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「リーンゴーン」 クリーム色を基調に臙脂のアクセントカラーが女の子らしい校舎にチャイムが鳴り渡る
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「リーンゴーン」
クリーム色を基調に臙脂のアクセントカラーが女の子らしい校舎にチャイムが鳴り渡る。
90分の授業の終わりを告げる合図だ。
次の授業まで15分の休憩がある。
ワタクシは取り巻きの伯爵令嬢マリー、子爵令嬢ネリーと校内を練り歩く。
ワタクシ達が胸を反り返るようにして進むと、周りの女生徒たちが、大慌てで道を開ける。
ワタクシが通うのは王立グランベリー女学院。
貴族の令嬢がレディーとしての嗜みと教養を身につける学校だ。
唐草紋様の鉄柵の向こうにグランベリー女学院のクリーム色を基調とした女の子らしい校舎と対照的な、重厚なレンガづくりに、ツタの這う校舎がそびえる。
これは王立ホワイトイーグル学園。
貴族や王族の子弟が通う男子校である。
ワタクシの婚約者である王太子もホワイトイーグルの生徒だ。
グランベリーとホワイトイーグルには多くの合同サークルがあり、出会いの場となっている。
向こうから、ふわふわのストロベリーブロンドを水色のリボンで結んだ、純白のドレスの少女がやってきた。
モモカだ。
彼女は庶民の癖に特待生としてグランベリー女学院にタダで通う税金ドロボー。
そして近頃、グランベリー、ホワイトイーグル合同音楽サークルで王太子と親しくしている生意気な女だが、なぜか学校中の人気者。
ワタクシは取り巻きのネリーとマリーに目配せをした。
スカートをつまむと、モモカに向かって突進する。
3人でモモカの後ろから近づくと、モモカに体当たり。
「どんっ!」
「きゃあああっ!!」
急に目の前に出てきたワタクシ達を鬼のように怖がっているモモカに
「どこを見て歩いていらっしゃるの!!」
「ちょっとあなた! この方をどなただと思っていらっしゃるのよ!!」
「王太子殿下の婚約者のネウェルさまにぶつかってくるって、どういう神経しているの!?」
マリーとネリーが口々にモモカを攻め立てる。
「私、そんなつもりは……
その……歩いていたら、急にあなたたちが前にいらっしゃったものだから……」
「なんですって!!
ワタクシたちが悪いとおっしゃるの!?」
「いえ、そんな……あの、ごめんなさい。
私、ちょっとぼーっとしていて」
「確かにいかにも、ぼーっとした顔をしていらっしゃるものね。
まあ今回は特別に許してさしあげるわ。
今度から気をつけることね」
立ち上がりざま、ネリーが「キャッ」とお弁当の包みを落とした。
モモカの真っ白なドレスに茶色い液体がかかる。
ネリーはふふんと鼻で笑うと
「あら……ごめんあそばせ。
お弁当のシチューがかかってしまいましたわ。
さっきあなたにぶつかられたときに蓋がゆるんでしまったのね。
でもどうせ下町で買った安いドレスでしょうから構わないでしょ?」
涙目のモモカを背にして高笑いしながら、ワタクシ達3人は去っていく。
「オーホホホ!!!
今度からもっと周りに気を付けて歩くことね」
*
ワタクシたちがモモカのドレスを汚したのはわけがある。
ワタクシが把握しているかぎり、モモカはドレスをピンク、青、黄色の3着しかもっておらず、いつもそれを代わりばんこに着ている。
それが、今日モモカが身にまとっているのは、ワタクシが初めて見る白いドレス。
そして今日はモモカとワタクシの婚約者である王太子が所属している、グランベリーホワイトイーグル合同音楽サークルの日。
モモカはあのおニューの白いドレスを着た姿を、王太子に見せるつもりだったのだろう。
けれどもこれで純白のドレスも台無しだ。
ホホホいい気味。
クリーム色を基調に臙脂のアクセントカラーが女の子らしい校舎にチャイムが鳴り渡る。
90分の授業の終わりを告げる合図だ。
次の授業まで15分の休憩がある。
ワタクシは取り巻きの伯爵令嬢マリー、子爵令嬢ネリーと校内を練り歩く。
ワタクシ達が胸を反り返るようにして進むと、周りの女生徒たちが、大慌てで道を開ける。
ワタクシが通うのは王立グランベリー女学院。
貴族の令嬢がレディーとしての嗜みと教養を身につける学校だ。
唐草紋様の鉄柵の向こうにグランベリー女学院のクリーム色を基調とした女の子らしい校舎と対照的な、重厚なレンガづくりに、ツタの這う校舎がそびえる。
これは王立ホワイトイーグル学園。
貴族や王族の子弟が通う男子校である。
ワタクシの婚約者である王太子もホワイトイーグルの生徒だ。
グランベリーとホワイトイーグルには多くの合同サークルがあり、出会いの場となっている。
向こうから、ふわふわのストロベリーブロンドを水色のリボンで結んだ、純白のドレスの少女がやってきた。
モモカだ。
彼女は庶民の癖に特待生としてグランベリー女学院にタダで通う税金ドロボー。
そして近頃、グランベリー、ホワイトイーグル合同音楽サークルで王太子と親しくしている生意気な女だが、なぜか学校中の人気者。
ワタクシは取り巻きのネリーとマリーに目配せをした。
スカートをつまむと、モモカに向かって突進する。
3人でモモカの後ろから近づくと、モモカに体当たり。
「どんっ!」
「きゃあああっ!!」
急に目の前に出てきたワタクシ達を鬼のように怖がっているモモカに
「どこを見て歩いていらっしゃるの!!」
「ちょっとあなた! この方をどなただと思っていらっしゃるのよ!!」
「王太子殿下の婚約者のネウェルさまにぶつかってくるって、どういう神経しているの!?」
マリーとネリーが口々にモモカを攻め立てる。
「私、そんなつもりは……
その……歩いていたら、急にあなたたちが前にいらっしゃったものだから……」
「なんですって!!
ワタクシたちが悪いとおっしゃるの!?」
「いえ、そんな……あの、ごめんなさい。
私、ちょっとぼーっとしていて」
「確かにいかにも、ぼーっとした顔をしていらっしゃるものね。
まあ今回は特別に許してさしあげるわ。
今度から気をつけることね」
立ち上がりざま、ネリーが「キャッ」とお弁当の包みを落とした。
モモカの真っ白なドレスに茶色い液体がかかる。
ネリーはふふんと鼻で笑うと
「あら……ごめんあそばせ。
お弁当のシチューがかかってしまいましたわ。
さっきあなたにぶつかられたときに蓋がゆるんでしまったのね。
でもどうせ下町で買った安いドレスでしょうから構わないでしょ?」
涙目のモモカを背にして高笑いしながら、ワタクシ達3人は去っていく。
「オーホホホ!!!
今度からもっと周りに気を付けて歩くことね」
*
ワタクシたちがモモカのドレスを汚したのはわけがある。
ワタクシが把握しているかぎり、モモカはドレスをピンク、青、黄色の3着しかもっておらず、いつもそれを代わりばんこに着ている。
それが、今日モモカが身にまとっているのは、ワタクシが初めて見る白いドレス。
そして今日はモモカとワタクシの婚約者である王太子が所属している、グランベリーホワイトイーグル合同音楽サークルの日。
モモカはあのおニューの白いドレスを着た姿を、王太子に見せるつもりだったのだろう。
けれどもこれで純白のドレスも台無しだ。
ホホホいい気味。
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