74 / 312
再び学園都市!(1)
しおりを挟む
ヴァージニアは学園都市に到着し、研究所が何処にあるのかを案内掲示板で確認した。
何となく覚えてはいるが、念のためである。
(あっちか……)
ヴァージニアが研究所内がどうなっていたのか思い出そうとしたら、嫌な奴を思い出してしまった。
噴水付近でヴァージニアをおちょくってきた小さい奴である。
(あのださい妖精はどうしてるのかな?牢獄の中かな?)
ださい妖精は前科が多いそうなので、軽犯罪でも罰金だけではなく投獄されるだろう。
ヴァージニアは被害者が増えないように警備の厳しい刑務所に入れて欲しいと願った。
(あの球体は1階に設置されたかな?)
球体とは案内魔導具だ。
学園都市の王立魔導研究所は迷いやすいので設置されているそうだ。
なのに肝心な1階には設置されておらず、ヴァージニアが初めて行った時は何処に行ったらいいのか分からなかった。
(魔導具なのに少し個性があったよね。……えーっと、毒物博士は3階だったっけ?)
分からなくても受付に行けば人間が教えてくれるだろう。
ヴァージニアが色々と考えているうちに研究所に到着した。
相変わらず立派な建物だ。
今日も庭園内で絵を描いている人が複数いる。
噴水も前と変わらず様々な景色を作り出している。
(噴水を見ると警戒しちゃうよね)
ヴァージニアは目をこらして見たが、小さい奴はいないようだ。
彼女は安心して通り過ぎ、建物内に入っていった。
(あ!)
入り口には以前はいなかった球体がいた。
空中にくっついたかのように微動だにしていないので、とても異質に見える。
「ヴァージニアさんですね。お待ちしておりました」
「顔認証されてる……」
そうでなければ、何の用かしか聞かれないと思われる。
「はい。以前来所された際のデータと照合いたしました。他にも、骨格認証や歩容認証もされております」
「え」
何処にそんな装置があったのだろうかとヴァージニアは驚きのあまり固まってしまった。
前に来たときと同じだと思っていたので尚更だ。
ちなみに歩容認証とは歩き方から個人を識別するものだ。
「それでは受付にご案内いたします」
複数の認証をされているのに受付はするらしい。
行ってみると、そこには人間がいて書類にサインをさせられた。
(ここはアナログ……。いや、筆跡か……)
「筆跡、98%一致しました」
(やっぱりかー)
ヴァージニアは筆跡まで鑑定されてしまった。
いちいち言うのは無断でやると問題にでもなるからだろうか。
ヴァージニアは心の中で首を傾げておいた。
「それでは階段までご案内いたします」
1階の球体だけが認証をしまくるのか、それとも全部だろうか。
毎回されるのは面倒臭い。
「階段に到着いたしました。3階までお上がりください」
階段は前回と同じくあっという間に3階に到着した。
ヴァージニアはこの世の全ての階段がこうであればいいのにと思った。
「ヴァージニアさんお待ちしておりました」
この階の球体は前に会ったことがあるはずだが、ヴァージニアは何かが違う気がした。
疑問に思っていたら、球体はヴァージニアの目の高さにやって来た。
「虹彩認証しました。前回のヴァージニアさんと同一人物と判定されました」
「あのー、他に何を認証するんですか?」
「声紋認証しました。こちらも一致しました。部屋までご案内いたします」
「……」
もしや、何か機密を盗まれる事件でもあったのだろうか。
(でないと厳重すぎて怖いよ……)
ヴァージニアは球体の後ろを歩きながら、何処かに監視カメラがあるのではないかとチラチラと見てしまった。
結論とすれば見つからなかったが、何かしらの方法で見られているのだろう。
「到着いたしました」
「ありがとうございます」
ヴァージニアがノックしドアノブに触れた瞬間、球体から音声が流れた。
「指紋が一致しました」
完全に油断していたのでヴァージニアは眉間に皺が寄ってしまった。
サインをした時に指紋を照合するのではいけなかったのだろうか、ペンだと細すぎるのだろうかとヴァージニアは心の中でぼやいてしまった。
何となく覚えてはいるが、念のためである。
(あっちか……)
ヴァージニアが研究所内がどうなっていたのか思い出そうとしたら、嫌な奴を思い出してしまった。
噴水付近でヴァージニアをおちょくってきた小さい奴である。
(あのださい妖精はどうしてるのかな?牢獄の中かな?)
ださい妖精は前科が多いそうなので、軽犯罪でも罰金だけではなく投獄されるだろう。
ヴァージニアは被害者が増えないように警備の厳しい刑務所に入れて欲しいと願った。
(あの球体は1階に設置されたかな?)
球体とは案内魔導具だ。
学園都市の王立魔導研究所は迷いやすいので設置されているそうだ。
なのに肝心な1階には設置されておらず、ヴァージニアが初めて行った時は何処に行ったらいいのか分からなかった。
(魔導具なのに少し個性があったよね。……えーっと、毒物博士は3階だったっけ?)
