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人妻と両思いと
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翠華の結婚から三年の月日が流れたある日。
「モラハラ、浮気、産婦人科で問題ないと診断されたにもかかわらず不妊扱いされた事による名誉毀損。翠華さん、証拠もありますし十分勝てますよ」
ほっとした様な気まずそうな表情で弁護士の話を聞く翠華、そんな彼女を心配そうに見つめるのは法律事務所でバイトをしている隼人だった。
隼人が翠華の幸せを願って過ごしている間、翠華は幸せな結婚生活を送っていなかった。優しそうに見えた夫は結婚した途端酷い男へと変貌を遂げる。
翠華の事は家政婦扱いで共働きなのに家事は全て翠華に丸投げ、夜の営みは翠華が嫌がっても強引に抱かれた日々。暴言当たり前のように吐かれて、隠しもしない浮気に我慢し続けた三年間。
やっと離婚すると翠華は決心し父の友人で隼人が憧れている人の弁護士事務所に来ていた。
翠華が結婚してからお互い顔を合わせる事を避けていた姉弟、隼人は久々に見た姉の姿に後悔をしていた。大好きだった笑顔はなく疲れ切った表情で、体型はさほど変わっていなかったが頬はこけやつれている。
話し合いが終わり隼人と翠華は弁護士事務所から匿ってもらっている友達の家に帰宅する事になった、まだ離婚を認めていない夫が翠華を探しに来る可能性もある為一人にするなと父親から使命を受けている隼人。
『翠華に悪かったと伝えてくれ』
辛そうな父親の声を思い出すと、隼人はなんとも言えない気持ちになる。
父親にとっては幸せを願って送り出した娘の不幸、しかも母親と同じように酷い目に遭わされていたと知った。夫のDVが発覚したのも翠華からのSOSでは無く、翠華の友人が心配をして隼人に相談したのがきっかけだった。
『姉さん、俺と逃げてっ』
黙って耐えていた翠華を、隼人は夫がしていた浮気の証拠を揃えてそれを盾に家から連れ出した。差し出された隼人の手を必死に掴み、翠華は二人でこの法律事務所に駆け込んだのだった。
翠華を守る為に隼人はバイトを早めに帰らせてもらう。免許を取った隼人は助手席に翠華を乗せて自宅へと向かいつつ、気まずそうな姉をたまに横目で見ていると。
「迷惑かけてごめん」
と翠華は呟いた。
「迷惑じゃないし姉さんが謝る事じゃないよ、それよりなんでもっと早く言わなかったの。俺は姉さんが幸せなんだってずっと思ってたよ」
さっきの事務所での話だと結婚してすぐ相手の態度が変わったと言っていた、しかしそれでも三年も結婚生活を続けていたのだ。
しかも友達が隼人に相談しなければその生活はもっと続いていただろう、きっと翠華は今も耐えていたはずだ。
真剣な隼人がのいかけに彼女は口籠る、それを無理やり聞こうとせずに「まぁ別に良いけど」と済まそうとした弟へ搾り出す様な声で言った。
「自業自得なの」
「え?」
「私が愛のない結婚をしたからいけなかったのっ」
誰にもいえなかった真実、翠華は泣きそうになりながらそう呟いたあとは口を開かなかった。そんな翠華を抱きしめたいと思った隼人だったが、運転中な為それは叶わなずただ車を走らせるしかなかった。
車を止めるそこは海が見える公園だった。
「・・・ここは?」
「デートスポット」
窓の外にはすっかり暗くなりライトアップされた橋が、真っ暗な海にも映り美しい景色が広がっていた。家ではなく夜景のキレイな場所についた事に驚いた声をあげる翠華、その質問に恥ずかしげもなく答える隼人は続けて口を開いた。
「俺助手席に人を乗せたの初めて、父さんと母さんも乗ったことないし」
