敵兵が女性兵士に向かって発砲した。俺は瞬間的にトカレフTT-33を抜いて侵入してきた兵士の頭を撃ち抜いた。この世界に来てからは趣味で毎日射撃訓練をしていたのとB.O.E.Rで鍛えたエイム力と反射神経が役に立った。
「佐藤二曹!平気か!?」
「はい!腕を掠っただけなので、問題ありません!」
俺は佐藤二曹の怪我の手当てを、もう一人の女兵士に任せて楓さんの元に駆け寄った。
「楓さん、お迎えに参りました」
演技がかったキザな言い方になったが、目の前で女性兵士が撃たれたことと(腕に当たったので命に別状はない)、初めて人を殺した直後という非常事態で咄嗟に出たセリフということで許して欲しい。
「はいっ、お待ちしておりました。」
そう言って目にいっぱい涙を溜めながら笑顔で俺の手を強く握る楓さん。俺の恥ずかしいセリフにノリノリで応えてくれた楓さんの手は震えていた。
「楓さん、ここはもう危険だから地下司令室に移動しますよ。お母さんも付いてきてください。」
応接室から地下司令室に向かう途中の廊下でも一度敵と遭遇したが、護衛の兵士が反応する前に俺がショットガンで射殺した。やはり屋内ではショートバレルのショットガンはかなり有効だ。
敵も総理大臣が、戦えるとは想像してなかっただろう。残念だったな、ショットガンなら恐らく国内トップ10に入ってた俺が建物内の1v1で負けるわけがない。
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