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なにあれ・・・・
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日中と違い夜は比較的涼しかったが、今日はべっとりと肌に吸い込むように湿気が多かった。空には、綺麗な満月が浮かんでいるので明るい夜だ。
湿気で髪が広がるのを気にしながら、司とゆっくり歩いて行く。
田舎とはいえ、初めて通る道に司は少し興奮しているように見える。
私は幼いころから祖母と散歩でよく歩いていた道だ。周りは田畑が広がるだけの、見どころもない場所だが道の脇に生える草花を摘みながら祖母と歩く散歩はとても楽しかったのを覚えている。
時折、何処からともなく鳥なのか動物なのか分からないが「キィ」と鳴き声が聞こえてくる。
「うわっ」
そんな声にもいちいち反応する司をからかいながら、楽しく歩いていた。
結構離れた所に、チラチラと明かりが見えるのは恐らく由美子達の懐中電灯の灯りだろう。
「あいつらもうあそこまで行ってるのかよ」
「本当だ。早いね、怖くて走ったとか?」
「ハハハ」
「ハハハ・・・・ハハ・・・え?」
明かりの動きが不自然だ。
私達のように道を歩いていれば、懐中電灯を自分の進む方向に向けたり興味がある方向に向けたりする。しかし、今私達が見ている明かりは、何故か真っ直ぐこちらを照らすかのように向いている。
「私達の方を向いてるのかしら」
「かもね。こっちも合図してやるか」
司は持っている懐中電灯を、由美子達の灯りに向けグルグルと回し始めた。その光に反応したかのように由美子達の懐中電灯の光も同じようにグルグルと回った。
「あいつら余裕だな」
「うん」
私達は笑いながらまた歩き出した。
その笑いもすぐに消える事になる。由美子とユウが一つずつ持っているはずの懐中電灯の光が、一つしかないのに気が付いたからだ。
「ね、おかしくない?私たち一人ずつ懐中電灯持っているはずなのに、何であれ一つしかないの?・・・それに、いつまでもグルグル回して・・・」
「確かに・・・あれ?こっちに来てないか?もしかしたら落として壊したのかもしれないな。取り敢えず合流しようぜ」
司は歩みを速めたが、私は何か言い知れぬ不安がよぎり足が進まない。私に構わず先を歩く司を止めようと何か言いたくても、喉がひりついて声が出ない。
「ん?どうした?行くよ」
ついてこない私に気が付いた司は、振り向き私の手を取り歩き出した。
私達と、未だグルグル回る由美子達のライトが次第に近づく。
「お~い。どうした~」
司が突然大きな声で、由美子達に声を掛けた。余りにも突然だったので、私は体全体で驚いてしまう。司は、繋いでいた手からそれを感じ取ったのか
「はっはは。ごめんごめん。驚いた?もう一回声かけてみるね?お~い」
声を掛けられた由美子達は、特に私達に返事をすることなく相変わらずグルグルと懐中電灯を回しながらこちらに近づいてくる。
「なんか・・・走ってる?」
「・・・ああ。もしかしたら何かあったのかもしれないな。急ごう!」
司は不安そうな顔をして、私の手をひき走り出す。
湿気で髪が広がるのを気にしながら、司とゆっくり歩いて行く。
田舎とはいえ、初めて通る道に司は少し興奮しているように見える。
私は幼いころから祖母と散歩でよく歩いていた道だ。周りは田畑が広がるだけの、見どころもない場所だが道の脇に生える草花を摘みながら祖母と歩く散歩はとても楽しかったのを覚えている。
時折、何処からともなく鳥なのか動物なのか分からないが「キィ」と鳴き声が聞こえてくる。
「うわっ」
そんな声にもいちいち反応する司をからかいながら、楽しく歩いていた。
結構離れた所に、チラチラと明かりが見えるのは恐らく由美子達の懐中電灯の灯りだろう。
「あいつらもうあそこまで行ってるのかよ」
「本当だ。早いね、怖くて走ったとか?」
「ハハハ」
「ハハハ・・・・ハハ・・・え?」
明かりの動きが不自然だ。
私達のように道を歩いていれば、懐中電灯を自分の進む方向に向けたり興味がある方向に向けたりする。しかし、今私達が見ている明かりは、何故か真っ直ぐこちらを照らすかのように向いている。
「私達の方を向いてるのかしら」
「かもね。こっちも合図してやるか」
司は持っている懐中電灯を、由美子達の灯りに向けグルグルと回し始めた。その光に反応したかのように由美子達の懐中電灯の光も同じようにグルグルと回った。
「あいつら余裕だな」
「うん」
私達は笑いながらまた歩き出した。
その笑いもすぐに消える事になる。由美子とユウが一つずつ持っているはずの懐中電灯の光が、一つしかないのに気が付いたからだ。
「ね、おかしくない?私たち一人ずつ懐中電灯持っているはずなのに、何であれ一つしかないの?・・・それに、いつまでもグルグル回して・・・」
「確かに・・・あれ?こっちに来てないか?もしかしたら落として壊したのかもしれないな。取り敢えず合流しようぜ」
司は歩みを速めたが、私は何か言い知れぬ不安がよぎり足が進まない。私に構わず先を歩く司を止めようと何か言いたくても、喉がひりついて声が出ない。
「ん?どうした?行くよ」
ついてこない私に気が付いた司は、振り向き私の手を取り歩き出した。
私達と、未だグルグル回る由美子達のライトが次第に近づく。
「お~い。どうした~」
司が突然大きな声で、由美子達に声を掛けた。余りにも突然だったので、私は体全体で驚いてしまう。司は、繋いでいた手からそれを感じ取ったのか
「はっはは。ごめんごめん。驚いた?もう一回声かけてみるね?お~い」
声を掛けられた由美子達は、特に私達に返事をすることなく相変わらずグルグルと懐中電灯を回しながらこちらに近づいてくる。
「なんか・・・走ってる?」
「・・・ああ。もしかしたら何かあったのかもしれないな。急ごう!」
司は不安そうな顔をして、私の手をひき走り出す。
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