悪役令嬢ネウェル・スターブレスは婚約破棄されたい。そのわけは?|王子さま、さっさと婚約破棄してくださいな!!

宇美

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今日は、いよいよ卒業式、卒業式の後はグランベリーとホワイトイーグルの合同卒業ダンスパーティー

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そして今日は、いよいよ卒業式。

卒業式の後はグランベリーとホワイトイーグルの合同卒業ダンスパーティーだ。


きらめくシャンデリアの下、ワタクシは王太子とワルツを踊る。



私と踊るときはいつもそうだが、王太子は今日も嫌そうな顔をしている。

眉をしかめ、ワタクシと絶対に目を合わせない。

ほんと、失礼しちゃう。


王太子の肩ごしに、モモカがピアノをかなでているのが見えた。

モモカは家にピアノがなくて、いつも学校でコソコソ練習しているくせに、妙にピアノが得意なのだ。

向こうから王太子の従妹いとこの公爵令嬢がやってきた。

王太子はほっとした顔で、ワタクシから離れて、公爵令嬢に挨拶しダンスを始めた。



私はモモカにそっと後ろから近づくと、何か嫌がらせをして恥をかかせようと考える。

モモカが真剣な顔つきで、両手を目にもとまらぬ速さで動かしているところに……

「ねえ! 
モモカさん! 
お聞きになった!? 

ネリーさまったら卒業されたら、トミー先生とご結婚なさるんですって!!
知らなかったわ、あの二人がお付き合いしていたなんて!」
とわざと話しかける。

モモカの手の動きが怪しくなる。

メロディーが崩れる。

モモカが真っ青になり、手をとめる。

踊っていた貴公子や令嬢たちが急にダンスをやめ、一斉いっせいにモモカに目をやった。


ワタクシが
「あらっ! モモカさんどうなさったの?」
ときょとんとした顔をしていると、
王太子が大股で近づいてきた。

王太子はハンサムな顔を怒らせ
「ネウェル! 
私は見ていたぞ!!

そなたはモモカがピアノを失敗するように、わざと話しかけたのだろう!!」

「いいえ、ワタクシそんなつもりは……
ただモモカさんに面白いお話を聞かせてさしあげようと思って……

それにモモカさんはピアノがとてもお得意だから、ワタクシが話しかけたぐらいで、失敗するなんて思いませんでしたのよ……」

ワタクシがここまでで言うと、王太子はついに決め台詞をいい放つ。

「ネウェル・スターブレス嬢!! 
もういい加減にしろ!!
モモカに対する数々かずかずのいやがらせ、私はすべて聞き及んでいるぞ!、

私はそなたと婚約破棄する!!
そして私はこのモモカ・アオイ嬢と結婚する!」

王太子は象牙のピアノ鍵盤に手を叩きつけた。

ビギャアアンと不協和音が会場に響きわたる。


ワタクシは下を向いてニマニマすると

「よろしくってよ!!」
と堂々と答えた。

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