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入園
初日#2、学生寮(?)。
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校舎に入ると目の前にスーツをしっかり着た清潔感漂うパッと見30代くらいの男性が居た。
「入園届と受験番号をお見せ下さい」
「あ、はい」
「確かに。それでは…」
男性は大きく息を吸い、早口で告げる
「ここを右に曲がってつきあたりまで歩いて壁が見えたら左にまがってすぐに階段がありますので3階まで駆け上がって頂き、そこから左に曲がって渡り廊下を進んで頂き、鍵を渡してくれる人が居るのでそちらの方に部屋のもらってそのまま部屋まで行って待機してて下さい!」
「………なんて?」
あまりの速さで途中から聴き取れなかった。
ぜーはーと息を切らせつつももう一度言おうと男性が息を吸って告げる。
「ここを右に…!」
「いえ、大丈夫です、教えてくれてありがとうございました!頑張って下さい!」
「え?あ、はい」
雛花は笑ってコチラを向いて
「さ、行こ!」
と、俺の手を引っ張り、広大な校舎を移動し始める。
「…もう道覚えたのか、流石だな、雛花」
「ふふ、まだまだですなぁ、しんちゃん?」
雛花は昔から人気だけでなく、記憶力が良かった…ほんの一部だが。
雛花は1度言われた事は忘れない、ずば抜けた思考回路を生まれつき持っている。そんなの、テスト余裕だと思うだろ?本人は、言われた事は全て覚えていても、有効活用、つまりその知識・言動を理解が出来ず、考えることがあまりできないのだ。
例えば、数学の問題、あれが出来ない。やり方を聞けばなんとか理解は出来るが、その後同じ様な問題が出ても、理解不能、わからない。になるのだ。
「本当、よくわからないな」
「ん?なにが?」
「何でもねぇよ」
かれこれ移動して5分程で着いた。そこで俺は思った事がある。
「くっそ広いな、この学園……」
「うん…予想外だったね…」
この学園は事前に下見とか出来ないので、2人とも初めて訪れたのだ。多分、学園の一角を見た事があっても、都市の一部にしか見えない外観でしかなかったのだろう。この学園はとにかく謎が多すぎる。
などと、考え事をしていると、ズボラな青パーカーを纏った20代位の男性が奥の部屋から欠伸しつつ頭をポリポリと掻きながらコチラにダルそうに向かって来た。
「あ、君たち新入生だな、俺はこの学生寮を管理を任されてる深琴っていう、しがない管理人さ。」
俺たちは一瞬、思考が停止した。すかさず、雛花とアイコンタクトで瞬時に語る。
《今、学生寮っつったか?》
《うん、間違いなく言ったね…》
《………知ってたか?》
《………知らなかったよ…うん。》
「そこは非公開にすんなよ、畜生めぇ!!」
思わず声に出してしまった。それに驚いた管理人、もとい深琴さんは目を丸くしている。
「ビックリした…眠気覚めたよ、うん。どうしたんだい?急に大きな声出して…」
「深琴…さん、ココって寮制なんですか?」
「え、そうだよ?あと、深琴さんだと硬っ苦しいから呼び捨てでいいよ?」
「そうですか?分かりました…」
「あの~…今日初めて学寮制って聞いたんですけど、日用品ってどうしたらいいですか?」
「あぁ、それなら備え付けだから安心して貰って構わないよ。それでも無くなるもんは無くなるし、買い出しに行くしかないよねぇ。この学園、外観から予想出来ると思うけど一つの街…いや、あえてここは一つの国と言うべきだな。だからこの学園の敷地内から出なくても日用品は買えるし、店があるならつまり、バイトも出来る。なんなら卒業した後でも、そのままこの学園で働けるし、住むことも出来るんだ。そう考えると学寮じゃないかもだな」
「それって………」
俺と雛花はあまりのスケールに驚いて絶句していた。あからさまに学園の域を超えている。
そもそも国と言える学園って何だよ。
卒業した後でもそのまま住める学園なんて、常識的にふざけてる、遠い場所にある、街の名前の某有名な車の工場会社じゃあるまいし。
「はは、なつかしいな。俺もここに入園した時、当時の管理人に同じこと言われた時、同じ様な反応したよ…ん、まぁいいやこれが君らの部屋の鍵だ。失くすと部屋に勿論入れなくなるし、合鍵は一応俺が持ってるが、失くした場合は鍵屋に頼んで作ってもらうことになるから」