分からなくても受付に行けば人間が教えてくれるだろう。
ヴァージニアが色々と考えているうちに研究所に到着した。
相変わらず立派な建物だ。
今日も庭園内で絵を描いている人が複数いる。
噴水も前と変わらず様々な景色を作り出している。
(噴水を見ると警戒しちゃうよね)
ヴァージニアは目をこらして見たが、小さい奴はいないようだ。
彼女は安心して通り過ぎ、建物内に入っていった。
(あ!)
入り口には以前はいなかった球体がいた。
空中にくっついたかのように微動だにしていないので、とても異質に見える。
「ヴァージニアさんですね。お待ちしておりました」
「顔認証されてる……」
そうでなければ、何の用かしか聞かれないと思われる。
「はい。以前来所された際のデータと照合いたしました。他にも、骨格認証や歩容認証もされております」
「え」
何処にそんな装置があったのだろうかとヴァージニアは驚きのあまり固まってしまった。
前に来たときと同じだと思っていたので尚更だ。
ちなみに歩容認証とは歩き方から個人を識別するものだ。
「それでは受付にご案内いたします」
複数の認証をされているのに受付はするらしい。
行ってみると、そこには人間がいて書類にサインをさせられた。
(ここはアナログ……。いや、筆跡か……)
「筆跡、98%一致しました」
(やっぱりかー)
ヴァージニアは筆跡まで鑑定されてしまった。
いちいち言うのは無断でやると問題にでもなるからだろうか。
ヴァージニアは心の中で首を傾げておいた。
「それでは階段までご案内いたします」
1階の球体だけが認証をしまくるのか、それとも全部だろうか。
毎回されるのは面倒臭い。
「階段に到着いたしました。3階までお上がりください」
階段は前回と同じくあっという間に3階に到着した。
ヴァージニアはこの世の全ての階段がこうであればいいのにと思った。
「ヴァージニアさんお待ちしておりました」
この階の球体は前に会ったことがあるはずだが、ヴァージニアは何かが違う気がした。
疑問に思っていたら、球体はヴァージニアの目の高さにやって来た。
「虹彩認証しました。前回のヴァージニアさんと同一人物と判定されました」
「あのー、他に何を認証するんですか?」
「声紋認証しました。こちらも一致しました。部屋までご案内いたします」
「……」
もしや、何か機密を盗まれる事件でもあったのだろうか。
(でないと厳重すぎて怖いよ……)
ヴァージニアは球体の後ろを歩きながら、何処かに監視カメラがあるのではないかとチラチラと見てしまった。
結論とすれば見つからなかったが、何かしらの方法で見られているのだろう。
「到着いたしました」
「ありがとうございます」
ヴァージニアがノックしドアノブに触れた瞬間、球体から音声が流れた。
「指紋が一致しました」
完全に油断していたのでヴァージニアは眉間に皺が寄ってしまった。
サインをした時に指紋を照合するのではいけなかったのだろうか、ペンだと細すぎるのだろうかとヴァージニアは心の中でぼやいてしまった。
0
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説
前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。
棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。
これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。
それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。
お馬鹿な聖女に「だから?」と言ってみた
リオール
恋愛
だから?
それは最強の言葉
~~~~~~~~~
※全6話。短いです
※ダークです!ダークな終わりしてます!
筆者がたまに書きたくなるダークなお話なんです。
スカッと爽快ハッピーエンドをお求めの方はごめんなさい。
※勢いで書いたので支離滅裂です。生ぬるい目でスルーして下さい(^-^;
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
この度、青帝陛下の番になりまして
四馬㋟
恋愛
蓬莱国(ほうらいこく)を治める青帝(せいてい)は人ならざるもの、人の形をした神獣――青龍である。ゆえに不老不死で、お世継ぎを作る必要もない。それなのに私は青帝の妻にされ、后となった。望まれない后だった私は、民の反乱に乗して後宮から逃げ出そうとしたものの、夫に捕まり、殺されてしまう。と思ったら時が遡り、夫に出会う前の、四年前の自分に戻っていた。今度は間違えない、と決意した矢先、再び番(つがい)として宮城に連れ戻されてしまう。けれど状況は以前と変わっていて……。
伯爵夫人のお気に入り
つくも茄子
ファンタジー
プライド伯爵令嬢、ユースティティアは僅か二歳で大病を患い入院を余儀なくされた。悲しみにくれる伯爵夫人は、遠縁の少女を娘代わりに可愛がっていた。
数年後、全快した娘が屋敷に戻ってきた時。
喜ぶ伯爵夫人。
伯爵夫人を慕う少女。
静観する伯爵。
三者三様の想いが交差する。
歪な家族の形。
「この家族ごっこはいつまで続けるおつもりですか?お父様」
「お人形遊びはいい加減卒業なさってください、お母様」
「家族?いいえ、貴方は他所の子です」
ユースティティアは、そんな家族の形に呆れていた。
「可愛いあの子は、伯爵夫人のお気に入り」から「伯爵夫人のお気に入り」にタイトルを変更します。
追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて
だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。
敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。
決して追放に備えていた訳では無いのよ?
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる