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冒険者~修行~
視線
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ルフィーナは、部屋に入ると驚き固まった。
重傷で昏睡状態動のはずのシルバが、起き上がっていたからだ。
しかも、手足と目が治った状態でだ。
「ルフィーナ、何を固まってんだい?」
「えっと……シルバが……」
「あぁ、それは――」
シャルロッテが、動揺しているルフィーナに事情を説明すると、あっさり納得さして、シェリの家族について話した。
「シルバとシェリにとっては、辛い話になりますが……」
「それは、妻と子どもたちが誘拐されたという話か?」
「はい」
「待って下さい!誘拐って何ですか!?」
「貴女の家族は、今この国で多発している誘拐事件に巻き込まれたようなの」
「そんな……」
「何か手掛かりがあったのかい?」
「王宮から報せが来ました。捕らえた犯人が持っていた紙に、誘拐する家の情報が書かれていて、その中にシルバの家もあったそうです。すぐに救出部隊を編成するので、ギルドからも人数を出します」
「俺も行かせてくれ!」
「わたしも行きます!」
「シルバは良いですが、シェリは許可できません」
「でも!」
「シェリ、父さんに任せてくれ。必ず連れ帰るから」
「お父さん……分かった」
「しかし、誘拐されてから1週間ですよね?もうこの国を出ているのでは?」
ミゲルが尋ねると、シャルロッテが答えた。
「聞き出した情報では、誘拐した人たちを一ヶ所に集めてから、オークションを行うそうです。場所も判明しています」
「そうですか……シルバ殿、貴方が留守の間シェリはファウスト家で預かります。宜しいですか?」
「え?」
「いや、しかし……」
「今日は、わたしたちもお世話になるのよ。例の事件の労いと、対抗戦で優勝したお祝いをしてくれるんですって」
「アダム様とディラン様とルソーも来るらしいわ」
「お祝いどころではありませんが、ここで1人でいても気が滅入るでしょうし、一緒に来ませんか?」
「シェリ、そうしてもらえ」
「お父さん……あの、お願いします」
話がついたので、ルフィーナとシルバは救出部隊の待機場所に向かい、シャルロッテは治癒所に戻って行った。
フェリーチェたちも、ギルドを出てファウスト邸に向かっていたが、途中でアダムとディランが馬車で通り掛かり、ルソーも合流したので事情を話した。
「そんな事になってたのか」
「だから、祝勝会は日を改めようと思うんだが、お前たちは帰るか?」
「構わないよ。人数がいた方が、気が紛れるだろし」
「俺も帰らないぞ。せっかく来たんだならな」
「俺も行きます」
「なぁ、アルベルトとフェリーチェは一緒じゃなかったのか?あとガイも」
「は?後ろに…………いないな」
アダムに言われ、フェリーチェたちがいた場所を見ると3人の姿がなかった。
ミゲルたちが辺りを見回していると、ケイティがそれを見つけた。
「いた!ちょっ、熊に襲われてるわ!」
「熊?……あぁ、大丈夫ですよ。知り合いの獣人です。獣化してますね」
ケイティが見たのは、体格の良い熊にぎゅうぎゅう抱き締められているフェリーチェだった。
「獣化って、確か獣人が持つ珍しいスキルよね?姿が動物よりになって、能力が通常の5倍になるやつ。つ、潰されないの?」
「見た目ほど力は入ってないからな。フェリも笑ってるだろ」
「本当だ。嬉しそう……というか、うっとりしてない?」
「モフモフだからな」「ですね」「だね」「だな」
「「「「はぁ?」」」」
時間を少し戻してみよう。
3人は、ミゲルたちの後ろを大人しく着いて歩いていたのだが、フェリーチェが何かを見つけ立ち止まった。
「どうしたの?」
「何か見つけたのか?」
「シィ~……ちょっと行ってくるから、待っててね」
フェリーチェの視線の先には、大きな熊の後ろ姿があった。
