67 / 101
フレースヴェルグの羽音
しおりを挟む
俺は王国騎士としてフランの護衛をしながら、夜の間は国中を奔走して闇と魔物が起こす事件を解決。
と言ってもほとんどはゴブリン・ロードナイトと彼が率いる幾万のゴブリンとアイゼンの手で解決していた。
俺は報告を聞いたり、俺式闇払いで村や町の闇の濃度を下げつつ味方となる魔物を増やす。
国を回るほどに、どうして土地に再現なく闇が湧き出すのか疑問に思って。
行く先々で土地の深くにまで闇を拡げてその流れを調べた。
すると大別すると流れは2つだった。
国の中をぐるりと回る巨大な山脈と。
そして、聖堂都市の方向から。
「きなくせぇな」
アイゼンが言った。
「そもそも邪神ってのは今もちゃんと封印されてるのか?」
「それは俺も少し疑問に思ってた。邪神を封印した石碑は聖堂都市の地下深くにあるらしいけど、最下層は封印指定禁足地と呼ばれて聖堂都市が建てられてから1度も人が訪れてないんだ。そこの上に聖銀の間っていう巨大なフロアがあるけど、そこも聖騎士団の団長クラス以上だけが特別な許可をもらって立ち入ることを許される」
「つまり本当は地下で邪神が目を覚まして裏で暗躍してても気付けないわけか」
アイゼンの言う通り。
でも迂闊に禁足地に足を踏み入れるのは危険だ。
「確認しないのか?」
「いや。そうやって俺を、あるいは他の誰でもいい。邪神の封印を疑ってそこに向かうよう仕向けてるんだとしたら? あのロキって存在は何を企んでるか読めない。今は他にできる事をやろう」
「て言うと?」
アイゼンが腕を組んだ。
硬質な腕が当たってガン、と金属音を響かせる。
「土地の大まかな闇の流れは分かった。その流れに干渉して国全体で発生する闇を止められないか試したい。完全に遮断できなくても、一定の土地に集中させることができたら被害を大きく減らせると思うんだ」
「そこで発生する魔物は俺やあのゴブリンとその配下、スケルトンで潰すと」
アイゼンの言葉に俺はうなずく。
「あとはあのユグドラシルの根ってのを利用できないかも考えてる。あれは強力な光を生む。有効活用すれば、俺が集めた闇を自動的に浄化するようできるかも」
その時、突風。
一陣の風が勢いよく走り抜けた。
その風に煽られて土地の闇が吹き上がり、空に薄くたなびく。
「またこの風か」
俺は風の吹いた方向を見つめて呟いた。
最近、日に何度も吹く強い風。
その風は闇を運ぶ。
一見、闇が土地から晴れて良いようにも思えるけど風はいずれ消えるんだ。
どこかに吹きだまりとなって闇が滞留して、それは魔物を生み出す温床に変わる。
どうにも異変だらけ。
ヴィルヘルム様がリーンハルトの策略で聖堂都市と国を追われてからか。
それとも、俺が聖堂都市を離れたのをきっかけに。
「相変わらず人間が魔物になる事件も多い。さすがにこんだけ数があると噂になっちまって、いがみ合いや疑心暗鬼になる村や町も増えてきた」
アイゼンが言った。
「まただいぶ数も増えてきたから、近々時間が取れたらハティをよこしてくれ」
「分かった」
元人間だと分かる魔物は今も1度捕らえてはハティの闇喰らいで人間に戻してる。
すでにそれで救った人の数は50以上。
そしてその誰もがマザー・ゴブリンとかのような、一癖ある強力な魔物になる。
俺とみんなの活躍がなかったらきっと甚大な被害になっていただろう。
夜が明けて太陽が東の空高く昇った頃。
俺は王国騎士として召集を受けた。
王城の一角にある広間で、王国騎士副団長を中心に色々な報告が飛び交う。
そして暗黒剣士の足取りを追う報告と一緒に、最近目撃情報の相次ぐ怪鳥について。
どうやら最近、魔物と思われる巨大な鳥の姿が目撃されてるらしい。
噂が出始めたタイミングと、俺の記憶にあるおかしな突風の発生時期はかなり近い。
おそらく偶然じゃないはずだ。
だけど。
「昼間の空を飛ぶ?」
どこからともなく疑問の声が上がった。
魔物でありながら、昼も夜も関係なく行動ができるなんて。
それは俺にも分からない。
どんな魔物も日の光は避けるのに、なぜかその鳥は陽光に身体を曝しても平気らしい。
俺はその怪鳥の魔物の調査を担う1人。
王国騎士として魔物を追う任務を受ける。
と言ってもほとんどはゴブリン・ロードナイトと彼が率いる幾万のゴブリンとアイゼンの手で解決していた。
俺は報告を聞いたり、俺式闇払いで村や町の闇の濃度を下げつつ味方となる魔物を増やす。
国を回るほどに、どうして土地に再現なく闇が湧き出すのか疑問に思って。
行く先々で土地の深くにまで闇を拡げてその流れを調べた。
すると大別すると流れは2つだった。
国の中をぐるりと回る巨大な山脈と。
そして、聖堂都市の方向から。
「きなくせぇな」
アイゼンが言った。
「そもそも邪神ってのは今もちゃんと封印されてるのか?」
