目覚めたら地下室!?~転生少女の夢の先~

そらのあお

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小話~〇〇の日記~

家族会議その1

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こんにちは、私はネイサンです。
私には3歳上の兄がいます。
小さい頃から尊敬していて、大好きです。
従兄弟で親友のディランには、重度のブラコンだと言われた事もあります。
しかし、表には出しません。
兄の弱味には、なりたくないですからね。
そんな兄を困らせるアダムの事は、好きになれません。
直ぐにでも、引き離したいくらいです。
でも、何だかんだ楽しそうな兄を見ると、まぁしょうがないから、たまに嫌がらせをする事で許してやってます。
そんな僕の考えが、新しい弟アルベルトと妹フェリーチェを迎えてから少しずつ変わっていきました。
あれは、何回目かの家族会議をした時でした。
その日は休日だったので、約束通り帰ってきたのですが、あるモノを見て家族会議が開かれたんです。
参加者は、父クロードと兄ミゲルと弟アルベルトと妹フェリーチェ、そして私の5人でしだ。

「それで?どうする?」

「はっきり伝えた方がいいと思いますよ?」

「誰が伝えるんですか?兄上」

「僕はフェリがいいと思うよ」

「何で!?」

「だってフェリが原因じゃん」

「アルだってそうでしょ!」

「2人とも、止めなさい」

「「だってお父様!」」

「2人とも悪くないよ。あれは本人の責任だよ」

「ネイサンの言う事にも一理あるな」

「では、父上が伝えてくださいよ。一番適任ですよね」

「兄上に1票」

「僕も~」

「私も!」

「それは……嫌だ!」

「「「「嫌って……」」」」

結局その日は結論がでなかった。
この問題を放置すれば、取り返しのつかない事になるため、何か解決方法を考えなければ。
時間は無情にも過ぎていき、学校の寮に戻る日が来てしまった。
ついでに、アダムとディランも迎えに来てしまった。
しかしこの日、ファウスト家が抱えていた問題が解決され、私の考えが大きく変わる切っ掛けになる事が起きた。

「お~い!ミゲル~、ネイサ~ン、迎えに来たぞ~!」

「兄上……煩い!」

「本当に煩い。いったい何歳児だ?」

「兄上、仮にも王子に失礼ですよ。きっと心は永遠の5歳児なんですよね」

「「いや……だから、ネイサンお兄様の方が失礼だよ」」

いつものやり取りをしていると、母上が見送りに来てくれた。

「皆、仲良しね。気を付けて行くのよ?」

「「「はい」」」

「心配症だな~叔母う……え?」

「どうしたのアダム?」

ジッと母上を見ていたアダムが、ボンッと手を叩いて朗らかに言いました。

「何か前と違うと思ってたら、叔母上ちょっと太ったんじゃないか?顔に丸みがあるし、顎も二重になりかけてるし、体もふっくらしてきてるな!服がキツそうだ。どうせ甘い物を食べ過ぎたんだろ?程々にしないとオークみたいになるぜ?」

あぁ神よ、私は今日ほどあなたに感謝した日はありません。
今、私たちが抱えていた問題が解決しました。
きっと母上は、1人の生け贄を糧にダイエットに励んでくれるでしょう。
しょうがないから、あの人にも心から感謝してあげます。

「どうか安らかに成仏してください」

「……勝手に……殺……す……な……ガクッ」

「兄上!?……遊んでないで、早く起きてくださいよ」

「お前の勇姿は忘れないぞアダム」

「ありがとうございました」

「ねぇ、‘ガクッ’って自分で言ったよ」

「アル、そこは触れないであげるのがルールなの」

そして今日も、平和な1日が終わった。




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