気配を殺しジリジリと近付いて行くと、熊の背中に抱き付くために、勢い良く飛びかかった。
「隙あり~!」
「残念!隙なしだ~!」
振り向いた熊に、呆気なく抱き止められたフェリーチェは、悔しがる事もなく楽しそうに熊に話しかけた。
「こんにちは、ベルナルドさん!」
「こんにちは。フェリーチェ、せっかく上手く気配を消してたのに、声を出したらバレバレだぞ?」
「えへへっ、ベルナルドさんはどうして獣化してるの?」
「何でだろうな~」
「何でもなにも、フェリーチェの匂いがしたから、獣化して誘き寄せたんじゃないか」
惚けるベルナルドの頭を叩きながら、ベルナルドの妻カルロッタが姿を現した。
「カルロッタさん、こんにちは!」
「はい、こんにちは。ちょっとあんた!独り占めしてないで、いい加減離しな!獣化スキルを持ってるからって、毎回毎回狡いんだよ」
「分かった分かった!」
ベルナルドは、カルロッタにフェリーチェを渡すと、スキルを解いて元の姿に戻った。
「フェリーチェ、少し大きくなったんじゃないかい?」
「うん、背が2㎝伸びたよ!」
「そうかい!その調子でどんどん大にくなるんだよ」
「は~い」
和やかに会話するフェリーチェたちの後ろでは、ガイがベルナルドとカルロッタの事をアルベルトに聞いていた。
「随分、懐いてるな」
「熊の獣人夫婦の、ベルナルドとカルロッタだよ。フェリの事情は話しただろう。あの2人は、フェリが赤ん坊の時に世話をしてたんだ。彼等にとって、フェリは娘みたいなものなんだよ。フェリは知らないから黙っててね」
「了解」
アルベルトとガイは、フェリーチェたちのところに歩きだした。
「2人はこれから仕事ですか?」
「あぁ、これから誘拐犯どもを捕まえに行くんだ」
「あたしらも、経験者だから黙ってられなくてね」
「そっか……あのね、シェリさんの家族も誘拐されたの」
「「シェリさん?」」
「ラディウス学園の生徒だよ」
「よぉアルベルト、元気そうだな」
「そっちの子は初めてだね」
「フェリーチェとアルベルトの子守り――ブヘッ!?……執事をしているガイです」
飛び上がりガイの頬を蹴ったアルベルトと、ふらつく事なくアルベルトを睨み付けるガイにベルナルドとカルロッタは、‘こいつも只者じゃないんだな’と遠い目をしていた。
「で、お前は何しやがる!」
「子守りなんて言うからだろ?それに、痛みは感じないから良いじゃん」
「そういう問題じゃない!」
ぎゃあぎゃあ言い出した2人を放置して、フェリーチェがミゲルたちに向かって手を振ると、気付いたようでフェリーチェたちに近付いてきた。
お互い挨拶をすると、フェリーチェが話を切り出した。
「シェリさん、ベルナルドさんとカルロッタさんが、誘拐犯たちを捕まえに行くみたいなの」
「災難だったな。シルバの事は知ってる」
「あんたの家族や他の連中を助けるために、力を尽くすよ」
「ありがとうございます!」
「それじゃあな」
「行ってらっしゃい!気を付けてね!」
ベルナルドとカルロッタは、もう一度フェリーチェを抱き締めると走り去った。
「ところで、あの2人は止めなくて良いわけ?」
「じゃれあっているだけだから大丈夫だ」
「ですが、止まりそうにないですね。フェリ、お願いするよ」
「アル~ガイ~帰るよ~」
フェリーチェが呼び掛けると、2人はピタッと言い合いを止めた。
改めてファウスト邸に向かい歩き出そうとした時、フェリーチェは嫌な視線を感じてアルベルトの手をぎゅっと握った。
アルベルトとガイもそれを感じていて警戒したが、すぐに視線が消えてしまった。
「今のは…………フェリ、大丈夫?」
「うん……」
「何だ今のは……嫌な視線だ」
その後は、特に何も感じる事なく邸に帰り、事情を聞いたサマンサが直ぐに滞在用の部屋を用意した。
夜になり、女子組は夜通しお喋りするらしく、男子組も起きているようだ。
フェリーチェは、いつもの時間に眠気が来たので、アルベルトと共に眠りについた。
しばらくフェリーチェの寝顔を見ていたアルベルトに、ベルナルドが念話してきた。
{アルベルト、聞こえるか?}
{ベルナルド?何かあった?}
{今、オークションが行われる町に来てるんだが、あの女がいたんだ}
{あの女?}
{ベイリー家のメイド長だ!}
{な!?……まさか、あの視線は!}
{視線?何かあったのか?}
{君たちと別れた後、嫌な視線を感じたんだ。疑念、敵意、憎悪……確証はないけど、もしかしたらあの視線はその女だった可能性がある}
{どうする?アイツはオークションが目的で来ている筈だ。フェリーチェの事を報告される前に、捕らえるか?}
{そうしたいけど……とにかく、そっちに行くよ。どの町?}
{帝国に近い町、セティだ}
{行った事ないから転移は無理だな。急いで行くから、見張ってて}
{分かった!}
念話を終えたアルベルトは、フェリーチェを見ると起こさないように起き上がり部屋を出た。
「ガイ」
「何だ?どっか行くのか?」
アルベルトの呼びかけに、姿を見せたガイは不思議そうに聞いた。
「昼間の視線の主に会ってくる。朝まで戻らなかったら伝えておいて」
「分かった。後でちゃんと聞かせろよ」
「分かってるよ。じゃあ、宜しく」
アルベルトは、王宮にいるクロードの元に転移した。
クロードは、エヴァンの執務室にいたようで、そこにはエヴァンとルイスもいて、いきなり現れたアルベルトに驚いた。
「アル、こんな時間にどうした?」
「実は――――」
アルベルトから事情を聞いた3人は、深刻な顔で考え始めた。
「とにかく、確かめない事には何とも言えないな」
「アルベルト、セティには私が送ります。急ぎましょう」
「気を付けろよ。闇オークションに来てるなら、護衛もいる筈だ。まぁ、アルベルトなら大丈夫だと思うが」
「アル、分かりしだい連絡してくれ。対応策を考えておく」
「分かった。ルイス、お願い」
「行きますよ」
アルベルトはルイスと共に転移した。
転移した場所はどこかの路地裏で、人の気配はなかった。
「私は戻ります。アルベルト、無茶をしてはいけませんよ」
「うん。ありがとうルイス」
ルイスが戻ったので、アルベルトは青年の姿に変化してベルナルドの元に向かった。
重傷で昏睡状態動のはずのシルバが、起き上がっていたからだ。
しかも、手足と目が治った状態でだ。
「ルフィーナ、何を固まってんだい?」
「えっと……シルバが……」
「あぁ、それは――」
シャルロッテが、動揺しているルフィーナに事情を説明すると、あっさり納得さして、シェリの家族について話した。
「シルバとシェリにとっては、辛い話になりますが……」
「それは、妻と子どもたちが誘拐されたという話か?」
「はい」
「待って下さい!誘拐って何ですか!?」
「貴女の家族は、今この国で多発している誘拐事件に巻き込まれたようなの」
「そんな……」
「何か手掛かりがあったのかい?」
「王宮から報せが来ました。捕らえた犯人が持っていた紙に、誘拐する家の情報が書かれていて、その中にシルバの家もあったそうです。すぐに救出部隊を編成するので、ギルドからも人数を出します」
「俺も行かせてくれ!」
「わたしも行きます!」
「シルバは良いですが、シェリは許可できません」
「でも!」
「シェリ、父さんに任せてくれ。必ず連れ帰るから」
「お父さん……分かった」
「しかし、誘拐されてから1週間ですよね?もうこの国を出ているのでは?」
ミゲルが尋ねると、シャルロッテが答えた。
「聞き出した情報では、誘拐した人たちを一ヶ所に集めてから、オークションを行うそうです。場所も判明しています」
「そうですか……シルバ殿、貴方が留守の間シェリはファウスト家で預かります。宜しいですか?」
「え?」
「いや、しかし……」
「今日は、わたしたちもお世話になるのよ。例の事件の労いと、対抗戦で優勝したお祝いをしてくれるんですって」
「アダム様とディラン様とルソーも来るらしいわ」
「お祝いどころではありませんが、ここで1人でいても気が滅入るでしょうし、一緒に来ませんか?」
「シェリ、そうしてもらえ」
「お父さん……あの、お願いします」
