目覚めたら地下室!?~転生少女の夢の先~

そらのあお

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冒険者~学園騒動~

王子様ご乱心

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フェリーチェたちは、誰に止められる事なくディランの部屋にたどり着き、部屋の前に立つ兵士に挨拶して中に入った。これで良いのか王宮警備と思いつつ目的の人物を探すと、ディランはソファーに座り頭を抱えていた。

「ディラン様、大丈夫?」
「どうしたのさ?」
「フェリ、アル、止まれ。様子が変だ」

ガイが、ディランに近付こうとしてしていた2人の襟を引っ張り止めると何か聞こえてきた。

「僕のグレース……演習…危険だ…あんな……いっそ潰してっ……アルベルト!」
「な、何!?」
「フェリーチェ!」
「ひゃい!?」
「ガイ!」
「おぉ!?お前大丈夫か?隈が凄い事に……」

何かブツブツ言っていたディランがバッと顔を上げたのだが、その異様な雰囲気と隈の酷い顔に3人は思わず一歩どころか、扉まで一気に下がった。しかし、ディランは気にする事なくジリジリ近付いて行く。

「グレースが…グレースが!」
「お、落ち着け!話は聞くから!」
「こ、怖い…」
「フェリ、後ろに下がって」
「グレースが!僕のグレースがはっ!」
「「ディラン!?」」「ディラン様!?」

突然倒れたディランに驚き、慌てて外にいる兵士に声をかけたのだが、彼等は落ち着いていて1人はディランを寝室に運び、1人はどこかに歩いて行った。その手慣れた対応に、あぁ初めてじゃないのかと3人は悟った。少しして、アダムが入ってきた。

「よぉ、悪かったな。最近、毎日あれなんだ」
「「「毎日…」」」
「もうすぐ学園で野外演習があるんだよ。だから心配でああなってるんだ」
「野外演習って何をするの?」
「郊外の森で2泊3日過ごすんだ。薬草の採取とか魔物を討伐したり、それを解体して料理したり色々な」
「へぇ~、生徒だけでやるの?」
「教師が何人かと貴族は自分で護衛を連れて来る。護衛を連れてこれない者もいるから学園側が冒険者を雇い同行するぞ」
「もしかして、俺たちへの指名依頼ってそれか?」
「あいつそんな事してたのか。全くグレースの事となると…だいたいグレースは母上と同じ…」
「兄上!」
「「「「ヒィッ!?」」」」

寝ていた筈のディランが現れアダムの肩を掴んだ。

「グレースが強い事は知っています!でも、心配なんですよ!僕にとってグレースは可愛い妹なんです!」
「分かったから落ち着け!グレースは俺にとっても可愛い妹だ!心配なのは分かるが、早く通常に戻らないとその可愛い妹に心配させるぞ!良いのか!」
「心配!?それは駄目だ…あぁでも、心配するグレースも可愛いし……いや駄目だ……」

((((駄目だ……そっとしておこう))))

再び自分の世界に入ったディランをそのままに、フェリーチェたちは静かに部屋を出た。その時に見た、兵士の死んだ目が彼等の心情を表していたので、アダムが労うように肩を軽く叩くのだった。

「ディランはアダムと違ってしっかりしてると思ったけど、やっぱりエヴァンの子どもだね~」
「多方面に失礼だ!」
「いくら大事な妹でも過保護過ぎじゃない?」
「ちょっとくらい見守ってあげれば良いのにな」

(お前等が言うのか!?無自覚か!)

フェリーチェに始終引っ付き、あらゆる危険から遠ざけようとするアルベルトとガイの言葉に目を剥き心中で突っ込んだアダムは、同情のこもった目をしてフェリーチェの頭を撫でた。

「アダム様?」
「まぁ…頑張れよ」
「はい?」
「ちょっと…フェリに何してんの!」
「はぁ~アルベルト、心が狭いぞ~」
『清掃』クリーン『清掃』クリーン『清掃』クリーン!」
「本当に失礼な奴だな!」
「心が狭いぜアダム」
「ガイ!……ぬがぁぁぁ!」

わいわい騒ぎならが移動するアダムたちを、通りかかった者たちが生暖かい目で見ていた。









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