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魔獣討伐!(2)
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三人で教会内を調べ始めた。
何かあるなら床だろうと思い、ヴァージニアは明かりの魔法を使って床を軽く調べた。
(変わった所はなさそうだ。あの書架みたいになっているのかと思ったけど何もないね)
ならば椅子だろうかと思い、こちらも一つ一つ調べてみた。
しかし、ここにも何もない。
(流石にずっと下を向いていると腰が痛い……。次は天井とか?)
ヴァージニアはチラリと天井を見上げるついでに腰を伸ばした。
視線を教会の奥に向けると他の二人はステンドグラスを調べたり、オルガンを調べたりしている。
ステンドグラスもオルガンもかなり古いものだが、手入れがされているのかピカピカだった。
「何かありましたか-?」
「ないな。見落としているのかもしれないから、明るくなってから調べ直した方がいいだろう」
「そうだな」
三人はため息をついて、ステンドグラスの前にある女性の像を見上げた。
ドレスを着ていて、髪の毛は肩の高さで結ばれている。
台座にあるプレートを見ると、この女性はこの教会を建てるためにお金を寄付してくれた人だそうだ。
(女神像じゃないんだ。てっきりここの神様かと思った。じゃあ神様は何処に?)
「……誰かこの像調べたか?」
おじさんが言うと、二人は首を振った。
「えー、この像を動かしたら地下室が出てくるとかですか?」
つい最近ヴァージニアは地下室に行ったのを思い出しながら言った。
出来れば、あんな体験はもうしたくない。
「まあ、調べてみようじゃないか」
そう言って凝視したり触ったりして調べてみたものの、何も分からなかった。
台座ごと動かそうとしてみたが、重すぎて動かない。
看板娘がいたら動かせたかもしれないが、破壊する可能性もあるので頼めない。
「何もないんですかね…」
「魔獣は他の建物より目立つこの教会を壊したかったんじゃないか?」
教会は千年以上もこの地に建っているので、周りの建物とは雰囲気が違う。
「そんな好みで襲われたんじゃ、たまったもんじゃないな」
ハハハと三人は笑った。
ヴァージニアは笑いながら女性の像の顔を見ていたら、その視線の先が気になった。
「この女の人は何処見てるんですかね?」
「えー?それこそ作ったときの加減じゃないか?」
「うーん…。確かに何でこんな斜め上を見てるんだろうな」
女性の像は不自然に高い位置を見ている。
三人で女性の像の視線の先、像から見て左斜め上を見た。
しかし、小さい窓があるだけで特別な何かがあるようには思えなかった。
豪華な物ではないし、かといって粗末でもない普通の窓だった。
「…反対側も同じですね」
ヴァージニアは視線の反対の窓も見たが、どう見ても同じに見える。
「像と同じ高さで見ないと分からないとかか?」
「よし、持ち上げるからヴァージニアが見てくれ」
「ええっ?!」
ヴァージニアは驚く暇もなく厨房のおじさんに持ち上げられた。
おじさんは腕を伸ばし、ヴァージニアは手の平の上に立っている。
流石、毎日大鍋を振るっているだけあって力持ちのようだ。
(チアリーディングのやつだぁあ。わわわ)
「何か見えたかー?」
「ええっと……」
ヴァージニアはバランスを取りながら左右の窓を見比べてみた。
(んーないよなぁ?分かりやすかったらとっくに見つけられているだろうし。……あれ?左側の方が少し窓の前のスペースが広い…かな?)
「降ろしてくださーい」
ヴァージニアは降ろしてもらい、二人に説明した。
「窓の前が?」
「下からじゃ何にも分からないな。ヴァージニアはあの窓の前に行けるか?」
「行けると思います」
ヴァージニアは小窓の前に転移魔法した。
「おっと…」
思ったより幅がなかったので、ヴァージニアは驚いた。
高さもそんなにないので、少し屈んでいないといけない。
小窓の前のスペースにはほこりが溜まっているので綺麗ではない。
多分だが、掃除は年に一回する程度なのだろう。
「何かあったかー?」
「何も見当たらないでーす!」
「んー、外れか」
窓自体にも足元にも何もなかった。
いや、足元はほこりまみれなので、詳しくは見えない。
ヴァージニアは足でほこりを払ってみた。
「うぉう!ほこりを落とすなら先に言ってくれよ」
下の二人にほこりがかかってしまったらしい。
二人は頭や服についたほこりを手で払っている。
「すみません……」
「んで、何かあったかー?」
「ちょっと待ってください。今見てみます」
ヴァージニアはゆっくりとしゃがみ込んで、足元をよく見てみた。
そこには僅かながら窪みがあるように見えた。
(何だろう?文字かな?)
文字らしき窪みを読もうと必死で見てみたが、掃除の時の摩擦で文字が削れていったらしく、上手く読めない。
ヴァージニアは読めそうな文字だけ見て、何かヒントになる文字がないか懸命に探した。
(うーん…。これはもしかして虹って書いてあるのかな?虹が……かかる場所?)