話がついたので、ルフィーナとシルバは救出部隊の待機場所に向かい、シャルロッテは治癒所に戻って行った。
フェリーチェたちも、ギルドを出てファウスト邸に向かっていたが、途中でアダムとディランが馬車で通り掛かり、ルソーも合流したので事情を話した。
「そんな事になってたのか」
「だから、祝勝会は日を改めようと思うんだが、お前たちは帰るか?」
「構わないよ。人数がいた方が、気が紛れるだろし」
「俺も帰らないぞ。せっかく来たんだならな」
「俺も行きます」
「なぁ、アルベルトとフェリーチェは一緒じゃなかったのか?あとガイも」
「は?後ろに…………いないな」
アダムに言われ、フェリーチェたちがいた場所を見ると3人の姿がなかった。
ミゲルたちが辺りを見回していると、ケイティがそれを見つけた。
「いた!ちょっ、熊に襲われてるわ!」
「熊?……あぁ、大丈夫ですよ。知り合いの獣人です。獣化してますね」
ケイティが見たのは、体格の良い熊にぎゅうぎゅう抱き締められているフェリーチェだった。
「獣化って、確か獣人が持つ珍しいスキルよね?姿が動物よりになって、能力が通常の5倍になるやつ。つ、潰されないの?」
「見た目ほど力は入ってないからな。フェリも笑ってるだろ」
「本当だ。嬉しそう……というか、うっとりしてない?」
「モフモフだからな」「ですね」「だね」「だな」
「「「「はぁ?」」」」
時間を少し戻してみよう。
3人は、ミゲルたちの後ろを大人しく着いて歩いていたのだが、フェリーチェが何かを見つけ立ち止まった。
「どうしたの?」
「何か見つけたのか?」
「シィ~……ちょっと行ってくるから、待っててね」
フェリーチェの視線の先には、大きな熊の後ろ姿があった。
気配を殺しジリジリと近付いて行くと、熊の背中に抱き付くために、勢い良く飛びかかった。
「隙あり~!」
「残念!隙なしだ~!」
振り向いた熊に、呆気なく抱き止められたフェリーチェは、悔しがる事もなく楽しそうに熊に話しかけた。
「こんにちは、ベルナルドさん!」
「こんにちは。フェリーチェ、せっかく上手く気配を消してたのに、声を出したらバレバレだぞ?」
「えへへっ、ベルナルドさんはどうして獣化してるの?」
「何でだろうな~」
「何でもなにも、フェリーチェの匂いがしたから、獣化して誘き寄せたんじゃないか」
惚けるベルナルドの頭を叩きながら、ベルナルドの妻カルロッタが姿を現した。
「カルロッタさん、こんにちは!」
「はい、こんにちは。ちょっとあんた!独り占めしてないで、いい加減離しな!獣化スキルを持ってるからって、毎回毎回狡いんだよ」
「分かった分かった!」
ベルナルドは、カルロッタにフェリーチェを渡すと、スキルを解いて元の姿に戻った。
「フェリーチェ、少し大きくなったんじゃないかい?」
「うん、背が2㎝伸びたよ!」
「そうかい!その調子でどんどん大にくなるんだよ」
「は~い」
和やかに会話するフェリーチェたちの後ろでは、ガイがベルナルドとカルロッタの事をアルベルトに聞いていた。
「随分、懐いてるな」
「熊の獣人夫婦の、ベルナルドとカルロッタだよ。フェリの事情は話しただろう。あの2人は、フェリが赤ん坊の時に世話をしてたんだ。彼等にとって、フェリは娘みたいなものなんだよ。フェリは知らないから黙っててね」
「了解」
アルベルトとガイは、フェリーチェたちのところに歩きだした。
「2人はこれから仕事ですか?」
「あぁ、これから誘拐犯どもを捕まえに行くんだ」
「あたしらも、経験者だから黙ってられなくてね」
「そっか……あのね、シェリさんの家族も誘拐されたの」
「「シェリさん?」」
「ラディウス学園の生徒だよ」
「よぉアルベルト、元気そうだな」
「そっちの子は初めてだね」
「フェリーチェとアルベルトの子守り――ブヘッ!?……執事をしているガイです」
飛び上がりガイの頬を蹴ったアルベルトと、ふらつく事なくアルベルトを睨み付けるガイにベルナルドとカルロッタは、‘こいつも只者じゃないんだな’と遠い目をしていた。
