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閑話#4、慈悲ちょこの裏話

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『副会長…相変わらず自分の欲望に忠実で、欲望を叶えるためならプライドすは捨てますね…そういうとこさえなかったら頼りになる人なんだけど…今日だけはあの人に優しくしてあげるとしましょうか』

「あの、すみません」
「あ、高梨さん。どうしたんですか?調理部に」
「現在、チョコ菓子を作ろうとしていて…隅の方で良いので、場所をお借り出来ないかと」
 キャー!と調理していた女子は歓声をあげる。
 男子は逆に舌打ちをして、呪言のようにブツブツと何かを言っている。
「あの…迷惑なら大丈夫です」
「いえいえ!大丈夫ですよ!」
 チラッと材料をみて高梨は何を作ろうとしているのを察する。
「…カップケーキ………確かに手頃だし簡単に出来る…私の分の材料って余ってますか?」
「はい、ありますよ」
「じゃあ、頂いてもよろしいかしら?私も作るわ」
「少し待って下さいね」
 材料を渡され、エプロンを着る高梨。やる気に満ち溢れていた。

☆☆☆☆☆

「…出来たかな?」
「……お見事!」
 パチパチと拍手が周りから鳴る。
「手際が良いですね!こういうのって作り慣れてるんですか?」
「いえ、あまり作らないですよ。なんならイベント事に作るのは初めてですよ?」
「えっ…まさか高梨さん、バレンタインにチョコ渡した事ないんですか…?」
「はい。…なんですか、その目」
「いや、失礼ながら意外だなぁと」
「…まぁ、すみません。突然おしかけて…」
「あ、大丈夫ですよ!ちなみにお相手は…?」
「副会長ですよ」
「副会長にはじめてをあげるんですか!?!?」
「…ッ!…あまり意識したくないので、コレで失礼します。材料の提供、ありがとうございました」

 高梨は耳を少しだけ赤くして、副会長室に戻って行ったのでした。ただ、初めて異性にチョコを渡すのだということに意識を向けて。
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