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第0.4話
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その日はここ最近で一番スケジュールがタイトで、一番体調が悪かった日だった。
最高に最悪な日が重なると黒い渦に飲まれる事を知った。
朝起きると、息苦しくて肩で息をしていた。
寝不足で頭が痛いのは日常茶飯事だし、そのせいなのだろう。
少し熱っぽい気もするが体温計を手に取る暇もなかった。俺は歯磨きだけを済ませると玄関で待っているマネージャーの車に乗り込んだ。
「おはよう!遼!」
「はろ。」
先に拾われていたメンバーが手をひらひらと出迎えてくれた。
「うっす!」
俺はアイドルなんだから、こんな事でへこたれるなと自分を押し殺し、いつも通りの元気を心掛けた。
「うぅぅ。ワクワクするぅ。今日、すごいよね!」
僕、興奮して眠れなかったよ!
隣でテンションMaxな、自称ショタ天使が騒ぐ。
「逆に俺は爆睡だった」
まだ眠そうな口ぶりでとろんとした目を閉じる。
「「りょうは?」」
2人そろって俺を見てきた。
「俺はー、寝たんだと思う。多分」
「何それ。」
「やー、実はこの前撮ったブロマイドのサイン、まだ半分しか終わってなくてさ、急いでやってたら朝日が見えた。」
少しでも疲れを見せない為に明るく笑い飛ばす。
「遼、最近、個人の仕事増えたもんね。大変だよね。」
僕らはこの前、楽屋で終わらしたけど…。
「で、サイン書き終わったのか?締め切り近かった気がする。」
「ああ。なんとかな…。最後のほうは字が潰れてたりするけど、それもデザインって事で…。」
俺は目を泳がす。
「ぷはっ!遼君っぽいや!」
根は真面目なのに、たまにがさつになるとこ僕、好きー!
「根は真面目…ね。これ、褒められてる、のか?」
「寿。もっと遼の良いところもっと上げて。俺は思いつかない。けど、それじゃ、遼が悲しむ。」
「楓真。お前の言葉が一番辛辣だ…。」
と、突っ込まずにはいられなかった。フォローしようとしてくれるのは分かってるけどさ…。
俺は何とも言えず気まずさを覚えため息をついた。
「皆さんいつも通りな様子で安心しました。」
俺たちのじゃれあいを母親のような眼差しで見てくれていた運転手兼、マネージャーのまどかさんとミラー越しに目が合った。
「今日は大御所の方々とご一緒するので緊張でがちがちになっていたらどうしようと思っていたんです。」
「ははは。緊張なんて文字、僕の脳みそ?にはないよ!」
「寿。それを言うなら、辞書な?」
俺はしっかりと突っ込みをいれる。
「緊張はしてない。むしろ、落ち着いている。」
楓真も安定の淡々した顔をして呟いた。
「俺は…。どうだろ…。緊張してんのか分かんねぇけど、ふわふわはしてる。」
体調が悪いからなのか、本当に緊張とかをしているのか分からなくて抽象的になった。
まだ、始まってもないのに、座背にもたれる背中は鉛のように固く、足は足枷でもつけられているんじゃないかってくらい重く感じた。
「それ、僕と同じなんだよ!きっと興奮してるんだね!」
そう嬉しそうに同意を求めてくる寿に俺はああ。と適当に返事を返した。
最高に最悪な日が重なると黒い渦に飲まれる事を知った。
朝起きると、息苦しくて肩で息をしていた。
寝不足で頭が痛いのは日常茶飯事だし、そのせいなのだろう。
少し熱っぽい気もするが体温計を手に取る暇もなかった。俺は歯磨きだけを済ませると玄関で待っているマネージャーの車に乗り込んだ。
「おはよう!遼!」
「はろ。」
先に拾われていたメンバーが手をひらひらと出迎えてくれた。
「うっす!」
俺はアイドルなんだから、こんな事でへこたれるなと自分を押し殺し、いつも通りの元気を心掛けた。
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隣でテンションMaxな、自称ショタ天使が騒ぐ。
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「何それ。」
「やー、実はこの前撮ったブロマイドのサイン、まだ半分しか終わってなくてさ、急いでやってたら朝日が見えた。」
少しでも疲れを見せない為に明るく笑い飛ばす。
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「根は真面目…ね。これ、褒められてる、のか?」
「寿。もっと遼の良いところもっと上げて。俺は思いつかない。けど、それじゃ、遼が悲しむ。」
「楓真。お前の言葉が一番辛辣だ…。」
と、突っ込まずにはいられなかった。フォローしようとしてくれるのは分かってるけどさ…。
俺は何とも言えず気まずさを覚えため息をついた。
「皆さんいつも通りな様子で安心しました。」
俺たちのじゃれあいを母親のような眼差しで見てくれていた運転手兼、マネージャーのまどかさんとミラー越しに目が合った。
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「ははは。緊張なんて文字、僕の脳みそ?にはないよ!」
「寿。それを言うなら、辞書な?」
俺はしっかりと突っ込みをいれる。
「緊張はしてない。むしろ、落ち着いている。」
楓真も安定の淡々した顔をして呟いた。
「俺は…。どうだろ…。緊張してんのか分かんねぇけど、ふわふわはしてる。」
体調が悪いからなのか、本当に緊張とかをしているのか分からなくて抽象的になった。
まだ、始まってもないのに、座背にもたれる背中は鉛のように固く、足は足枷でもつけられているんじゃないかってくらい重く感じた。
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そう嬉しそうに同意を求めてくる寿に俺はああ。と適当に返事を返した。
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