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冒険者~極秘任務~
混ぜるな危険!?
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近況報告を終えたフェリーチェたちは、クロードを交え今後の話をしていた。
「では、表向きフェリーチェ専属の護衛としてファウスト家に所属する形になるが構わないか?」
「はい。このような申し出を受けて頂き感謝します」
「竜人族の特性は理解しているつもりだ。君がアルベルトとフェリーチェの力になってくれるなら親として有難い……だが」
「「「「だが?」」」」
「くれぐれもやり過ぎさせないようにしてくれ。どこかの似非従者の様に一緒になってやり過ぎないように。君が三人のストッパーになるんだ」
「は、はい?」
クロードから感じる圧と、話の内容に呆気にとられるゾーイの横に、ガイが暗い顔で項垂れていた。
「似非従者って言われた」
「良い気味」
「えっと…ガイの本業は元魔王だから気にしないでも大丈夫だよ」
「元魔王は職業じゃないんだ……俺だって振り回されてる側なのに…」
「フェリ、フォローになってないみたいだよ」
「あぅ……」
微妙な空気になり始めたとき、部屋に乱入して来た男がいた。
「クロード!変身薬ってどれだ?」
「エヴァン、部屋に入るときはノックしろと何度っ」
「悪かったって!どれか教えてくれ。明日は視察の日だから使いたいんだが在庫が無くてな」
入ってきたのは国王エヴァンで、その手には数本の瓶を持っていた。
「勝手に保管庫に入るな。あそこは危険な物も置いてあるんだ」
「大丈夫だって。それより早く戻らないとルイスにどやされるから急いでんだ」
「はぁ~……変身薬は緑のやつだ」
「おっ、これか。料金は後で払うから貰っていくぞっ!?」
「見つけた~!」
エヴァンが帰ろうとしたとき、元気な声が近づいてきたかと思うと後ろから衝撃を受けてクロードに向かい前のめりに倒れた。
「エヴァン!」
「「「「あっ」」」」
その拍子にエヴァンが手にしていた瓶が中を舞い、フェリーチェに向かって中身が降り注ぐ。
「きゃ!?」
「「「フェリーチェ!」」」
「寵姫様!」
しゃがんだフェリーチェをアルベルトが抱き込み、エヴァンを避けたクロードが二人に覆い被さる。
更にゾーイが盾になるが、かかる前にガイが魔法で吹き飛ばした……エヴァンの方に。
「ちょっと!?何でこっちなんだ!」
「すまん!つい!」
「つい!?」
「エヴァン!早く避けろ」
「ぐわぁ~!腰が痛くて動けん!」
腰の痛みで動けない身体、迫りくる色々混ざって危なそうな液体、まさに絶体絶命のエヴァンに救世主が現れる。
「主!遊んでるのか?だったら俺も混ぜて!」
「ぎゃ!?こ、腰っ!」
「ヴィルヘルム!?」
ガイたちが遊んでると思ったフェンリルのヴィルヘルムが、エヴァンを足場にして跳ぶ。
彼が中型犬位のサイズになっていなかったら、エヴァンの腰は使い物にならなくなっていただろう……今も結構ヤバそうだが。
問題はヴィルヘルムが魔法で打ち返した液体だ。
突然の乱入に反応が遅れたゾーイが頭から被ってしまったのだ。
「ぐっ……い、息が…」
「「ゾーイ!」」
「ゾーイさん!」
「いかん、早く洗い流さないと」
突然苦しみだしたゾーイを見てフェリーチェたちが慌てていると、ゾーイから煙が出てきて彼女の姿を覆い隠した。
何とか助け出すため動き出す前に煙が晴れてきて、フェリーチェたちは、目の前の光景に瞠目して言葉を失う。
そこにはゾーイの代わりに小さな黒い竜がちょこんと座っていたのだ。
「「「「「………え」」」」」
「主~もう遊ばないの?あれ?そのちっこいのからゾーイの匂いがする」
「…ぎゃう」
