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出会い
誕生祭~夜会~
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クリスティーナたちの断罪が終わり、私室に戻るとエヴァンは脱力してソファに座り込んだ。
「あぁ~上手く行ったな」
「なかなか様になってたじゃないかエヴァン」
「本当に……芝居が上手かったんですね兄上」
「あの苦痛を感じてるって顔は、真に迫ってたな陛下」
「フッ、そう感じたかギャレット……あれは本当に苦痛を感じてたんだよ!」
「「どういうことだ?」」
「クロードのやつがツネッてたんだ!それも、力一杯な!」
「あの程度で煩い奴だ。いい演出だっただろ?」
「あの程度!?……だったらお前も受けやがれ!」
エヴァンがクロードに手を伸ばすが、ヒラリとかわされ更に追いかけていると、呆れた声が聞こえた。
「いい加減にしなさい。いい歳した男がみっともない」
「ゲッ!いたのかルイス」
「待ってる間に部屋の整理をしていました。いくら、メイドが掃除をするからといって散らかし過ぎですよエヴァン」
「へいへい……これだから‘お母さん’なんだよ」
最後にボソッと言った言葉はルイスにしっかり聞かれエヴァンは耳を引っ張られた。
「何ですって?今、何て言いました?もう1度、言ってみなさい!誰が‘お母さん’ですか!」
「痛い!?やめろ~!聞こえてんじゃねぇか!耳が伸びる!」
「「「アホだ」」」
エヴァンは、引っ張られて赤くなった耳を擦りながら、突然の襲撃に不安を感じている国民に、事件の首謀者と処罰のお触書を出すように指示を出し、来客への対応をするために気持ちを切り替えた。
ギャレットは屋敷に戻り、オースティンはファウスト家へ、クロードとルイスはエヴァンをサポートするために残った。
それぞれが忙しく走り回り、誕生祭の最後を飾る夜会をむかえた。
「此度は、我が誕生祭に集まって頂き感謝する。今夜は存分に楽しんでもらいたい」
エヴァンの挨拶が終わると、招待客が祝いの言葉を言いにやって来た。
今回は夜会の為、子どもは不参加になっていて保護者がいないのをいいことに、はめを外す者もいた。
アダムたちも例外ではなく、ファウスト家に集まり子どもの夜会を開いていた。
「では!事件の解決と誕生祭を祝して、カンパ~イ!」
「「「カンパ~イ!」」」
「「「乾杯」」」
もちろん飲んでるのは酒ではなく、ソーダや果実水等でテーブルには軽食やお菓子が並んでいる。
「やっぱり監視されずに遊べるのはいいな!」
「あまりやり過ぎると怒られるぞアダム」
「水をさすなよミゲル、お前は堅すぎる!」
「そう言って、毎年絞られるんですよね兄上は」
「そうそう毎年、私たちも巻き込まれるんです」
「巻き込まれるとはなんだネイサン!お前たちも大概やらかしてるじゃないか!」
「はて?何のことですか?妄想はいけませんよ」
「妄想!?言うに事欠いて妄想!どういう教育してたんだミゲル!」
「‘素直に優しく正直に’だ」
「嘘だ!」
「じゃあ、‘清く正しく美しく’は?」
「似合わない!」
「失礼だな……嘘だけど」
「ほら見ろ!」
「ん~では‘弄って泣かせて躾よう’はどうですか?」
「恐ぇよネイサン!でも一番しっくりくるな!」
「お褒めに預かり光栄です」
「褒めてないからな!?」
「はいはい兄上それくらいで、グレースたちが笑ってますよ」
「フフフッ、お兄様たちは仲良しさんですね」
「気のおけない間柄って言うんだよねフェリ……フェリ?」
アルベルトが同意を求めてフェリーチェの方を向くと、ひたすらコップの中身を飲んでいて嫌な予感を感じていた。
「ゴクゴクゴク……プハァ」
「フェリ……さっきから何飲んでるの?顔が赤いけど?
