ヤマアラシのジレンマ

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ミーンミンミンミン
　　　　ミーンミンミン…
『ヤマアラシのジレンマそれは』
『鋭い針毛を持つヤマアラシが
お互いに寄り添い合おうとすると
自分の針毛で相手を傷つけてしまう為
近づけないと言うジレンマ。でしょ？』
『うん。正解』
暑い夏の日俺桐島恭介は愛沢先生の
補習を受ける為夏休みにも関わらず
このように毎日学校に登校している。
普通の学生なら面倒くさいだとか文句を垂れるのだろうが
何を隠そう大好きな愛沢先生と2人きりの授業
サボるわけにはいかないのだ。
『ねぇ、先生俺と付き合おーよー』
『しつこいな、君も』
そう言いながら相沢先生は教科書を閉じる。
『今日の補習はここまで』
『え～まだ分かんないとこ沢山あんなになぁ』
『嘘。君自頭いいでしょ？』
そう言って愛沢先生は俺の頭をポンッと叩く
『てかさ先生夏なのに首それ暑くないの？』
『あぁ、暑いよ』
『じゃあやめればいいのに』
『Ωはそう易々とうなじ見せちゃダメなんだよ』
『ふ～ん』
『ほら、もういいから早く帰りな』
そう言って先生は俺に微笑みかける。
俺はその笑顔が好きだ。
『えぇ～先生の家連れてってよ！』
『生徒を家に連れ込む教師がどこにいるの笑』
『ッチェ、またそれかよ』
『はいはい、じゃあねまた明日～』
と言って先生は職員室に入っていく。

『あぁ今日も綺麗だったなぁ。』

初めて見た時から先生はいつも綺麗だ。

入学式の日教室の窓から満開の桜を見ていると
その桜の木の下でタバコを吸った男がいた。
その男は色素が薄く綺麗ででもどこか儚げで
一目見ただけで目が離せなくなっていた。
不意にその男が顔を上げ俺と目が合うと
その男は『シー』と俺に微笑みかけた。
その瞬間俺は一瞬でその男に恋をした。
入学式後その男はここの教師でありΩであると知った。