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第二章 ~遥かなる高みへ~

第二十七話 ~神の魔法を修した者達Ⅱ~

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 神発暦3512年 夏


「そんなことがあったんですか」


 ぼくは、パレス先生が体験した冒険の話を聞いて正直驚いている。


「正直、この話は実際に見て体験しないと分からない、私も恐らく、そのエルフと一緒に冒険した期間がなければ、神の魔法の存在を信じきることができたかは、疑問だ」


 ぼくがパレス先生から聞いた話を要約するなら、まず、エルフの【ヘリザウ】という男は、本に書いてあった通りにどんなことでも思い通りに物事を起こすことが出来ていたらしい。

 パレス先生は偶然、見聞を広めようと向こうの大陸に渡った時に出会ったらしく、そこから少しの期間一緒に冒険者として活動しながらサポートしてたらしい。サポートといっても、特にこれといってやることはなかったそうだ、戦闘においてもすぐに終了してしまうため、パレス先生は未知の神の魔法のことを書記に記して、いつか本にして広めようとしていたらしい。


 二人目に、初代獣帝として、およそ、10年ほど前まで活躍しその後、突如として姿を消した【シエール】という女性の獣人は、本来獣人の得意とする変身魔法の枠組みを超えた魔法による変身を行っていたらしい。

 変身魔法は体の一部ないし全体を変化させる魔法で、当然顔や体が魔獣のようになったり、体が一段と大きくなることもあるが、人本来の形から、逸脱することはないとされている、しかし、この【シエール】という女性の魔法(本人は極致魔法と呼んでいたらしい)は、存在そのものを知性のある魔獣へと変化させることができ、その姿は、神話に語られるくらいで、現在では暗黒大陸にのみ存在すると噂される魔獣【無虎・クイセンスタイガー】となれたらしい。

 魔獣【無虎・クイセンスタイガー】とは、現代では確認されたことのない伝説の魔獣で、等級による区別もされていない、曰く第0等級魔獣と呼ばれている。その力はすさまじく、【無虎】のいる地域は極寒の寒さに包まれ、【無虎】の姿が見える位置にいる生き物全ては、その動きが静止すると言われ、決して【無虎】にまでたどり着くことが出来ないとされる究極の魔獣である。

 ただ、この【シエール】という女性が本当に【無虎】になれるのかは、パレス先生も定かではなく、パレス先生が【シエール】という女性を知った時にはすでに、獣帝として君臨していてその戦いを見ることはなかったらしいが、ある場所で、【シエール】という女性が本物だと悟ったらしい。
 それが、今では獣人たちの間では【禁忌の崖】と呼ばれているらしく、そこでパレス先生が見たのは、生きたまま静止し、動く気配のない第一等級魔獣達の姿だったらしい。
 獣人の多い【エクファート大陸】は大陸南方の暗黒大陸から大量の魔獣がやってくることがあるそうで、この禁忌の崖は観測史上最も最悪といわれた、第一等級魔獣およそ数百もの数が、【エクファート大陸】北方に向かってやってきた時の最終防衛線だったそうで、当時は世界の破滅が始まったと噂されたらしい。

 三人目はクラノス帝国の遥か東方にある国にいる予言者と呼ばれる【オネ】という魔族で、信託を受けずして未来に起こる出来事を知ることのできる人物らしく、彼女の魔法は神眼魔法と呼ばれ、この後の未来にいくつも広がる仮定の世界パラレルワールドからただ一つの未来として起きる出来事を見ることのできる魔法だそうで、パレス先生は一度その魔法である未来を見てもらったそうだ。
 ぼくが何を見てもらったのか聞こうとしたら、とてつもない悪寒がしたため口をつぐんだ。

 そして、最後の一人が南方にある創神教の本山にいる教皇【フォルケッツヴィール】彼は死んだ人を甦らせることのできる魔法、返魂魔法と言う魔法を使うそうで、ぼくが回復魔法の最高位だと思っていた魔法だった。なぜ回復魔法として流布するのかよくわからないがなにか理由が在るのだろう。

 これが大まかに聞いた4人の人物の紹介で、その魔法はそれぞれ違う神が教えたと予想しているそうで、神の数だけ未知の魔法があっておかしくないそうだ。
 そのため、もっと多くの神の魔法を使える者がいてもおかしくないそうだ。


そこで、僕は聞いてみた


「パレス先生、霊魂神【ジーラ】はどんな魔法を使ったのですか?」

「神話の物語でもかかれているように、この世界に存在するすべての霊魂の力を使えたと言われている。だからもし、【ジーラ】の魔法が存在するなら、何らかの手段で一時的に強大な力を得れそうだけどね」

「手段ですか?」

「あぁ、神の魔法を使うのを見たときに【ヘリザウ】は高い宝石を代償にして魔法を使っていたんだよ、だから、何かしらの誓約があるんだろう」

「誓約? っ?!」


 ぼくが誓約について思ったとき、頭が痛くなった。


〈・・・・・目の前の敵を・・・・レオン・・・・・〉


 断片的にだが何かを思い出しそうになる。


〈・・・・・〈霊魂魔法ソウル・神卸〉・・・〉

《ぼくは神の魔法を知ってっている? っ!》


 ぼくは自身が発動したのかはっきり思い出せているわけではないが、何となく未知の魔法を使う記憶が思い出されてそう感じた。


〈・・・古の・・・〉

〈・・・さようなら〉

《ぼくはきっと何かを知っている!》


 ぼくは断片的にだが自分が何かを知っていることを悟った。



*****

今回省かれたパレス先生の語った話の詳しい内容は、外伝小説を作成して投稿する予定です。

4人のうちの一人はいつか出す新作の主人公でもあります。

転生英雄伝の外伝なので、連載が始まったら近況ボードの他にも末尾でお知らせしようと思います。
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