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魔法で作る!(2)
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ヴァージニアとマシューは買い物をしてから家に帰った。
道中、マシューは友達が出来たと喜んでいた。
(友達なのかな?仕事仲間なら分かるけど…。まぁ、マシューにとっては友達なんだろうね)
ヴァージニアが夕食の準備をしていると、マシューが何かを言いたそうにもじもじしていた。
「どうしたの?」
「きょうのゆうはんは、ぼくがつくるよ!」
「その申し出は嬉しいけど、包丁とか火とか危ないよ?」
「まほうでやるからへいきだよ!」
マシューは腰に手を当てて威張っている。
(そのポーズはなんだろ?)
「…やった事ないでしょう?どっちにしろ危ないって」
「ぼくがやるよ。ジニーはほんをよんでていいよ!」
「えー、本当に大丈夫かなぁ?」
と言いつつも、マシューならやってしまうんだろうと思うヴァージニアだった。
ヴァージニアはマシューが怪我をしないように本を読むフリだけしようと考えた。
「じゃがいもがあるから、コロッケをつくる」
「…マシュー。残念だけど、そのじゃがいもはポテトサラダ用に買ったんだよ」
「えっ……」
マシューはひどくショックを受けたような顔になった。
「パン粉もないしね」
「パンこはしょくパンからつくる…」
「うん、駄目だからね。明日の朝食の分がなくなっちゃうよ」
「なんて、わなだ…」
とてもショックだったらしく、マシューは震えている。
「罠じゃないから」
「おいもがあったらコロッケだとおもうよ」
(唇を尖らせて怒ってる……)
「じゃあ、もう夕飯作らないの?」
「つくる…ポテトサラダ…つくる……」
マシューはとても不満そうにブツブツ言いながら、じゃがいもを茹で始めた。
そして茹でている間に他の食材を魔法で切り始めようとした。
「きゅうりはわぎり、にんじんは…いちょうぎり?」
マシューは首を傾げて考えている。
「銀杏の葉っぱの形に切るんだよ」
「いちょうがわかんない……」
「時計が3時になった時の形だよ」
「ジニー、さっきからなにいってるの?」
このままだと埒が明かないので、ヴァージニアは実際に切って見せてあげた。
「はい、これがいちょう切りね」
「いちょう…3じ……」
マシューは納得いかないらしい。
「形が分かったから切れる?」
「切れるよ…」
マシューはきゅうりと人参を魔法で切った。
あっと言う間だった。
心配する必要はなかったようだ。
(羨ましい…。マシューは魔法でなんでも出来るようになっちゃうんだろうなぁ。いいなぁ)
そのうち天才少年と持て囃されるのだろう。
「ハムもきらなきゃ!」
「そうだ、ちょっと待ってね」
ヴァージニアは引き出しの中から何故買ったか分からない野菜抜き型を取り出し、ずっとしまってあったので一応洗った。
「なにそれ?」
「これはね、こうするんだよ」
ヴァージニアはハムに星形の抜き型を使った。
他にも何ヶ所か星形を取れるように、ハムの隅に使用した。
「おおー!すごい」
「マシューもやってみて」
「やった!」
マシューはハムのど真ん中をくり抜いた。
これではもう抜き型を使えない。
「おおー!かっこいい!」
「よかったねぇ」
「もっとしなきゃ!」
(しなきゃ?)
マシューは他のハムを取り出そうとした。
「そんなにハムいらないよ。ほら、何枚か重ねているからすでに星形のハムが沢山出来てるしさ」
(予定より少ないけどね)
「なんてこった……」
ヴァージニアはマシューが落ち込んでいる隙に、じゃがいもに火が通ったので皮を剥いて潰すことにした。
熱いが魔法で手を冷やしながらすれば平気だった。
「マシュー、ハムのまわり切っておいてね。星形はもういらないからね」
「ん、わかった。ぼくはえらいから、ジニーのいうことをきくんだ……」
「うん、そうだね。マシューはえらいね…」
ヴァージニアがじゃがいもを潰し始めると、ハムを切り終えたマシューが興味をしめした。
「たのしそうだね」
「どこをどう見たら、楽しそうに見えるの」
なかなか疲れる作業だ。
「つぶすのたのしそう」
「じゃあ、任せるよ」
これも魔法でやるのかと思ったが、ヴァージニアがやっていたまま潰し始めた。
かなり力を込めている。
(ストレス発散……?)
