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魔物対魔物
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俺は次々と闇を斬擊に変えて放った。
三日月型の斬擊が幾度となく大地を疾り、遥か先まで魔物を蹂躙する。
『──────』
フェンリルは俺を半眼で見下ろすと、低い唸りを上げた。
腹の底にまで響く重たい響き。
だがもう怖くはない。
フェンリルが爪を振りかぶった。
1本1本がオーガが使う大剣のような巨大で鋭い爪。
『────!』
身構える俺に向かって叩きつけるように爪を振るうフェンリル。
俺は全身に闇を集中させ、その攻撃をクレイモアで受け止める。
激しい衝撃。
大地がその力に耐えられずに大きく陥没し、大きな岩や土くれが舞う。
だが俺は耐えた。
骨が少々軋む感覚を覚えたが、フェンリルの攻撃を完全に受け止める。
俺はすかさずクレイモアを通じてフェンリルの闇を奪う。
『──?!』
フェンリルは短く声をあげ、慌ててその爪を引いた。
「でももう遅い!」
俺はフェンリルの腕へと肉薄。
その大木のように太い脚へとクレイモアを横に一閃。
そこから奪い取った膨大な闇がクレイモアに纏った。
すかさず俺はその刃を振り上げる。
「『黒き十字を抱きて眠れ』」
描かれる暗黒の十字。
フェンリルは咄嗟にその身をよじって。
だが俺の放った斬擊が肩口から右前足と右の後ろ足の膝から下を切断する。
その傷口から血のように闇が吹き出し、フェンリルは顔を歪めた。
そしてなぜか踵を返す。
逃げるのか?
でも魔物の軍勢の筆頭格、ここで逃がしたりはしない。
必ずこで討つ!
だがフェンリルが向いた先には街。
その蒼い炎を燃やした眼で俺を横目見た。
目を細め、歯牙を剥いたその表情はこちらを嘲笑っているように見える。
「まさか……俺に敵わないから街へ?!」
『────』
俺の声に答えるように唸るとフェンリルが跳んだ。
傷口から溢れだす闇で欠損した手足を形作り、街の中心へ。
俺はフェンリルを追って全力で街へと駆ける。
同時に無数の闇を圧縮。
圧縮。
圧縮。
圧縮。
圧縮。
圧縮。
圧縮────
闇を圧縮させ、俺は次々と魔物を生み出した。
フェンリルと同じウルフ種。
俺式闇払いを繰り返した結果、俺は狙った種族の魔物を生み出せるようになっていた。
これだけの闇があれば生まれるのは予想通りブラック・ウルフ。
これならフェンリルの闇から湧き出す魔物達にも引けはとらないはずだ。
俺は先にブラック・ウルフを先行させた。
フェンリルの足止めは難しいだろうが、少なくともフェンリルから生まれる魔物の被害は食い止められるはず。
そして俺は駆けながら顔を闇で覆い隠した。
闇の仮面を纏い、フェンリルを追う。
「リヒトんは? リヒトんはどうなったの!?」
私──フランシスカは突如として街へと現れた巨大な狼の魔物を遠目に見て言った。
今も闇を撒き散らしているあれは間違いなく今回の騒動の元凶。
リヒトんが──ううん、人間が敵うような存在とはとても思えない。
もしあれに向かっていったとしたら、きっともう…………。
私はふるふると首を左右に振った。
「リヒトんだって馬鹿じゃない。あれを見たらきっと逃げ出す。きっと逃げ出してるはず」
私はそう言い聞かせる。
「ここも危険だ」
「逃げるぞ」
衛兵の2人が言った。
あの大きな魔物の闇からさらに魔物が何体も出てきてる。
確かにここは…………、この街は、もう。
私は衛兵のあとを追って避難を始めて。
でもその時、女の子の泣き声が聞こえた。
防壁の上から下を見ると小さな女の子がぬいぐるみを引きずり、泣きじゃくりながら歩いている。
そばにお母さんの姿はない。
逃げ惑う人々は誰もその女の子に手を差しのべない。
「衛兵さん!」
私は衛兵に声をかけ、女の子を示した。
だが衛兵は女の子を見たが首を振る。
「無理だ。危険過ぎる」
衛兵はすぐにまた避難を開始する。
でも私は防壁を降りる通路に向かって駆け出した。
女の子を放ってはおけない。
私は急いで女の子のもとへ向かって。
「もう大丈夫だよ」
女の子の手をとって言った。
早くここを離れないと。
だけどその時、背後から獣のような唸り声。
振り向くと、そこには魔物の姿があった。
思わず息が止まる。
まずい。
咄嗟に女の子を私の陰に。
でもどうすれば。
このままじゃ私もこの子も殺されちゃう。
「だ、大丈夫。大丈夫だよ。大丈夫だから」
私は自分と女の子に言い聞かせた。
だが声の震えが止まらない。
私も女の子も恐怖から互いに強く手を握る。
その時、さらに魔物が現れた。
でもなぜかその魔物は、私達を襲おうとしていた魔物に攻撃する。
そこからは魔物同士の戦い。
「仲間割れ? ううん、今はとにかく逃げないと」
私はその隙に女の子の手を引いて逃げ出した。
私が後ろを振り返ると、何体もの魔物が人々を襲って。
でも同時にたくさんの魔物がその攻撃を阻み、魔物同士で争ってる。
三日月型の斬擊が幾度となく大地を疾り、遥か先まで魔物を蹂躙する。
『──────』
フェンリルは俺を半眼で見下ろすと、低い唸りを上げた。
腹の底にまで響く重たい響き。
だがもう怖くはない。
フェンリルが爪を振りかぶった。
1本1本がオーガが使う大剣のような巨大で鋭い爪。
『────!』
身構える俺に向かって叩きつけるように爪を振るうフェンリル。
俺は全身に闇を集中させ、その攻撃をクレイモアで受け止める。
激しい衝撃。
大地がその力に耐えられずに大きく陥没し、大きな岩や土くれが舞う。
だが俺は耐えた。
骨が少々軋む感覚を覚えたが、フェンリルの攻撃を完全に受け止める。
俺はすかさずクレイモアを通じてフェンリルの闇を奪う。
『──?!』
フェンリルは短く声をあげ、慌ててその爪を引いた。
「でももう遅い!」
俺はフェンリルの腕へと肉薄。
その大木のように太い脚へとクレイモアを横に一閃。
そこから奪い取った膨大な闇がクレイモアに纏った。
すかさず俺はその刃を振り上げる。
「『黒き十字を抱きて眠れ』」
描かれる暗黒の十字。
フェンリルは咄嗟にその身をよじって。
だが俺の放った斬擊が肩口から右前足と右の後ろ足の膝から下を切断する。
その傷口から血のように闇が吹き出し、フェンリルは顔を歪めた。
そしてなぜか踵を返す。
逃げるのか?
