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獅子と猫(※R18無し・BL要素あり)
7 恋情
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※お待たせしました。
※次話で本短編は終わり次の話に行きます。
「……レオと僕の好きは同じ」
「そう。同じだよ」
「ふふ…レオと一緒……」
レオンの嵐のような勢いに押され、まさに抱き潰されて擦れたジュレルの呟きに、レオンは内心で「本当は違うかもしれないね」と含み笑う。
少なくとも今はまだ自覚はないだろうとレオンは思う。まだ、レオンへの普通ではない執着に気づいた程度だろうと。
(だからって俺までが真似する必要はないからねぇ……ごめんねジル)
レオンの腕に抱きしめられたジュレルはつい先ほどの濃厚な情事の余韻でぼんやりとしている。むき出しの白い首筋に唇を落とし、強く吸えば赤く所有の徴がついた。「…、ンッ……レオ?」
「ジルは私を好きなんだろ? ならずっと好きでいてくれればいい。それとも嫌?」
「嫌なわけないけど……レオはいいの?」
「もちろん」
「レオが嫌なことまた言ってしまうかもしれない。それでも……」
恐る恐るジュレルがレオンを見つめる。
「構わないよ。ただし、その時はお仕置きするけどね」
こんな風に──と欲望をかきたてる躰に手を這わせて、ジュレルを喘がせる。
「悪い子にはちゃんと教えてあげるから、ジルは心配しないでいいんだよ」
もうレオンの腹は決まった。
この先ジュレルが、手に入れた男の濃く重く病んでいると言っても過言ではない恋情に膿んだとしても、逃げる道はすべて閉ざすだけだ。
『私を壊せるのはジルだけなんだよ』
そう教えてあげた意味を身をもって知ればいい。冗談でもなんでもなく、ジュレルは本当にレオンを壊せてしまえるのだから。かつてジュレルを穢した男も、その後にジュレルに懸想して近寄ろうとした連中も、今はみんなレオンの手で土の下。レオンの狂気はジュレルがきっかけでいつでも牙を剥く。それこそ友人が案ずるほどに。
「そう言えばこの屋敷は君の奥さんの隠れ家だって?」
「うん。彼女の恋人との。週末は僕はレオのところだから……」
「余計なことだけど妊娠とかは大丈夫なの?」
「妊娠はできないから大丈夫」
「………もしかしてお相手は女性?」
「ううん。元男性」
東方出身のその男は幼少期に男性機能を奪われて、奴隷として売られていたそうだ。それをジュレルの奥方の実家が助け、その縁で幼いころから従者として常に付き従っている。
「ああ、彼だったのか」
「婚約する時に、お友だちになれるし妻の責務は果たすけれどあなたに恋はしませんがよろしいですかって言われた」
それは中々に豪胆だな。おとなしげな見た目の奥方を思い浮かべ、今後は良い仲間に出来そうだと思う。
「レオンが僕の一番だけど、彼女にも一番がいる。だから僕たちは隠しごとはなくって、今回のことも相談にのってくれた」
「………もっと早く教えて欲しかった」
がっくりとジュレルの胸に頭を押しつけ、レオンは呻いた。
できればこんなごちゃごちゃする前に。
「………監禁しろってアドバイスされた」
「はっ? 奥さんの提案!?」
「うん。なんかよくわからないけど、監禁はスパイスだって」
「……今度、奥さんに逢わせて?」
じっくり語り合う必要がありそうだと判断する。従順が取り柄の女だと甘く見ていたがとんでもない、絶対に敵にしたくない人物だった。
「……ギリアムになんと説明するかなぁ」
「? 知ってるよ?」
「──どういうこと!?」
レオンを監禁すると決めたジュレルは、なんとこの国の暗部──情報を一手に集める集団のトップであるマリオン公爵ギリアムの元を訪ねていた。
『……居場所を知らせるなら好きにやってくれ』
