奪われし者の強き刃

ゆうさん

文字の大きさ
上 下
40 / 71
第2章 vs陸王

第2章25話 陸王襲来! 陸王の正体

しおりを挟む
氷室らそれぞれが新技の訓練を初めて3日がたった。それぞれが新技の感覚を掴んでいく中、第1の基地内に警報が鳴り響く。

 「彩音、数と距離は?」

 「はい、それが・・・。」

彩音はなぜか困惑しているようだ。

 「どうした?」

 「いえ、距離はここから5時の方向約10km先の市民立ち入り禁止区域です。数は1体です。」

 「1体?周辺の避難状況は?」

 「一番近い住宅街の人たちの避難はもう間もなく完了します。」

 「わかった。俺たちが現場に行く。他の団員は市民の避難を最優先で進めろ。」

 「かしこまりました。」

 「涼介兄たち行くよ。」

 「おう。」

悠・氷室・スターク・ソフィアの4人はすぐに現場へ急行した。この時、悠はかなり嫌な予感がしていた。

 「みんな今回かなり気合入れないといけないかもしれない。」

 「どういうことだ?」

 「このタイミングで1体だけで攻め込んで来るのなんて恐らく。」

 「そういうことか。」

スタークは何か察したかのように言った。そして、現場に到着した師団長達は霧を前にしてすでに臨戦態勢に入っていた。

 「出てくる前でこんな威圧感があるなんて。こんなの初めて。」

 「そうだろうな。恐らく相手は・・・。」

霧から出てきたのは平安貴族のような衣服を身にまとった身長180cm近くある男性であった。右手に扇子を持ち、首には大きな珠が12個付いた数珠をつけていた。

 「なんと、すでにいるとはな。流石と言っておくべきか。」

 「悠こいつは。」

 「あぁ、眷属の時点で予想はしていたがビンゴだったな。強力な式神を使役し陸地を支配する陸王『陰陽師 安倍晴明《あべのせいめい》』。」

 「ほぉよく余のことを調べたなそこの小僧。褒めてやる。」

 「悠、安倍晴明って?」

 「安倍晴明は昔の東部が平安時代と言われていた頃にいた天才陰陽師の事だ。式神を使役しありとあらゆる怪事件を解決したとされている。」

 「そんな奴がなんで魔王の眷属なんかに。人助けが生業なんんじゃ。」

 「表向きはな。」

 「表向き?」

 「陰陽師が使役する式神っていうのは主に悪霊や妖怪の類だ。そんな式神を強くするには人の命や不幸を集めるのが手っ取り早い。そして、こいつが解決した怪事件は解決するまでにかなりの犠牲が出ている。」

 「まさか!」

 「あぁ表向きは苦労して解決したように見せて本当は自分の式神を暴れさせて十分な犠牲が出た段階で回収してただけ。こうして出来上がったのが『十二天将《じゅうにてんしょう》』最強の12体の式神だ。」

安倍晴明は頷きながら拍手し答えた。

 「正解だ。よくわかったな。」

 「お前の伝承は不可解な点がいくつかあったからな。」

 「ほぉ。」

 「まずは、さっき言った犠牲が多すぎる点。明らかに事前に防げていた犠牲が多すぎる。そして、事件の最後が大体討伐じゃなくて追い払ったり和解が多かった。流石にこれは不自然すぎる。」