「こえ?……こえは……あだむゅしゃんら……もてきた……じゅーちゅらよ……へへっ…ヒック……」
「「「……………アダム?」」」
「兄上……まさか」
「お兄様……もしかして」
「あれ?……お、おかしいな?……果実水の筈なんだが……はっはっはっ……」
「「どう見ても酒だろうが!」」
「フェリ!水飲んで……って、そっちはダメだよ!」
「やらぁ~こえがいいの~!」
「兄上……よりによってフェリーチェに飲ませるなんて!まったく」
ディランがコップを手に口を付けるとアルベルトが慌てて止めたが間に合わなかった。
「あっ!ディランそれフェリのコップ!」
「……アルベルト……早く……言ってください……うぇっ」
「ディランの間抜け~」
「もとはといえば……あんたも飲め~バカ兄!」
「待て!ゴブォ……ちょ………助けっ……おぇっ……」
目の据わったディランが瓶を掴みアダムの口に突っ込んだ。
「余計な事を言うからだ」
「結局、こうなるんですね」
「フッ……お前等も飲めやぁ~!」
呆れた目で見ていたミゲルとネイサンにアダムが襲いかかった。
抵抗するが酔ったディランも加わり、なす統べなく酔っ払いの仲間入りを果たした。
「うぅ~お兄様たちが……どうしましょう?」
グレースが考えながら近くのコップに口を付けた。
「って、だからそれフェリのだってば!」
「はぇ?……めがまわりましゅ~」
グレースはそう言ってソファに倒れた。
年長組4人は笑ったり泣いたり絡んだり脱いだりしながら騒いでいる。
「えぇ~……これ……どうすんの?」
取り残されたアルベルトが途方にくれていると、フェリーチェが急に起き上がり魔法を発動した。
「うるさ~い!みんな『ねむれ~!』」
「ちょっと!なにやっ……て……ふ……かく」
30分後、ライリーとオリビアが様子を見にやって来て、部屋に入って見たものはソファや床に倒れ込んだ子どもたちだった。
「な!?曲者か!直ぐに知らせを!」
「待ってライリー!この匂いは……」
「「酒臭っ!」」
こうして、子どもの夜会は幕を閉じた。
更に時間が経過した翌朝、腕を組み見下ろすクロードの前で顔色悪く正座をする年長組とソファに座るアルベルトとフェリーチェとグレースがいた。
「さて、お前たち……言い残す事はあるか?」
「「「「言い残す!?あ痛っ!」」」」
自分達の声で頭を押さえる4人。
「間違えた。言いたい事はあるか?」
「「「「すいませんでした」」」」
「はめを外すことが悪いとは言わん。私にも覚えはある。何事も経験するのは良い事だ………が、幼児に酒を飲ませるとは何事だ」
「「「「はい、反省します」」」」
「今回は故意ではなかったから許すが、その二日酔いは罰として自然と治まるまで待て、いいな」
「「「「はい」」」」
説教が終わりクロードが仕事に行くと、4人は行儀悪く寝転んだ。
「結局こうなるのか」
「諦めましょう兄上」
「毎回、うつのアホが迷惑かけます」
「あぁ~本当に悪かった。グレースもフェリーチェも大丈夫か?」
「わたしはフェリーチェに治してもらったので大丈夫ですよ」
「私は『状態異常耐性』のスキルがあるので大丈夫です」
「アダムはこれに懲りたら、ちょっとは考えて行動しなよ」
「……善処します」
結局、お昼過ぎまで二日酔いは続いた。
王宮に帰ったアダムとディランを待っていたのは、素晴らしい笑顔で剣を構えたアンドリアと、ボロボロで地面に横たわるエヴァンとレグルスだった。
どうやら、大人の夜会でもやらかした者がいたようだ。
‘父上は今日のスピーチは大丈夫だろうか’と心配している2人に笑顔のまま近付いてくる、元S級冒険者。