「それは俺も少し疑問に思ってた。邪神を封印した石碑は聖堂都市の地下深くにあるらしいけど、最下層は封印指定禁足地と呼ばれて聖堂都市が建てられてから1度も人が訪れてないんだ。そこの上に聖銀の間っていう巨大なフロアがあるけど、そこも聖騎士団の団長クラス以上だけが特別な許可をもらって立ち入ることを許される」
「つまり本当は地下で邪神が目を覚まして裏で暗躍してても気付けないわけか」
アイゼンの言う通り。
でも迂闊に禁足地に足を踏み入れるのは危険だ。
「確認しないのか?」
「いや。そうやって俺を、あるいは他の誰でもいい。邪神の封印を疑ってそこに向かうよう仕向けてるんだとしたら? あのロキって存在は何を企んでるか読めない。今は他にできる事をやろう」
「て言うと?」
アイゼンが腕を組んだ。
硬質な腕が当たってガン、と金属音を響かせる。
「土地の大まかな闇の流れは分かった。その流れに干渉して国全体で発生する闇を止められないか試したい。完全に遮断できなくても、一定の土地に集中させることができたら被害を大きく減らせると思うんだ」
「そこで発生する魔物は俺やあのゴブリンとその配下、スケルトンで潰すと」
アイゼンの言葉に俺はうなずく。
「あとはあのユグドラシルの根ってのを利用できないかも考えてる。あれは強力な光を生む。有効活用すれば、俺が集めた闇を自動的に浄化するようできるかも」
その時、突風。
一陣の風が勢いよく走り抜けた。
その風に煽られて土地の闇が吹き上がり、空に薄くたなびく。
「またこの風か」
俺は風の吹いた方向を見つめて呟いた。
最近、日に何度も吹く強い風。
その風は闇を運ぶ。
一見、闇が土地から晴れて良いようにも思えるけど風はいずれ消えるんだ。
どこかに吹きだまりとなって闇が滞留して、それは魔物を生み出す温床に変わる。
どうにも異変だらけ。
ヴィルヘルム様がリーンハルトの策略で聖堂都市と国を追われてからか。
それとも、俺が聖堂都市を離れたのをきっかけに。
「相変わらず人間が魔物になる事件も多い。さすがにこんだけ数があると噂になっちまって、いがみ合いや疑心暗鬼になる村や町も増えてきた」
アイゼンが言った。
「まただいぶ数も増えてきたから、近々時間が取れたらハティをよこしてくれ」
「分かった」
元人間だと分かる魔物は今も1度捕らえてはハティの闇喰らいで人間に戻してる。
すでにそれで救った人の数は50以上。
そしてその誰もがマザー・ゴブリンとかのような、一癖ある強力な魔物になる。
俺とみんなの活躍がなかったらきっと甚大な被害になっていただろう。
夜が明けて太陽が東の空高く昇った頃。
俺は王国騎士として召集を受けた。
王城の一角にある広間で、王国騎士副団長を中心に色々な報告が飛び交う。
そして暗黒剣士の足取りを追う報告と一緒に、最近目撃情報の相次ぐ怪鳥について。
どうやら最近、魔物と思われる巨大な鳥の姿が目撃されてるらしい。
噂が出始めたタイミングと、俺の記憶にあるおかしな突風の発生時期はかなり近い。
おそらく偶然じゃないはずだ。
だけど。
「昼間の空を飛ぶ?」
どこからともなく疑問の声が上がった。
魔物でありながら、昼も夜も関係なく行動ができるなんて。
それは俺にも分からない。
どんな魔物も日の光は避けるのに、なぜかその鳥は陽光に身体を曝しても平気らしい。
俺はその怪鳥の魔物の調査を担う1人。
王国騎士として魔物を追う任務を受ける。
0
お気に入りに追加
121
あなたにおすすめの小説

スローライフとは何なのか? のんびり建国記
久遠 れんり
ファンタジー
突然の異世界転移。
ちょっとした事故により、もう世界の命運は、一緒に来た勇者くんに任せることにして、いきなり告白された彼女と、日本へ帰る事を少し思いながら、どこでもキャンプのできる異世界で、のんびり暮らそうと密かに心に決める。
だけどまあ、そんな事は夢の夢。
現実は、そんな考えを許してくれなかった。
三日と置かず、騒動は降ってくる。
基本は、いちゃこらファンタジーの予定。
そんな感じで、進みます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-
ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。
困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。
はい、ご注文は?
調味料、それとも武器ですか?
カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。
村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。
いずれは世界へ通じる道を繋げるために。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる