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「愛さ~ん」
「zzz」
「これ完全にトんだなまぁええわ」
そう言って東は机にホテル代と
部屋の鍵だけを置いてその場を後にした。
「あぁ流石に抜かずの3発はしんど、つかあいつはるって名前やねんな」
俺あいつの事本間何も知らんなぁ
つかあいつ俺に初めて会った日に名前聞いたら
「愛」言うてたやんけその愛はどっから来てん!?
…まぁ俺も下の名前教えろ言われても教えへんかったし
寧ろ教える必要性がなかったしお互い様か。
初めは捨て犬を拾う様な感覚やった。
真冬に真っ裸で公園にうずくまる少年
ほっとけば良いものを俺の性分そんな事はできひんかった。
話を聞けばご主人様の趣味だとか言いやがる
そんな事を聞いてしまえば尚更見捨てられへんくて
そのままそいつを家に持ち帰った。
薄暗い公園ではよく見えへんかったけど
家の中で見ればその少年はすごく綺麗な顔をしていて少し驚いた。
その少年は綺麗に整った顔をもってんのに
その表情から喜怒哀楽を感じることがほとんどなく
俺はそれが気に食わんかった。
その日から俺はその少年を笑わせたい怒らせたい
悲しませたい楽しませたい。そう思う様になった。
1ヶ月ほどでその少年は少しではあるが笑う様にり
俺の自堕落さに怒るようになりたわいもない会話を楽しむ様になった。
けれどその少年が泣くことはなかった。
ただ時折泣きそうにどこにもあてがえないものを
ずっとうちに秘めている様で見ている俺が何故か苦しくなった。
ある日俺がいつもの様にパチンコから帰ると
その少年はヒートを起こしていた。
そしてヒートを起こす少年は必死に
俺の服やら何やらで巣作りをしていた。
ーβの俺では意味がないのにー
分かってはいたが俺はその少年を抱く事にした。
少年は取り乱しほとんど自我を失っていた。
その時首を凄く掻き毟ろうとしていてカラーが
それを邪魔してたから俺はそのカラーを外してやった。
するとそこには2つの大きな噛み跡が残っていた。
俺は正直驚いた。いつも頑としてカラーを外そうとしない理由がこれなのだとすぐに分かった。
そして噛み跡が2つと言う事がどう言う事なのかもすぐに理解した。
俺は、はっとしてその少年に目を向けた時その少年は
いつの間にかワンワンと泣き叫んでいた。
そして泣きながら何度も何度も
「大和さん大和さん」と叫んでいた。
その時俺はこの噛み跡がそいつのものなのだと分かって
何故か俺はそのことに無性に腹が立った。
今まで泣かせてみたいと思っていた少年が
今ワンワンと目の前で泣き叫んでいるのに俺はそれに虫唾が走った。
その時初めて俺はその少年に惚れていたのだと自覚した。
次の日起きると少年はヒートを起こした事を覚えていなかった。
少年にとってはいつもと変わらない日常
ただ俺にとってはそんな日常が苦しかった。
俺はその日から色んな女や男を抱く様になった。
一時の快楽に身を委ね嫌な事を全部流そうとした。
でもその度にあの夜の事が俺の頭から離れへんかった。
少年は何も知らずに抱いてとねだってくる。
冗談で「他のとこ行けや~」って言うたら
「俺東じゃないと無理」とか言い出しよる。
溜まったもんじゃない。俺は逃げたかった。
この日を最後にしよう。
次の日その少年が目覚めたと同時に
「もうええやろ~」と話し始めた。
もっとぐずるかと思ったが案外聞き分けが良かった。
なんかカッコつけてお前のためとか言ってるけど
本間は全部自分のため。
これ以上この少年といたら俺はこの少年が離せなくなる。
ヒートを抑えれるフォロモンもなく
新しい番になれる訳でもない。
それやのにこれ以上この少年をこの檻に閉じ込めるメリットが思い浮かばない。
俺はその少年をこの檻から放ってやった。
これが正解やったんかは分からへん。
けど少なくともβとおるよりはええやろ。
ーβの俺が君の側にいても意味がないからー
「zzz」
「これ完全にトんだなまぁええわ」
そう言って東は机にホテル代と
部屋の鍵だけを置いてその場を後にした。
「あぁ流石に抜かずの3発はしんど、つかあいつはるって名前やねんな」
俺あいつの事本間何も知らんなぁ
つかあいつ俺に初めて会った日に名前聞いたら
「愛」言うてたやんけその愛はどっから来てん!?
