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フレースヴェルグの羽音
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俺は王国騎士としてフランの護衛をしながら、夜の間は国中を奔走して闇と魔物が起こす事件を解決。
と言ってもほとんどはゴブリン・ロードナイトと彼が率いる幾万のゴブリンとアイゼンの手で解決していた。
俺は報告を聞いたり、俺式闇払いで村や町の闇の濃度を下げつつ味方となる魔物を増やす。
国を回るほどに、どうして土地に再現なく闇が湧き出すのか疑問に思って。
行く先々で土地の深くにまで闇を拡げてその流れを調べた。
すると大別すると流れは2つだった。
国の中をぐるりと回る巨大な山脈と。
そして、聖堂都市の方向から。
「きなくせぇな」
アイゼンが言った。
「そもそも邪神ってのは今もちゃんと封印されてるのか?」
「それは俺も少し疑問に思ってた。邪神を封印した石碑は聖堂都市の地下深くにあるらしいけど、最下層は封印指定禁足地と呼ばれて聖堂都市が建てられてから1度も人が訪れてないんだ。そこの上に聖銀の間っていう巨大なフロアがあるけど、そこも聖騎士団の団長クラス以上だけが特別な許可をもらって立ち入ることを許される」
「つまり本当は地下で邪神が目を覚まして裏で暗躍してても気付けないわけか」
アイゼンの言う通り。
でも迂闊に禁足地に足を踏み入れるのは危険だ。
「確認しないのか?」
「いや。そうやって俺を、あるいは他の誰でもいい。邪神の封印を疑ってそこに向かうよう仕向けてるんだとしたら? あのロキって存在は何を企んでるか読めない。今は他にできる事をやろう」
「て言うと?」
アイゼンが腕を組んだ。
硬質な腕が当たってガン、と金属音を響かせる。
「土地の大まかな闇の流れは分かった。その流れに干渉して国全体で発生する闇を止められないか試したい。完全に遮断できなくても、一定の土地に集中させることができたら被害を大きく減らせると思うんだ」
「そこで発生する魔物は俺やあのゴブリンとその配下、スケルトンで潰すと」
アイゼンの言葉に俺はうなずく。
「あとはあのユグドラシルの根ってのを利用できないかも考えてる。あれは強力な光を生む。有効活用すれば、俺が集めた闇を自動的に浄化するようできるかも」
その時、突風。
一陣の風が勢いよく走り抜けた。
その風に煽られて土地の闇が吹き上がり、空に薄くたなびく。
「またこの風か」
俺は風の吹いた方向を見つめて呟いた。
最近、日に何度も吹く強い風。
その風は闇を運ぶ。
一見、闇が土地から晴れて良いようにも思えるけど風はいずれ消えるんだ。
どこかに吹きだまりとなって闇が滞留して、それは魔物を生み出す温床に変わる。
どうにも異変だらけ。
ヴィルヘルム様がリーンハルトの策略で聖堂都市と国を追われてからか。
それとも、俺が聖堂都市を離れたのをきっかけに。
「相変わらず人間が魔物になる事件も多い。さすがにこんだけ数があると噂になっちまって、いがみ合いや疑心暗鬼になる村や町も増えてきた」
アイゼンが言った。
「まただいぶ数も増えてきたから、近々時間が取れたらハティをよこしてくれ」
「分かった」
元人間だと分かる魔物は今も1度捕らえてはハティの闇喰らいで人間に戻してる。
すでにそれで救った人の数は50以上。
そしてその誰もがマザー・ゴブリンとかのような、一癖ある強力な魔物になる。
俺とみんなの活躍がなかったらきっと甚大な被害になっていただろう。
夜が明けて太陽が東の空高く昇った頃。
俺は王国騎士として召集を受けた。
王城の一角にある広間で、王国騎士副団長を中心に色々な報告が飛び交う。
そして暗黒剣士の足取りを追う報告と一緒に、最近目撃情報の相次ぐ怪鳥について。
どうやら最近、魔物と思われる巨大な鳥の姿が目撃されてるらしい。
噂が出始めたタイミングと、俺の記憶にあるおかしな突風の発生時期はかなり近い。
おそらく偶然じゃないはずだ。
だけど。
「昼間の空を飛ぶ?」
どこからともなく疑問の声が上がった。
魔物でありながら、昼も夜も関係なく行動ができるなんて。
それは俺にも分からない。
どんな魔物も日の光は避けるのに、なぜかその鳥は陽光に身体を曝しても平気らしい。
