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一夜明けて、柔らかなベットの上で目覚めた。
こんなベットで寝るのは初めてでなかなか起き上がれない。
ルーナの毛皮とはまた違った気持ち良さだ。
ルーナも起きたみたいで、さっきから顔をペチペチ叩いてくる。

「む~……分かった。起きるから………」
「ミィ~……ミギャ!」
「痛い!起きた!起きたから!」
「ミャ~ア」

わたしの悪足掻きにルーナの肉球パンチが繰り出された。
あれって地味に痛いのよね。
起きたのは良いけどどうしよう。
とりあえず顔でも洗おうかな。
顔を洗って寝室に戻ると笑顔のマーサさんが待っていて、挨拶もそこそこにマーサさんによる着せ替えが始まった。
昨日とは違うワンピースを来て連れて来られたのは玄関でそこにエド様が待っていた。

「おはようレティ。良く休めたかな?」
「エド様、おはようございます。ぐっすり寝てしまって、ルーナに肉球パンチされました」
「ハハッ…ずいぶん気持ち良さそうなパンチだな」
「結構痛いんですよ」
「そうなのか?……あぁ、たしかに少し赤くなってるな」

エド様がわたしの頬に触れてジッと見てくる。
顔が熱くなってきた。
恥ずかしくて思わず下を向くと、やっと手を離してくれた。

「じゃあ行こうか」
「何処に行くのですか?」
「せっかくだから朝食は外で食べようかと思ってね。知り合いが店を出してるからそこを案内するよ」
「わぁ…楽しみです」
「行こうか」

エド様が手を差し出して来た。
手を繋ぐのかな?
恥ずかしいけど、手を取るまで待ってそうだ。
おずおずと手を乗せるとギュっと握られ引き寄せられてしまった。
ルーナは彼の頭に移動済みである。
手を繋いだまま歩き出したわたしたちをルドルフさんとマーサさんが見送っていたのだけど、何故かふたりともハンカチで目元を拭っていた。
日差しが眩しかったのかな?
エド様に案内されたのは、表通りから小道に入った場所にあって雰囲気の柔らかいお店だった。

「いらっしゃいませ」
「久しぶりだな」
「あら、エドじゃない。こんな時間に珍しいわね」

出迎えてくれたのは綺麗な女性でエド様と親し気に会話している。
もしかして恋人?……わたしがいても良いのかな?
何だかモヤモヤして変な感じがする。
ふたりをジッと見ていたら、女性がわたしに気付き、目が合うと唖然として涙を流した。

「……うそ……」
「あ、あのっ」

急なことに驚いて声をかけようとしたら、彼女はエド様にすがり付いた。

「エド……本当にっ……」
「あぁ……間違いない」
「いったい何処で?」
「今回の任務で偶然な」
「くそっ!こんなことなら行けば良かった!」

どうしよう。
何か揉めてる?
そりゃあ恋人がこんな地味でも他の女を連れてきたら怒るよね。
誤解を解かないと!

「あの、団長様は行く宛のなかったわたしを助けてくれたんです」
「そうなの?と言うか、行く宛がなかったってどういうこと?」
「それについては後で話す」
「そう……分かった。騒いでめんなさいね」

納得してくれたみたいで良かった。
と、思ってたら今度はエド様から不穏な気配が!?

「それはそうと……レティ」
「は、はい?」
「さっき俺のことを何と呼んだかな?」
「え?……あっ!」
「ん?」
「えっと……ごめんなさい。……エド様」
「駄目だ。罰として今後は人前でもエドと呼ぶように。あと、次にそれ以外で呼んだらお仕置きするから」
「え!?」

お仕置き!?
何されるの?一日正座?それとも擽りの刑かしら?
うんうん悩んでいたわたしに彼女が真剣に聞いてきた。

「貴女……大丈夫なの?」
「へ?だ、大丈夫ですよ?」

何故か可哀想なものを見る目で見られてしまった。



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