奪われし者の強き刃

ゆうさん

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第2章 vs陸王

第2章3話 異形なる魔物最後の抵抗 デモの真実

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南部で魔物を殲滅した悠とスタークだが、殲滅したはずの魔物が一つの大きな異形の魔物へと変異した。変異した魔物と一対一で戦う悠はその魔物を圧倒していた。

 「そろそろ片を付けるか。」

止めを刺すため悠が構えると、魔物は急に体を丸め光りだした。

 「まさか!スタークすぐに市民を影の中に入れろ!爆発するぞ。」

 「まじか、自爆かよ。」

 『影穴』

スタークはその場にいた市民全員が入るほど影を引き延ばして影の中に入れた。

 「悠、お前も早く来い。」
 
すでに、魔物は爆発寸前まで膨れ上がっていた。

 「いや、間に合わないし、このまま爆発すると辺り一面が平野と化す。だからこいつはこっちで対処する。」

悠は『桜』を指輪に戻して

 「おいで、『彼岸』。」

新たに持ち手が鎖でつながれた大きな2つの金棒ような鉄塊を出した。

 「どうするんだよ。」

 『彼岸 黒 黒縄荊≪胎≫《こくじょういばら たい》』

『彼岸』を地面に突き刺すと魔物の足元から黒色の荊が無数に生えてきて魔物の全身を包み込んだ。その荊の中で木っ端みじんに爆発した。

 「何とか間に合ったな。」

 「悠大丈夫か?」 

 「あぁ、それより市民にけがはないか?」

 「ないよ、すぐに影の中に入れたし今は基地のほうに避難させた。魔物のほうは木っ端みじんかできれば回収したかったけどな。」

 「じゃあ、あの腕回収したらどうだ。」

そう言って悠は切り落とした魔物の腕を指さした。

 「そうか、そういえば切り落としていたな。もらっていいか?」

 「いいよ、研究に役立ててくれ。基地に戻るか。」

2人が基地に戻るとデモ活動していた市民が悠のもとに駆け寄り

 「すみませんでした。何も知らないのにあなたに罵詈雑言を浴びせ怪我まで負わせてしまってなんとお詫びしたらいいか。」

市民全員が頭を深く下げ謝罪をした。

 「そんな、批判なんて誰にでもありますし、怪我も市民の皆様を守るのが我々の仕事なので気にしないでください。」

 「ですが、そういうわけにはいきません。」

 「では、デモを起こした理由について教えていただいてもいいですか?」

 「はい、包み隠さずお話しします。」

デモを率いていたおじいさんが理由について話した。デモの首謀者は会議に参加していた大臣であること、悠は働かずに資金だけ食っていること、会議の際、南部について罵倒したことを話した。

 「なんですかそれ、全部あの大臣のでまかせです。」

 「そうだぞ、悠は働いてないどころか10歳の頃からほとんど不休で魔物と戦い続けてるんだぞ。」

おじいさんが話した理由に彩音は怒った様子で、スタークは呆れた様子で説明した。

 「話してくれてありがとうございます。自分は市民の皆様を守るために戦っています。それだけはご理解ください。」

 「はい、すみませんでした。」

 「スターク、いいか?」

 「?どうした。」

 「大臣と話がしたい。取り入ってくれないか。」

 「・・・わかった。少し待ってろ。」

 「ありがとう。頼む。」

その後、スタークが大臣が務める大使館にアポを取り、道中第4師団長のソフィアと合流してその場所へと向かった。

 「着いたぞ、ここが大使館だ。」

第3の基地から車で1時間くらいのところの市街地にひときわ大きな建物に着いた。

 「よし、行こうか。念のためスタークが先頭で行ってくれ。」

 「わかった。」

スタークを先頭に悠たちは大使館へと入っていった。

 「邪魔するぞ、大臣はいるかい?」

 「スターク様、ソフィア様。はい大臣は奥の書斎にてお待ちです。そちらはお客様ですか?」

大使館の係員の人が悠を見てそう聞いた。

 「あぁ、そんなもんだ。一応アポはとってるぞ。」

 「そうですか。でしたらご一緒に案内いたします。こちらです。」

係の人に案内され大臣のいる書斎の前までやってきた。

 「こちらでお待ちです。それでは私はこれで。」

 「おう、ありがとな。」

スタークは扉をノックして、部屋へと入っていった。

 「どうも大臣、急にすみませんね。」

 「本当だ。何なのだ急に。・・ってなぜおまえが。」

大臣は悠に気が付いたらしく非常に驚いていた。

 「どうもこんにちは、会議以来ですね大臣さん。」

 「何やら問題があったようで応援要請が総理のもとに届いたので急行しました。」

 「問題だと?何のことだ。私は知らんぞ。」

 「何をとぼけているのですか。」

悠の後ろにいた彩音が怒った様子で話した。

 「あなたが市民にでまかせを言ってデモ活動を起こさせてたことは知ってるんですよ。そのデモにせいでスターク師団長達の活動が制限されたことも。」

 「何を言っている。おいガキ、お前の部下だろうがどんな教育をしているんだ。勝手な憶測で私を陥れようだなんて。」

 「すみません大臣さん。ですが、デモは実際に起きてますしスタークたちの活動に支障が出ているのも本当です。デモを起こした理由も市民の皆様からうかがっております。」

 「なぜ、そんなに私を嫌うのですか。私がまだ若いからですか、それとも他に理由があるのですか?」

 「そうだ!お前が気にくわないんだよ。まだガキのくせに粋がりやがって!」

大臣は開き直りまるで、子供が駄々をこねるような理由ばかりで明確な理由を話さず、皆イライラしていた。その時、 書斎の扉から1人の男性が入ってきた。

 「なんだか、盛り上がってるな。」

 「あなたは!」
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