 「なるほど、なかなか賢いようだ。あいつらがやられるわけだ。」

安倍晴明は一瞬、殺気を少しだし、さらに威圧感が増した。遠く離れた避難している市民や団員たちはその威圧感を感じ取り、一瞬自身の死を悟った。

 「なんつう威圧感してんだよ。流石三王ってわけか。」

 「これは一筋縄ではいかねぇな。」

 「基からそのつもりよ。」

 「ほぉこの圧に屈しないか。楽しめそうだ。」

安倍晴明は数百体のキメラ型を召喚した。

 「まずはお前たちの力を試させてもらう。」

 「舐めるなよ。」

4人の師団長の連携により2分としないうちに数百体いたキメラ型を殲滅した。

 「やるなぁ。流石にキメラ型ごときじゃ苦戦しないか。では。」

安倍晴明は4枚のお札を懐から取り出して

 「『騰蛇《とうだ》』・『天空《てんくう》』・『天后《てんこう》』・『大裳《たいも》』救急如律令。」

4体の式神を呼び出して四方に散らせた。

 「さぁ守って見せろ。」

 「みんな頼んだ。」

 「任せろ。」

 「気張れよ。」

 「やってやるわ。」

悠を除いた師団長達は安倍晴明の呼び出した式神を各々追いかけた。

 「お前は行かなくてもいいのか?師団長はお前を除いて3人。1人足りないぞ。」

 「あぁ、大丈夫だ。残りの方角には俺の優秀な部下がいるからな。それよりお前をここでフリーにする方が危険だ。」

 「お前1人で余を倒せるとでも?」

 「簡単には無理だろうな。でも、やらなきゃみんなが死ぬだけだ。」

悠は指輪から『桜』を呼び出した。

 「行くぞ。」

 「来い!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

親友と婚約者に裏切られ仕事も家も失い自暴自棄になって放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました

空地大乃
ファンタジー
ダンジョンが当たり前になった世界。風間は平凡な会社員として日々を暮らしていたが、ある日見に覚えのないミスを犯し会社をクビになってしまう。その上親友だった男も彼女を奪われ婚約破棄までされてしまった。世の中が嫌になった風間は自暴自棄になり山に向かうがそこで誰からも見捨てられた放置ダンジョンを見つけてしまう。どことなく親近感を覚えた風間はダンジョンで暮らしてみることにするが、そこにはとても可愛らしいモンスターが隠れ住んでいた。ひょんなことでモンスターに懐かれた風間は様々なモンスターと暮らしダンジョン内でのスローライフを満喫していくことになるのだった。

孤独な腐女子が異世界転生したので家族と幸せに暮らしたいです。

水都(みなと)
ファンタジー
★完結しました! 死んだら私も異世界転生できるかな。 転生してもやっぱり腐女子でいたい。 それからできれば今度は、家族に囲まれて暮らしてみたい…… 天涯孤独で腐女子の桜野結理(20)は、元勇者の父親に溺愛されるアリシア(6)に異世界転生! 最期の願いが叶ったのか、転生してもやっぱり腐女子。 父の同僚サディアス×父アルバートで勝手に妄想していたら、実は本当に2人は両想いで…!? ※BL要素ありますが、全年齢対象です。

スキル【海】ってなんですか?

陰陽@2作品コミカライズと書籍化準備中
ファンタジー
スキル【海】ってなんですか?〜使えないユニークスキルを貰った筈が、海どころか他人のアイテムボックスにまでつながってたので、商人として成り上がるつもりが、勇者と聖女の鍵を握るスキルとして追われています〜 ※書籍化準備中。 ※情報の海が解禁してからがある意味本番です。  我が家は代々優秀な魔法使いを排出していた侯爵家。僕はそこの長男で、期待されて挑んだ鑑定。  だけど僕が貰ったスキルは、謎のユニークスキル──〈海〉だった。  期待ハズレとして、婚約も破棄され、弟が家を継ぐことになった。  家を継げる子ども以外は平民として放逐という、貴族の取り決めにより、僕は父さまの弟である、元冒険者の叔父さんの家で、平民として暮らすことになった。  ……まあ、そもそも貴族なんて向いてないと思っていたし、僕が好きだったのは、幼なじみで我が家のメイドの娘のミーニャだったから、むしろ有り難いかも。  それに〈海〉があれば、食べるのには困らないよね!僕のところは近くに海がない国だから、魚を売って暮らすのもいいな。  スキルで手に入れたものは、ちゃんと説明もしてくれるから、なんの魚だとか毒があるとか、そういうことも分かるしね!  だけどこのスキル、単純に海につながってたわけじゃなかった。  生命の海は思った通りの効果だったけど。  ──時空の海、って、なんだろう?  階段を降りると、光る扉と灰色の扉。  灰色の扉を開いたら、そこは最近亡くなったばかりの、僕のお祖父さまのアイテムボックスの中だった。  アイテムボックスは持ち主が死ぬと、中に入れたものが取り出せなくなると聞いていたけれど……。ここにつながってたなんて!?  灰色の扉はすべて死んだ人のアイテムボックスにつながっている。階段を降りれば降りるほど、大昔に死んだ人のアイテムボックスにつながる扉に通じる。  そうだ!この力を使って、僕は古物商を始めよう!だけど、えっと……、伝説の武器だとか、ドラゴンの素材って……。  おまけに精霊の宿るアイテムって……。  なんでこんなものまで入ってるの!?  失われし伝説の武器を手にした者が次世代の勇者って……。ムリムリムリ!  そっとしておこう……。  仲間と協力しながら、商人として成り上がってみせる!  そう思っていたんだけど……。  どうやら僕のスキルが、勇者と聖女が現れる鍵を握っているらしくて?  そんな時、スキルが新たに進化する。  ──情報の海って、なんなの!?  元婚約者も追いかけてきて、いったい僕、どうなっちゃうの?

