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一番の選び方
しおりを挟む妹はよく私の『一番』について聞いてくる。一番好きな色、一番好きな食べ物などなど……
私は、一番という言葉が苦手だと思う。あまり好きではないコンセプトだが、多分一番という言葉を乱用しているとも思う。そのせいで……そのせいだけではないと思うが、子供の頃はよく『問題』を起こしていた。
多分一番心に残っているのは、幼稚園で、一番好きな色で自分の名前を書いてみるという壮大なプロジェクトにチャレンジしていた時の出来事だろう。私は一番が選べず全部一番にしようと思い、12色の色鉛筆全ての色を使って名前を書こうとしていた。しかし! 私の名前は11文字で書けた。つまり一色あまる。一色だけ省いたら可哀想な気がして、改名するという手段を選んだ。そこで思いついたのが、この国では○○ソンという名字が多いのだが、基本ダブルSで『ソン』と綴る。でも、私の両親は外国人で、シングルSで『ソン』と書いた。そこで、ダブルSに改名した上で、その内の一つを白にすれば、側から見たら改名したことがバレないだろうと企んだ。まぁ、バレたが。
先生に一番好きな色しか選んだらいけないと言われ、全部一番好きだったら? と聞きき返すと、全部好きなら一番がないことになると言われた。納得いかなかったので、私は自分の名前を12回(最初の却下されたのも入れれば13回)書いた。
しかし、何かの一番を聞かれることはそれからも多々あり、私は人の真似をして適当な答えを言うようになった。つまり社会に馴染もうとした。だが何事も上手くできない私は、青が好きと言ったそばから他の子には緑が好きだと告げていたので、よく嘘つきとか、自分の意思がないとか言われた。
ちなみに、私が今まで出会ってきた人たちは、誰も比べられないので皆それぞれ一番だ……
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