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小話3~◯◯の日記~

感じた恐怖

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わたしはディアネス共和国第一王女グレース様の近衛騎士ブレンダです。
初めてグレース様にお会いしたのは彼女が十歳の頃でした。

「ブレンダ、お前は本日付でグレース様の護衛に任命する」
「...ハッ!」

当時グレース様は何かと優秀はご家族の影に隠れいつもオドオドされており、一部の貴族たちから『落ちこぼれ』『不良品』『出来損ない』と呼ばれていました。
わたしが彼女の護衛騎士に抜擢されたときは、周りに同情されたものです。
もちろんそんなものは余計なお世話だったが。

「わたしなんかの護衛をしてもらってごめんなさい。お父様にお願いして元の部署に戻して貰うわ」
「お言葉ですが、必要ありません。わたしは姫様の護衛になったことを誇りに思っています」
「でも...」
「...もう一度言います。わたしは、グレース様の護衛になれたことを誇りに思います」
「っ?!......ありがとう...ブレンダ」

わたしには分かっていた。
グレース様は途轍もない力を秘めていると。
そしてそれは当たっていた。
ある方たちとの出会いで彼女は変わられたのだ。
自分に自信を持ち、傲らず努力し、味方を増やしていった。
護衛騎士に任命されてから数年、彼女が変わる切っ掛けとなった方々に直接関わることが増えた。
この国を影から支えるファウスト家に、養子として迎えられたアルベルト様とフェリーチェ様とその専属執事のガイ殿だ。
この方たちがまた規格外の力を持ってた。
特にアルベルト様とガイ殿は別格で、フェリーチェ様は二人に比べるとあまり目立った力は持っていないと思っていた...あのときまでは。
グレース様が通われる学園の授業で課外演習があった。
その際、『黒の幸い』として護衛依頼を受けて貰ったのだが、そこで事件が起きた。
詳細は省くが、グレース様を逆恨みしている令嬢が主犯だった。
大量の魔物に襲われる中、実に鮮やかに戦うアルベルト様とガイ殿を見ていると、突如感じたことのない寒気を感じた。
その発生源は...フェリーチェ様だった。
彼女はその場から動いていない、魔法を使っているそぶりもない...ではいったいこの得たいの知れない寒気は...恐怖はなんのだ。
事件の後もあのことが忘れなれなかった。
そんなわたしの様子が気になったのか、ある日グレース様が話を聞いてきた。
情けないと思いつつも、あの日感じたことを話した。

「ねぇブレンダ...貴女は王女としてではなく、グレースとしてわたしの側にいてくれているわ」
「はい」
「確かにフェリーチェの力は...びっくりするものもあるけど、それは彼女の一部でしかないわ」
「はい」
「貴女が知るフェリーチェは、その力を悪用すると思うかしら?」

わたしの知っているフェリーチェ様......

『もふもふ!』
『フェリ!僕以外に抱きつく何て!』
『...美味しそう...ジュル...』
『こらこら!それ猛毒だぞ!』
『グレース様、新しい武器作ってみたよ。無茶しないでくださいね』
『ありがとう!早速試してみるわ!さぁ騎士団に殴り込むわよ!』
『グレース様...例のものです』
『待っていたわ!フフッフフフフフ...』

フェリーチェ様のことを思い浮かべると自然とあの恐怖を忘れていた。
うん...あの方は無害だ。
むしろ、最近のグレース様の方が......

「ブレンダ?」
「ひゃ?!は、はい!」

あっ......また寒気が...グレース様、その剣は何ですか?
え?訓練?いや~ちょっと急用がですね......や、止めて!引っ張らないで!誰か助けて~!
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