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第3章 vs空王
第3章7話 子供の要望 新たな名前
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坤の実験場の爆破から何とか逃げた悠達一行。一時休憩を取り、大和が魔物から受け取ったUSBから実験記録を確認していた。
「何これ?ひどいってレベルじゃない。」
「待ってくださいっす。ここに書かれている事が本当ならあの子たちって・・。」
「あぁ、本当だろうな。こんなことまでできたのか坤は。」
「あ、あの。」
悠達が実験記録を確認していると、保護した少女の一人が話しかけてきた。
「どうしたの?体は大丈夫?」
「はい。怪我も治りましたのでだ、大丈夫です。た、助けてくれてあ、ありがとうございます。」
「よかった、お嬢ちゃん名前は‥。」
大和が名前を聞こうと少女に近づくと、少女は悠の後ろに隠れてしまった。
「ちょっと!大和。怖がらせてどうするのよ。」
「えぇ、俺ってそんなに怖いっすか。」
「す、すみません。まだいきなり近づかれるのはち、ちょっと怖いです。」
悠は少女の頭に手を置いて
「まぁ今までが今までだからな。ゆっくり慣れていけばいいよ。みんな怖い人じゃないから。」
「師団長にはなついてますね。うらやましいっす。」
「お兄さんからは優しい匂いがするので落ち着くというか安心します。」
「ありがとう。今日はもう遅いしみんな休もうか。交代で見張りをしながら。」
「はい。」
その後、各自テントに戻って眠りについた。辺りがすっかり暗くなり、焚火の火以外に何も見えなかった。悠が見張りの時、子供たちが悠のもとに尋ねてきた。
「あの、お兄さん。」
「どうしたの?みんな。」
子供たちは何か言いたそうにしていたが、恥ずかしいのか言えだせなかった。
「そこにいたら寒いでしょ。こっちおいで一緒に温かいココア飲も。」
悠は子供たちを長椅子に座らせ、そっと毛布を掛けた。少しして出来上がったココアを子共たちに渡した。
「どうぞ、熱いから気を付けて飲んでね。」
「ありがとうございます。」
子供たちはココアを飲んで落ち着いたのか少女の一人が話を切り出した。
「あの、お兄さん。私たちをここに置いて行ってください」
「ここに?」
「は、はい、私達は帰る家もありませんし、待っている家族もいません。こんな姿だから他の人に受け入れられるとも思えません。会って拒絶されるくらいならここに残ります。3人で話し合ったことです。」
恐らく、この事を伝えるのにかなり勇気を振り絞ったのだろう。この広大な地に子供がたった3人で生きていくというのだ。子供たちの手は震え、目線は悠とは合わず、完全に下を向いていた。悠は子供たちのもとへ行きしゃがみこんだ。
「ごめんね、その要望は受け入れられない。」
「なんで?だって俺たち・・。」
「君たちの言いたいことはわかるよ。でも、それは本心じゃないでしょ。俺も人の上に立つ立場だからいろんな人と関わってきた。だから、ある程度の嘘はわかるよ。君らのその眼は嘘をついている眼だ。怖いかもしれないけど本当の事を言って欲しいな。大丈夫何があっても俺らは君たちの味方だよ。」
悠は震えている子供たちの手を優しく握り、優しくほほ笑んだ。悠の温かい言葉に子供たちは大粒の涙を流しながら
「お願いお兄さん。私たちも一緒に連れて行って。」
「もちろん。一緒に帰ろ。」
子供達は悠に抱き着いて声を出さず静かに泣いた。悠は子供達が泣き止むまでそっと抱きしめた。
「落ち着いた?」
「はい、落ち着きました。」
悠は再び子供たちを長椅子に座らせて、冷えたココアを入れなおした。
「そういえば、君たち名前ってある?呼ぶとき不便だし。」
「ううん。私たちに名前はないよ。いつも番号で呼ばれてたから。」
「そうか、じゃあ名前を付けてあげないとな。何にしようか。・・・よし。」
「じゃあ女の子から『美月《みづき》』と『陽姫《あき》』。それで君が、『夕影《ゆうえい》』でどう?」
子供たちはお気に入りのおもちゃを見つけたかのように目が輝かせて、首が取れるのではないかというくらいに首を縦に振った。
「気に入ってくれた?」
「うん!とっても。」
「はい、ありがとうございます。」
「ありがとう。」
「今日はもうゆっくり寝な。遅いから。」
「はい、おやすみなさい。」
「はい、お休み。」
子供たちはテントへ戻っていった。それとほぼ同時に愛奈がやってきた。
「師団長、交代の時間です。」
「もうそんな時間か。ありがとう。」
「あの子たち元気になったようですね。」
「あぁ、よかった。」
