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前編 儀式の始まり
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「暇だしさ、儀式とかしてみない?」
「え、儀式?」
大学のオカルトサークルの仲間と2人で家で飲んでいる時だった。
酔いがまわっていたのか、2人とも正常な判断ができていなかったのだ。いつもは馬鹿みたいに心霊スポット巡りをしたり、オカルト雑誌を買い集めて読み漁ったりしているが、儀式をするのは初めてだった。
「そう、儀式。まぁ、降霊術だよ」
「降霊術?こっくりさんとか?」
「うんうん。1人かくれんぼとか、合わせ鏡とかさ。」
こっくりさんは、学生時代に友人とふざけてやったことがある。結局、10円玉は全く動かずこっくりさんが現れることはなかった。あれって人が無意識に自作自演してたり、自己暗示の類だろう。俺はオカルトサークルに所属していながらも、幽霊の存在はあまり信じていない。
「なんかゾクゾクを感じてぇんだよぉ~!」
「はぁ?お前、酔ってるだろ。」
こいつがこんなに嘆いているのは、さっき見たホラー映画があまりにもB級すぎたからだろう。
これやっときゃ驚くだろ、というような仕掛けばっかりで、恐怖を感じることもなかった。女優の悲鳴がきゃあきゃあうるさいし。
「貞子ぉ~俺の元にも現れてくれよぉ~!」
「おいうるせぇよ、今深夜の1時だぞ」
「もうすぐ丑三時じゃねぇか!それまでに準備して、霊を誘きだすんだ!」
「何すんだよ。言っとくけど、俺こっくりさんは信じてねぇぞ」
「ちげぇよ!これだよ、これ!」
そう言ってスマホをいじり見せてきたのは、『恐怖体験~降霊術~あなたは恐怖だろう』というサイトだった。あまりにも胡散臭く、誤字も酷いが、俺も酔っていて降霊術に乗り気になってきていたので、そんなことは気にしなかった。
「しょん君っていう儀式だよ!用意するのはお香だけだし、簡単だろ?」
「ほー。お香だけか。」
近くのコンビニで丑三時までに買うことは可能だろう。
ついでにお酒とおつまみも買い足すか。
早速深夜テンションで出かけた俺たちは、コンビニで必要なものを買い漁った。
「なんか、おつまみとかも買おうぜ」
「あ!なら俺、フルーツゼリーと、この羊羹も!」
「よくそんな甘いもの食えんな」
「俺、酒飲むと甘いもん食べたくなるんだよなー」
「ふーん」
お香とライター、お酒に炭酸水とフルーツゼリーに羊羹。
レジでお会計をし、家に着いたのは午後1時半だった。
降霊術への準備は着々と進んでいた。
サイトを見てやり方を覚えていく。
まずお香に火をつけ、家の明かりを消す。このとき、外からの光も完全に遮断できるようカーテンも閉める。
次に部屋の中心で自分の髪の毛を一本抜き、お香に添える。そして「しょん君、しょん君、しょん君、すいちぇあ!」
と唱える。
「って、これだけか?」
「ほうら、もう2時だぞ!しようぜ!」
そう言われ俺はこの儀式の意味も特に考えずに、部屋の明かりを消しに行った。
・
翌日、自分の部屋で目を覚ました。机の上にはおつまみやお酒のゴミが散乱している。そしてお香が一本、置かれていた。
「あぁ~なんか、昨日…」
昨日、友人と真夜中に儀式をしようと盛り上がったことを思い出す。結局、何にも起こらなかったけど。そこで面白くなくなり、3時には寝たのだった。幽霊は現れないし、翌日もなんともない。やっぱりなこの降霊術はガセだったのだと、ため息をつく。お香、意外と高かったんだよなぁ…
ベットでイビキをかく友人を起こし、部屋の片付けをする。
空き缶やペットボトルを分別していると、なんだか虚しくなる。昨日は楽しかったのになぁ。
真夜中まで飲んで眠くても、今日は大学に行かなくてはならない。
