ヤマアラシのジレンマ

宇流

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ー月曜日ー
「「先生おはよ~」」
「こら~ちゃんと敬語使いなさい」
「はるちゃん厳し~!」
「はいはい、早く教室入りなよ」
ガヤガヤと生徒たちが教室に入っていく。
「あ、ねーね!聞いてよ!私今日恭介に誘われちゃった~!」
「えぇなんで?良いなぁ私も混ぜてよ~」
「やだよ~笑笑最近構ってもらえてなくて久しぶりんだから!」
「確かに最近恭介の遊んでる話聞かないね~」
通りすがりに女子生徒の会話がはるの耳に入る
とそこへ少し遅れて恭介が登校して来た
「先生!おはよ!」
「おはよ」
「そういえば1限先生じゃん!遅刻してこなくてよかった~」
「普通にちゃんと来なよ」
「…てかなんか冷たくね?」
「別に」
「ねぇ~何ー?怒ってんの?」
とはるの髪を撫でようとする恭介の手を払う
パシッ
「学校であんまベタベタすんのやめて」
そう言いはるはそのまま朝の朝礼会議の為職員室に戻って行った。
「あ~はるおはよ~」
職員室では龍司が眠たそうに目を擦っていた。
「どうしたの?寝不足?」
「ん~録画してたドラマ観てたらちょっとね笑」
「この前言ってたやつ?笑」
「そうそうあれすっごい泣けるのよね~」
「日曜日の夜中に見るもんじゃないでしょ笑」
「分かってても観ちゃうのよね笑」
朝礼中いつも隣の席の龍司とわいもない話をして時間を潰す
「てか、本当あの教頭、話し長いわね」
「年寄りと女は話が長いんだよ」
「本当、これだから年は取りたくないわね」
「そうだね笑」
そしてそんなこんなで10分の朝の会議は終了し
各自持ち場へ移動する。


ガラガラガラ
「はい、みんな席ついて~」
「起立、気おつけ、例」
「「お願いしま~す」」
月曜日の1限目教師の俺でさえもスイッチが入らないのに
生徒であるこの子たちが真面目に授業を聞くはずもなく
だらだらと時間だけが過ぎてゆく。
「皆眠いと思うけど起きて~」
別に個人的には寝てても良いと思うけど
たまに見回りにくる暇な教頭に後で長い話を聞かされない為に
眠っている生徒を起こす。これが本当に面倒くさい。
「ほら~そんなに眠いなら一文ずつ音読にする?」
そう言って教室の端の方から1人ずつ音読させていく。
これが1番手っ取り早い。
しかしただ聞いてるだけの俺は非常に眠たい。
「…」
今までスラスラと順番に来ていたのに
窓側の席に回った時音読がストップした。
「ん?次誰??」
「あぁ~先生ダメだこいつガチで寝てやがる」
見事なくらい綺麗に教科書に顔を埋めて
気持ちよさそうに桐島君が眠っていた。
仕方なく起こしに行くため側による
「ほら起きて桐島君」
ゆらゆらと体を揺らしていると
「んん~"」
とだるそうに目を覚ます。
朝は俺の授業遅れなくてよかったみたいな事言っといて
結局話なんか聞かずにただ眠っている彼が
何故か妙に勘に触れた。
「ほら、起きてここ読んで」
「ん~…えっと、だから作者であるーーーー」
そう言って読み出す彼の後ろで立っていると
彼の着崩した制服の襟元の下から赤い印のようなものが付いているのが見えた。
そして彼が一文読み終わり次の人にバトンした時
「着崩してると首元のやつ見えてるよ」
別に言わなくても良いのに何故か気になって
彼の耳元でそっと呟いた。
すると桐島君は少し驚いた表情をしたが
そのあとすぐ下を向いて何やらニヤついているようだった。

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