亡き愛犬を想う

ミカヅキグマ

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苺とバナナ

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 愛犬は苺が好きだった。
 と言っても安価ではないので、頻繁にはあげられなかった。

 しかし、庭の苺なら別だ。
 我が家では何年も庭のプランターで苺を育てていた。
 ここで出来る苺を愛犬に与えていた。

 母が庭から戻ってくると、愛犬は母に苺をせがむ。
 母は苺を洗って愛犬に食べさせる。
 春から初夏ぐらいまではこれが日課になっていた。

 だが、苺の季節が終わっても愛犬は苺が欲しくて、母が庭から戻るたびに苺をねだっていた。
 何日か貰えないでいると、もうないのだと理解してせがまなくなっていた。

 もう今年はその光景が見られないのかと思うと、悲しいし寂しくてたまらない。

 実は庭の苺も元気がなくなってしまったので、今年は実をつけないと思われる。
 母はちゃんと世話をしていたのにも関わらずにだ。
 天気のせいかもしれないが、苺の方も寿命だったのかもしれない。

 毎年新しい物を植えていた訳ではなく、親株から子株を作っていたので、去年の苺はかなり小さかった。
 手の指先ぐらいの小さな苺だった。

 こんな小さな苺でも、愛犬は欲しがっていた。
 食いしん坊だからと言われたらそれまでなのだが、他の物より反応が良かったから、多分好きだったのだと思う。

 庭の小さな苺を見て、愛犬を思い出す事も出来ないのだろうな。
 苺、今までありがとう。
 長い間よく頑張ってくれたね。

 苺は昨日まで愛犬の骨壺の前にお供えしていたが、傷んできたので処分した。
 今は林檎とバナナが供えてある。

 バナナも好きだった。
 甘い物が好きなのかな?

 愛犬は昨年の12月ぐらいからバナナで命を繋いでいた。
 与えすぎは体に良くないのは重々承知しているが、何も食べない方が危険だと思うので少し多めに食べさせていた。
 バナナ以外食べない日もあった。

 お高い缶詰を食べさせていたんだけどね。
 何なら、人間が食べる缶詰よりも高い。
 バナナとその缶詰を混ぜて食べさせたりもした。

 ……美味しいの?
 と言いながら食べさせていた。

 缶詰だけで食べる時もあれば、バナナと混ぜないと食べない時もあった。
 そして、バナナだけしか食べない日が増えていった。

 缶詰とバナナを混ぜたものを頑張って無理矢理口に入れても、気に入らなければ口から出してしまう。
 誤って出てしまったのかと思い、もう一度入れても吐き出すのだ。
 何回入れてもいつの間にか出しているので、嫌だったのだろう。

 試しにバナナだけ入れたら、何も出てこなかった。
 食べるんじゃないかと、混ぜたものを入れたら缶詰だけ出てきた事があった。
 器用だなといって笑ったなぁ。

 そんなに食べたくなかったのか。
 高いのに。
 うん、値段関係ないか。

 高いと言っても我が家にとってはである。
 一缶○千円、○万円するわけではないんだ。

 愛犬はアレルギー体質だったから、フードを探すのは大変だったな。
 こう言うと、「一から作ればいい!」とか言ってくる人がいるんだろうな。
 愛があれば何でも出来るとか言い出すのかな。

 うざっ

 汚い言葉を使ってしまった。
 すみません。

 食べ物って本当大事だよね。
 食べ物を見直すと体調改善や肌荒改善するもの。
 愛犬がそうだったし、私もましになった。


 ちなみに私はバナナを食べると顔の粘膜が痒くなる。
 バナナ怖い。


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