…まぁ俺も下の名前教えろ言われても教えへんかったし
寧ろ教える必要性がなかったしお互い様か。
初めは捨て犬を拾う様な感覚やった。
真冬に真っ裸で公園にうずくまる少年
ほっとけば良いものを俺の性分そんな事はできひんかった。
話を聞けばご主人様の趣味だとか言いやがる
そんな事を聞いてしまえば尚更見捨てられへんくて
そのままそいつを家に持ち帰った。
薄暗い公園ではよく見えへんかったけど
家の中で見ればその少年はすごく綺麗な顔をしていて少し驚いた。
その少年は綺麗に整った顔をもってんのに
その表情から喜怒哀楽を感じることがほとんどなく
俺はそれが気に食わんかった。
その日から俺はその少年を笑わせたい怒らせたい
悲しませたい楽しませたい。そう思う様になった。
1ヶ月ほどでその少年は少しではあるが笑う様にり
俺の自堕落さに怒るようになりたわいもない会話を楽しむ様になった。
けれどその少年が泣くことはなかった。
ただ時折泣きそうにどこにもあてがえないものを
ずっとうちに秘めている様で見ている俺が何故か苦しくなった。
ある日俺がいつもの様にパチンコから帰ると
その少年はヒートを起こしていた。
そしてヒートを起こす少年は必死に
俺の服やら何やらで巣作りをしていた。
ーβの俺では意味がないのにー
分かってはいたが俺はその少年を抱く事にした。
少年は取り乱しほとんど自我を失っていた。
その時首を凄く掻き毟ろうとしていてカラーが
それを邪魔してたから俺はそのカラーを外してやった。
するとそこには2つの大きな噛み跡が残っていた。
俺は正直驚いた。いつも頑としてカラーを外そうとしない理由がこれなのだとすぐに分かった。
そして噛み跡が2つと言う事がどう言う事なのかもすぐに理解した。
俺は、はっとしてその少年に目を向けた時その少年は
いつの間にかワンワンと泣き叫んでいた。
そして泣きながら何度も何度も
「大和さん大和さん」と叫んでいた。
その時俺はこの噛み跡がそいつのものなのだと分かって
何故か俺はそのことに無性に腹が立った。
今まで泣かせてみたいと思っていた少年が
今ワンワンと目の前で泣き叫んでいるのに俺はそれに虫唾が走った。
その時初めて俺はその少年に惚れていたのだと自覚した。
次の日起きると少年はヒートを起こした事を覚えていなかった。
少年にとってはいつもと変わらない日常
ただ俺にとってはそんな日常が苦しかった。
俺はその日から色んな女や男を抱く様になった。
一時の快楽に身を委ね嫌な事を全部流そうとした。
でもその度にあの夜の事が俺の頭から離れへんかった。
少年は何も知らずに抱いてとねだってくる。
冗談で「他のとこ行けや~」って言うたら
「俺東じゃないと無理」とか言い出しよる。
溜まったもんじゃない。俺は逃げたかった。
この日を最後にしよう。
次の日その少年が目覚めたと同時に
「もうええやろ~」と話し始めた。
もっとぐずるかと思ったが案外聞き分けが良かった。
なんかカッコつけてお前のためとか言ってるけど
本間は全部自分のため。
これ以上この少年といたら俺はこの少年が離せなくなる。
ヒートを抑えれるフォロモンもなく
新しい番になれる訳でもない。
それやのにこれ以上この少年をこの檻に閉じ込めるメリットが思い浮かばない。
俺はその少年をこの檻から放ってやった。
これが正解やったんかは分からへん。
けど少なくともβとおるよりはええやろ。
ーβの俺が君の側にいても意味がないからー
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