俺はその怪鳥の魔物の調査を担う1人。
王国騎士として魔物を追う任務を受ける。
と言ってもほとんどはゴブリン・ロードナイトと彼が率いる幾万のゴブリンとアイゼンの手で解決していた。
俺は報告を聞いたり、俺式闇払いで村や町の闇の濃度を下げつつ味方となる魔物を増やす。
国を回るほどに、どうして土地に再現なく闇が湧き出すのか疑問に思って。
行く先々で土地の深くにまで闇を拡げてその流れを調べた。
すると大別すると流れは2つだった。
国の中をぐるりと回る巨大な山脈と。
そして、聖堂都市の方向から。
「きなくせぇな」
アイゼンが言った。
「そもそも邪神ってのは今もちゃんと封印されてるのか?」
「それは俺も少し疑問に思ってた。邪神を封印した石碑は聖堂都市の地下深くにあるらしいけど、最下層は封印指定禁足地と呼ばれて聖堂都市が建てられてから1度も人が訪れてないんだ。そこの上に聖銀の間っていう巨大なフロアがあるけど、そこも聖騎士団の団長クラス以上だけが特別な許可をもらって立ち入ることを許される」
「つまり本当は地下で邪神が目を覚まして裏で暗躍してても気付けないわけか」
アイゼンの言う通り。
でも迂闊に禁足地に足を踏み入れるのは危険だ。
「確認しないのか?」
「いや。そうやって俺を、あるいは他の誰でもいい。邪神の封印を疑ってそこに向かうよう仕向けてるんだとしたら? あのロキって存在は何を企んでるか読めない。今は他にできる事をやろう」
「て言うと?」
アイゼンが腕を組んだ。
硬質な腕が当たってガン、と金属音を響かせる。
「土地の大まかな闇の流れは分かった。その流れに干渉して国全体で発生する闇を止められないか試したい。完全に遮断できなくても、一定の土地に集中させることができたら被害を大きく減らせると思うんだ」
「そこで発生する魔物は俺やあのゴブリンとその配下、スケルトンで潰すと」
アイゼンの言葉に俺はうなずく。
「あとはあのユグドラシルの根ってのを利用できないかも考えてる。あれは強力な光を生む。有効活用すれば、俺が集めた闇を自動的に浄化するようできるかも」
その時、突風。
一陣の風が勢いよく走り抜けた。
その風に煽られて土地の闇が吹き上がり、空に薄くたなびく。
「またこの風か」
俺は風の吹いた方向を見つめて呟いた。
最近、日に何度も吹く強い風。
その風は闇を運ぶ。
一見、闇が土地から晴れて良いようにも思えるけど風はいずれ消えるんだ。
どこかに吹きだまりとなって闇が滞留して、それは魔物を生み出す温床に変わる。
どうにも異変だらけ。
ヴィルヘルム様がリーンハルトの策略で聖堂都市と国を追われてからか。
それとも、俺が聖堂都市を離れたのをきっかけに。
「相変わらず人間が魔物になる事件も多い。さすがにこんだけ数があると噂になっちまって、いがみ合いや疑心暗鬼になる村や町も増えてきた」
アイゼンが言った。
「まただいぶ数も増えてきたから、近々時間が取れたらハティをよこしてくれ」
「分かった」
元人間だと分かる魔物は今も1度捕らえてはハティの闇喰らいで人間に戻してる。
すでにそれで救った人の数は50以上。
そしてその誰もがマザー・ゴブリンとかのような、一癖ある強力な魔物になる。
俺とみんなの活躍がなかったらきっと甚大な被害になっていただろう。
夜が明けて太陽が東の空高く昇った頃。
俺は王国騎士として召集を受けた。
王城の一角にある広間で、王国騎士副団長を中心に色々な報告が飛び交う。
そして暗黒剣士の足取りを追う報告と一緒に、最近目撃情報の相次ぐ怪鳥について。
どうやら最近、魔物と思われる巨大な鳥の姿が目撃されてるらしい。
噂が出始めたタイミングと、俺の記憶にあるおかしな突風の発生時期はかなり近い。
おそらく偶然じゃないはずだ。
だけど。
「昼間の空を飛ぶ?」
どこからともなく疑問の声が上がった。
魔物でありながら、昼も夜も関係なく行動ができるなんて。
それは俺にも分からない。
どんな魔物も日の光は避けるのに、なぜかその鳥は陽光に身体を曝しても平気らしい。
俺はその怪鳥の魔物の調査を担う1人。
王国騎士として魔物を追う任務を受ける。
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