「・・・」
「デートもした事ないし、デートスポットって言われる所に来るのも初めてだ」
「はや、と、なんで」
「誰かと手を繋いだ事だって、エロいことした事だって、キスだって、セックスだって」
「やめ、て、もう、いわない、でっ」
「全部大好きな姉さんが初めてなんだ」
「っっっ」
翠華は声も出せずに涙を流す、何度か苦しそうに息をした後必死に声を絞り出した。
「こんな酷い女、のこと、なんて、忘れてくれれば、いいの、に」
「俺の初めては全部好きな人に奪われた、こんな幸せなことなんてないのに・・・酷い女なんて言うなよ」
苦しそうな翠華の声を隼人は優しい声色で包み込む、そんな優しさに翠華はポロリと涙を流した。
「だって、だってっ、ぐすっ、私、隼人、以外の男と、結婚、っ、しちゃった、のに」
「姉弟だから世間体や俺のことを考えてくれたんだろ? 父さんにも反対されて辛いのに一人で抱えてくれたんだろ?」
「でもっ、はや、とに、ううっ、辛い思い、させちゃった、し」
「姉さんは辛くなかったの? 愛のない結婚をしちゃって」
何よりも翠華のことを思いやる隼人の言葉、その優しさに涙が止まるわけがなかった。
「っ、づら、がったぁああ、ほ、ほんどは、はやととぉ結婚、じだがっだぁぁ」
やっと気持ちを吐き出した翠華、そんな彼女の頭を隼人は優しく撫でた。
「姉さん」
「ううっ、ゔわーん」
今まで我慢していたのか翠華の涙は止まらず、声を出してないた。
「でもぉ、うぅ、わたし、と、いてもぉ、ひっく、しゅくふくっ、されないからぁ」
隼人は泣きながら気持ちを伝えてくれる翠華の頭を撫でながら思いっきり泣かせる。少し落ち着いてきた頃に、隼人はゆっくりと口を開いた。
「父さんが謝ってた」
「うぅ、ひっく、おとう、さんが?」
「『好きな人と結婚させられなくて、翠華に悪い事をした』って」
「・・・ずずっ」
翠華は鼻を啜りながらも真剣な眼差しで隼人の言葉に耳を傾ける、確かに翠華が隼人以外の人と結婚したのは父親に反対されたことも理由の一つだ。
翠華をDV夫から連れ出し友人に預けた後、証拠と共に翠華の現状を両親に伝えた時に。
『翠華、すまないっ』
と父親は呟いた。
『母さんが元夫に傷つけられていた時に、母さんも娘も絶対守ろうって決めてたのに』
そんな思いがあった為大企業に勤め、しっかりしていると思いお見合いを進めたのに。結果母親と同じようにDV被害を受けてしまう、だけどそれは父親のせいではない。
『結婚して一緒に過ごさないと相手がどんな人かわからないものよ』
そう言ってフォローしたのは母親。
『一番は愛する人と結婚する事だけど』
とも呟く。
母親も翠華と隼人の思いは知っていた、そして父親が反対した事も。
『翠華には最終的には自分で決めるように伝えていたから、最終的に結婚を選んだのはあの子自身。もちろん翠華もお父さんも悪くないわよ、DVするかどうかなんて隠されればわかるわけないし』
そう言ってから一呼吸置いて。
『だけどもういいんじゃないかしら、愛する人と一緒になっても』
その母親の言葉に父親は静かな口調で『そうだな』と一言つぶやいたのだった。
「・・・うぅ、お父さん、お母さんっ」
話を聞いた翠華の瞳からますます涙が溢れる、母親も父親も自分の事をこんなにも考えてくれていたのだ。そして誰よりも愛している弟も、優しい眼差しで翠華を見つめている。
「俺さ、姉さんが好きすぎて調べちゃったんだ。養子縁組しててても、血が繋がっていなければ結婚できるって」
続けた隼人の言葉に対しては驚かない翠華、どうやらネットで調べて知識はあったらしい。
「知ってた?」
「私も、気になって、ネットで検索、した・・・隼人と結婚したくて」
