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第3話
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■■■■■
「あそこが私達の教室です。」
清水さんは職員棟と生徒棟をつなぐ渡り廊下の突き当りを指差した。
文化祭の準備をしているのは本当らしく、清水さんの指さす窓には2年A組と書かれた画用紙が貼られていた。
―キーンコーンカーンコーン
ちょうど、休み時間の終わりのチャイムが鳴り響いた。
広い中廊下を歩く。
さすがに、授業中に出歩いている生徒は誰もいなかった。
「お!来た来た。」
ワイシャツに黒のジーンズ姿の無精ひげの男が廊下の壁に寄りかかっていた体を起こした。
「悪いな。助かった。清水。」
その男は清水さんの名前を呼んだ。
「担任の九重だ。別に俺から言う事は無い。適当に俺に迷惑が掛からない程度に好きに楽しんでくれ。よろしく。」
「まったく、もう。すみません。竹中君。先生、少し教師に向いていない性格をしているんです…。」
「そう、みたいですね…。」
「じゃ、入れ。廊下の話を聞き耳たてて待っている奴等がいるからな。」
九重先生はそう言うと乱雑に教室の扉を開けた。
「おーい。来たぞ。こいつが噂の編入生だ。」
え``?
いきなり俺が自己紹介をするとは思っていなかったから一瞬驚く。
普通、先生が俺の名前を紹介して、『仲良くしろよ?じゃ、自己紹介よろしく』
とかで進めるんじゃないのか?この先生まじ、適当すぎね?
と、まぁ、思うとこはあるが俺は教卓からクラスを見た。
「初めまして。この秋から編入してきた竹中祐です。秋までは通信高校に通っていました。分からないところもあるとは思いますが、どうぞよろしくお願いします。」
当たり障りのない挨拶をして顔を上げた。
「男じゃん。」
「美女が来るって噂してたの誰だよ…。」
「ぇー。どうせ来るなら、もっとイケメンが良かった…。」
「顔、マジ丸いし…。」
小さく呟く声が聞こえる。昔から冷やかしや誹謗中傷には慣れてきたと思っていたが、久しぶりだと少し堪える部分があった。
(顔丸いとか…。仕方無いだろ。薬の副作用なんだ。医学用語ではムーンフェイスってやつだ。)
俺の元の見た目は割と気に入っていたからその整った顔という武器が今、手元に無いのは心細い。
俺は今朝、ガラス越しに見た俺の体を思い出す。
ベッドの上で寝たきりで筋肉がそぎ落とされた細い腕、足。その細い体に不釣り合いなまん丸とした顔。
アンバランスもいいとこだ…。
「あー。竹中の席…は、と。」
井沢。一つ席前にずれろ。
九重先生はざわつく教室にテキパキと支持を出し、俺の座る席を確保しれくれた。
先生と目が合った。
『悪い。』
そう口だけが動いて見えた。
多分、先生にもクラスメイトの反応が聞こえたのだろう。
けれど、俺が病気の事を隠して欲しいと事前に報告していたため、上手く助言できなかったことを謝っているのだと分かった。
見た目は堕落しているが、以外にも配慮のある気の利いた先生なのかもしれないと、ここで少し九重先生の株が上がった。
俺は窓際の一番後ろにできた空白の席へ腰を下ろす。
偶然にも俺の隣は清水さんだった。
「よろしく。」
俺は目くばせと一緒に声を掛ける。
「はい。よろしくお願いしますね。」
そうまた、他人行儀な笑顔を俺に向けてきた。
「清水。お前、竹中の世話よろしくな。」
頼んだ。学級委員長。
「はい。分かりました。」
そうして、俺は清水さんが専属の世話係になってしまった。
「あそこが私達の教室です。」
清水さんは職員棟と生徒棟をつなぐ渡り廊下の突き当りを指差した。
文化祭の準備をしているのは本当らしく、清水さんの指さす窓には2年A組と書かれた画用紙が貼られていた。
―キーンコーンカーンコーン
ちょうど、休み時間の終わりのチャイムが鳴り響いた。
広い中廊下を歩く。
さすがに、授業中に出歩いている生徒は誰もいなかった。
「お!来た来た。」
ワイシャツに黒のジーンズ姿の無精ひげの男が廊下の壁に寄りかかっていた体を起こした。
「悪いな。助かった。清水。」
その男は清水さんの名前を呼んだ。
「担任の九重だ。別に俺から言う事は無い。適当に俺に迷惑が掛からない程度に好きに楽しんでくれ。よろしく。」
「まったく、もう。すみません。竹中君。先生、少し教師に向いていない性格をしているんです…。」
「そう、みたいですね…。」
「じゃ、入れ。廊下の話を聞き耳たてて待っている奴等がいるからな。」
九重先生はそう言うと乱雑に教室の扉を開けた。
「おーい。来たぞ。こいつが噂の編入生だ。」
え``?
いきなり俺が自己紹介をするとは思っていなかったから一瞬驚く。
普通、先生が俺の名前を紹介して、『仲良くしろよ?じゃ、自己紹介よろしく』
とかで進めるんじゃないのか?この先生まじ、適当すぎね?
と、まぁ、思うとこはあるが俺は教卓からクラスを見た。
「初めまして。この秋から編入してきた竹中祐です。秋までは通信高校に通っていました。分からないところもあるとは思いますが、どうぞよろしくお願いします。」
当たり障りのない挨拶をして顔を上げた。
「男じゃん。」
「美女が来るって噂してたの誰だよ…。」
「ぇー。どうせ来るなら、もっとイケメンが良かった…。」
「顔、マジ丸いし…。」
小さく呟く声が聞こえる。昔から冷やかしや誹謗中傷には慣れてきたと思っていたが、久しぶりだと少し堪える部分があった。
(顔丸いとか…。仕方無いだろ。薬の副作用なんだ。医学用語ではムーンフェイスってやつだ。)
俺の元の見た目は割と気に入っていたからその整った顔という武器が今、手元に無いのは心細い。
俺は今朝、ガラス越しに見た俺の体を思い出す。
ベッドの上で寝たきりで筋肉がそぎ落とされた細い腕、足。その細い体に不釣り合いなまん丸とした顔。
アンバランスもいいとこだ…。
「あー。竹中の席…は、と。」
井沢。一つ席前にずれろ。
九重先生はざわつく教室にテキパキと支持を出し、俺の座る席を確保しれくれた。
先生と目が合った。
『悪い。』
そう口だけが動いて見えた。
多分、先生にもクラスメイトの反応が聞こえたのだろう。
けれど、俺が病気の事を隠して欲しいと事前に報告していたため、上手く助言できなかったことを謝っているのだと分かった。
見た目は堕落しているが、以外にも配慮のある気の利いた先生なのかもしれないと、ここで少し九重先生の株が上がった。
俺は窓際の一番後ろにできた空白の席へ腰を下ろす。
偶然にも俺の隣は清水さんだった。
「よろしく。」
俺は目くばせと一緒に声を掛ける。
「はい。よろしくお願いしますね。」
そうまた、他人行儀な笑顔を俺に向けてきた。
「清水。お前、竹中の世話よろしくな。」
頼んだ。学級委員長。
「はい。分かりました。」
そうして、俺は清水さんが専属の世話係になってしまった。
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