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リヒト対アイゼン
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さすがのアイゼンも目を丸くした。
俺がクレイモアを闇に染めたのを見て、周囲の壁も俺が操作している事を気付く。
「ははは、なんだそれ」
俺のクレイモアと闇の壁を交互に見て。
アイゼンが乾いた笑いと一緒に呟いた。
「俺は上位属性の光、無適正に次ぐ第3の例外。闇の属性適正者だ」
「なるほど、なるほどなぁ。聖騎士団を追われたのはそういうことか。凄いな。こんな身体になった身で言うのもあれたが、おぞましいもんだ。人間の形をしてるのに、俺より化け物に見える……!」
アイゼンはそう言ってゴーレムの拳を振りかぶった。
次いで撃鉄の音。
手の甲と肘、上腕から炎を噴き出し、加速した鉄拳が俺の顔面に向けて放たれる。
俺はクレイモアの腹で拳を受け止めた。
その衝撃の全てを刃に纏わせた闇に吸収させる。
アイゼンは掌を俺に向けた。
ガチン、という金属音と共に、そこから爆炎を噴き出す。
すかさず俺は闇を渦巻かせて炎を後方へと受け流した。
属性の炎と違ってこれは実際に熱を伴った炎だ。
それもかなり圧縮されて凄まじい高温。
これはさすがに警戒しないと。
炎が晴れた時、目の前にアイゼンいなかった。
目の端に移った輝きを追って。
俺は素早く視線を切った。
炎は俺への攻撃だけでなく、目眩ましと移動のための推進力を兼ねていた。
噴き出した炎を利用して加速を続け、身体を大きくよじって地面を蹴ると垂直に曲がる。
小回りは今一つだけど直線での最高速度なら今まで俺が戦ってきた相手の中でもかなりのもの。
先の一撃で攻撃は吸収されると察したのか、おそらく俺の隙を突く算段だ。
だけど俺とアイゼンとじゃ踏んだ場数が、違う。
その程度で翻弄されたりはしない。
俺は闇を全身に漲らせた。
闇による身体強化を最大にして駆け出す。
俺は闇をたなびかせ、アイゼンを追って疾駆。
同時に闇を纏わせたクレイモアを続け様に振り抜いて。
放たれる巨大な三日月型の斬撃がアイゼン目掛けて飛翔する。
アイゼンは俺の攻撃に気付くと小刻みにステップを織り混ぜた。
慣性で前後左右に振られながらも俺の放った攻撃をかわし、時にゴーレムの拳でいなす。
あの右腕、かなり硬いな。
「直接斬らないとダメか」
俺は大きくクレイモアを振りかぶった。
同時に背中に闇を集中。
踏み出した足が地面を蹴るのと同時に集めた闇を解放して。
俺の背から巨大な翼のように闇が拡がった。
アイゼンの炎に対し、俺は闇を使って加速する。
ガチン、と1度。
さらにガチン、ガチンと音を連ねて。
アイゼンは身をひるがえした。
俺を正面に捉え、ズザザザザと両足が土煙を上げながら轍を刻む。
右腕を振り上げ、複数回分の威力を蓄えた杭が膨大な熱を帯びて発光。
俺のクレイモアを迎え撃つようにアイゼンは白熱する切っ先を打ち出した。
杭を射出した炎がアイゼンの背中に繋がる装甲部から噴き出し、その背後を紅蓮で包む。
杭の威力も相殺できてる。
このまま刃を振り抜けばその右腕を無力化できる。
だけどアイゼンの背から吐き出された炎は凄まじい勢いで膨らんだ。
あと一拍の間にアイゼンと俺とを炎で飲み込むだろう。
「掴まえた」
逃げる間もなくアイゼンの声。
アイゼンの左手が俺の腕を掴んでいる。
回避、できない。
そして刹那を切り取った俺の視界で、アイゼンが自身の炎に飲まれた。
炎に消えるアイゼンの顔には笑み。
次いで拡がる炎が俺の肌を舐める。
俺はクレイモアに纏わせた闇の全てを解放。
紅蓮の炎の波を闇の渦で押し返す。
「そこだ!」
炎と闇を貫き、アイゼンが拳を振るってきた。
クレイモアの闇を放出した隙を狙ってきていて、闇を纏わないクレイモアじゃアイゼンの攻撃は防御はできない。
そして闇を集めるには時間が足りない。
だから、俺は闇を散らせた。
偽装の光刃。
アイゼンの生み出した膨大な炎の光を利用して、その目の前を目映い光で包んだ。
「……っ!」
閃光に怯んだ隙に俺はクレイモアでアイゼンの腕を斬り突けた。
「馬鹿が! お得意の闇を使わないで俺の腕が斬れるわけがねぇだろ」
アイゼンが今度こそ拳を振るう。
対して俺のクレイモアは黒く染まっているけど、先ほどまでのような暗黒になるほどの密度はない。
アイゼンは勝利を確信して拳を振り抜いた。
「────は?」
だけどアイゼンの拳は俺に届かない。
決して傷つかないと油断したその右腕を断ち斬られ、アイゼンは顔を青ざめさせる。
「怯んだ隙に斬りつけた一撃はダメージを与えるためじゃない。アイゼンの右腕の闇を奪って弱体化させるためのものだよ。1撃目で相手の闇を奪って弱体化させて、2撃目で仕留めるのが俺の基本となる戦闘スタイルだ」
ドサリと鈍い音を上げて落ちたゴーレムの腕。
