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三郎君のお弁当(春奈篇☆女性パート)
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こんな仕事があるんだけど、どうかな?
春菜は三郎君に求人情報を見せた。
春菜は転職エージェントに入社して今年で二年目になる。
やっと仕事にも慣れてきた所ニート就職支援員になった。
*
二ヶ月前から春菜が担当している三郎くんは、
色白でぱっちりした目が可愛らしい二十七歳の美少年だ。
初めて会った時は、
「あの、本当にご本人ですか? 弟さんとかではなくて?」
と危うく聞きそうだった。
三郎君は大学に一年弱通ったものの次第に行かなくなってしまったそうだ。
引きこもりを続けるうちにこの年齢になり、
このままではいけないと思ってネットで見つけてここに来たらしい。
先輩支援員と協力して、春菜は三郎君を社会人にすべく日々頑張っている。
*
三郎君は口をきつく結び、
瞬きをさかんにしながら求人情報を読んでいる。
瞬きをするたびに彼の長く濃いまつげが、
春菜の目の前で上がったり下がったりした。
春菜は三郎君のお人形のような睫毛にいつもながら感心した。
三郎君に紹介される仕事はとんでもなく給料が低いものばかりだったが、
彼には毎月の睫毛エクステ代も睫毛美容液代もいらないのだから、
案外、彼自身はそれほど少ないと感じないのかもしれない。
でも何よりも羨ましいのは春菜より三歳年上とは思えない、
ぬけるように白くてキメの細かな肌だ。
以前三郎君て超色白いよね、
と雑談風にさりげなく美肌の秘訣を聞き出そうとすると、
僕、昼間はあまり外に出ないですから、
とのことだった。
それ以来、春菜も、外に出るたびに日焼け止めクリームを塗りなおしたり、
日傘をさしたり、部屋にいる時もなるべく窓側に行かないようにしたりして、
紫外線対策を欠かさない。
*
でもクリームが肌に合わなかったみたい……
そう考えながら一昨日前からあごにできたニキビを触っていると、
「ぜひやらせて頂きたいです!!!」
と三郎君が叫んだ。
「じゃあ面接の日程が決まったら連絡するからね」
と今日の面談を終わりにする。
三郎君は立ち上がり、
まるで面接練習の時のように真っ直角にお辞儀をし、
部屋を出ていった。
*
お昼の時間だ。
春菜は携帯で睫毛エクステの予約を済ませた後、
外に食べに行こうと思い、
つばの広い帽子をかぶり、
日傘を片手に喫茶スペースを通った。
ふと横を見る。
三郎君がお弁当をつついていた。
水色のギンガムチェックの包みと、
お揃いみたいな水色のお弁当箱には色とりどりのおかずが入っている。
三郎君のお母さんの彼への愛情が感じられる。
春菜は思わず、
「いいな! お母さんのお弁当! 」
と声をかける。
三郎君は、
「あっ、これは、もごもごもご……」
と歯切れの悪い様子である。
恥ずかしいのだろうか?
でも春菜の母親はアイドルの追っかけに忙しくお弁当なんか作ってくれないから、
うらやましい限りだった。
「うちの母親なんか絶対作ってくれないよ。
超うらやましい!
ちょっとよく見せてね」
そう言いながら、お弁当箱を覗き込む。
そこで見たのは、玄米にれんこん。
蒟蒻にひじきに人参の煮物。
まるでお医者さんが書いた本に載っている理想の食事みたい。
春菜がここ一年は口にしてないものばかりだ。
(やっぱり和食が肌にいいのね。)
春菜は、今日の昼食は、イタリアンにするつもりだったのを急遽和定食屋に行くことに変更した。
春菜は三郎君に求人情報を見せた。
春菜は転職エージェントに入社して今年で二年目になる。
やっと仕事にも慣れてきた所ニート就職支援員になった。
*
二ヶ月前から春菜が担当している三郎くんは、
色白でぱっちりした目が可愛らしい二十七歳の美少年だ。
初めて会った時は、
「あの、本当にご本人ですか? 弟さんとかではなくて?」
と危うく聞きそうだった。
三郎君は大学に一年弱通ったものの次第に行かなくなってしまったそうだ。
引きこもりを続けるうちにこの年齢になり、
このままではいけないと思ってネットで見つけてここに来たらしい。
先輩支援員と協力して、春菜は三郎君を社会人にすべく日々頑張っている。
*
三郎君は口をきつく結び、
瞬きをさかんにしながら求人情報を読んでいる。
瞬きをするたびに彼の長く濃いまつげが、
春菜の目の前で上がったり下がったりした。
春菜は三郎君のお人形のような睫毛にいつもながら感心した。
三郎君に紹介される仕事はとんでもなく給料が低いものばかりだったが、
彼には毎月の睫毛エクステ代も睫毛美容液代もいらないのだから、
案外、彼自身はそれほど少ないと感じないのかもしれない。
でも何よりも羨ましいのは春菜より三歳年上とは思えない、
ぬけるように白くてキメの細かな肌だ。
以前三郎君て超色白いよね、
と雑談風にさりげなく美肌の秘訣を聞き出そうとすると、
僕、昼間はあまり外に出ないですから、
とのことだった。
それ以来、春菜も、外に出るたびに日焼け止めクリームを塗りなおしたり、
日傘をさしたり、部屋にいる時もなるべく窓側に行かないようにしたりして、
紫外線対策を欠かさない。
*
でもクリームが肌に合わなかったみたい……
そう考えながら一昨日前からあごにできたニキビを触っていると、
「ぜひやらせて頂きたいです!!!」
と三郎君が叫んだ。
「じゃあ面接の日程が決まったら連絡するからね」
と今日の面談を終わりにする。
三郎君は立ち上がり、
まるで面接練習の時のように真っ直角にお辞儀をし、
部屋を出ていった。
*
お昼の時間だ。
春菜は携帯で睫毛エクステの予約を済ませた後、
外に食べに行こうと思い、
つばの広い帽子をかぶり、
日傘を片手に喫茶スペースを通った。
ふと横を見る。
三郎君がお弁当をつついていた。
水色のギンガムチェックの包みと、
お揃いみたいな水色のお弁当箱には色とりどりのおかずが入っている。
三郎君のお母さんの彼への愛情が感じられる。
春菜は思わず、
「いいな! お母さんのお弁当! 」
と声をかける。
三郎君は、
「あっ、これは、もごもごもご……」
と歯切れの悪い様子である。
恥ずかしいのだろうか?
でも春菜の母親はアイドルの追っかけに忙しくお弁当なんか作ってくれないから、
うらやましい限りだった。
「うちの母親なんか絶対作ってくれないよ。
超うらやましい!
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そう言いながら、お弁当箱を覗き込む。
そこで見たのは、玄米にれんこん。
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春菜がここ一年は口にしてないものばかりだ。
(やっぱり和食が肌にいいのね。)
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