道中、マシューは友達が出来たと喜んでいた。
(友達なのかな?仕事仲間なら分かるけど…。まぁ、マシューにとっては友達なんだろうね)
ヴァージニアが夕食の準備をしていると、マシューが何かを言いたそうにもじもじしていた。
「どうしたの?」
「きょうのゆうはんは、ぼくがつくるよ!」
「その申し出は嬉しいけど、包丁とか火とか危ないよ?」
「まほうでやるからへいきだよ!」
マシューは腰に手を当てて威張っている。
(そのポーズはなんだろ?)
「…やった事ないでしょう?どっちにしろ危ないって」
「ぼくがやるよ。ジニーはほんをよんでていいよ!」
「えー、本当に大丈夫かなぁ?」
と言いつつも、マシューならやってしまうんだろうと思うヴァージニアだった。
ヴァージニアはマシューが怪我をしないように本を読むフリだけしようと考えた。
「じゃがいもがあるから、コロッケをつくる」
「…マシュー。残念だけど、そのじゃがいもはポテトサラダ用に買ったんだよ」
「えっ……」
マシューはひどくショックを受けたような顔になった。
「パン粉もないしね」
「パンこはしょくパンからつくる…」
「うん、駄目だからね。明日の朝食の分がなくなっちゃうよ」
「なんて、わなだ…」
とてもショックだったらしく、マシューは震えている。
「罠じゃないから」
「おいもがあったらコロッケだとおもうよ」
(唇を尖らせて怒ってる……)
「じゃあ、もう夕飯作らないの?」
「つくる…ポテトサラダ…つくる……」
マシューはとても不満そうにブツブツ言いながら、じゃがいもを茹で始めた。
そして茹でている間に他の食材を魔法で切り始めようとした。
「きゅうりはわぎり、にんじんは…いちょうぎり?」
マシューは首を傾げて考えている。
「銀杏の葉っぱの形に切るんだよ」
「いちょうがわかんない……」
「時計が3時になった時の形だよ」
「ジニー、さっきからなにいってるの?」
このままだと埒が明かないので、ヴァージニアは実際に切って見せてあげた。
「はい、これがいちょう切りね」
「いちょう…3じ……」
マシューは納得いかないらしい。
「形が分かったから切れる?」
「切れるよ…」
マシューはきゅうりと人参を魔法で切った。
あっと言う間だった。
心配する必要はなかったようだ。
(羨ましい…。マシューは魔法でなんでも出来るようになっちゃうんだろうなぁ。いいなぁ)
そのうち天才少年と持て囃されるのだろう。
「ハムもきらなきゃ!」
「そうだ、ちょっと待ってね」
ヴァージニアは引き出しの中から何故買ったか分からない野菜抜き型を取り出し、ずっとしまってあったので一応洗った。
「なにそれ?」
「これはね、こうするんだよ」
ヴァージニアはハムに星形の抜き型を使った。
他にも何ヶ所か星形を取れるように、ハムの隅に使用した。
「おおー!すごい」
「マシューもやってみて」
「やった!」
マシューはハムのど真ん中をくり抜いた。
これではもう抜き型を使えない。
「おおー!かっこいい!」
「よかったねぇ」
「もっとしなきゃ!」
(しなきゃ?)
マシューは他のハムを取り出そうとした。
「そんなにハムいらないよ。ほら、何枚か重ねているからすでに星形のハムが沢山出来てるしさ」
(予定より少ないけどね)
「なんてこった……」
ヴァージニアはマシューが落ち込んでいる隙に、じゃがいもに火が通ったので皮を剥いて潰すことにした。
熱いが魔法で手を冷やしながらすれば平気だった。
「マシュー、ハムのまわり切っておいてね。星形はもういらないからね」
「ん、わかった。ぼくはえらいから、ジニーのいうことをきくんだ……」
「うん、そうだね。マシューはえらいね…」
ヴァージニアがじゃがいもを潰し始めると、ハムを切り終えたマシューが興味をしめした。
「たのしそうだね」
「どこをどう見たら、楽しそうに見えるの」
なかなか疲れる作業だ。
「つぶすのたのしそう」
「じゃあ、任せるよ」
これも魔法でやるのかと思ったが、ヴァージニアがやっていたまま潰し始めた。
かなり力を込めている。
(ストレス発散……?)
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