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 はじめまして。
 楽しんでいただけましたら嬉しいです( *゚д゚)) 。_。))( *゚д゚)) 。_。))ペコペコリ

 では、はじまりはじまり~♪( ´▽` )ノ


*************


 婚約者さまが深いため息を吐いてから言いました。

「相変わらず察しの悪い。どうして私の婚約者はこんなに気の利かない女なんだろうな」

 いつものことだからわたくしが傷付くことはありません。
 いいえ、多少は傷付いていた頃もあったのかもしれませんが。

 同じことを繰り返されていれば、それは日常となって、心を動かされるものではなくなるのでしょうね。

 ですからわたくしも、いつも通り少し眉をさげて「申し訳ありません」と。一言伝えればそれで終わりのはずだったのです。

 けれども今日のわたくしは、いつもと同じようには出来ないよう。
 もう今朝の出来事で、わたくしは覚悟が決まっていたのです。


 まずは婚約者さまと同じように深い深いため息を吐き出しました。
 この時点で婚約者さまは驚くようにしてこちらを凝視しておりましたが。

 気にせずにわたくしは問い掛けたのです。

「察しを良くするとは、つまり愚鈍なあなたさまに合わせ、知性のない会話をせよと。そういうことでよろしいのでしょうか?それとも──」

「は?」

 これだけ目を見開いてこちらを見る婚約者さまのお姿を拝見するのは、初めてのことだと気付きます。
 何せ記憶を辿っても辿っても、思い出すのは眠たそうに目を細め、嫌そうに私を一瞥したのち、すぐに目を逸らして別のところに視線を向ける婚約者さまの横顔ばかり。

 意外とぱっちりしたお目目をされていらしたのね、なんて。
 場違いなことも思いつつ。

 わたくしは言葉を続けます。

「あなたさまのご成績の悪さを察して、それ以下の成績となるように試験ではおおいに手を抜き、学園でも愚かなる振舞いをして過ごせ、そういうことでございましょうか。あぁ、それとも──」

「なっ、何を言って……」

「あなたさまがこの婚約にご不満を持つことを察して、早期に婚約を解消するよう立ち回ることをお望みでしたでしょうか?」

 意外と大きかった両の目が、ますます大きくなりました。
 口までだらしなくぽかんと空けたままの婚約者さまを見ていたら。

 わたくしのこの決定は正しいように感じられたのです。

 そのように自信を抱いたせいで、わたくしも少しばかり饒舌になり過ぎた、とは思いますのよ。

「なにぶん察しが悪いものですから。はっきりと分かりやすいお言葉で伝えてくださると大変有難く。気の利かないわたくしに付き合わせてしまうことは大変申し訳なく思っておりますのよ?ですが──、お答え願えます?」

 このときのわたくしの心は、澄み渡る空のように晴れ晴れとしたものでした。
 それは、もっと早くこうしていたら、と思うほどに心地の好い感覚で。

 そんな上気分に後押しされて自信を得た決意もまた、揺らぎようのないものに形を変えて──。


 ですからね。
 ありがとうございます、婚約者さま。

 あなたさまが婚約者でなかったら、わたくしもこのように強く決意することは難しく、知っていて何もしない貴族令嬢やがては貴族夫人という、わたくしがわたくしを決して許さない、そんな曲がった生き方を続けてしまうところでしたもの。

 だから今日の最後には感謝の言葉をお伝えしようと思いますわ、婚約者さま。

 わたくし、本当に感謝しておりますのよ?


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