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

現代にモンスターが湧きましたが、予めレベル上げしていたので無双しますね。

えぬおー
ファンタジー
なんの取り柄もないおっさんが偶然拾ったネックレスのおかげで無双しちゃう 平 信之は、会社内で「MOBゆき」と陰口を言われるくらい取り柄もない窓際社員。人生はなんて面白くないのだろうと嘆いて帰路に着いている中、信之は異常な輝きを放つネックレスを拾う。そのネックレスは、経験値の間に行くことが出来る特殊なネックレスだった。 経験値の間に行けるようになった信之はどんどんレベルを上げ、無双し、知名度を上げていく。 もう、MOBゆきとは呼ばせないっ!!

異界転生して、初期設定から最強になるありきたりな話!

黒崎オリーグ
ファンタジー
現世では、学校でいじめられて不登校になってしまい学校にも行けずに引きこもりになった。ある日世間を騒がせている殺人鬼が家にやってきてお母さんをかばって死んでしまった。 神様の判決により、異界転生することになった主人公が沢山の仲間に恵まれて人の温かさを感じながら進む王道から少しそれたファンタジー小説かも知れません

外れスキルで異世界版リハビリの先生としてスローライフをしたいです。〜戦闘でも使えるとわかったのでチーム医療でざまぁすることになりました〜

k-ing ★書籍発売中
ファンタジー
 使い方がわからないスキルは外れスキルと言われているこの世界で、俺はスキルのせいで家族に売られて奴隷となった。  そんな奴隷生活でも俺の面倒を見てくれる第二の父親と言える男に出会った。  やっと家族と思える人と出会ったのにその男も俺が住んでいる街の領主に殺されてしまう。  領主に復讐心を抱きながらも、徐々に体力が落ち、気づいた頃に俺は十歳という若さで亡くなった。  しかし、偶然にも外れスキルを知っている男が俺の体に転生したのだ。  これでやっと復讐ができる……。  そう思った矢先、転生者はまさかのスローライフを望んでいた。  外れスキル【理学療法】で本職の理学療法士がスローライフを目指すと、いつのまにか俺の周りには外れスキルが集まっていた。  あれ?  外れスキルって意外にも戦闘で使えちゃう?  スローライフを望んでいる俺が外れスキルの集まり(チーム医療)でざまぁしていく物語だ。 ※ダークファンタジー要素あり ※わずかに医療の話あり ※ 【side:〇〇】は三人称になります 手軽に読めるように1話が短めになっています。 コメント、誤字報告を頂けるととても嬉しいです! 更新時間 8:10頃

魔眼の剣士、少女を育てる為冒険者を辞めるも暴れてバズり散らかした挙句少女の高校入学で号泣する~30代剣士は世界に1人のトリプルジョブに至る~

ぐうのすけ
ファンタジー
赤目達也(アカメタツヤ)は少女を育てる為に冒険者を辞めた。 そして時が流れ少女が高校の寮に住む事になり冒険者に復帰した。 30代になった達也は更なる力を手に入れておりバズり散らかす。 カクヨムで先行投稿中 タイトル名が少し違います。 魔眼の剣士、少女を育てる為冒険者を辞めるも暴れてバズり散らかした挙句少女の高校入学で号泣する~30代剣士は黒魔法と白魔法を覚え世界にただ1人のトリプルジョブに至る~ https://kakuyomu.jp/works/16818093076031328255

処理中です...