それだけではさっぱり分からないので、もっと読める文字がないか注視してみたが解読出来なかった。
何かあるなら床だろうと思い、ヴァージニアは明かりの魔法を使って床を軽く調べた。
(変わった所はなさそうだ。あの書架みたいになっているのかと思ったけど何もないね)
ならば椅子だろうかと思い、こちらも一つ一つ調べてみた。
しかし、ここにも何もない。
(流石にずっと下を向いていると腰が痛い……。次は天井とか?)
ヴァージニアはチラリと天井を見上げるついでに腰を伸ばした。
視線を教会の奥に向けると他の二人はステンドグラスを調べたり、オルガンを調べたりしている。
ステンドグラスもオルガンもかなり古いものだが、手入れがされているのかピカピカだった。
「何かありましたか-?」
「ないな。見落としているのかもしれないから、明るくなってから調べ直した方がいいだろう」
「そうだな」
三人はため息をついて、ステンドグラスの前にある女性の像を見上げた。
ドレスを着ていて、髪の毛は肩の高さで結ばれている。
台座にあるプレートを見ると、この女性はこの教会を建てるためにお金を寄付してくれた人だそうだ。
(女神像じゃないんだ。てっきりここの神様かと思った。じゃあ神様は何処に?)
「……誰かこの像調べたか?」
おじさんが言うと、二人は首を振った。
「えー、この像を動かしたら地下室が出てくるとかですか?」
つい最近ヴァージニアは地下室に行ったのを思い出しながら言った。
出来れば、あんな体験はもうしたくない。
「まあ、調べてみようじゃないか」
そう言って凝視したり触ったりして調べてみたものの、何も分からなかった。
台座ごと動かそうとしてみたが、重すぎて動かない。
看板娘がいたら動かせたかもしれないが、破壊する可能性もあるので頼めない。
「何もないんですかね…」
「魔獣は他の建物より目立つこの教会を壊したかったんじゃないか?」
教会は千年以上もこの地に建っているので、周りの建物とは雰囲気が違う。
「そんな好みで襲われたんじゃ、たまったもんじゃないな」
ハハハと三人は笑った。
ヴァージニアは笑いながら女性の像の顔を見ていたら、その視線の先が気になった。
「この女の人は何処見てるんですかね?」
「えー?それこそ作ったときの加減じゃないか?」
「うーん…。確かに何でこんな斜め上を見てるんだろうな」
女性の像は不自然に高い位置を見ている。
三人で女性の像の視線の先、像から見て左斜め上を見た。
しかし、小さい窓があるだけで特別な何かがあるようには思えなかった。
豪華な物ではないし、かといって粗末でもない普通の窓だった。
「…反対側も同じですね」
ヴァージニアは視線の反対の窓も見たが、どう見ても同じに見える。
「像と同じ高さで見ないと分からないとかか?」
「よし、持ち上げるからヴァージニアが見てくれ」
「ええっ?!」
ヴァージニアは驚く暇もなく厨房のおじさんに持ち上げられた。
おじさんは腕を伸ばし、ヴァージニアは手の平の上に立っている。
流石、毎日大鍋を振るっているだけあって力持ちのようだ。
(チアリーディングのやつだぁあ。わわわ)
「何か見えたかー?」
「ええっと……」
ヴァージニアはバランスを取りながら左右の窓を見比べてみた。
(んーないよなぁ?分かりやすかったらとっくに見つけられているだろうし。……あれ?左側の方が少し窓の前のスペースが広い…かな?)
「降ろしてくださーい」
ヴァージニアは降ろしてもらい、二人に説明した。
「窓の前が?」
「下からじゃ何にも分からないな。ヴァージニアはあの窓の前に行けるか?」
「行けると思います」
ヴァージニアは小窓の前に転移魔法した。
「おっと…」
思ったより幅がなかったので、ヴァージニアは驚いた。
高さもそんなにないので、少し屈んでいないといけない。
小窓の前のスペースにはほこりが溜まっているので綺麗ではない。
多分だが、掃除は年に一回する程度なのだろう。
「何かあったかー?」
「何も見当たらないでーす!」
「んー、外れか」
窓自体にも足元にも何もなかった。
いや、足元はほこりまみれなので、詳しくは見えない。
ヴァージニアは足でほこりを払ってみた。
「うぉう!ほこりを落とすなら先に言ってくれよ」
下の二人にほこりがかかってしまったらしい。
二人は頭や服についたほこりを手で払っている。
「すみません……」
「んで、何かあったかー?」
「ちょっと待ってください。今見てみます」
ヴァージニアはゆっくりとしゃがみ込んで、足元をよく見てみた。
そこには僅かながら窪みがあるように見えた。
(何だろう?文字かな?)
文字らしき窪みを読もうと必死で見てみたが、掃除の時の摩擦で文字が削れていったらしく、上手く読めない。
ヴァージニアは読めそうな文字だけ見て、何かヒントになる文字がないか懸命に探した。
(うーん…。これはもしかして虹って書いてあるのかな?虹が……かかる場所?)
それだけではさっぱり分からないので、もっと読める文字がないか注視してみたが解読出来なかった。
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