「「はい、把握しました」」
理解があまり追いつかない二人は綺麗にハモりつつも、鍵を手にして、部屋に向かうのであった。
「入園届と受験番号をお見せ下さい」
「あ、はい」
「確かに。それでは…」
男性は大きく息を吸い、早口で告げる
「ここを右に曲がってつきあたりまで歩いて壁が見えたら左にまがってすぐに階段がありますので3階まで駆け上がって頂き、そこから左に曲がって渡り廊下を進んで頂き、鍵を渡してくれる人が居るのでそちらの方に部屋のもらってそのまま部屋まで行って待機してて下さい!」
「………なんて?」
あまりの速さで途中から聴き取れなかった。
ぜーはーと息を切らせつつももう一度言おうと男性が息を吸って告げる。
「ここを右に…!」
「いえ、大丈夫です、教えてくれてありがとうございました!頑張って下さい!」
「え?あ、はい」
雛花は笑ってコチラを向いて
「さ、行こ!」
と、俺の手を引っ張り、広大な校舎を移動し始める。
「…もう道覚えたのか、流石だな、雛花」
「ふふ、まだまだですなぁ、しんちゃん?」
雛花は昔から人気だけでなく、記憶力が良かった…ほんの一部だが。
雛花は1度言われた事は忘れない、ずば抜けた思考回路を生まれつき持っている。そんなの、テスト余裕だと思うだろ?本人は、言われた事は全て覚えていても、有効活用、つまりその知識・言動を理解が出来ず、考えることがあまりできないのだ。
例えば、数学の問題、あれが出来ない。やり方を聞けばなんとか理解は出来るが、その後同じ様な問題が出ても、理解不能、わからない。になるのだ。
「本当、よくわからないな」
「ん?なにが?」
「何でもねぇよ」
かれこれ移動して5分程で着いた。そこで俺は思った事がある。
「くっそ広いな、この学園……」
「うん…予想外だったね…」
この学園は事前に下見とか出来ないので、2人とも初めて訪れたのだ。多分、学園の一角を見た事があっても、都市の一部にしか見えない外観でしかなかったのだろう。この学園はとにかく謎が多すぎる。
などと、考え事をしていると、ズボラな青パーカーを纏った20代位の男性が奥の部屋から欠伸しつつ頭をポリポリと掻きながらコチラにダルそうに向かって来た。
「あ、君たち新入生だな、俺はこの学生寮を管理を任されてる深琴っていう、しがない管理人さ。」
俺たちは一瞬、思考が停止した。すかさず、雛花とアイコンタクトで瞬時に語る。
《今、学生寮っつったか?》
《うん、間違いなく言ったね…》
《………知ってたか?》
《………知らなかったよ…うん。》
「そこは非公開にすんなよ、畜生めぇ!!」
思わず声に出してしまった。それに驚いた管理人、もとい深琴さんは目を丸くしている。
「ビックリした…眠気覚めたよ、うん。どうしたんだい?急に大きな声出して…」
「深琴…さん、ココって寮制なんですか?」
「え、そうだよ?あと、深琴さんだと硬っ苦しいから呼び捨てでいいよ?」
「そうですか?分かりました…」
「あの~…今日初めて学寮制って聞いたんですけど、日用品ってどうしたらいいですか?」
「あぁ、それなら備え付けだから安心して貰って構わないよ。それでも無くなるもんは無くなるし、買い出しに行くしかないよねぇ。この学園、外観から予想出来ると思うけど一つの街…いや、あえてここは一つの国と言うべきだな。だからこの学園の敷地内から出なくても日用品は買えるし、店があるならつまり、バイトも出来る。なんなら卒業した後でも、そのままこの学園で働けるし、住むことも出来るんだ。そう考えると学寮じゃないかもだな」
「それって………」
俺と雛花はあまりのスケールに驚いて絶句していた。あからさまに学園の域を超えている。
そもそも国と言える学園って何だよ。
卒業した後でもそのまま住める学園なんて、常識的にふざけてる、遠い場所にある、街の名前の某有名な車の工場会社じゃあるまいし。
「はは、なつかしいな。俺もここに入園した時、当時の管理人に同じこと言われた時、同じ様な反応したよ…ん、まぁいいやこれが君らの部屋の鍵だ。失くすと部屋に勿論入れなくなるし、合鍵は一応俺が持ってるが、失くした場合は鍵屋に頼んで作ってもらうことになるから」
「「はい、把握しました」」
理解があまり追いつかない二人は綺麗にハモりつつも、鍵を手にして、部屋に向かうのであった。
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