「師団長も休んでください。彩音からちゃんと休ませるように言われていますし、明日も続くので。」
「あぁ、そうさせてもらうよ。お休み。」
「おやすみなさい。」
「何これ?ひどいってレベルじゃない。」
「待ってくださいっす。ここに書かれている事が本当ならあの子たちって・・。」
「あぁ、本当だろうな。こんなことまでできたのか坤は。」
「あ、あの。」
悠達が実験記録を確認していると、保護した少女の一人が話しかけてきた。
「どうしたの?体は大丈夫?」
「はい。怪我も治りましたのでだ、大丈夫です。た、助けてくれてあ、ありがとうございます。」
「よかった、お嬢ちゃん名前は‥。」
大和が名前を聞こうと少女に近づくと、少女は悠の後ろに隠れてしまった。
「ちょっと!大和。怖がらせてどうするのよ。」
「えぇ、俺ってそんなに怖いっすか。」
「す、すみません。まだいきなり近づかれるのはち、ちょっと怖いです。」
悠は少女の頭に手を置いて
「まぁ今までが今までだからな。ゆっくり慣れていけばいいよ。みんな怖い人じゃないから。」
「師団長にはなついてますね。うらやましいっす。」
「お兄さんからは優しい匂いがするので落ち着くというか安心します。」
「ありがとう。今日はもう遅いしみんな休もうか。交代で見張りをしながら。」
「はい。」
その後、各自テントに戻って眠りについた。辺りがすっかり暗くなり、焚火の火以外に何も見えなかった。悠が見張りの時、子供たちが悠のもとに尋ねてきた。
「あの、お兄さん。」
「どうしたの?みんな。」
子供たちは何か言いたそうにしていたが、恥ずかしいのか言えだせなかった。
「そこにいたら寒いでしょ。こっちおいで一緒に温かいココア飲も。」
悠は子供たちを長椅子に座らせ、そっと毛布を掛けた。少しして出来上がったココアを子共たちに渡した。
「どうぞ、熱いから気を付けて飲んでね。」
「ありがとうございます。」
子供たちはココアを飲んで落ち着いたのか少女の一人が話を切り出した。
「あの、お兄さん。私たちをここに置いて行ってください」
「ここに?」
「は、はい、私達は帰る家もありませんし、待っている家族もいません。こんな姿だから他の人に受け入れられるとも思えません。会って拒絶されるくらいならここに残ります。3人で話し合ったことです。」
恐らく、この事を伝えるのにかなり勇気を振り絞ったのだろう。この広大な地に子供がたった3人で生きていくというのだ。子供たちの手は震え、目線は悠とは合わず、完全に下を向いていた。悠は子供たちのもとへ行きしゃがみこんだ。
「ごめんね、その要望は受け入れられない。」
「なんで?だって俺たち・・。」
「君たちの言いたいことはわかるよ。でも、それは本心じゃないでしょ。俺も人の上に立つ立場だからいろんな人と関わってきた。だから、ある程度の嘘はわかるよ。君らのその眼は嘘をついている眼だ。怖いかもしれないけど本当の事を言って欲しいな。大丈夫何があっても俺らは君たちの味方だよ。」
悠は震えている子供たちの手を優しく握り、優しくほほ笑んだ。悠の温かい言葉に子供たちは大粒の涙を流しながら
「お願いお兄さん。私たちも一緒に連れて行って。」
「もちろん。一緒に帰ろ。」
子供達は悠に抱き着いて声を出さず静かに泣いた。悠は子供達が泣き止むまでそっと抱きしめた。
「落ち着いた?」
「はい、落ち着きました。」
悠は再び子供たちを長椅子に座らせて、冷えたココアを入れなおした。
「そういえば、君たち名前ってある?呼ぶとき不便だし。」
「ううん。私たちに名前はないよ。いつも番号で呼ばれてたから。」
「そうか、じゃあ名前を付けてあげないとな。何にしようか。・・・よし。」
「じゃあ女の子から『美月《みづき》』と『陽姫《あき》』。それで君が、『夕影《ゆうえい》』でどう?」
子供たちはお気に入りのおもちゃを見つけたかのように目が輝かせて、首が取れるのではないかというくらいに首を縦に振った。
「気に入ってくれた?」
「うん!とっても。」
「はい、ありがとうございます。」
「ありがとう。」
「今日はもうゆっくり寝な。遅いから。」
「はい、おやすみなさい。」
「はい、お休み。」
子供たちはテントへ戻っていった。それとほぼ同時に愛奈がやってきた。
「師団長、交代の時間です。」
「もうそんな時間か。ありがとう。」
「あの子たち元気になったようですね。」
「あぁ、よかった。」
「師団長も休んでください。彩音からちゃんと休ませるように言われていますし、明日も続くので。」
「あぁ、そうさせてもらうよ。お休み。」
「おやすみなさい。」
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