その日の午後、2人の少年の悲鳴が聞こえ続けたらしい。
「あぁ~上手く行ったな」
「なかなか様になってたじゃないかエヴァン」
「本当に……芝居が上手かったんですね兄上」
「あの苦痛を感じてるって顔は、真に迫ってたな陛下」
「フッ、そう感じたかギャレット……あれは本当に苦痛を感じてたんだよ!」
「「どういうことだ?」」
「クロードのやつがツネッてたんだ!それも、力一杯な!」
「あの程度で煩い奴だ。いい演出だっただろ?」
「あの程度!?……だったらお前も受けやがれ!」
エヴァンがクロードに手を伸ばすが、ヒラリとかわされ更に追いかけていると、呆れた声が聞こえた。
「いい加減にしなさい。いい歳した男がみっともない」
「ゲッ!いたのかルイス」
「待ってる間に部屋の整理をしていました。いくら、メイドが掃除をするからといって散らかし過ぎですよエヴァン」
「へいへい……これだから‘お母さん’なんだよ」
最後にボソッと言った言葉はルイスにしっかり聞かれエヴァンは耳を引っ張られた。
「何ですって?今、何て言いました?もう1度、言ってみなさい!誰が‘お母さん’ですか!」
「痛い!?やめろ~!聞こえてんじゃねぇか!耳が伸びる!」
「「「アホだ」」」
エヴァンは、引っ張られて赤くなった耳を擦りながら、突然の襲撃に不安を感じている国民に、事件の首謀者と処罰のお触書を出すように指示を出し、来客への対応をするために気持ちを切り替えた。
ギャレットは屋敷に戻り、オースティンはファウスト家へ、クロードとルイスはエヴァンをサポートするために残った。
それぞれが忙しく走り回り、誕生祭の最後を飾る夜会をむかえた。
「此度は、我が誕生祭に集まって頂き感謝する。今夜は存分に楽しんでもらいたい」
エヴァンの挨拶が終わると、招待客が祝いの言葉を言いにやって来た。
今回は夜会の為、子どもは不参加になっていて保護者がいないのをいいことに、はめを外す者もいた。
アダムたちも例外ではなく、ファウスト家に集まり子どもの夜会を開いていた。
「では!事件の解決と誕生祭を祝して、カンパ~イ!」
「「「カンパ~イ!」」」
「「「乾杯」」」
もちろん飲んでるのは酒ではなく、ソーダや果実水等でテーブルには軽食やお菓子が並んでいる。
「やっぱり監視されずに遊べるのはいいな!」
「あまりやり過ぎると怒られるぞアダム」
「水をさすなよミゲル、お前は堅すぎる!」
「そう言って、毎年絞られるんですよね兄上は」
「そうそう毎年、私たちも巻き込まれるんです」
「巻き込まれるとはなんだネイサン!お前たちも大概やらかしてるじゃないか!」
「はて?何のことですか?妄想はいけませんよ」
「妄想!?言うに事欠いて妄想!どういう教育してたんだミゲル!」
「‘素直に優しく正直に’だ」
「嘘だ!」
「じゃあ、‘清く正しく美しく’は?」
「似合わない!」
「失礼だな……嘘だけど」
「ほら見ろ!」
「ん~では‘弄って泣かせて躾よう’はどうですか?」
「恐ぇよネイサン!でも一番しっくりくるな!」
「お褒めに預かり光栄です」
「褒めてないからな!?」
「はいはい兄上それくらいで、グレースたちが笑ってますよ」
「フフフッ、お兄様たちは仲良しさんですね」
「気のおけない間柄って言うんだよねフェリ……フェリ?」
アルベルトが同意を求めてフェリーチェの方を向くと、ひたすらコップの中身を飲んでいて嫌な予感を感じていた。
「ゴクゴクゴク……プハァ」
「フェリ……さっきから何飲んでるの?顔が赤いけど?