俺は闇を色濃く纏って再び暗黒色となった刃をアイゼンに突きつける。
「お前の負けだ。アイゼン」
俺がクレイモアを闇に染めたのを見て、周囲の壁も俺が操作している事を気付く。
「ははは、なんだそれ」
俺のクレイモアと闇の壁を交互に見て。
アイゼンが乾いた笑いと一緒に呟いた。
「俺は上位属性の光、無適正に次ぐ第3の例外。闇の属性適正者だ」
「なるほど、なるほどなぁ。聖騎士団を追われたのはそういうことか。凄いな。こんな身体になった身で言うのもあれたが、おぞましいもんだ。人間の形をしてるのに、俺より化け物に見える……!」
アイゼンはそう言ってゴーレムの拳を振りかぶった。
次いで撃鉄の音。
手の甲と肘、上腕から炎を噴き出し、加速した鉄拳が俺の顔面に向けて放たれる。
俺はクレイモアの腹で拳を受け止めた。
その衝撃の全てを刃に纏わせた闇に吸収させる。
アイゼンは掌を俺に向けた。
ガチン、という金属音と共に、そこから爆炎を噴き出す。
すかさず俺は闇を渦巻かせて炎を後方へと受け流した。
属性の炎と違ってこれは実際に熱を伴った炎だ。
それもかなり圧縮されて凄まじい高温。
これはさすがに警戒しないと。
炎が晴れた時、目の前にアイゼンいなかった。
目の端に移った輝きを追って。
俺は素早く視線を切った。
炎は俺への攻撃だけでなく、目眩ましと移動のための推進力を兼ねていた。
噴き出した炎を利用して加速を続け、身体を大きくよじって地面を蹴ると垂直に曲がる。
小回りは今一つだけど直線での最高速度なら今まで俺が戦ってきた相手の中でもかなりのもの。
先の一撃で攻撃は吸収されると察したのか、おそらく俺の隙を突く算段だ。
だけど俺とアイゼンとじゃ踏んだ場数が、違う。
その程度で翻弄されたりはしない。
俺は闇を全身に漲らせた。
闇による身体強化を最大にして駆け出す。
俺は闇をたなびかせ、アイゼンを追って疾駆。
同時に闇を纏わせたクレイモアを続け様に振り抜いて。
放たれる巨大な三日月型の斬撃がアイゼン目掛けて飛翔する。
アイゼンは俺の攻撃に気付くと小刻みにステップを織り混ぜた。
慣性で前後左右に振られながらも俺の放った攻撃をかわし、時にゴーレムの拳でいなす。
あの右腕、かなり硬いな。
「直接斬らないとダメか」
俺は大きくクレイモアを振りかぶった。
同時に背中に闇を集中。
踏み出した足が地面を蹴るのと同時に集めた闇を解放して。
俺の背から巨大な翼のように闇が拡がった。
アイゼンの炎に対し、俺は闇を使って加速する。
ガチン、と1度。
さらにガチン、ガチンと音を連ねて。
アイゼンは身をひるがえした。
俺を正面に捉え、ズザザザザと両足が土煙を上げながら轍を刻む。
右腕を振り上げ、複数回分の威力を蓄えた杭が膨大な熱を帯びて発光。
俺のクレイモアを迎え撃つようにアイゼンは白熱する切っ先を打ち出した。
杭を射出した炎がアイゼンの背中に繋がる装甲部から噴き出し、その背後を紅蓮で包む。
杭の威力も相殺できてる。
このまま刃を振り抜けばその右腕を無力化できる。
だけどアイゼンの背から吐き出された炎は凄まじい勢いで膨らんだ。
あと一拍の間にアイゼンと俺とを炎で飲み込むだろう。
「掴まえた」
逃げる間もなくアイゼンの声。
アイゼンの左手が俺の腕を掴んでいる。
回避、できない。
そして刹那を切り取った俺の視界で、アイゼンが自身の炎に飲まれた。
炎に消えるアイゼンの顔には笑み。
次いで拡がる炎が俺の肌を舐める。
俺はクレイモアに纏わせた闇の全てを解放。
紅蓮の炎の波を闇の渦で押し返す。
「そこだ!」
炎と闇を貫き、アイゼンが拳を振るってきた。
クレイモアの闇を放出した隙を狙ってきていて、闇を纏わないクレイモアじゃアイゼンの攻撃は防御はできない。
そして闇を集めるには時間が足りない。
だから、俺は闇を散らせた。
偽装の光刃。
アイゼンの生み出した膨大な炎の光を利用して、その目の前を目映い光で包んだ。
「……っ!」
閃光に怯んだ隙に俺はクレイモアでアイゼンの腕を斬り突けた。
「馬鹿が! お得意の闇を使わないで俺の腕が斬れるわけがねぇだろ」
アイゼンが今度こそ拳を振るう。
対して俺のクレイモアは黒く染まっているけど、先ほどまでのような暗黒になるほどの密度はない。
アイゼンは勝利を確信して拳を振り抜いた。
「────は?」
だけどアイゼンの拳は俺に届かない。
決して傷つかないと油断したその右腕を断ち斬られ、アイゼンは顔を青ざめさせる。
「怯んだ隙に斬りつけた一撃はダメージを与えるためじゃない。アイゼンの右腕の闇を奪って弱体化させるためのものだよ。1撃目で相手の闇を奪って弱体化させて、2撃目で仕留めるのが俺の基本となる戦闘スタイルだ」
ドサリと鈍い音を上げて落ちたゴーレムの腕。
俺は闇を色濃く纏って再び暗黒色となった刃をアイゼンに突きつける。
「お前の負けだ。アイゼン」
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