そう言いながら恥ずかしそうに染まった耳に隼人は微笑む。
「嬉しい、俺の事考えてくれた事が、嬉しい」
「ぐす、ふふっ」
嬉しそうな隼人の声を聞いて翠華は涙を流しながらニコリと笑った、それはやっと見れた隼人の大好きな人の笑顔。
「翠華」
「え?」
「翠華、姉さんとしてじゃなくて、俺の恋人に、なってくれませんか?」
やっと言えた隼人の愛の告白に翠華は嬉しそうに微笑んでからすぐに顔を曇らせる。
「あの、でも」
「ん?」
「私、隼人を、裏切っちゃった」
「それでも翠華が好きだし、俺のためだって分かっているから」
「でも、でもっ、大好きな小学生の弟に痴女みたいなことしちゃうし、その後もちょっかいばっかりかけちゃう、ちょっと変態な私なんて・・・やめておいた方がいいよ?」
「大丈夫、俺痴女も変態大好きだもん」
「っ、もう、そこは『そんな事ないよ』っていってよっ」
「変態でも痴女でも、どんな翠華も大好きだ」
フォローになってないフォローに翠華はくしゃりと顔を歪めた。
「ありがとう、隼人」
「俺も小学生の時翠華が誘ってくれた事、感謝してる」
「もう、言わないでよ・・・ふふっ、これからよろしくお願いします、私の大好きな隼人」
こうして二人はやっと両思いになったのだった。
車の中で見つめ合う二人、自然と顔が近付き重なり合うのは自然な流れ。
のはずだったが。
「あ」
「え?」
「ダメだ、姉さんと付き合えない」
「ええ!? や、やっぱり私酷いことしたから嫌いに」
「いやいやそうじゃなくて、今の状態じゃ姉さんも不倫になるでしょ」
「あ、・・・確かに」
こうして二人の心も体も結ばれるのはもう少し後になってしまったのだった。
「ちょっと告白するの早かったな」
「でもすごく嬉しかった」
結局あれから数日経ったが二人は実家って入るがまだ離婚が成立していない、恋人らしいこともお互いの体に触れることもキスすらしていない。
両親は出戻ってきた翠華を優しく出迎え、寄り添う姉弟の姿を優しい瞳で見守っている。そして離婚問題については弁護士を通して欲しいとDV夫に伝えているが、翠華に直接連絡をとり離婚をごねている状態だ。
『女とは別れる、愛しているのはお前だけ』
『愛し合った仲だろ、大好きな俺がいなくなってお前は平気な訳がない』
様々なクズ夫の言い訳テンプレートがメールにも留守電にも残されていく、翠華は『最初から今まで好きだと思った事はない』と返信してやろうかと思ったが、流石に隼人に止められた。
しかしこんな茶番ももうすぐ終わる、今度弁護士を交えた話し合いで必ず決着はつくと太鼓判を押されていた。そして今現在二人は翠華の離婚を待ちつつ仲のいい姉弟として仕切りであるカーテンが無くなった二人の部屋でもうすぐ寝ると言う状態だ。
「あー、でも人妻な姉さんももう少しで終わりかぁ」
「なんでそんなに残念そうなの」
くすくす笑い合いながらそれぞれ自分のベッドに座り向かい合ってお互いの姿を見る、実家に帰ってきてから翠華は相変わらず無防備で大きめのTシャツしか着ていない状態。しかもそれは隼人のシャツでほのかに香る彼の匂いし興奮しているのか、顔が高揚している。
「だって人妻って言葉がエロいじゃん」
そう言う隼人はというと翠華の姿にちんこが起ち上がっているのも隠さず、それどころかパンツからそれを取り出し扱き始めている。
シュッ、シュッ
翠華もその音と大きくなっていくちんこを見つつ徐にシャツの裾から手を入れてまんこをいじっていた、しかしその様子を隠しながらする行為に隼人は不服な声を上げる。
「隠さないで、見たい」
「でもぉ、私のおまんこ、もう綺麗じゃないもん」