でも魔物の軍勢の筆頭格、ここで逃がしたりはしない。
必ずこで討つ!
だがフェンリルが向いた先には街。
その蒼い炎を燃やした眼で俺を横目見た。
目を細め、歯牙を剥いたその表情はこちらを嘲笑っているように見える。
「まさか……俺に敵わないから街へ?!」
『────』
俺の声に答えるように唸るとフェンリルが跳んだ。
傷口から溢れだす闇で欠損した手足を形作り、街の中心へ。
俺はフェンリルを追って全力で街へと駆ける。
同時に無数の闇を圧縮。
圧縮。
圧縮。
圧縮。
圧縮。
圧縮。
圧縮────
闇を圧縮させ、俺は次々と魔物を生み出した。
フェンリルと同じウルフ種。
俺式闇払いを繰り返した結果、俺は狙った種族の魔物を生み出せるようになっていた。
これだけの闇があれば生まれるのは予想通りブラック・ウルフ。
これならフェンリルの闇から湧き出す魔物達にも引けはとらないはずだ。
俺は先にブラック・ウルフを先行させた。
フェンリルの足止めは難しいだろうが、少なくともフェンリルから生まれる魔物の被害は食い止められるはず。
そして俺は駆けながら顔を闇で覆い隠した。
闇の仮面を纏い、フェンリルを追う。
「リヒトんは? リヒトんはどうなったの!?」
私──フランシスカは突如として街へと現れた巨大な狼の魔物を遠目に見て言った。
今も闇を撒き散らしているあれは間違いなく今回の騒動の元凶。
リヒトんが──ううん、人間が敵うような存在とはとても思えない。
もしあれに向かっていったとしたら、きっともう…………。
私はふるふると首を左右に振った。
「リヒトんだって馬鹿じゃない。あれを見たらきっと逃げ出す。きっと逃げ出してるはず」
私はそう言い聞かせる。
「ここも危険だ」
「逃げるぞ」
衛兵の2人が言った。
あの大きな魔物の闇からさらに魔物が何体も出てきてる。
確かにここは…………、この街は、もう。
私は衛兵のあとを追って避難を始めて。
でもその時、女の子の泣き声が聞こえた。
防壁の上から下を見ると小さな女の子がぬいぐるみを引きずり、泣きじゃくりながら歩いている。
そばにお母さんの姿はない。
逃げ惑う人々は誰もその女の子に手を差しのべない。
「衛兵さん!」
私は衛兵に声をかけ、女の子を示した。
だが衛兵は女の子を見たが首を振る。
「無理だ。危険過ぎる」
衛兵はすぐにまた避難を開始する。
でも私は防壁を降りる通路に向かって駆け出した。
女の子を放ってはおけない。
私は急いで女の子のもとへ向かって。
「もう大丈夫だよ」
女の子の手をとって言った。
早くここを離れないと。
だけどその時、背後から獣のような唸り声。
振り向くと、そこには魔物の姿があった。
思わず息が止まる。
まずい。
咄嗟に女の子を私の陰に。
でもどうすれば。
このままじゃ私もこの子も殺されちゃう。
「だ、大丈夫。大丈夫だよ。大丈夫だから」
私は自分と女の子に言い聞かせた。
だが声の震えが止まらない。
私も女の子も恐怖から互いに強く手を握る。
その時、さらに魔物が現れた。
でもなぜかその魔物は、私達を襲おうとしていた魔物に攻撃する。
そこからは魔物同士の戦い。
「仲間割れ? ううん、今はとにかく逃げないと」
私はその隙に女の子の手を引いて逃げ出した。
私が後ろを振り返ると、何体もの魔物が人々を襲って。
でも同時にたくさんの魔物がその攻撃を阻み、魔物同士で争ってる。
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