「こえ?……こえは……あだむゅしゃんら……もてきた……じゅーちゅらよ……へへっ…ヒック……」
「「「……………アダム?」」」
「兄上……まさか」
「お兄様……もしかして」
「あれ?……お、おかしいな?……果実水の筈なんだが……はっはっはっ……」
「「どう見ても酒だろうが!」」
「フェリ!水飲んで……って、そっちはダメだよ!」
「やらぁ~こえがいいの~!」
「兄上……よりによってフェリーチェに飲ませるなんて!まったく」
ディランがコップを手に口を付けるとアルベルトが慌てて止めたが間に合わなかった。
「あっ!ディランそれフェリのコップ!」
「……アルベルト……早く……言ってください……うぇっ」
「ディランの間抜け~」
「もとはといえば……あんたも飲め~バカ兄!」
「待て!ゴブォ……ちょ………助けっ……おぇっ……」
目の据わったディランが瓶を掴みアダムの口に突っ込んだ。
「余計な事を言うからだ」
「結局、こうなるんですね」
「フッ……お前等も飲めやぁ~!」
呆れた目で見ていたミゲルとネイサンにアダムが襲いかかった。
抵抗するが酔ったディランも加わり、なす統べなく酔っ払いの仲間入りを果たした。
「うぅ~お兄様たちが……どうしましょう?」
グレースが考えながら近くのコップに口を付けた。
「って、だからそれフェリのだってば!」
「はぇ?……めがまわりましゅ~」
グレースはそう言ってソファに倒れた。
年長組4人は笑ったり泣いたり絡んだり脱いだりしながら騒いでいる。
「えぇ~……これ……どうすんの?」
取り残されたアルベルトが途方にくれていると、フェリーチェが急に起き上がり魔法を発動した。
「うるさ~い!みんな『ねむれ~!』」
「ちょっと!なにやっ……て……ふ……かく」
30分後、ライリーとオリビアが様子を見にやって来て、部屋に入って見たものはソファや床に倒れ込んだ子どもたちだった。
「な!?曲者か!直ぐに知らせを!」
「待ってライリー!この匂いは……」
「「酒臭っ!」」
こうして、子どもの夜会は幕を閉じた。
更に時間が経過した翌朝、腕を組み見下ろすクロードの前で顔色悪く正座をする年長組とソファに座るアルベルトとフェリーチェとグレースがいた。
「さて、お前たち……言い残す事はあるか?」
「「「「言い残す!?あ痛っ!」」」」
自分達の声で頭を押さえる4人。
「間違えた。言いたい事はあるか?」
「「「「すいませんでした」」」」
「はめを外すことが悪いとは言わん。私にも覚えはある。何事も経験するのは良い事だ………が、幼児に酒を飲ませるとは何事だ」
「「「「はい、反省します」」」」
「今回は故意ではなかったから許すが、その二日酔いは罰として自然と治まるまで待て、いいな」
「「「「はい」」」」
説教が終わりクロードが仕事に行くと、4人は行儀悪く寝転んだ。
「結局こうなるのか」
「諦めましょう兄上」
「毎回、うつのアホが迷惑かけます」
「あぁ~本当に悪かった。グレースもフェリーチェも大丈夫か?」
「わたしはフェリーチェに治してもらったので大丈夫ですよ」
「私は『状態異常耐性』のスキルがあるので大丈夫です」
「アダムはこれに懲りたら、ちょっとは考えて行動しなよ」
「……善処します」
結局、お昼過ぎまで二日酔いは続いた。
王宮に帰ったアダムとディランを待っていたのは、素晴らしい笑顔で剣を構えたアンドリアと、ボロボロで地面に横たわるエヴァンとレグルスだった。
どうやら、大人の夜会でもやらかした者がいたようだ。
‘父上は今日のスピーチは大丈夫だろうか’と心配している2人に笑顔のまま近付いてくる、元S級冒険者。
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