いつも隼人が『綺麗だ』と言っていた翠華の秘部、しかし結婚してから当然夜の営みはあった為もう綺麗ではないと翠華は落ち込んでいた。
そんな翠華に隼人は優しくほほえんで。
「大丈夫、翠華のまんこは絶対綺麗」
「うぅ、そんな、こと」
「それに人妻まんこ、見てみたい」
「・・・バカ」
隼人の変態ちっくな発言に悪態をつきつつも嬉しそうな顔の翠華はそっと隼人に向けて股を開いた、恥ずかしそうな仕草をしながらも指でまんこを広げて中まで隼人に見せつける。
「んっ、どう、かな」
「はーっ、やっぱり綺麗だよ、姉さんのまんこ」
ある程度距離をとってお互いオナニーをしているがそれでも淫らな姿はよく見えるようで、興奮した隼人のちんこからとろりと汁が垂れる。その様子に少し遠慮がちだった翠華は物欲しそう口を半開きにする。
「はやと、の、ちんこぉ、逞しい、大人になってるぅ」
「はぁ、早く、ふぅ、俺の突っ込みたい」
「私も、おっきいのぉ、はやく、ほしいっ」
甘いやり取りに襲いたい気持ちを抑えつつ、お互いの手の動きを早める。
くちゅっ、ぴちゃっ
シュッ、シュッ
いやらしい水音と擦る音が部屋に響くが、これはお互い自慰行為をしているだけで恋人達の戯れではない。そう、ただお互いの淫らな姿をおかずにしているだけだ。
「あっ、あっ、あぁん、いいよぉ、はや、とぉ」
「はぁう、ねえさ、っ、まんこ、本当に綺麗だ、翠華っ」
ぐちゃっ、ぐちゃっ
「隼人のぉ、おちんちん、ぁ、素敵なのぉ」
シコシコシコシコシコ
「はぁ、翠華、あぁ、エロいぃ」
お互いを思いつつの自慰行為、久々に見たお互いのいやらしい姿に絶頂はすぐにやってきた。
「あんっ、んん、もうもうっ、でちゃっ、」
「俺もっ、一緒に、あっ」
「あぁん、はあああぁん」
「い、くぅっ、っ」
びくん、びくん
ピュー、ピュー
こうして二人はたまたま同じ部屋でたまたまお互いオナニーして、そしてたまたま同じタイミングで達した仲のいい姉弟だった。
「モラハラ、浮気、産婦人科で問題ないと診断されたにもかかわらず不妊扱いされた事による名誉毀損。翠華さん、証拠もありますし十分勝てますよ」
ほっとした様な気まずそうな表情で弁護士の話を聞く翠華、そんな彼女を心配そうに見つめるのは法律事務所でバイトをしている隼人だった。
隼人が翠華の幸せを願って過ごしている間、翠華は幸せな結婚生活を送っていなかった。優しそうに見えた夫は結婚した途端酷い男へと変貌を遂げる。
翠華の事は家政婦扱いで共働きなのに家事は全て翠華に丸投げ、夜の営みは翠華が嫌がっても強引に抱かれた日々。暴言当たり前のように吐かれて、隠しもしない浮気に我慢し続けた三年間。
やっと離婚すると翠華は決心し父の友人で隼人が憧れている人の弁護士事務所に来ていた。
翠華が結婚してからお互い顔を合わせる事を避けていた姉弟、隼人は久々に見た姉の姿に後悔をしていた。大好きだった笑顔はなく疲れ切った表情で、体型はさほど変わっていなかったが頬はこけやつれている。
話し合いが終わり隼人と翠華は弁護士事務所から匿ってもらっている友達の家に帰宅する事になった、まだ離婚を認めていない夫が翠華を探しに来る可能性もある為一人にするなと父親から使命を受けている隼人。
『翠華に悪かったと伝えてくれ』
辛そうな父親の声を思い出すと、隼人はなんとも言えない気持ちになる。
父親にとっては幸せを願って送り出した娘の不幸、しかも母親と同じように酷い目に遭わされていたと知った。夫のDVが発覚したのも翠華からのSOSでは無く、翠華の友人が心配をして隼人に相談したのがきっかけだった。
『姉さん、俺と逃げてっ』
黙って耐えていた翠華を、隼人は夫がしていた浮気の証拠を揃えてそれを盾に家から連れ出した。差し出された隼人の手を必死に掴み、翠華は二人でこの法律事務所に駆け込んだのだった。
