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でれた

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「えっ?なぜですか?はっ!いや、まさか……。そのお姿は変装した仮のもので実は想像以上のお腹まわ--」

「いや、違うから。私だって女なんだからそれは傷つくよ。それに隠せるほどの服ではないでしょ」

「も、申し訳ありません!」

 その先は言わせまいと途中で無理矢理言葉を挟んだ。そして正気に戻ったリディアードは急いで謝罪をしてくれた。

「ああ、そこまで謝らないで。こんなことで本気で怒るだなんてことはないから」

「はい……」

 すっかり意気消沈したリディアードだったが少しの時間で立ち直り改めてきいてきた。

「それで、何故通ることができないのですか?」

「それはね、この階段があったところの壁。実は隠蔽のかかった透明の障壁があるんだよ。だから私は通れないってワケなのさ」

「え?でも私は通れるのですが……」

「そりゃそうだよ。勿論王族は通れるさ。でもそれ以外の部外者、例えば私とかは通れないんだよ」

 この通路はあくまで歴代王族がここへ訪れやすくするためのもの。誰でも使えるのなら転移先がどこかは知らないが、王族がお忍びの形で使うような場所なのだろう、ここに収容される女性がそこへ行き王族を害することが可能となってしまう。

「そうなのでしたか。でも、リオン様はこの壁の魔法陣をすぐに理解されました。でしたらこの魔法陣を書き換えることはできないのでしょうか?」

「うーん。可能か不可能かならば可能だよ」

「でしたら--」

「でもね、この魔法陣はなかなかうまくできていてね。どこか一部分だけでも弄ろうものなら全体の書き換えが必要になる。そんな感じで無駄なく、むしろ絡まった形で完成してるんだよ。だからまぁ無理だね」

「でも先ほど可能だと……」

「うん、だからね、そうなると一から作り上げなければいけないんだよ。でもこんな面白そうな魔法陣をいじるのに何もしないわけにはいかないよ。てことは時間がかかる。具体的にいうと一週間ぐらい」

 そうなのだ。隠蔽の魔法も気になるし、この凄い組み合わせ方も気になるし、王族を守るために作られたのだから同じかこれ以上の完成度で仕上げなければ気が済まない。だから時間がかかりすぎてしまう。と、説明する。

 目覚めたばかりでスタート地点でとどまるようなことはせずにはやく王都で多くを見て回る方が良いだろう。

 だからリオンは王都へは歩きで向かうことを伝える。

「それは流石に長いですね。わかりました。では私は先に王城に行き、お父様に伝えておきます。王城の方角はここより南の方へ少しといったところです。えっと、出入り口はこの通路を道なりにまっすぐだったと思います。すみません、何分こちらばかり使うものでして神殿の構造はあまり覚えていないのです。あっ、それから、できればで良いのですが極力この神殿にいる人たちとは出会わないようにしてください」

 教育係も含めて全員が騒がないとは限らないからかなと推測する。

「あとこちらをお渡ししておきます。これを門番などに見せてください。これは王家の紋章入りの指輪で、複製は不可能な代物なので他人が持っている場合、形だけの模造品を持った犯罪者か王族が招いた客人である証となるわけです」

 最後に、リディアードが身につけていた指輪をとってリオンに手渡した。

「ありがとう。じゃあそろそろでるか。また後でね」

「はい。ではまた後ほどお会いしましょう」

 そうして私は先ほどみた隠蔽の魔法をアレンジしたものを自身にかけて神殿の出口を目指す。

 そして私は森の中で体感で一日ぶりの日光をあびていた。
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