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再び学園都市!(1)

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 ヴァージニアは学園都市に到着し、研究所が何処にあるのかを案内掲示板で確認した。
 何となく覚えてはいるが、念のためである。

(あっちか……)

 ヴァージニアが研究所内がどうなっていたのか思い出そうとしたら、嫌な奴を思い出してしまった。
 噴水付近でヴァージニアをおちょくってきた小さい奴である。

(あのださい妖精はどうしてるのかな?牢獄の中かな?)

 ださい妖精は前科が多いそうなので、軽犯罪でも罰金だけではなく投獄されるだろう。
 ヴァージニアは被害者が増えないように警備の厳しい刑務所に入れて欲しいと願った。

(あの球体は1階に設置されたかな?)

 球体とは案内魔導具だ。
 学園都市の王立魔導研究所は迷いやすいので設置されているそうだ。
 なのに肝心な1階には設置されておらず、ヴァージニアが初めて行った時は何処に行ったらいいのか分からなかった。

(魔導具なのに少し個性があったよね。……えーっと、毒物博士は3階だったっけ?)

 分からなくても受付に行けば人間が教えてくれるだろう。



 ヴァージニアが色々と考えているうちに研究所に到着した。
 相変わらず立派な建物だ。
 今日も庭園内で絵を描いている人が複数いる。
 噴水も前と変わらず様々な景色を作り出している。

(噴水を見ると警戒しちゃうよね)

 ヴァージニアは目をこらして見たが、小さい奴はいないようだ。
 彼女は安心して通り過ぎ、建物内に入っていった。

(あ!)

 入り口には以前はいなかった球体がいた。
 空中にくっついたかのように微動だにしていないので、とても異質に見える。

「ヴァージニアさんですね。お待ちしておりました」
「顔認証されてる……」

 そうでなければ、何の用かしか聞かれないと思われる。

「はい。以前来所された際のデータと照合いたしました。他にも、骨格認証や歩容認証もされております」
「え」

 何処にそんな装置があったのだろうかとヴァージニアは驚きのあまり固まってしまった。
 前に来たときと同じだと思っていたので尚更だ。
 ちなみに歩容認証とは歩き方から個人を識別するものだ。

「それでは受付にご案内いたします」

 複数の認証をされているのに受付はするらしい。
 行ってみると、そこには人間がいて書類にサインをさせられた。

(ここはアナログ……。いや、筆跡か……)
「筆跡、98%一致しました」
(やっぱりかー)

 ヴァージニアは筆跡まで鑑定されてしまった。
 いちいち言うのは無断でやると問題にでもなるからだろうか。
 ヴァージニアは心の中で首を傾げておいた。

「それでは階段までご案内いたします」

 1階の球体だけが認証をしまくるのか、それとも全部だろうか。
 毎回されるのは面倒臭い。

「階段に到着いたしました。3階までお上がりください」

 階段は前回と同じくあっという間に3階に到着した。
 ヴァージニアはこの世の全ての階段がこうであればいいのにと思った。

「ヴァージニアさんお待ちしておりました」

 この階の球体は前に会ったことがあるはずだが、ヴァージニアは何かが違う気がした。
 疑問に思っていたら、球体はヴァージニアの目の高さにやって来た。

「虹彩認証しました。前回のヴァージニアさんと同一人物と判定されました」
「あのー、他に何を認証するんですか?」
「声紋認証しました。こちらも一致しました。部屋までご案内いたします」
「……」

 もしや、何か機密を盗まれる事件でもあったのだろうか。

(でないと厳重すぎて怖いよ……)

 ヴァージニアは球体の後ろを歩きながら、何処かに監視カメラがあるのではないかとチラチラと見てしまった。
 結論とすれば見つからなかったが、何かしらの方法で見られているのだろう。

「到着いたしました」
「ありがとうございます」

 ヴァージニアがノックしドアノブに触れた瞬間、球体から音声が流れた。

「指紋が一致しました」

 完全に油断していたのでヴァージニアは眉間に皺が寄ってしまった。
 サインをした時に指紋を照合するのではいけなかったのだろうか、ペンだと細すぎるのだろうかとヴァージニアは心の中でぼやいてしまった。



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