翠華を守る為に隼人はバイトを早めに帰らせてもらう。免許を取った隼人は助手席に翠華を乗せて自宅へと向かいつつ、気まずそうな姉をたまに横目で見ていると。
「迷惑かけてごめん」
と翠華は呟いた。
「迷惑じゃないし姉さんが謝る事じゃないよ、それよりなんでもっと早く言わなかったの。俺は姉さんが幸せなんだってずっと思ってたよ」
さっきの事務所での話だと結婚してすぐ相手の態度が変わったと言っていた、しかしそれでも三年も結婚生活を続けていたのだ。
しかも友達が隼人に相談しなければその生活はもっと続いていただろう、きっと翠華は今も耐えていたはずだ。
真剣な隼人がのいかけに彼女は口籠る、それを無理やり聞こうとせずに「まぁ別に良いけど」と済まそうとした弟へ搾り出す様な声で言った。
「自業自得なの」
「え?」
「私が愛のない結婚をしたからいけなかったのっ」
誰にもいえなかった真実、翠華は泣きそうになりながらそう呟いたあとは口を開かなかった。そんな翠華を抱きしめたいと思った隼人だったが、運転中な為それは叶わなずただ車を走らせるしかなかった。
車を止めるそこは海が見える公園だった。
「・・・ここは?」
「デートスポット」
窓の外にはすっかり暗くなりライトアップされた橋が、真っ暗な海にも映り美しい景色が広がっていた。家ではなく夜景のキレイな場所についた事に驚いた声をあげる翠華、その質問に恥ずかしげもなく答える隼人は続けて口を開いた。
「俺助手席に人を乗せたの初めて、父さんと母さんも乗ったことないし」
「・・・」
「デートもした事ないし、デートスポットって言われる所に来るのも初めてだ」
「はや、と、なんで」
「誰かと手を繋いだ事だって、エロいことした事だって、キスだって、セックスだって」
「やめ、て、もう、いわない、でっ」
「全部大好きな姉さんが初めてなんだ」
「っっっ」
翠華は声も出せずに涙を流す、何度か苦しそうに息をした後必死に声を絞り出した。
「こんな酷い女、のこと、なんて、忘れてくれれば、いいの、に」
「俺の初めては全部好きな人に奪われた、こんな幸せなことなんてないのに・・・酷い女なんて言うなよ」
苦しそうな翠華の声を隼人は優しい声色で包み込む、そんな優しさに翠華はポロリと涙を流した。
「だって、だってっ、ぐすっ、私、隼人、以外の男と、結婚、っ、しちゃった、のに」
「姉弟だから世間体や俺のことを考えてくれたんだろ? 父さんにも反対されて辛いのに一人で抱えてくれたんだろ?」
「でもっ、はや、とに、ううっ、辛い思い、させちゃった、し」
「姉さんは辛くなかったの? 愛のない結婚をしちゃって」
何よりも翠華のことを思いやる隼人の言葉、その優しさに涙が止まるわけがなかった。
「っ、づら、がったぁああ、ほ、ほんどは、はやととぉ結婚、じだがっだぁぁ」
やっと気持ちを吐き出した翠華、そんな彼女の頭を隼人は優しく撫でた。
「姉さん」
「ううっ、ゔわーん」
今まで我慢していたのか翠華の涙は止まらず、声を出してないた。
「でもぉ、うぅ、わたし、と、いてもぉ、ひっく、しゅくふくっ、されないからぁ」
隼人は泣きながら気持ちを伝えてくれる翠華の頭を撫でながら思いっきり泣かせる。少し落ち着いてきた頃に、隼人はゆっくりと口を開いた。
「父さんが謝ってた」
「うぅ、ひっく、おとう、さんが?」
「『好きな人と結婚させられなくて、翠華に悪い事をした』って」
「・・・ずずっ」
翠華は鼻を啜りながらも真剣な眼差しで隼人の言葉に耳を傾ける、確かに翠華が隼人以外の人と結婚したのは父親に反対されたことも理由の一つだ。
翠華をDV夫から連れ出し友人に預けた後、証拠と共に翠華の現状を両親に伝えた時に。
『翠華、すまないっ』
と父親は呟いた。
『母さんが元夫に傷つけられていた時に、母さんも娘も絶対守ろうって決めてたのに』
そんな思いがあった為大企業に勤め、しっかりしていると思いお見合いを進めたのに。結果母親と同じようにDV被害を受けてしまう、だけどそれは父親のせいではない。
『結婚して一緒に過ごさないと相手がどんな人かわからないものよ』
そう言ってフォローしたのは母親。
『一番は愛する人と結婚する事だけど』
とも呟く。
母親も翠華と隼人の思いは知っていた、そして父親が反対した事も。
『翠華には最終的には自分で決めるように伝えていたから、最終的に結婚を選んだのはあの子自身。もちろん翠華もお父さんも悪くないわよ、DVするかどうかなんて隠されればわかるわけないし』
そう言ってから一呼吸置いて。
『だけどもういいんじゃないかしら、愛する人と一緒になっても』
その母親の言葉に父親は静かな口調で『そうだな』と一言つぶやいたのだった。
「・・・うぅ、お父さん、お母さんっ」
話を聞いた翠華の瞳からますます涙が溢れる、母親も父親も自分の事をこんなにも考えてくれていたのだ。そして誰よりも愛している弟も、優しい眼差しで翠華を見つめている。
「俺さ、姉さんが好きすぎて調べちゃったんだ。養子縁組しててても、血が繋がっていなければ結婚できるって」
続けた隼人の言葉に対しては驚かない翠華、どうやらネットで調べて知識はあったらしい。
「知ってた?」
「私も、気になって、ネットで検索、した・・・隼人と結婚したくて」
そう言いながら恥ずかしそうに染まった耳に隼人は微笑む。
「嬉しい、俺の事考えてくれた事が、嬉しい」
「ぐす、ふふっ」
嬉しそうな隼人の声を聞いて翠華は涙を流しながらニコリと笑った、それはやっと見れた隼人の大好きな人の笑顔。
「翠華」
「え?」
「翠華、姉さんとしてじゃなくて、俺の恋人に、なってくれませんか?」
やっと言えた隼人の愛の告白に翠華は嬉しそうに微笑んでからすぐに顔を曇らせる。
「あの、でも」
「ん?」
「私、隼人を、裏切っちゃった」
「それでも翠華が好きだし、俺のためだって分かっているから」
「でも、でもっ、大好きな小学生の弟に痴女みたいなことしちゃうし、その後もちょっかいばっかりかけちゃう、ちょっと変態な私なんて・・・やめておいた方がいいよ?」
「大丈夫、俺痴女も変態大好きだもん」
「っ、もう、そこは『そんな事ないよ』っていってよっ」
「変態でも痴女でも、どんな翠華も大好きだ」
フォローになってないフォローに翠華はくしゃりと顔を歪めた。
「ありがとう、隼人」
「俺も小学生の時翠華が誘ってくれた事、感謝してる」
「もう、言わないでよ・・・ふふっ、これからよろしくお願いします、私の大好きな隼人」
こうして二人はやっと両思いになったのだった。
車の中で見つめ合う二人、自然と顔が近付き重なり合うのは自然な流れ。
のはずだったが。
「あ」
「え?」
「ダメだ、姉さんと付き合えない」
「ええ!? や、やっぱり私酷いことしたから嫌いに」
「いやいやそうじゃなくて、今の状態じゃ姉さんも不倫になるでしょ」
「あ、・・・確かに」
こうして二人の心も体も結ばれるのはもう少し後になってしまったのだった。
「ちょっと告白するの早かったな」
「でもすごく嬉しかった」
結局あれから数日経ったが二人は実家って入るがまだ離婚が成立していない、恋人らしいこともお互いの体に触れることもキスすらしていない。
両親は出戻ってきた翠華を優しく出迎え、寄り添う姉弟の姿を優しい瞳で見守っている。そして離婚問題については弁護士を通して欲しいとDV夫に伝えているが、翠華に直接連絡をとり離婚をごねている状態だ。