「「「「「………はぁ!?」」」」」
呑気なヴィルヘルムの言葉と、それん肯定するように鳴く竜に、部屋が一気に騒がしくなった。
「では、表向きフェリーチェ専属の護衛としてファウスト家に所属する形になるが構わないか?」
「はい。このような申し出を受けて頂き感謝します」
「竜人族の特性は理解しているつもりだ。君がアルベルトとフェリーチェの力になってくれるなら親として有難い……だが」
「「「「だが?」」」」
「くれぐれもやり過ぎさせないようにしてくれ。どこかの似非従者の様に一緒になってやり過ぎないように。君が三人のストッパーになるんだ」
「は、はい?」
クロードから感じる圧と、話の内容に呆気にとられるゾーイの横に、ガイが暗い顔で項垂れていた。
「似非従者って言われた」
「良い気味」
「えっと…ガイの本業は元魔王だから気にしないでも大丈夫だよ」
「元魔王は職業じゃないんだ……俺だって振り回されてる側なのに…」
「フェリ、フォローになってないみたいだよ」
「あぅ……」
微妙な空気になり始めたとき、部屋に乱入して来た男がいた。
「クロード!変身薬ってどれだ?」
「エヴァン、部屋に入るときはノックしろと何度っ」
「悪かったって!どれか教えてくれ。明日は視察の日だから使いたいんだが在庫が無くてな」
入ってきたのは国王エヴァンで、その手には数本の瓶を持っていた。
「勝手に保管庫に入るな。あそこは危険な物も置いてあるんだ」
「大丈夫だって。それより早く戻らないとルイスにどやされるから急いでんだ」
「はぁ~……変身薬は緑のやつだ」
「おっ、これか。料金は後で払うから貰っていくぞっ!?」
「見つけた~!」
エヴァンが帰ろうとしたとき、元気な声が近づいてきたかと思うと後ろから衝撃を受けてクロードに向かい前のめりに倒れた。
「エヴァン!」
「「「「あっ」」」」
その拍子にエヴァンが手にしていた瓶が中を舞い、フェリーチェに向かって中身が降り注ぐ。
「きゃ!?」
「「「フェリーチェ!」」」
「寵姫様!」
しゃがんだフェリーチェをアルベルトが抱き込み、エヴァンを避けたクロードが二人に覆い被さる。
更にゾーイが盾になるが、かかる前にガイが魔法で吹き飛ばした……エヴァンの方に。
「ちょっと!?何でこっちなんだ!」
「すまん!つい!」
「つい!?」
「エヴァン!早く避けろ」
「ぐわぁ~!腰が痛くて動けん!」
腰の痛みで動けない身体、迫りくる色々混ざって危なそうな液体、まさに絶体絶命のエヴァンに救世主が現れる。
「主!遊んでるのか?だったら俺も混ぜて!」
「ぎゃ!?こ、腰っ!」
「ヴィルヘルム!?」
ガイたちが遊んでると思ったフェンリルのヴィルヘルムが、エヴァンを足場にして跳ぶ。
彼が中型犬位のサイズになっていなかったら、エヴァンの腰は使い物にならなくなっていただろう……今も結構ヤバそうだが。
問題はヴィルヘルムが魔法で打ち返した液体だ。
突然の乱入に反応が遅れたゾーイが頭から被ってしまったのだ。
「ぐっ……い、息が…」
「「ゾーイ!」」
「ゾーイさん!」
「いかん、早く洗い流さないと」
突然苦しみだしたゾーイを見てフェリーチェたちが慌てていると、ゾーイから煙が出てきて彼女の姿を覆い隠した。
何とか助け出すため動き出す前に煙が晴れてきて、フェリーチェたちは、目の前の光景に瞠目して言葉を失う。
そこにはゾーイの代わりに小さな黒い竜がちょこんと座っていたのだ。
「「「「「………え」」」」」
「主~もう遊ばないの?あれ?そのちっこいのからゾーイの匂いがする」
「…ぎゃう」
「「「「「………はぁ!?」」」」」
呑気なヴィルヘルムの言葉と、それん肯定するように鳴く竜に、部屋が一気に騒がしくなった。
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