亡き愛犬を想う

ミカヅキグマ

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夏に向かう

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 以前書いた庭のイチゴについてだが、一時的に復活したので愛犬のために供えた。
 しかし色はあまり良くない。
 赤くないのだ。

 そんなある日、一粒ケースに小分けされた赤いイチゴが供えられていた。
 高級イチゴだ!!すごい!!
 と思ってよく見たら布製の作り物だった。
 持ち上げてみたら、鼻を攻撃してきた。
 お線香臭かった。

 どうやら仏具店で買ったらしい。
 臭い。
 すごく臭い。

 その数日後に母が一度ケースを開けてしまったので、周囲にしばらく匂いが残っていた。
 なのでケースに入ったまま放置されている。

 さて、愛犬が旅立ってから3ヶ月経った。
 まだそんなものなのかと思う。
 毎日思う。

 いつも思うのだけど、遥か昔のような気がしてしまうんだよね。
 不思議だな。

 今頃、換毛期で冬毛がごっそりと抜けていたんだろうなぁ。
 ダブルコートだから結構な量が抜けていた。
 ゆっくりと引っ張るとズボッて抜ける。
 年を取ってからは毛量が減ったのでズボッと抜ける事はなくなっていたが、若い頃はズボズボと毛が抜けていた。
 楽しかったなぁ。
 毎日やっていたなぁ。

 抜け毛といえば、衣類につく愛犬の毛の量が減った。
 と言うよりほぼない。
 いつも悩まされていたけど、いざなくなると寂しい。
 嬉しいより、寂しいほうが大きいね。
 こんな風に思うようになるとは驚くしかない。

 抜け毛といえばもう一つ、夏物に衣替えしたら夏物の衣類に愛犬の毛がついていた。
 昨年気付かずに仕舞ったようだ。
 来年はこういうのはあるのだろうか。

 最近暑くなる日が出て来ているが、去年だともうこのくらいの時期で冷房をつけていた。
 人間は凍えていた。
 あれ、前にも書いたかな?
 ずっと昔にテレビで「犬のためにほぼ一年中冷房を使っています」と言っていた家庭があったのを思い出す。
 見た時は大型犬って大変だなと思ったが、どんな大きさの犬でも必要だったのだ。
 特に寒い地域にいた犬種はそうだろう。

 先日、夢に愛犬が出てきた。
 抱きしめたけど、記憶の中の愛犬よりもずっと小さかった。
 小さかったと言うより、痩せていたのほうが正しいだろうか。
 最期の方の愛犬だった。
 けれど、夢の中の愛犬は自立して座っていた。
 あちらでは元気にすごしているのだろうか。
 そうなんだろうか。

 元気だった頃は全然夢に出てこなかったのに、今は何週間かおきに登場する。
 何故だろう。
 前よりも愛犬のことを考えているのかな。
 そうなんだろうな。

 元気かなぁ……。
 祖母も元気かなぁ……。
 親戚の犬君も元気かなぁ……。
 随分前に亡くなった祖父達も元気かなぁ……。


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