「俺、今日大学だから。家出るとき鍵はポストに入れといて」
「ほ~い」
「え、儀式?」
大学のオカルトサークルの仲間と2人で家で飲んでいる時だった。
酔いがまわっていたのか、2人とも正常な判断ができていなかったのだ。いつもは馬鹿みたいに心霊スポット巡りをしたり、オカルト雑誌を買い集めて読み漁ったりしているが、儀式をするのは初めてだった。
「そう、儀式。まぁ、降霊術だよ」
「降霊術?こっくりさんとか?」
「うんうん。1人かくれんぼとか、合わせ鏡とかさ。」
こっくりさんは、学生時代に友人とふざけてやったことがある。結局、10円玉は全く動かずこっくりさんが現れることはなかった。あれって人が無意識に自作自演してたり、自己暗示の類だろう。俺はオカルトサークルに所属していながらも、幽霊の存在はあまり信じていない。
「なんかゾクゾクを感じてぇんだよぉ~!」
「はぁ?お前、酔ってるだろ。」
こいつがこんなに嘆いているのは、さっき見たホラー映画があまりにもB級すぎたからだろう。
これやっときゃ驚くだろ、というような仕掛けばっかりで、恐怖を感じることもなかった。女優の悲鳴がきゃあきゃあうるさいし。
「貞子ぉ~俺の元にも現れてくれよぉ~!」
「おいうるせぇよ、今深夜の1時だぞ」
「もうすぐ丑三時じゃねぇか!それまでに準備して、霊を誘きだすんだ!」
「何すんだよ。言っとくけど、俺こっくりさんは信じてねぇぞ」
「ちげぇよ!これだよ、これ!」
そう言ってスマホをいじり見せてきたのは、『恐怖体験~降霊術~あなたは恐怖だろう』というサイトだった。あまりにも胡散臭く、誤字も酷いが、俺も酔っていて降霊術に乗り気になってきていたので、そんなことは気にしなかった。
「しょん君っていう儀式だよ!用意するのはお香だけだし、簡単だろ?」
「ほー。お香だけか。」
近くのコンビニで丑三時までに買うことは可能だろう。
ついでにお酒とおつまみも買い足すか。
早速深夜テンションで出かけた俺たちは、コンビニで必要なものを買い漁った。
「なんか、おつまみとかも買おうぜ」
「あ!なら俺、フルーツゼリーと、この羊羹も!」
「よくそんな甘いもの食えんな」
「俺、酒飲むと甘いもん食べたくなるんだよなー」
「ふーん」
お香とライター、お酒に炭酸水とフルーツゼリーに羊羹。
レジでお会計をし、家に着いたのは午後1時半だった。
降霊術への準備は着々と進んでいた。
サイトを見てやり方を覚えていく。
まずお香に火をつけ、家の明かりを消す。このとき、外からの光も完全に遮断できるようカーテンも閉める。
次に部屋の中心で自分の髪の毛を一本抜き、お香に添える。そして「しょん君、しょん君、しょん君、すいちぇあ!」
と唱える。
「って、これだけか?」
「ほうら、もう2時だぞ!しようぜ!」
そう言われ俺はこの儀式の意味も特に考えずに、部屋の明かりを消しに行った。
・
翌日、自分の部屋で目を覚ました。机の上にはおつまみやお酒のゴミが散乱している。そしてお香が一本、置かれていた。
「あぁ~なんか、昨日…」
昨日、友人と真夜中に儀式をしようと盛り上がったことを思い出す。結局、何にも起こらなかったけど。そこで面白くなくなり、3時には寝たのだった。幽霊は現れないし、翌日もなんともない。やっぱりなこの降霊術はガセだったのだと、ため息をつく。お香、意外と高かったんだよなぁ…
ベットでイビキをかく友人を起こし、部屋の片付けをする。
空き缶やペットボトルを分別していると、なんだか虚しくなる。昨日は楽しかったのになぁ。
真夜中まで飲んで眠くても、今日は大学に行かなくてはならない。
「俺、今日大学だから。家出るとき鍵はポストに入れといて」
「ほ~い」
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