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ネウェル、スターブレス嬢、そなたと婚約破棄する!!
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「ネウェル・スターブレス嬢。そなたと婚約破棄する!! そして私はこのモモカ・アオイ嬢と結婚する!!」
そう言い放ったのは黒髪に水色の瞳、シベリアンハスキーを思わせる美貌の王太子。
ワタクシの婚約者だ。
王太子は象牙のピアノ鍵盤に手のひらを叩きつける。
ビギャアアンと不協和音が会場に響きわたる。
モモカが王太子の背中に隠れるようにしがみつく。
モモカのストロベリーブロンドのカールヘアーがふわふわと揺れている。
会場中の視線が、王太子とモモカ、そしてワタクシに集まる。
ワタクシはベルベットのスカートをつまむとうつむいた。
今、ワタクシは自分の表情を人に見られたくない。
あたりのざわめきがワタクシのダイヤモンドのピアスが揺れる耳に入る。
「当然よね」
「いいきみだこと」
ついにこの日がきた、とワタクシが口元をにんまりとさせたところで、目が覚めた。
目覚めるとワタクシはピンクのふかふかのキングサイズのベットの中にいた。
ベットからは4本の白い支柱が伸びている。
頭上には贅沢にシルクサテンをつかったドレープたっぷりの天蓋が垂れ下がっている。
部屋の中は白い猫足の家具で統一。
天井ではクリスタルのシャンデリアが朝日を反射してキラキラ。
そしてベットの横には象嵌模様が施された白いピアノ。
このいかにもお嬢様な部屋はワタクシ、侯爵令嬢ネウェル・スターブレスの寝室だ。
ワタクシはレースのネグリジェを脱いだ。
メイドにコルセットを締め上げてもらいながら、思い出し笑いをした。
「うふふ。いい夢だったわ。
正夢になればいいのに」
*
ドリルのようなたてロール。
どでかいリボン。
床を引きずるフリル満載の紫のドレス。
今日もそんないかにも男受けが悪そうなファッションで、ワタクシは学校に向かう。
もちろん化粧はフルメイク。
グロスはテカテカ。
まつげバサバサ。
アイラインくっきり。
そしてまるで虹のような7色のアイシャドウがワタクシの基本スタイルだ。
三人いる兄たちは
「今日もセメント塗り固めたみたいな厚化粧だね」
とか
「いくらなんでも香水つけすぎじゃないか?」
とか
「サーベルみたいな爪だね」
と眉をしかめる。
ハンスだけは
「お嬢様は今日もお美しくていらっしゃるですだ。
まるで薔薇のようなかぐわしさですだ」
と頬を赤く染めて誉めてくれる。
あっハンスというのは我が家の庭師だ。
曾祖父の代から、スターブレス家の庭師をやっている。
腕はいいが子どものころ頭を打ったとかで少し頭が弱い。
そのせいでなかなかの美丈夫なのに、30歳の今日までガールフレンドがいたことがないらしい。
*
「お化粧に時間がかかってしまったわ。
新入りのメイドが手際が悪くって!
ハンス!!
全速力でワタクシを学校まで送ってちょうだい」
「合点ですだ。お嬢様」
ハンスはメイドからワタクシの通学かばんを受け取る。
ハンスは庭師だけでなく御者も兼ねているのだ。
ハンスはワタクシを馬車の上までエスコートすると、「ハッ」と勢いよく、馬の背中をムチでたたく。
ハンスの操縦する馬車は、スターブレス家の雲をつくような正門を飛び出ると、猛スピードで庶民どもをけちらしながら、学校へ向かう。
そう言い放ったのは黒髪に水色の瞳、シベリアンハスキーを思わせる美貌の王太子。
ワタクシの婚約者だ。
王太子は象牙のピアノ鍵盤に手のひらを叩きつける。
ビギャアアンと不協和音が会場に響きわたる。
モモカが王太子の背中に隠れるようにしがみつく。
モモカのストロベリーブロンドのカールヘアーがふわふわと揺れている。
会場中の視線が、王太子とモモカ、そしてワタクシに集まる。
ワタクシはベルベットのスカートをつまむとうつむいた。
今、ワタクシは自分の表情を人に見られたくない。
あたりのざわめきがワタクシのダイヤモンドのピアスが揺れる耳に入る。
「当然よね」
「いいきみだこと」
ついにこの日がきた、とワタクシが口元をにんまりとさせたところで、目が覚めた。
目覚めるとワタクシはピンクのふかふかのキングサイズのベットの中にいた。
ベットからは4本の白い支柱が伸びている。
頭上には贅沢にシルクサテンをつかったドレープたっぷりの天蓋が垂れ下がっている。
部屋の中は白い猫足の家具で統一。
天井ではクリスタルのシャンデリアが朝日を反射してキラキラ。
そしてベットの横には象嵌模様が施された白いピアノ。
このいかにもお嬢様な部屋はワタクシ、侯爵令嬢ネウェル・スターブレスの寝室だ。
ワタクシはレースのネグリジェを脱いだ。
メイドにコルセットを締め上げてもらいながら、思い出し笑いをした。
「うふふ。いい夢だったわ。
正夢になればいいのに」
*
ドリルのようなたてロール。
どでかいリボン。
床を引きずるフリル満載の紫のドレス。
今日もそんないかにも男受けが悪そうなファッションで、ワタクシは学校に向かう。
もちろん化粧はフルメイク。
グロスはテカテカ。
まつげバサバサ。
アイラインくっきり。
そしてまるで虹のような7色のアイシャドウがワタクシの基本スタイルだ。
三人いる兄たちは
「今日もセメント塗り固めたみたいな厚化粧だね」
とか
「いくらなんでも香水つけすぎじゃないか?」
とか
「サーベルみたいな爪だね」
と眉をしかめる。
ハンスだけは
「お嬢様は今日もお美しくていらっしゃるですだ。
まるで薔薇のようなかぐわしさですだ」
と頬を赤く染めて誉めてくれる。
あっハンスというのは我が家の庭師だ。
曾祖父の代から、スターブレス家の庭師をやっている。
腕はいいが子どものころ頭を打ったとかで少し頭が弱い。
そのせいでなかなかの美丈夫なのに、30歳の今日までガールフレンドがいたことがないらしい。
*
「お化粧に時間がかかってしまったわ。
新入りのメイドが手際が悪くって!
ハンス!!
全速力でワタクシを学校まで送ってちょうだい」
「合点ですだ。お嬢様」
ハンスはメイドからワタクシの通学かばんを受け取る。
ハンスは庭師だけでなく御者も兼ねているのだ。
ハンスはワタクシを馬車の上までエスコートすると、「ハッ」と勢いよく、馬の背中をムチでたたく。
ハンスの操縦する馬車は、スターブレス家の雲をつくような正門を飛び出ると、猛スピードで庶民どもをけちらしながら、学校へ向かう。
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