──と、拉致用の薬物と了承まで得ていたと聞かされて、レオンはもう言葉もなく頭を抱えてしまった。
※次話で本短編は終わり次の話に行きます。
「……レオと僕の好きは同じ」
「そう。同じだよ」
「ふふ…レオと一緒……」
レオンの嵐のような勢いに押され、まさに抱き潰されて擦れたジュレルの呟きに、レオンは内心で「本当は違うかもしれないね」と含み笑う。
少なくとも今はまだ自覚はないだろうとレオンは思う。まだ、レオンへの普通ではない執着に気づいた程度だろうと。
(だからって俺までが真似する必要はないからねぇ……ごめんねジル)
レオンの腕に抱きしめられたジュレルはつい先ほどの濃厚な情事の余韻でぼんやりとしている。むき出しの白い首筋に唇を落とし、強く吸えば赤く所有の徴がついた。「…、ンッ……レオ?」
「ジルは私を好きなんだろ? ならずっと好きでいてくれればいい。それとも嫌?」
「嫌なわけないけど……レオはいいの?」
「もちろん」
「レオが嫌なことまた言ってしまうかもしれない。それでも……」
恐る恐るジュレルがレオンを見つめる。
「構わないよ。ただし、その時はお仕置きするけどね」
こんな風に──と欲望をかきたてる躰に手を這わせて、ジュレルを喘がせる。
「悪い子にはちゃんと教えてあげるから、ジルは心配しないでいいんだよ」
もうレオンの腹は決まった。
この先ジュレルが、手に入れた男の濃く重く病んでいると言っても過言ではない恋情に膿んだとしても、逃げる道はすべて閉ざすだけだ。
『私を壊せるのはジルだけなんだよ』
そう教えてあげた意味を身をもって知ればいい。冗談でもなんでもなく、ジュレルは本当にレオンを壊せてしまえるのだから。かつてジュレルを穢した男も、その後にジュレルに懸想して近寄ろうとした連中も、今はみんなレオンの手で土の下。レオンの狂気はジュレルがきっかけでいつでも牙を剥く。それこそ友人が案ずるほどに。
「そう言えばこの屋敷は君の奥さんの隠れ家だって?」
「うん。彼女の恋人との。週末は僕はレオのところだから……」
「余計なことだけど妊娠とかは大丈夫なの?」
「妊娠はできないから大丈夫」
「………もしかしてお相手は女性?」
「ううん。元男性」
東方出身のその男は幼少期に男性機能を奪われて、奴隷として売られていたそうだ。それをジュレルの奥方の実家が助け、その縁で幼いころから従者として常に付き従っている。
「ああ、彼だったのか」
「婚約する時に、お友だちになれるし妻の責務は果たすけれどあなたに恋はしませんがよろしいですかって言われた」
それは中々に豪胆だな。おとなしげな見た目の奥方を思い浮かべ、今後は良い仲間に出来そうだと思う。
「レオンが僕の一番だけど、彼女にも一番がいる。だから僕たちは隠しごとはなくって、今回のことも相談にのってくれた」
「………もっと早く教えて欲しかった」
がっくりとジュレルの胸に頭を押しつけ、レオンは呻いた。
できればこんなごちゃごちゃする前に。
「………監禁しろってアドバイスされた」
「はっ? 奥さんの提案!?」
「うん。なんかよくわからないけど、監禁はスパイスだって」
「……今度、奥さんに逢わせて?」
じっくり語り合う必要がありそうだと判断する。従順が取り柄の女だと甘く見ていたがとんでもない、絶対に敵にしたくない人物だった。
「……ギリアムになんと説明するかなぁ」
「? 知ってるよ?」
「──どういうこと!?」
レオンを監禁すると決めたジュレルは、なんとこの国の暗部──情報を一手に集める集団のトップであるマリオン公爵ギリアムの元を訪ねていた。
『……居場所を知らせるなら好きにやってくれ』
──と、拉致用の薬物と了承まで得ていたと聞かされて、レオンはもう言葉もなく頭を抱えてしまった。
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