目覚めたら地下室!?~転生少女の夢の先~

そらのあお

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小話3~◯◯の日記~

僕の仕事は……

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どうもお久しぶりです!
僕は、トラスト王国諜報部隊チェイスの息子ウィルです。
覚えている人いるかな?
昔、ランブラー帝国に誘拐されてフェリーチェに助けて貰った獣人のひとりなんだ。
あれからもう6年たって僕も12歳になったよ。
今は、16歳となり正式に王太子となられたレオーネ様の側近として勉強中なんだ。
側近といっても、日に何時間かは普通の勉強もしてるから暫くは雑用が主な仕事だけどね。
まぁ、その雑用が結構大変なんだ。
僕の仕事の一部を紹介するね。

【午前6時】
仕事に欠かせない数種類の魔道具を持って家を出発。
【午前6時半】
王宮に出勤して、《隠密》の魔道具で姿を隠しレオーネ様の寝室に侵入。10分間、あらゆる角度からレオーネ様の寝顔を《かめら》の魔道具で撮影し速やかに退室して帰宅。
【午前8時】
王宮に出勤して、姿を隠し朝食中のレオーネ様を10分間撮影して退室。姿を見せて仕事部屋に出勤。
【午前9時】
レオーネ様に挨拶してから別室で勉強の時間。
【午前11時】
勉強を終わらせ、姿を隠し執務室に侵入、仕事中のレオーネ様を10分間撮影して退室。早めの昼食をとる。
【正午】
姿を隠し昼食中のレオーネ様を10分間撮影して退室。

午前はこんな感じだよ。
分かったかな?
僕の仕事ってレオーネ様の撮影…と、言うか隠し撮りなんだよね。
何でこんな事してるかというと……あっ、ちょっと待ってて!あの子が来た!

「ウィル君、久しぶり~!」
「久しぶりフェリーチェ!今日はひとりなんだ?珍しいね」
「アルとガイは……ふふっ……ジュル」

恐!?フェリーチェが捕食者の目で涎を拭ってるよ!
いったい何があったの!?

「そ、それで今日はどうしたの?約束の日はまだだよね?」
「うん。ちょっと個人的なお願いをしたから、報酬を渡す約束したの。新しい《アルバム》できてないかな?」
「出来てるよ。今回のには戦闘場面も入ってるよ」
「本当?グレース様が喜ぶよ!」
「はい、《レオーネ様あるばむ》の《鑑賞用》と《保存用》ね」
「じゃあこっちも2冊ね」

そう、レオーネ様の隠し撮りは、こうしてフェリーチェ……厳密にはディアネス共和国グレース王女に贈呈するためにしている事なんだ。
そして、フェリーチェから渡されたのは《グレース様あるばむ》の《鑑賞用》と《保存用》だ。
なんでも、レオーネ様がディアネス共和国に訪問した時にお互い一目惚れしたらいんだけど、両想いなのに本人たちだけ気付いてないみたい。
会えない間の慰めに、この《あるばむ》交換を始めたんだ。
本人たちは自分だけ貰ってると思ってるけどね。
もちろん、親(国王)の許可は貰ってるよ。
こっち側は面白……暖かく見守る姿勢だから協力は惜しまないらしい。
でも、ディアネス共和国はね……
実は初めてこの話が出た時、こんなやり取りがあったんだ。

「ねぇ、こっちは問題ないみたいだけど、そっちは大丈夫だったの?王女様って溺愛されてるんでしょ?」
「大丈夫だよ。エヴァンさんは渋ってたけど、ルイスさんが許可してくれたから」
「ルイス様?あれ?王女様のお父様って……」
「エヴァン様だよ」
「ディアネス共和国の国王様って……」
「エヴァン様だね」
「………いいんだ」
「いいんだよ」

自信満々に頷くフェリーチェに、国王の扱いについてそれ以上追及する事は僕にはできなかった。
更に……

「でも、フェリーチェに貰った魔道具があるけど、隠し撮りって緊張するよね。それに悪い事してるみたいで気が引けるよ」
「うん。……私はしないけどね」
「え?そうなの?」
「うん。隠し撮りに最適な人がいるから。その人に《カメラ》で妹さんのいろんな姿を生涯保存できますよ~って渡して、その《カメラ》で撮影さたのを複写すれば良いだけだからね」
「最適な人って?」
「グレース様のスト……お兄さんだよ」
「王女様のお兄様って王子様?」
「そうだよ」
「王子様に《あるばむ》の事は?」
「言うわけないよ。言ったらレオーネ様が……」

その言葉の先は聞かない事にした。
そして、お宅の王族は大丈夫ですか?……とは、僕にはとても言えなかった。
あれ?でも、隠し撮りの《あるばむ》を欲しがるレオーネ様も………いやいや、考えない考えない!
でも、このまま2人が進展してしまったらレオーネ様が危っ……だから!考えちゃダメなんだって!
こういう事は大人に任せるべきなんだよ。
そうでしょ、父さん!

「いいかウィル、あいつらに関わるうえで大事な事を教えておく」
「だ、大事な事……」
「そう……何事も諦めが肝心だ!」

あの時の僕は父さんをカッコ悪いとおもったけど、今ならあの言葉が正しかったと実感してる。
まぁ何だかんだあったけど、かれこれ1年この《あるばむ》交換が続いています。






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