『女とは別れる、愛しているのはお前だけ』
『愛し合った仲だろ、大好きな俺がいなくなってお前は平気な訳がない』
様々なクズ夫の言い訳テンプレートがメールにも留守電にも残されていく、翠華は『最初から今まで好きだと思った事はない』と返信してやろうかと思ったが、流石に隼人に止められた。
しかしこんな茶番ももうすぐ終わる、今度弁護士を交えた話し合いで必ず決着はつくと太鼓判を押されていた。そして今現在二人は翠華の離婚を待ちつつ仲のいい姉弟として仕切りであるカーテンが無くなった二人の部屋でもうすぐ寝ると言う状態だ。
「あー、でも人妻な姉さんももう少しで終わりかぁ」
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くすくす笑い合いながらそれぞれ自分のベッドに座り向かい合ってお互いの姿を見る、実家に帰ってきてから翠華は相変わらず無防備で大きめのTシャツしか着ていない状態。しかもそれは隼人のシャツでほのかに香る彼の匂いし興奮しているのか、顔が高揚している。
「だって人妻って言葉がエロいじゃん」
そう言う隼人はというと翠華の姿にちんこが起ち上がっているのも隠さず、それどころかパンツからそれを取り出し扱き始めている。
シュッ、シュッ
翠華もその音と大きくなっていくちんこを見つつ徐にシャツの裾から手を入れてまんこをいじっていた、しかしその様子を隠しながらする行為に隼人は不服な声を上げる。
「隠さないで、見たい」
「でもぉ、私のおまんこ、もう綺麗じゃないもん」
いつも隼人が『綺麗だ』と言っていた翠華の秘部、しかし結婚してから当然夜の営みはあった為もう綺麗ではないと翠華は落ち込んでいた。
そんな翠華に隼人は優しくほほえんで。
「大丈夫、翠華のまんこは絶対綺麗」
「うぅ、そんな、こと」
「それに人妻まんこ、見てみたい」
「・・・バカ」
隼人の変態ちっくな発言に悪態をつきつつも嬉しそうな顔の翠華はそっと隼人に向けて股を開いた、恥ずかしそうな仕草をしながらも指でまんこを広げて中まで隼人に見せつける。
「んっ、どう、かな」
「はーっ、やっぱり綺麗だよ、姉さんのまんこ」
ある程度距離をとってお互いオナニーをしているがそれでも淫らな姿はよく見えるようで、興奮した隼人のちんこからとろりと汁が垂れる。その様子に少し遠慮がちだった翠華は物欲しそう口を半開きにする。
「はやと、の、ちんこぉ、逞しい、大人になってるぅ」
「はぁ、早く、ふぅ、俺の突っ込みたい」
「私も、おっきいのぉ、はやく、ほしいっ」
甘いやり取りに襲いたい気持ちを抑えつつ、お互いの手の動きを早める。
くちゅっ、ぴちゃっ
シュッ、シュッ
いやらしい水音と擦る音が部屋に響くが、これはお互い自慰行為をしているだけで恋人達の戯れではない。そう、ただお互いの淫らな姿をおかずにしているだけだ。
「あっ、あっ、あぁん、いいよぉ、はや、とぉ」
「はぁう、ねえさ、っ、まんこ、本当に綺麗だ、翠華っ」
ぐちゃっ、ぐちゃっ
「隼人のぉ、おちんちん、ぁ、素敵なのぉ」
シコシコシコシコシコ
「はぁ、翠華、あぁ、エロいぃ」
お互いを思いつつの自慰行為、久々に見たお互いのいやらしい姿に絶頂はすぐにやってきた。
「あんっ、んん、もうもうっ、でちゃっ、」
「俺もっ、一緒に、あっ」
「あぁん、はあああぁん」
「い、くぅっ、っ」
びくん、びくん
ピュー、ピュー
こうして二人はたまたま同じ部屋でたまたまお互いオナニーして、そしてたまたま同じタイミングで達した仲のいい姉弟だった。
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