「で、お前は何しやがる!」
「子守りなんて言うからだろ?それに、痛みは感じないから良いじゃん」
「そういう問題じゃない!」
ぎゃあぎゃあ言い出した2人を放置して、フェリーチェがミゲルたちに向かって手を振ると、気付いたようでフェリーチェたちに近付いてきた。
お互い挨拶をすると、フェリーチェが話を切り出した。
「シェリさん、ベルナルドさんとカルロッタさんが、誘拐犯たちを捕まえに行くみたいなの」
「災難だったな。シルバの事は知ってる」
「あんたの家族や他の連中を助けるために、力を尽くすよ」
「ありがとうございます!」
「それじゃあな」
「行ってらっしゃい!気を付けてね!」
ベルナルドとカルロッタは、もう一度フェリーチェを抱き締めると走り去った。
「ところで、あの2人は止めなくて良いわけ?」
「じゃれあっているだけだから大丈夫だ」
「ですが、止まりそうにないですね。フェリ、お願いするよ」
「アル~ガイ~帰るよ~」
フェリーチェが呼び掛けると、2人はピタッと言い合いを止めた。
改めてファウスト邸に向かい歩き出そうとした時、フェリーチェは嫌な視線を感じてアルベルトの手をぎゅっと握った。
アルベルトとガイもそれを感じていて警戒したが、すぐに視線が消えてしまった。
「今のは…………フェリ、大丈夫?」
「うん……」
「何だ今のは……嫌な視線だ」
その後は、特に何も感じる事なく邸に帰り、事情を聞いたサマンサが直ぐに滞在用の部屋を用意した。
夜になり、女子組は夜通しお喋りするらしく、男子組も起きているようだ。
フェリーチェは、いつもの時間に眠気が来たので、アルベルトと共に眠りについた。
しばらくフェリーチェの寝顔を見ていたアルベルトに、ベルナルドが念話してきた。
{アルベルト、聞こえるか?}
{ベルナルド?何かあった?}
{今、オークションが行われる町に来てるんだが、あの女がいたんだ}
{あの女?}
{ベイリー家のメイド長だ!}
{な!?……まさか、あの視線は!}
{視線?何かあったのか?}
{君たちと別れた後、嫌な視線を感じたんだ。疑念、敵意、憎悪……確証はないけど、もしかしたらあの視線はその女だった可能性がある}
{どうする?アイツはオークションが目的で来ている筈だ。フェリーチェの事を報告される前に、捕らえるか?}
{そうしたいけど……とにかく、そっちに行くよ。どの町?}
{帝国に近い町、セティだ}
{行った事ないから転移は無理だな。急いで行くから、見張ってて}
{分かった!}
念話を終えたアルベルトは、フェリーチェを見ると起こさないように起き上がり部屋を出た。
「ガイ」
「何だ?どっか行くのか?」
アルベルトの呼びかけに、姿を見せたガイは不思議そうに聞いた。
「昼間の視線の主に会ってくる。朝まで戻らなかったら伝えておいて」
「分かった。後でちゃんと聞かせろよ」
「分かってるよ。じゃあ、宜しく」
アルベルトは、王宮にいるクロードの元に転移した。
クロードは、エヴァンの執務室にいたようで、そこにはエヴァンとルイスもいて、いきなり現れたアルベルトに驚いた。
「アル、こんな時間にどうした?」
「実は――――」
アルベルトから事情を聞いた3人は、深刻な顔で考え始めた。
「とにかく、確かめない事には何とも言えないな」
「アルベルト、セティには私が送ります。急ぎましょう」
「気を付けろよ。闇オークションに来てるなら、護衛もいる筈だ。まぁ、アルベルトなら大丈夫だと思うが」
「アル、分かりしだい連絡してくれ。対応策を考えておく」
「分かった。ルイス、お願い」
「行きますよ」
アルベルトはルイスと共に転移した。
転移した場所はどこかの路地裏で、人の気配はなかった。
「私は戻ります。アルベルト、無茶をしてはいけませんよ」
「うん。ありがとうルイス」
ルイスが戻ったので、アルベルトは青年の姿に変化してベルナルドの元に向かった。
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