恋情は様々あれど

猫丸

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獅子と猫(※R18無し・BL要素あり)

3 突然の監禁

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※短くてごめんなさい。

 
「ここは……どこだ?」
 
 目覚めて第一声はそれだ。
 華美ではなく必要な機能性を重視したのだろう、清掃が行き届いた清潔な部屋。
 まったく心当たりの無い場所だ。


 執務を終え王宮を出たレオンは、コルバン公爵邸にまっすぐ帰らず、馬車を城下の商人街へと向けさせた。たまには息子に土産でもと考えたからだ。最近発売されたばかりの携帯用のペンを自分とお揃いで二本購入し、これまた最近人気の菓子店で人気のクッキーを買い求め、少しばかり店内で紅茶を飲んだ。
 そろそろ帰宅しようと外へでると、馬車が居ない。離れたといっても目視できる位置にあるはずが、見当たらない。
(停めておけずに向こうへ行ったか?) 
 店よりちょっと離れたところに馬車を停められる場所があるため、レオンはそう考えて、とりあえず歩き始めた──ところまでで記憶は途切れている。

 痛みはどこにも感じないため、薬で眠らされた可能性があった。

(──頭痛などはない。危険すぎるものではなさそうだな)

 だから良いわけでは、もちろんない。最近は政敵になりそうな目立つ存在もなく、緩みすぎていた反省はせねばならない。
 まずは、現状の把握が先だ。
 物音を立てないように静かに立ち上がり、窓へ向かう。
 カーテンをめくり、

(……格子か、ここからは逃げれないか)
 
 縦格子ならば棒があれば捩って折ることも無理ともいえないが、複雑な模様なため中々その手段では現実的ではなさそうだ。
 ならば、と扉に向かう。

(期待してなかったけどねえ…念の入ったことだ)

 三箇所の鍵穴。ノブを回せば扉の向こうでガチャガチャと鎖が擦れる音がする。鎖がまかれている。

 くくりつけの本棚、重くて動かせないようなテーブル、長椅子と一脚だけの転がった椅子。
「………武器になるもの……ないよなぁ」
 とれるのはただひとつ、待つこと。そう判断したレオンは、床に転がる椅子を起こし、本棚の本を読みながら時を待つことに決めた。


 ガチャリと鍵が差し込まれる音がして、レオンは本を置いて扉をうかがう。
 カチャッ、カチャッ、カチャッと三箇所の鍵が開けられ、扉が開いた。

「───ジユレ…ル」

 青ざめた白皙をレオンに向けたジユレルが、そこに佇んでいた。
 
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